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ブロックをトリガーに音で刻み,光で踊る共感覚×パズル「Luminas」はなぜ今,新章へ? 「Lumines Arise」クリエイターインタビュー
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印刷2025/11/12 10:15

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ブロックをトリガーに音で刻み,光で踊る共感覚×パズル「Luminas」はなぜ今,新章へ? 「Lumines Arise」クリエイターインタビュー

 パズルアクションに音と光の演出が呼応し,プレイヤーを共感覚(シナスタジア)の世界へと導く――。
 2025年11月11日にPlayStation 5とPC向けにリリースされたエンハンスの新作「Lumines Arise(ルミネス アライズ)」は,2004年に発売された「Lumines(ルミネス)」を現代的に再構築したシリーズ最新作だ。

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 「テトリス エフェクト」「テトリス エフェクト・コネクテッド」のクリエイター陣が手がける本作は,「Lumines」のゲーム性に,リズムに合わせてブロックを重ねる心地よさ,圧倒的なビジュアルとサウンドの融合によって生まれる新たなゲーム感覚を提案する作品となっている。

 これまで4GamerはSummer Game FestBitSummit the 13thなどで本作を取り上げてきたが,発売を迎えるにあたりディレクターの石原孝士氏,プロデューサーの水口哲也氏にインタビューを実施。開発の舞台裏や,“新たに動き出したLumines”に込めた想いを語ってもらった。

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 エンハンスが開発中の「Lumines Arise」を,SGFのイベント会場でディレクター・石原孝士氏に説明を受けながらプレイしてきた。まるで自分がDJやVJになったような,クラブミュージック的感覚が魅力の本作。その繰り返し遊びたくなる音と演出,パズルの気持ちよさにハマり,気づけば音の波に乗って延々とプレイしてしまいそうだ。

[2025/06/10 19:49]
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 エンハンスが手掛ける「Lumines」シリーズの最新作「Lumines Arise」が,BitSummit the 13thのPlayStationブースに出展されていた。会場でディレクターの石原孝士氏にインタビューを実施し,国内初のPS5版プレイアブル出展と夏配信予定の体験版について話を聞いた。

[2025/07/22 18:06]

ブロックをトリガーにすべてが動き出す。新生Luminesで追及されたシナスタジア体験


4Gamer:
 いよいよ発売というタイミングで,お話をうかがう機会をいただきありがとうございます。
 2025年6月5日の「State of Play」で発表され,その後いろいろなゲームイベントでの出展や体験版の配信もありました。多くの人が実際にプレイして反応もいろいろあったかと思うのですが,発表から発売を迎える今までについてお聞きできればと思います。

水口哲也氏:
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 まず,最初の「State of Play」での発表ですが,ああいうオンラインイベントって同時配信をする人たちがたくさんいるじゃないですか。
 うちのパブリッシングチームが,そういう皆さんのいわゆるリアクション動画を集めて,同じタイムライン上に並べて編集してくれたんですよ。

4Gamer:
 ああ,どの場面でどういう反応があったかを比較できるわけですね。実験的でもあって面白そうです。

水口氏:
 そうそう。それで「State of Play」ではトップで紹介していただいたんですが,サプライズの意味も込めてあえてエンハンスのロゴは出さなかったんですね。だから最初はみんな「これ何?」って感じで。


4Gamer:
 たしかにいまあらためて「Lumines Arise」だと思わずに見ると,「State of Playのオープニングムービー?」とも受け取れそうだと思いました。

水口氏:
 ですよね。それでそのリアクションを追ってみると,そこからカメラがすっと引いて,ブロックを消すシーンが出てくると,「テトリスっぽい?」「いや違うかも」「でもこの音とビジュアルってアレかな?」みたいな推理が始まるんです。
 で,終盤になると「Luminesだ,Lumines!」って声が増えていくと。

 どのタイミングで気づいてくれるかっていう,マーケチームの“遊び心”のある仕掛けだったんだけど,あれは面白かったですよ。中には「ルミネス・エフェクト?」っていう人もいて(笑)。

4Gamer:
 間違ってはいない,みたいな(笑)。気が付く人だと,冒頭のタイムラインが注意書きを消していくところで「あっ!」ってなりそうです。

水口氏:
 それもありましたし,あと「Lumines」だとすぐ気が付かなくても,“匂い”で察してくれる人がけっこういて。最後にタイトルがバーンと出る前から「これはエンハンスの作品では?」みたいに。それもうれしかったですね。

