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Neon NoroshiがTGS 2025で初の自社ブース出展。同社代表に,翻訳/PRからパブリッシング事業への歩みと出展について聞いた[TGS2025]
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北欧のインディーゲームを日本を中心としたアジアのプレイヤーに届けるため,2018年に設立。2025年6月にはインディーゲームパブリッシャ「Yotsuba Interactive」を立ち上げパブリッシング事業もスタートした。
ゲームのPRサポートとしてプレスリリース制作,イベントでの取材セッティングや通訳などでゲーム業界,そして我々メディアにはおなじみの同社。公式X(@NNoroshi)などSNSでの発信も活動的で,独創的なインディーゲームを取り上げるセンスのよさからフォローしているファンも少なくないだろう。
そんなNeon Noroshiが,東京ゲームショウ2025で初めて自社ブースを出展。出展やパブリッシング事業進出の経緯,そしてゲームイベントへの考えなどについて,Neon NoroshiとYotsuba Interactiveの代表であるMiya氏に話を聞いた。
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「Neon Noroshi」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
あらためてどういう会社か教えていただけますか?
Miya氏:
もともとはゲームに特化した翻訳会社としてスタートしました。
ただ翻訳の質が良くても,プレイヤーに届かなければ売れない。そう考えてマーケティングサポートも同時に提供することになり,それがベースで今に至ります。
「欧米のインディーゲームを日本へ」という流れがメイン事業でしたが,2022年からはその逆ではないですが,日本のインディーゲームを欧米へ届けるプロジェクトもいくつか手がけています。
4Gamer:
スウェーデンと日本以外にもいろいろな地域に向けて活動されていますよね。
グローバルな体制でやっていらっしゃるなという印象で。
Miya氏:
そうですね。今は日本とスウェーデンはそれぞれ5人と3人くらいで,あとは中国に3人,韓国に2人,マレーシアに2人,シンガポールに1人というチーム体制になっています。
最初は「アジアのPRをお願いしたいという」声があって,徐々に広がっていったようなイメージです。「いやアジアって広いよ? どこまで?」ってところから(笑)。
日本はアジアの大きな拠点になっていますが,最近は中国の存在感もかなり増してきていますね。
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4Gamer:
今年は東京ゲームショウに初めて会社としてブースを出展されました。これはどういう経緯があったのですか。
Miya氏:
私たちはこれまでこういったゲームショウでは,クライアントのブースにメディアやインフルエンサーをご案内したり,そこで通訳をしたりといったように取材のサポートをしてきました。
4Gamer:
いつも丁寧な資料と通訳で。助けられたというメディアはたくさんいると思います。
Miya氏:
ありがとうございます!
おかげさまを持ちまして,メーカー側からも信頼していただけるようになり,たくさんお声がけいただけるようになったんですね。でも,数が増えたぶん行き来も多くなり,さすがにこれはもう疲れるぞと(笑)。
また,「Neon Noroshiは自分ではブース出さないの?」と言っていただくことも増えてたんですね。出展したくてもどうしたらいいか分からない。そういう方たちもご相談してくれるわけです。
インディーゲームを扱う会社にとってブース出展費用は正直重いのですが,期待していただけているところもあって「やってみよう」と。
あとはシンプルに,「日本に行きたい」と声をかけてくるチームも多くて(笑)。そういう背景もあり,信頼してブースを任せてもらえたのはありがたかったですね。
4Gamer:
「日本に連れてって!」と。なんか,信頼しているからこそ気軽に言ってもらえるみたいな感じありますね。
ブースでは話題作の続編である「PowerWash Simulator 2」と「Planet of Lana II」が2つもドーンと出ているのを見て,ものすごい印象を与える初出展になったなと思いました。
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高圧洗浄シム「PowerWash Simulator 2」試遊レポート。グラフィックス面などが大きく進化し,前作以上の爽快感を味わえる[TGS2025]
