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人力で聖書を回す「ぐるぐるサバイバー」
「Vampire Survivors」で初心者の助けとなるのが「王の聖書」だろう。聖書がキャラクターの周囲をぐるぐると回転し,群がる敵にダメージを与えてくれる。王の聖書がどうやって回っているのかは不明だったが,今回のコラボで謎が解けたかもしれない。
その答えは「人力」だ。「ぐるぐるサバイバー」では王の聖書を両手で持ち,ぐるぐると回転させると,これに連動して画面内の王の聖書も回転し,敵を蹴散らしてくれる。王の聖書はひもで木製のプレートとつながっており,聖書を回すとプレートも連動してぐるぐると回って回転力を伝える。
王の聖書は作中のイメージ通りサイズもそこそこ大きいため,回すだけでも一苦労で,腕に心地よい疲労が残る。サバイバーたちはこれを30分間回し,無数のモンスターを倒すのだから,すさまじい腕力といえるだろう。
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宝箱が自機となる「宝箱を発見!」
ド派手な光線とともにさまざまなアイテムを出現させる名脇役の宝箱だが,コラボでは堂々の主役だ。入力デバイスは手に持てるサイズの小さな宝箱である。手の中で宝箱を左右に倒すと,画面内の宝箱もそれにつれて動いてくれる。
フィールドは縦スクロールになっており,宝箱から放たれる光線でモンスターを撃つ。倒すと原作通りに経験値のジェムが出現し,取得するとレベルが上がって光線が2本,3本と増えていく。
画面内に散らばった無数のジェムを1個でも多く拾うため,あちらこちらとあさましく駆け回る感覚は,「Vampire Survivors」の原作を再現したものといえる。最終ボスは,宝箱の主役就任を防ぐために出張ってきた(?)初期主人公・アントニオなのも面白い。
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タオルを回して敵を薙ぎ払う「TOWEL SURVIVOR」
「TOWEL SURVIVOR」でプレイヤーはタオルをぶん回す。そうするとパワーが溜まり,押し寄せる敵どもを薙ぎ払えるのだ。しかし,敵には赤・黄・緑の3種類の色があり,撃退するには対応した色のタオルを回さなければならない。
タオルを回すだけでも体力を使うのに,画面を見て敵の色を判断し,適切なタオルに持ち替える必要があるのだから,なかなかに大変だ。時には複数色の敵が同時に襲ってくることもあり,いろいろなタオルを回していると,だんだんハイになってきて気持ちがいいのだ。
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今年もユニークな発想が花盛り
もちろんmake.ctrl.Japanブースは,「Vampire Survivors」コラボだけではない。今年は特に出展数が多かったうえに質も高く,まさに特殊コントローラの百花繚乱であった。特に印象深いものについて書いていくが,載せられなかったものも粒ぞろいだった。
手のひらで大切なものを握りしめ,強大な敵に立ち向かう「ANRI」
「ANRI」はシナリオも重視された内容だ。戦争が続く未来世界で,プレイヤーは死にゆく男から,手のひらに握り込める小さな物体を託される。この物体は実は自立駆動型のハッキングデバイスであり,戦争を終わらせる力を持っているという。このデバイスを届けるため,敵メカがひしめく戦場を駆け抜けなければならないのだ。
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プレイヤーは自分の手を「ANRI」のプレイフィールドに置き,デバイスを握りしめることで攻撃を行う。手を開いてデバイスにパワーをチャージし,敵の攻撃に合わせてタイミング良く握るとパリィが発生する……と操作自体はシンプルだが,ゲームとしても面白い。
プレイフィールドはゲーム用のディスプレイと,手の動きを検知するスペースで構成されており,プレイフィールドにはプロジェクターでさまざまなエフェクトが表示される。デバイスが起動すると自分の手に稲妻が走り,握りしめると画面に向けて攻撃が放たれるという,プロジェクターを用いたMR的な仕掛けも面白く,シナリオがボイス付きであることと相まって,即座に作品世界に没入できた。
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特に興味深いのが,デバイス自体には何の機能もない,ただの重りであるということだ。手のひらの開閉自体はカメラで検知しているため,極論を言えばデバイスが存在しなくても本作は成り立つ。しかし,デバイスを物体とすることで,プレイヤーの「守りたい」という庇護欲をかき立てる仕掛けになっているという。重みのために,鉄よりも比重の高いタングステンを使ったというから,こだわりが感じられる。
シナリオ的にも,戦争を終わらせる力を持つ貴重な物として扱われているし,実際に操作してみても重みが心地よく,MR的な光の演出と合わせ,世界設定とプレイ感が一体となった体験を楽しめた。
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製作者によれば,本作は「小さなものを握り込み,守ってあげるようなものとしたい」というコンセプトからスタートしており,当初はVRゲームになる予定だったという。しかし,VRではHMDを装着する関係上,低年齢層や化粧をしている人などに不向きであるため,「VRの中にあるものを外に出したらいいんじゃないか」ということで,ディスプレイとプロジェクターを組み合わせた現在の形となった。
脚本家の協力を得て世界設定を行い,ゲームシステムなどを肉付けしていったが,なかでもチュートリアルは独特なシステムを負担のない形でプレイヤーに伝えるため,説明をできるだけ削り,ボイスを付けるなど,試行錯誤が繰り返されたという。
コアになる「小さなものを握り込む」アイデアだけをそのまま出すのではなく,世界観から作り込んだことにより,没入感の高い体験が生み出されており,印象的なタイトルといえる。
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麺切カッターを入力デバイスとし,コインプッシャーのようにうどんを流す「うどんプッシャー」