石原孝士氏:
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 僕もそこは驚きとうれしさがありました。
 象徴的なキャラクターがいるわけじゃないのに,ゲームや会社のロゴが出る前に空気感でそう思ってくれるんだなと。色味や音楽,全体の世界観の仕上げや雰囲気から「エンハンスっぽさ」を感じ取ってもらえたんだと,感慨深かったです。

水口氏:
 そうだね。“覚えていてくれている”という実感があった。
 音に反応する人,ブロックの手触りの映像に反応する人,「これはテトリスじゃない」と迷ってから「エンハンスだ。ルミネスだ」って確信する人。発表時のリアクションを十本くらい並走再生で見て,みんながどの瞬間で“気づき”に到達するかを見るのは,作り手としてすごくエモかったなあ。

4Gamer:
 ロゴがなくても雰囲気で伝わったというのは,さっきの「ルミネス・エフェクト?」って反応はまさにだと思うんですが,近作の「Rez Infinite」「テトリス エフェクト」(テトリス エフェクト・コネクテッド)のイメージって大きいのだろうなと思います。

水口氏:
 そうですね。それはエンハンスとしてもだし,それ以前の「ルミネス -音と光の電飾パズル-」からの20年の積み重ねに対する一つの手応えだったなと感じますね。
 そして結果,タイトルが出る前に「Lumines」ってというゲームの名前を挙げてくれた人もけっこういたわけですから。

4Gamer:
 あらためて,なぜいま「Lumines」の新作を作ったのかというところを聞きたいです。
 2017年のリマスター版で「Luminesが帰ってきた」という感覚がありましたが,あのときすでに新作の構想は頭にあったんでしょうか。

画像は「LUMINES REMASTERED」
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水口氏:
 もちろん,「Lumines」の新作はいつか必ずやるというのはずっと心のどこかにありました。
 2004年の初代から,今でも「好きだ」と言ってくれる人がたくさんいることは肌で感じていたので,まずは今遊べる状態にしたいというのがリマスターを出した理由の一つです。

4Gamer:
 できるだけ多くのプラットフォームで,いまのゲームの環境で「Lumines」を体験できるものを。

水口氏:
 ええ。それと,これは「Lumines」に限らずですが,僕らの中には常に「シナスタジア(共感覚)の追求」という大きなテーマがあるんです。
 時代が進むにつれて技術も表現力も上がっていき,ビジュアルや音の表現力,触覚の解像度も上がることで体験の幅が拡張されていきました。その進化に合わせて,ゲームという枠の中で新しい表現を作っていく。それがエンハンスの作品作りの根底にあります。

4Gamer:
 「Luminesを復活させよう」だけではなく,「Rez Infinite」や「テトリスエフェクト」で積み重ねてきた表現の延長線上にもあるということですね。

水口氏:
 そうですね。エンハンスとして10年以上そういった挑戦を続けてきましたし,僕自身もセガ時代からこのテーマに取り組んできました。「Rez」もそうだし,「Child of Eden」もそう。時代とともに進化し続けるものだと思っています。

 そして「Child of Eden」から参加してくれた石原くんやそのチーム,そして僕自身も,10年前より20年前よりも今のほうがクリエイティブな感性が確実に上がっていると感じています。僕らが作る作品は,技術とともに表現力が上がり,体験も拡張していく。それに,作る側の僕らも同じように進化していけるんです。

4Gamer:
 ツール的な進化だけじゃなく,アーティストやクリエイターとしても表現できることがアップしていると。

水口氏:
 そうそう。そのメンバーが今の最新技術を使ってゲームを作ることで,“シナスタジア体験”とゲーム体験が完全に融合した新しい作品を作っていけるだろうというのが今で。そして新しい表現に挑戦する場所としても,「Lumines」というシリーズは非常に重要な位置を占めているんです。

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4Gamer:
 今回「テトリスエフェクト」のチームがメインで作られているというお話ですが,ゲーム制作はどのような規模で,どう進めていったのでしょう。

石原氏:
 時期によって増減ありますが,チームとしては10人から20人弱くらいの規模感ですね。
 アートとゲームデザインに関してはディレクターの僕が基本1人ですべてのステージのイメージを作っています。
 音楽はHydelic武藤 昇石田貴子で,僕とこの2人のサウンドディレクターがコアメンバーですね。3人のミニマムな世界観を作っています。

4Gamer:
 ステージごとにまったく違う表現と音楽があって,それが30種類以上あります。
 それぞれまったく異なる世界だけど,全体を通して「Lumines」らしさがあると思ったのですが,どうやってその共通認識を保っていたんですか?