![高圧洗浄シム「PowerWash Simulator 2」試遊レポート。グラフィックス面などが大きく進化し,前作以上の爽快感を味わえる[TGS2025]](/games/891/G089129/20250926073/TN/009.jpg)
千葉・幕張メッセで開催中の「東京ゲームショウ2025」のNeon Noroshiブースに,高圧洗浄シム「PowerWash Simulator 2」の試遊台が出展されていた。本稿ではそのプレイレポートをお届けする。前作と比べてグラフィックスやゲームプレイが大きくブラッシュアップされ,リフトなどの新要素も追加されている。
Miya氏:
これは本当にありがたいことです。
「PowerWash Simulator 2」や「Planet of Lana II」は前作が日本でも話題になったゲームなので,「日本で訴求したい」という希望を強くいただきました。
ほかのタイトルも,8月にgamescom,9月にTGS,10月に発売という流れが多くて,時期的にもこのタイミングで出展したいという相談は多かったです。
メガテン,ブラックマトリクス,今 敏……Ysbryd Gamesの代表に聞く,刺さる人に刺さる「Demonschool」「LOVE ETERNAL」の話[TGS2025]
![メガテン,ブラックマトリクス,今 敏……Ysbryd Gamesの代表に聞く,刺さる人に刺さる「Demonschool」「LOVE ETERNAL」の話[TGS2025]](/games/637/G063768/20250929002/TN/020.jpg)
尖ったゲームを求めるゲームファンの注目を集めているインディーゲームパブリッシャ・Ysbryd Gamesが,TGS 2025のNeon Noroshiブースに出展していた。出展タイトルは,これまた尖った雰囲気のある「Demonschool」「LOVE ETERNAL」の2つ。どのような反応を得たのか,創始者のBrian Kwek氏に話を聞いた。
- キーワード:
- PC:Demonschool
- RPG
- シミュレーション
- Necrosoft Games
- Ysbryd Games
- PS5:Demonschool
- PS5
- PS4:Demonschool
- PS4
- Xbox Series X|S:Demonschool
- Xbox Series X|S
- Xbox One:Demonschool
- Xbox One
- Nintendo Switch:Demonschool
- Nintendo Switch
- プレイ人数:1人
- IARC汎用レーティング 12歳以上
- イベント
- インタビュー
- PC:LOVE ETERNAL
- PC
- アクション
- brlka
- ホラー/オカルト
- 編集部:Junpoco
- TGS 2025
- 東京ゲームショウ
4Gamer:
なるほど。立地を生かしたブースの作りもアートの見せ方もあって存在感がすごいなと。
Miya氏:
角地を取りたいって思っていたので,希望どおりにいって本当によかったです。物販コーナーとインディーゲームの間の開けたところで。
物販からこっちに向かってくると「PowerWash Simulator 2」が見えるよう,場所が決まってから考えて設営しましたが,やはり認知度が違うんですよね。なんだろうではなく,知っていて足を向けてくれるわけです。
それで足を止めると,さらにそこに「Planet of Lana II」の一般向けでは世界初のプレイアブルがあって,知ってくださっていた人や雰囲気に惹かれた人に興味をもっていただけました。
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「Planet of Lana II」ふたりのディレクターに聞く続編制作の経緯。成長したラナとムイの物語と,その冒険で描かれること[TGS2025]
![「Planet of Lana II」ふたりのディレクターに聞く続編制作の経緯。成長したラナとムイの物語と,その冒険で描かれること[TGS2025]](/games/918/G091818/20250927081/TN/011.jpg)
2023年にリリースされたパズルADVの続編「Planet of Lana II: Children of the Leaf」が,東京ゲームショウ2025のNeon Noroshiブースに出展されていた。現地にいたディレクターのAdam Stjärnljus氏とKlas Martin Eriksson氏にインタビューを実施し,続編制作の経緯や成長したラナとムイの物語について話を聞いた。