プレイヤーが麺切カッターで“麺の生地”を切ると,画面内にはうどんがモリモリとあふれていく。できるだけ素早く大量のうどんを流し,お客に提供するのだ。“麺の生地”に実際カッターを当て,手に伝わるフィードバックとともにうどんが流れる様子にはリアルさと心地よさがあるのだ。
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本作を制作した讃岐GameNはうどんで有名な香川県のチーム。うどんは見た目が面白いうえ,これを物理演算で描写したゲームがないということで,うどんをテーマとし,麺切カッターを使ってコインプッシャー的な遊びをする本作が作られることとなった。
物理演算はチーム自慢の一品で,うどんがちぎれるところまでを表現することができる。コインプッシャーのコインと違い,うどんはちぎれたり,滑り落ちるコースが変わったりするという特徴があり,プロトタイプの時点で大きな手ごたえを感じていたという。
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“麺の生地”はぬいぐるみ生地で作られており,ある程度力を入れても大丈夫である。麺切カッター側に取り付けられたセンサーによって傾きを検知し,これに応じた量の麺を生成している。
当初はカッター側にカバーを付けた金属製パーツが使われていたが,より安全性に配慮したパーツと“麺の生地”を併用する現在の方式が考案されたという。開発段階では,生地にコストを設定し,切り方によって麺の塊の大きさを調整することでゲーム性を高めるという案も出されたものの,調整の時間が不足していたことから,時間内であればいくらでも麺を出せる形になったそうだ。
初日の段階ではゲーム性が不足していたため,夜中までプログラムの改良をしていったという。
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「雨の日割引」「免税」「学割」「2つ買ったら1個無料」など,さまざまなサービスに翻弄されつつお会計する「BANANA MART」
プレイヤーはスーパーの店員となり,お客様が求めるバナナのバーコードをスキャンしてお会計を行う。バーコードが貼られまくったリアルのバナナ1つ,バーコードリーダー,割引用のバーコードシートの束に加え,店員用のエプロンも本作に不可欠のデバイスだ。
エプロンには伸縮式のストラップで店員用のスタッフパスも付けられており,まるで本物の店員になったかのよう。お客様ができるだけお得になるよう,バナナ本体のバーコードと合わせて,適用できる割引用バーコードを読み込ませれば,高い得点を得られるのだ。
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扱う品物はバナナのみ,使うリアルバナナも1つだけとなれば,もう楽勝と思えるが,さにあらず。このスーパーは奉仕精神が旺盛過ぎるのか,割引サービスが「雨の日割引」「夕方割引」「免税」「学割」「2つ買ったら1つ無料」など少々多めだ。加えて,割引に使うバーコードがリアルバナナの方にあるのか,シートの方にあるのかが分からない。
結果として,プレイヤーは「この人はバナナを2つ欲しがってる,今は夕方だから割引を付けないと……2つ買ったということは2つ買ったら1つ無料も適用できてるけど,このバーコードはどこにあったっけ?」と,リアルバナナとシートをひっくり返したりめくったりしつつパニックに陥る。
そして,リアルバナナのバーコードは曲面に貼られているため読み込まないことがあるうえ,ミスをしたらスタッフパスのストラップを伸ばしてリーダーにキャンセル用バーコードを当てなければならない。おたおたしている間にも時間は過ぎていき,なんとも申し訳ない気持ちでいっぱいになるのだ。
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本作を制作したのは,小箱に無数のスイッチを付け外ししつつ猫にお菓子を作る「Pastry Panic (with cat)」(関連記事)や,次々に吐き出されるレシートからバーコードを読み込む「BARC」(関連記事)で知られるYong Zhen Zhou氏だ。
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| 「Pastry Panic (with cat)」 |
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| 「BARC」 |
バーコードを使うのは「BARC」と同じだが,今回のコンセプトは“実際の品物にバーコードを貼り,手の中で動かすことで忙しい思いをさせたい”というものだ。バーコードさえ貼れば,どんなものでもゲームに使うことができ,難度を変えられるのも長所で,BitSummitの開催日によってはバナナではなくシリアルの袋だったこともあったという。
「○○シミュレーター」系のゲームが流行している昨今だけに,「本当の仕事は楽しくないのに,家に帰るとわざわざゲーム内で仕事のようなことをしている」というような状況にアイロニーを感じ,これをゲームにすることを思いついたのだそうだ。
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実のところ,本作は風刺的なゲームとしてよくできていると感じられる。プレイヤーを苦しめる無数の割引は,スーパーの上層部が良かれと思って設定したものだ。しかし,上層部は現場の状況を知らず,無理がある割引企画もそのまま通ってしまう。そして現場としては例外処理が増えて混乱は増すばかりだ。
店員からすれば,まれにしか使われない割引など適用し忘れても仕方ないと思えるが,お客にとっては権利を無視されたということであり,気分を害するに十分な理由となってしまう。
そして,プレイヤー自身も,現実ではお客としてこうした割引の適用を求めている自分に気付く。例外処理を増やすことの愚かさと,苦労を現場に押し付ける構造の恐ろしさを再確認し,店員をねぎらいたいという気持ちになるのである。
今回は出展数も多く,充実した感のあるmake.ctrl.Japanブースだった。来年の開催が楽しみだ。




















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