石原氏:
 そうですね。そこは大変な部分ですけど,コンパクトなメンバーだからこそやりやすかったところではあります。
 この3人の中で意識を共有できれば,方向性を外さずにまとまりのある世界観を作れる。そこからはほかのアーティストやデザイナー,触感や体験の部分を作るクリエイターにイメージを共有し,それをどう表現するか一緒に考えて作っていくような。

4Gamer:
 コアメンバーが「Rez Infinite」や「テトリス エフェクト」でも一緒にやってきた3人というのも大きそうですね。

画像は「Tetris Effect Connected」
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石原氏:
 そうですね。どういう色が好きで,どんな動きが気持ちいいか,どんなムードを作りたいか。お互いの感性やクセを理解しあっているので,自然と通じあうところはあります。
 武藤とは一緒に旅をすることも多くて,同じ風景を見て,感じたことを話しながら「これをもとにステージを作ろう」となることもあります。

水口氏:
 サントリーニ島とかミャンマーとか,二人が実際に行った場所がステージになっているよね。

4Gamer:
 面白いですね。現地で同じときに同じ経験をして,そのときの色や音を持ち帰るというか。
 では「Lumines Arise」には,どんなコンセプトがあったのでしょうか。シナスタジアという大きなテーマがまずありますが,「Lumines」の新作として何にどう向き合って制作を進めてきたのでしょう。

水口氏:
 ビジュアル面で僕が最初に言ったのは,「Luminesはブロックが主役だから,ブロックの表現にはしっかりこだわろう」ということですね。
 当然ヴィジュアルの表現は進化していて,物理的な質感も含めてよりリアルに表現できるようになりましたから。

石原氏:
 パズルゲームなので,ブロックを動かして揃えて消すというのがさまざまな要素のトリガーになるんですね。なので,体験に関わる部分はブロックというものに全力を注いだというか。
 質感や動かす感覚着地音,なぞる音,分解される音,消え方。あとは左回転と右回転で音が違うとか細かい部分までチューニングしています。

4Gamer:
 Summer Game Festで話をうかがったとき,ブロックが消えるときの反応やボーナス時の崩れ方などを“あえてパターン化しすぎない制御”をしているという話もありましたね。
 プレイしていて驚いたのが,メタリックなブロックだと「ガン」「ガシッ」,水のキューブのようなブロックだと「パシャッ」「ぶよん」という感じで。言葉で表現するのが難しいのですが,視覚と聴覚と触覚がつながっていて目の前で起きていることだけどまるで手の中で鳴っているような感覚がありました。

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水口氏:
 ええ。まさにその感覚ですね。
 音とビジュアルが連動して,触覚も一緒に動いているように感じられる。音に合わせて何かがはじけたり,グググって沈んだり,バーン,ガシャンって壊れたり。目の前で本当にリアルに起こっているような臨場感みたいな部分をブロックに詰め込むことで,プレイヤーがそれを動かしたときの手触り感を確実に上げられると思ったんですよね。

4Gamer:
 “生身感”みたいなものが。それを表現するため各要素をシンクロさせるのとその調整は大変そうです。

石原氏:
 そうですね。どこかを調整すると別のところも変わる。変えたくなるんです。
 たとえばビジュアルや演出を変えるとサウンドチームが「その感じだと音はこうかなと思うから,ちょっと調整していいですか?」ときて,音が変わってそれを僕がチェックして「この音なら演出をちょっとこう変えたいな」と調整する。それを確認してサウンドチームが……みたいなキャッチボールはかなりやってましたね。

4Gamer:
 「その見た目だと音は『カチャッ』より『カチッ』にしたい」「あ,その『カチッ』なら見た目をちょっとこうして……」みたいな。

石原氏:
 そういうイメージですね。データのバージョン,これで何番目だっけ? くらいに更新していくような(笑)。
 あとは大事なところだと,ブロックを消したあとの演出と音の“余韻調整”ですね。音はもう鳴っていないけど演出を残したり,演出は終わっているけど音のリバウンドが少し残っていたり。「Luminesは余韻で決まってるな」っていうのが,いろいろな部分でけっこうあるんですよ。