- キーワード:
- PC:Planet of Lana II: Children of the Leaf
- PC
- アドベンチャー
- Thunderful Publishing
- Wishfully Studios
- パズル
- PS5:Planet of Lana II: Children of the Leaf
- PS5
- Xbox Series X|S:Planet of Lana II: Children of the Leaf
- Xbox Series X|S
- Nintendo Switch:Planet of Lana II: Children of the Leaf
- Nintendo Switch
- PS4:Planet of Lana II: Children of the Leaf
- PS4
- Xbox One:Planet of Lana II: Children of the Leaf
- Xbox One
- イベント
- インタビュー
- 編集部:Junpoco
- 東京ゲームショウ
- TGS 2025
4Gamer:
「PowerWash Simulator 2」は,その前に柱やポールみたいなのがなく,本当にまっすぐ見えました。
Miya氏:
はい。あれは狙って抜けをよくしました。効果絶大でしたね(笑)。
少しでも出展しているチームのゲームを見てもらえるよう考えてはいたんですが,それでも「PowerWash Simulator 2」は想定外の盛り上がりでした。
4Gamer:
そのぶん,準備面ではかなり苦労されたのでは。何せ初出展ですし,いろいろなメーカーとやり取りしなければならない。
Miya氏:
めちゃくちゃ大変でした。
最初は「まあ簡単にできるだろう」と思っていたんです(笑)。というのも,以前勤めていたゲーム会社では毎年ブース制作に関わっていたんですね。でも今回,デザインから運営まで全部自前でやってみたら,途中で「これは無理かも」と思うくらいでした。
慣れている会社は,やっぱり準備や動線設計が洗練されていてすごいなとあらためて感じます。今回学んだことを次に生かしたいですし,コストの面もありますが,外部委託も検討しなければな……とか。
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4Gamer:
出展の手ごたえというか,反応はどう感じましたか?
Miya氏:
来場者の反響は大きかったというのはお伝えしたとおりでして,出展側のクライアントもすごく喜んでくれたのがうれしかったです。
本当にめちゃ大変で,正直「次もこれ,やるの……?」とも思ったんですけど,これだけ信頼していただけて,そして喜んでいただけたら,これからもこういう形でのサポートもやっていければいいなと感じますね。
4Gamer:
そんなNeon Noroshiが,Yotsuba Interactiveというパブリッシング事業を始めましたね。これはどういうスタートだったんですか。
Miya氏:
Neon Noroshiは基本はあくまでマーケティングとPRサポートの会社ですが,ただ最近「資金はいらないからマーケティングを一緒にやってほしい」みたいな相談が増えてきていて。
そういうものにレベニューシェアのような形で協力するうちに,実質的にパブリッシャと同じ役割を担うようになってきました。そういう流れがパブリッシャを始めるひと押しにはなっていますね。
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4Gamer:
やはりYotsuba Interactiveとしても今後はゲームショウに出すのでしょうか。
Miya氏:
ゲームショウにというより,取り扱っているタイトルに合わせたところに出したいというイメージが強いですね。
たとえば第1弾の「I Write Games Not Tragedies」はビジュアルノベルで,ゲームショウでゲームとして紹介するのが難しいものだったりします。
2000年代の“エモ文化”をモチーフにした,いろいろと型破りな新作ADV「I Write Games Not Tragedies」プレイレポート&インタビュー[BitSummit]
![2000年代の“エモ文化”をモチーフにした,いろいろと型破りな新作ADV「I Write Games Not Tragedies」プレイレポート&インタビュー[BitSummit]](/games/923/G092366/20250720002/TN/018.jpg)