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4Gamer:
 ステージによってゲームの速さとか忙しさ,それは音楽的にもそうなんですけど,やっぱり各ステージがまったく違うものなんで,全体のバランスとかもかなり考えられたんじゃないでしょうか。

石原氏:
 初めはステージの見た目から組んでいくんですけど,音楽が入って,そこに歌詞がついてってなると,例えば「当初よりちょっと印象が重くなったから組み直そうか」みたいなことも多くて。そういうステージ単体の調整もそうですが,ステージの順番を何回も入れ替えてましたね。

 全体を通して体験してみて,音楽的な流れとして美しいかとか,音楽の流れがゲームデザインとちゃんと噛み合っているかとか。ビジュアル,音楽,ゲームデザイン,この3つを見ながらバランスを取って順番を決めていく。けっこう気の遠くなるような作業でした。

4Gamer:
 プレイリストのモードでステージを並べて遊んでいるのですが,ふとした瞬間に「なんでこんなに気軽に気持ちよく遊べるんだろう?」って思うんです。ただ並べてるだけでも,自分がセンスある人になった気がするというか(笑)。
 ステージの始まりと終わり,あの切り替わっていく感じもクラブミュージック的で,それが大きな要素の一つだと感じているんですが。

水口氏:
 トランジションはやっぱり「Lumines」で大事な部分ですね。そこに意外性とか驚きがあったり,ちょっと笑える要素があったりという。
 石原君のアイデア量すごくて,「これどうですか」「あれはどうですか」って,かなりの数を提案されました(笑)。しかも一度に何本もみたいな。おかげで面白いトランジションがたくさんできたなと思います。

石原氏:
 クラブミュージック的な話でいうと,曲が変わるときに冷めないよう温度を保つ構成って大事ですよね。
 それはクラブやライブハウスのような規模でも,フェスのような大きなステージでもそれぞれあって,ずっと同じ感じや盛り上がったままの曲のつなぎだと単調になるし疲れてしまう。
 どう盛り上げてどう落とすかっていうつなぎの部分って,「Lumines」も同じものがあると思います。

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4Gamer:
 そこでもさっきの“余韻”の話が関わってきますね。
 Summer Game Festで試遊して石原さんにインタビューしたときにもそういう話になったんですが,クラブミュージック的な“つなぎの楽しさ”というか,自分でつないでいる感覚の面白さは本当に音楽好きに勧めたいと思いました。
 あのとき「Lumines Arise」初体験で興奮しちゃって,その話を一方的にまくしたててしまったんですが……。

石原氏:
 いえいえ。その感想を聞いて「そういう見方があったんだ」と,あらためて「もっと音楽好きの方にも届く演出にしよう」と意識するようになりましたよ。

4Gamer:
 なんと……少しでもお力になれたなら光栄です。
 それで,ではアートや音楽的な側面を楽しむものかといったらもちろんそれだけでなく,パズルゲームとしてもしっかり面白い。程よく忙しく,程よく難しく,でもガチャガチャやってるうちに自然と形になっていく。そのバランスが絶妙だというのが「Lumines Arise」の魅力だと感じて。

石原氏:
 ありがとうございます。今までお話ししたとおり,「見せたいもの」「聞かせたいもの」がある作品ですが,まず何より大事なのは“ゲームであること”なんです。
 どれだけ新しい体験を生んでも,ゲームそのものが面白くなければ意味がない。それは開発で大事にしている考えですね。

4Gamer:
 けっこう不思議な感覚で,パズルゲームとしてうまくやりたい気持ちと,音楽に合わせて“ジャン,ジャン,ジャン,ストン”ってブロックを落とすリズム感を優先しちゃう自分がいて。
 結果,ブロックの回転が足りないまま落としたり,見当違いのとこに置いたりしてゲームオーバーになるんですが,それはそれで楽しくて。
 そういう楽しみ方ができるのも,ベースとしてゲームがあってそのゲームが快適に動いているからで,だから体験自体も自分のことのように直接的に伝わるのかなと思いました。

石原氏:
 今のリズムの話にも関わるんですが,ゲームデザインの実験で,強制的にブロックを落とすバージョンを作ってみたことがあるんです。
 でもそれをやると“自分で音を作る楽しさ”が一気に減ってしまって,ゲームとしても「やらされている感」が強くなってしまった。だからそれはやめて,忙しい中でも軽く音を刻める,自分のリズムを取り戻せるようなバランスにしました。

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4Gamer:
 実験的なゲームだからこそ,そういった実験も繰り返していたんですか?

石原氏:
 僕はあまり“実験の期間”を明確には設けないですね。ゲーム制作の流れの中で,実験も並行して進めるのが一番いいと思っていて。
 ゲーム制作の別で実験をやっていて,そこでいいものができたとしても,それを別で進んでいたゲームの中に持っていっても生きるかどうかは分からないですから。

4Gamer:
 それこそコアメンバー3人で出し合いながら微細にも変化していった……っていう話にもつながりますね。その作り方を考えると,別のところから持ってくるのではなく,作りながら実験するみたいな。
 そうして仕上がったものを,チームではどう確認し合っていたんですか? 開発時期的にコロナ以降でリモートも当たり前になっていましたよね。
 モニターやオーディオはもちろん,場所や環境で環境で感じ方が変わるゲームだと思うんですが,どう仕上げていったんだろうかと。

石原氏:
 当然ですがメリットもデメリットもありましたね。
 デメリットとしては,アーティストに正しく動いてもらうためにイメージアートを描いて伝える必要があるんですが,これが本当に毎日大量に描かなければいけなくて。
 ゲーム開発って柔軟さやアドリブ力も大事で,「こういう楽しさが生まれたから,こんな演出を入れてみようか」みたいなことがたくさんあるんです。

4Gamer:
 それを,対面だと口頭でラフに伝えられるような部分もやっぱり絵にして共有しなければいけないわけですか。それはビデオ会議やデスクトップ共有とかで。

石原氏:
 そうですね。ほぼ常時つなぎっぱなしの環境を作っていました。
 映像にどのように音楽が乗るかが大事なゲームなので,映像共有の頻度もかなり多かったですね。

水口氏:
 でも本当に,昔に比べるとやりやすくなったよね。リモートは。リアルタイムでデータを共有できるから。

石原氏:
 やりやすくなったといえばそうですね。ただ,ディレクターの役割の人はやっぱり大変だと思います(笑)。
 なんだかんだ,テレワークで一番心地よく感じてるのはサウンドチームかなって思っていて。自宅に,それぞれ自分の完璧なサウンドスタジオがありますから。

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水口氏:
 僕らも音の確認は彼らのサウンドスタジオに行ってたね。武藤君のとこ,何回も行ったなあ。

石原氏:
 そうですね。そこでみんなで集まってミーティングしながら,「もうちょっとこの音こうしたほうがいいんじゃない?」みたいなそういう話をして,その場で直してもらって聴くというような。
 あと,やはり後半から終盤のゲームを仕上げる段階に入ってからはチームで集まることは大事でしたね。開発チームはモニターは統一しているんですが,部屋の広さとか照明とかでも感じ方は変わるんで,仕上げは同じ空間でっていうのが大きいですね。

水口氏:
 なんだかんだ言って,石原君とはけっこう2人で会ってたしね。
 あと,皆で集まることって必要だと思うのが,顔を合わせると,なんかみんな元気になるっていうか,復活する感じで。進み具合も全然違うんだよね。スピードが変わる。

4Gamer:
 オンラインでもつながってはいるけど,やっぱり一人で黙々となりがちですしね。仕上がりを一緒に見て互いの成果を共有できる時間って,気持ちの部分でも重要なのかなと思いました。
 そういう皆で会った場所で,チーム内ではどんな意見交換が多かったですか?

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石原氏:
 どうでしょう……やっぱりブロックの話が圧倒的に多かったですかね。
 どう崩れるかとか,どこで捌けるかとか。「テトリス エフェクト」と比べると,今回プレイエリアがだいぶ広いんですよ。だからそれをどう使って,どう見せるか。
 色味とか動きとか,そういうバランスも含めてけっこう話しました。

4Gamer:
 そこに音や楽曲が重なってくると,さらに難しそうですね。

石原氏:
 そうですね。「このキック,もっと強くしたいのに全然してくれない」とか(笑)。音楽的に“こっちが正しい”っていうところとゲーム的な都合がぶつかるんですよね。
 まずはゲームがあってのものなので,ゲームの体験を優先して判断するのが多いですが,やはり難しい部分でした。

4Gamer:
 ゲームの体験の話で気になったのが,プレイしてると演出とか音がいい意味で“邪魔”してくるというか,気が散るというか。
 画面の奥から何かが近づいてきて「ちょ,ブロックが見えない!」って顔を避けて後ろを覗き込むような姿勢になるというか。