2000年代の“エモ文化”を発端とする,音楽のカタルシスを描いたというリズムアドベンチャーゲーム「I Write Games Not Tragedies」が,インディーゲームイベント「BitSummit the 13th」に出展されていた。今回はそのプレイレポートと,開発者インタビューを掲載する。
4Gamer:
ノベルゲームは,ゲームのシステムではなく雰囲気であったりを感じてというものがあるので,例えば15分くらいの試遊で何を見せるかっていうのが難しいですよね。取り上げるほうもそういうのが好きではないと,という。
Miya氏:
ええ。なので「I Write Games Not Tragedies」でいえば,TGSのような大型のゲームイベントより,コミケやブックフェスのようなイベントのほうが魅力を伝えやすいいんじゃないか。そういうふうに,ゲームごとに適した場を選んで展開していけるといいなと思っています。
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4Gamer:
今年のTGS 2025はどうでしたか? ブースは初めてでもこれまでたくさん参加していて,今回の展示会の雰囲気はどうだったんだろうなと。
Miya氏:
TGSは年々インディーエリアの見せ方が変わっていますよね。
今年は「SELECTED INDIE 80」が通路に配置されていたのが,通りすがりの人がふらっと立ち寄りやすそうだなと思いました。
4Gamer:
分かります。奥まったところだったり「インディーコーナーです!」という配置だと,見に行きにくかったり気持ちを作っていかなきゃみたいなのを感じたりして,入るのに躊躇してしまうかもしれない。通路だと違う目的の人でも移動中に「あれ,ちょっとこれよさそう」と興味を持ってくれそうでいいなあと。
それはそれで違う問題があったりもして,BitSummitもそうですがインディーゲームの“見せ方”みたいなのは,作り手ももちろんイベントをする側も試行錯誤されているとあらためて思いました。
Miya氏:
そうですよね。でも一方で,もっとごちゃごちゃっとしているところもあるといいなとも思うんです(笑)。
TGSは黒くて同じ形のブースがきれいに横一列に並んでいますよね。黒地でポスターやアートが見やすくて探しやすいのですが,一方で変な出会いが起きにくいというか。gamescomのインディーエリアって,ごちゃごちゃといろいろな向きを向いた試遊台があって,ブース自体の色もデコレーションピンク! みたいに派手ですよね。
あの雑多で,どう歩けばいいか分からないカオスな場所だからこそ,不意に目につくものがあったりして楽しいんです。
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4Gamer:
私もgamescomに取材に行くのでそれも分かります。
ごちゃごちゃして人にぶつかりそうになって,よろっとしたところに見知らぬゲームがあった,みたいな。そういう出会いがある,あえて整ってない場所みたいなのがあると面白いですね。
Miya氏:
ええ。これはイベントの方向性やそこに集まる人たちのカルチャーの違いみたいなところで,良いか悪いかではないですが,見やすさや探しやすさは大事ですが,さらにそこに“お祭り感”や“ごちゃっとした面白さ”もあると楽しいと思います。
4Gamer:
まさにイベントの規模や雰囲気もそうですが,Neon Noroshiを立ち上げから8年ほどで,日本のインディーゲームシーンも大きく変わったと思います。
初の東京ゲームショウ出展やパブリッシング事業のスタートなど大きな動きがあったNeon Noroshiは,今後どのような考えをもって活動されるのでしょう。
Miya氏:
今はインディーパブリッシャが次々に登場し,想像以上の盛り上がりを見せていますよね。私たちが活動を始めたころは「インディーゲーム」という言葉自体がやっと日本に浸透し始めたころでしたから,この数年で本当に変わったなと感じます。
今回のTGS 2025でも,いろいろと凝ったブースを作っているメーカーやレーベルの出展があって,そういったメーカーのブースや個人出展で個性豊かがゲームが出ている。多くの来場者が「インディーって面白い」とあらためて感じてくれたと思います。
先ほどお話ししたとおり,ブースにゲームファンが集まってくれることはもちろん,いろいろな国と地域のゲーム開発者やスタジオの力になれたこと,喜んでくれたのも本当に大きくて。こうした活動が少しでもインディー全体の底上げにつながればうれしいですね。
4Gamer:
ありがとうございました。
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