水口氏:
 分かる分かる(笑)。手で払いたくなりますよね。

4Gamer:
 これが気持ちよさもあり違和感もありという不思議な感覚で,そこがすごく面白かったです。

石原氏:
 そこはけっこうギリギリ攻めてますね。
 最初はちょっと刺激強めに感じるかもしれないですが,だんだんそれが体に染みてきて,「もっと」ってなる。そのへんは「テトリス エフェクト」のときから近いものはあったかなと思います。

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4Gamer:
 たしかに。すでに慣れてしまったのですが,あらためて考えるとテトリスがあんなに光ったりブヨブヨしたりするなんてという(笑)。

石原氏:
 そうですよね。そういう最初は違和感だったものが,ゲームをプレイしているうちに自分の中でリズムとか見え方ができてきて,気づいたらそういう演出が体になじんでくる。の“心地よくなっていく”タイミングがあると思います。

4Gamer:
 分かります。最初は「うわっ,邪魔! 見えない!」だったのが,だんだん「またきたな」って感じになっていく。
 でも違和感は残っていて,慣れたかというとちょっと違う。不思議な感覚でした。

石原氏:
 最初はどこにフォーカスするかがまだ定まってないんですよ。だから,散漫な状態で演出が来るとそれが違和感や邪魔なものになるんですね。
 でもゲームをプレイし続けてフォーカスが定まってくると,邪魔だったものが空気みたいに通り抜けていく。その瞬間の“気持ちよさ”は狙いにあります。

4Gamer:
 なるほど。……でも,やっぱり攻めてますよね。そういう演出は。

水口氏:
 開発の途中なんて,もっとひどかったんですよ(笑)。

4Gamer:
 ひどかった?

水口氏:
 いろんな演出アイデアをどんどん出してくるんですよ。
「これどうですか」って見せてくれるんだけど,「いや,これ大丈夫?」ってくらい攻めていた。ほかのスタッフから「もうちょっと抑えるよう,水口さんから言ってもらえませんか」って頼まれたくらい(笑)。

石原氏:
 水口さんに見せている時点で,もう何段階か抑えたものだったんですけどね(笑)。
 もちろんゲームとして成立しなくなったらだめなので,“邪魔”な感覚は大事だけど,それが“不快”にならないように気をつけました。
 人によって感じ方が違うので,「面白い」と思う人と「邪魔だな」って思う人が重なるゾーンをどうするか,かなり神経を使いながら平均をとっていましたね。

水口氏:
 最後の最後,ギリギリのとこまで調整してたよね。

石原氏:
 昨日の夜もやってました。

水口氏:
 (笑)。でも,どこを落としどころにするかが難しいんだよね。
 人によって感じ方も違うし,プレイ環境でも全然変わるし。VRになったら,またまったく別の話になるしね。

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4Gamer:
 どこまで踏み込むかの線引きが。

石原氏:
 そこでいうと踏み切れるようになったきっかけがあって。
 「テトリス エフェクト」を作っているとき,ステージでイルカがジャンプして盤面にかぶる演出を作ったんですね。ただこれについて,「テトリスでこれをやるのはありなのか?」って悩んだんですよ。

4Gamer:
 テトリスで盤面を隠すなんてあっていいのかと。

石原氏:
 ええ。でも,それをザ・テトリス・カンパニーのヘンク・ロジャースさんが来たときに相談したら,「アリじゃない? 1秒くらい隠してもいいし,なによりそれって楽しいことだよね」って言ってくれて。
 その瞬間にちょっと吹っ切れたというか,そこから少し“攻めのクリエイティブ”に変わった気がします。

4Gamer:
 なるほど。そのギリギリのところを意識的にやるっていうのは,すごく強い意志を感じます。

石原氏:
 もちろん人それぞれでいいか悪いか,どこまでがOKかは異なると思うんです。
 苦手な方もいると思いますが,そこはアクセシビリティの設定で演出カットや背景の調整で,好みに合わせられるようになっています。自分の感覚に合ったチューニングで遊んでもらいたいです。
 映像や音楽が生む体験も大事ですけど,まずゲームとして気持ちいいか,楽しめるかが一番ですから。

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4Gamer:
 アクセシビリティもそうなんですけど,プレイする環境ってやっぱり人によって違いますよね。
 今回はまずPS5版とPC版があって。モニターや音響次第っていうのはあれどPS5はマシン的にそこまで差異のない体験ができると思うんですけど,PCになるとスペックでけっこう変わると思うのですが,そのあたりはどう意識されていたのでしょう。

石原氏:
 もちろんそれぞれの環境でもちゃんと楽しめるように考えていて,システム要件で示している中でも低めの環境でしっかり体験ができるようにしています。
 個人的にPCモニターとウルトラワイドの両方で並行してチェックしているんですが,ワイド系モニターとの相性がすごく良くて。たとえば背景のロンドンの街並みとかも,広く見えると気持ちがいいんですよね。けっこうオススメです。
 あとはSteam Deckの認証もあるので,手元でもしっかり遊べます。

4Gamer:
 初代がPSPのゲームなので,やっぱり“手元で遊ぶ”っていうのは「Lumines」らしいというか。まだ試してないんですが,PS Portalでもやってみなければと思っています。

水口氏:
 やっぱり「Lumines」というゲームは,手元で遊ぶ感覚ってすごく大事ですね。ポータブル機でやると,なんか手の中でブロックをコロコロ転がしてる感じがあるんですよね。それが今までとちょっと違う。動かしてる感覚が面白くて。
 ブロックそのものに力を入れたからこそ,そこがちゃんと表現できたのはうれしいですね。

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4Gamer:
 ミッションモードが初心者にすごく丁寧で,遊び方をちゃんと教えてくれるのも印象的でした。

水口氏:
 初めて「Lumines」を遊ぶ人のことをちゃんと考えようっていうのはありましたね。
 今まで遊んでくれてる人はどんどん自分で楽しんでもらえればいいから,新しく入ってくる人に向けての導線はしっかり作ろうっていう。

石原氏:
 対戦にも力を入れているので,腕を磨いてそこにつなげてもらえたらと思います。
 そのためにチャレンジモードや,よりテクニカルな遊び方ができるモードも入れています。
 ここまで「Lumines」を使ってバリエーションの遊びを作ったのは,意外と初めてかもしれないですね。

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4Gamer:
 語弊あるかもしれないですけど,アートなゲームっていうと“考えるな,感じろ”みたいなところがあるじゃないですか。説明しすぎると野暮になっちゃう難しさもあって。
 でも「Lumines Arise」はちゃんとゲームとしても丁寧に導いてくれる印象がありました。

石原氏:
 そうですね。そこは意識していて。アート性の強い作風ではあるんですけど,同時に“ゲームとしてしっかりしている”っていうのは絶対外さないようにしています。

水口氏:
 どんなスタイルのゲームでも,“いいゲーム”っていうのはやっぱり間口が広くて奥が深い。きれいな三角形の形をしてるものだと思うんです。それはもう自分たちの中でも戒めのように,ずっと言い続けてますね。

4Gamer:
 間口の広さ,という意味ではプレイヤーの世界をさらに広げそうなのが対戦モードですよね。ちょっと詳しく聞きたいです。

石原氏:
 「テトリス エフェクト」の対戦モードがすごく好評で,今でも遊んでくれてる方がたくさんいます。あれは大成功だったなという実感があって。
 なので「Lumines Arise」に取りかかる時点で,もう自然に「対戦やろう」というのは決まってました。
 それともうひとつ,ルーミーというアバターをちゃんとキャラクター化して,プレイヤーみんながアバターの姿で集まって楽しめるオンラインの世界を作ろうっていうのも,最初から計画にありました。

画像は「Tetris Effect Connected」
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水口氏:
 そうそう。音楽を共通言語にして盛り上がる場,みたいなイメージでね。
 いわゆるロビーを「Lumines Arise」のプレイヤーが集まる場所として,週末に一回イベントをやるんですよ。

石原氏:
 何百というアバターが集まって,そのときどきのテーマでモチーフが変わって,大きなビジョンが出現してという,ちょっとフェスっぽいものですね。
 みんなで「Lumines Arise」の楽曲で盛り上がって,空間全体を演出していくようなイメージです。
 対戦モード自体も,音楽を自分の戦い方のスタイルとしてセットできるようになっていて,“Luminesらしさ”を生かしたパズルの対戦になっていると思います。

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4Gamer:
 私はテクノやハウスといったクラブミュージックが好きで,90年代にSME(ソニー・ミュージックエンタテインメント)が出していたテクノのコンピが“教科書”みたいな人間なんです。
 で,そんな音楽を聴きながら,ゲーマーとしてPlayStationで「パラッパラッパー」「SweepStation」シリーズを遊んで,水口さんの「スペースチャンネル5」や「Rez」,そして「Lumines」みたいな……90年代半ばから2000年代初頭の流れを青春として過ごしてきたんですね。

※開発会社のオーパスがPlayStation向けに展開したゲームシリーズ。“音楽の持つ根元的な楽しさや喜びを,新たなメディアで再現する”をコンセプトに,SCEやSMEのパブリッシングで「DEPTH」「グルーヴ地獄V」「BEAT PLANET MUSIC」というゲーム&ミュージックエディタをリリースした

石原氏:
 ええ,ええ。SGFやBitSummitでもそのような話をされていましたね。

4Gamer:
 あのころって,クラブ・エレクトロミュージックのカルチャーとPlayStationが最接近していた時期っていう感覚があって思い入れがあるんですが,その文脈から見ると「Lumines Arise」は現時点での“着地点”というか,「これを待ってた」っていう人,けっこう多いんじゃないかなって感じます。
 「テトリス エフェクト」にもその流れはありましたけど,今回はさらに“音楽寄り”になった印象もあって。

石原氏:
 それはもう,僕の中でも明確に「もっと音楽寄りにしたい」っていう意識がありました。「テトリス エフェクト」よりもキック音をもう少し前に出したいとか(笑)。

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4Gamer:
 ゲーム全体がDJプレイの感覚があるし,「BURST」も手元のつまみをいじってる感じもありながら,クラブでメインフロアから出たとき,扉を隔てて聴こえてくる音のような情景も浮かんできて。音楽好きにはたまらない“刺さるポイント”がいくつもあります。プレイヤーでありオーディエンスみたいな。
 だからゲーマーにはもちろんなんですが,音楽好きでゲームを離れていた人や音楽で新しい体験をしたい人にも勧めたいと感じました。

 ……長々失礼しました。いいお時間になりましたので,最後に水口さんと石原さんにとって「Lumines Arise」はどんな作品になったのかお聞かせください。

※ゲージを溜めて発動することで,タイムラインが一時停止し,不要なブロックを一掃できる新機能

水口氏:
 最初に伝えたとおり,このゲームってどんどん進化できるんですよね。
 技術とか表現力もそうだし,関わるクリエイターたちの発想といった“クリエイティビティ”が上がれば上がるほど,もっと楽しく,もっと面白いものになる。

 いまのエンハンスを体現している作品で,いま出せる最良の形の「Lumines」だと思ってます。なので僕たちの作品に触れてきたという人にはきっと喜んでもらえるし,「Lumines」を知らない人にもゲームのもつナラティブに触れてほしいですね。
 パズルゲームで物語性って何だってなると思うんですが,僕らが作るとそうなっちゃうんですよ(笑)。未来のためにもぜひ遊んでほしいと思います。

 あと,常備薬として「テトリス エフェクト」と「Lumines Arise」をそばに置いておいてほしいですね。

4Gamer:
 常備薬?

水口氏:
 ええ。夜眠れないときは,しっとり「テトリス エフェクト」で眠りにつくまで遊んでほしい。で,「今夜は楽しむぞ!」って日には「Lumines Arise」で――。

4Gamer:
 なるほど。オールナイトロングで! みたいな(笑)。

水口氏:
 そうそう(笑)。盛り上がってくださいと。そんな感じです。

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4Gamer:
 石原さんからはいかがでしょうか。

石原氏:
 「Lumines」を一度ゼロから見直して,続編というよりも“新しいLumines”を作ったつもりでいます。
 「テトリス エフェクト」のときもそうだったんですが,長く続くシリーズを“新しく始める”って本当に難しい。IPやブランドをもう一回見直して,思い切って手を入れることって,正直すごく勇気がいるんです。

 制作中も,なんか“ブロック側”から言われてるような気がするんですよ。「この演出いらないよ」「それ合わないよ」って拒絶されているような。でも最終的に「テトリス エフェクト」は“テトリス自身が受け入れてくれた”ような感覚があって,今回の「Lumines Arise」も同じ感覚が得られました。
 途中でいろんな反発もありましたけど,最後に仕上がったとき,2004年のLuminesが「こういう形もいいね」って言ってくれた気がしたんですよね。すごく安心しました。

 だからこれは,まさに“新生Lumines”です。ぜひ触って,感じてほしいなと思います。

4Gamer:
 音楽好きとしてもゲーマーとしても本当に楽しみな作品です。たっぷり楽しみたいと思います。
 ありがとうございました!

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――2025年11月6日収録


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