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今もAtari 2600の新作ゲームを作り続ける,ブラジル発のレトロゲームデベロッパBitnamic Software
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印刷2025/10/12 08:00

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今もAtari 2600の新作ゲームを作り続ける,ブラジル発のレトロゲームデベロッパBitnamic Software

画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / 今もAtari 2600の新作ゲームを作り続ける,ブラジル発のレトロゲームデベロッパBitnamic Software
 サンパウロで開催されているBrasil Game Show 2025(BGS 2025)に,なぜかAtari 2600の姿があった。そんな昔懐かしきコンソールに,新しいゲームを開発し続けているBitnamic Softwareのブースがあったので話を聞いてみた。

※1977年にAtariからリリースされた家庭用ゲーム機。世界で初めての「カートリッジ交換式ゲーム機」で,最初の名前は「Atari VCS」(Video Computer System)。Atariは2600,5200,7800などがあるが(一番新しいものではLynxとかJaguarとか),2600は中でも一番古く,家庭用ゲーム機の始祖とでもいうべきシステムだ

 Bitnamic Softwareはブラジルとポルトガルの2拠点体制で活動しており,主にAtariやOdyssey,Intellivisionといった往年のレトロハード向け(もはや“レトロ”ですらないレベルだと思うが)タイトルを開発し,購入層はファンやコレクターが中心になっている。
 販売先はブラジル国内だけでなく,アメリカ,ヨーロッパ,ベトナム,ポルトガルなど世界各地に及ぶ。市場規模としては小さいものの,熱心な愛好者によって支えられているとのことだった。


1980年代ブラジルの自作ゲームを復刻した「Em Busca dos Tesouros」


 展示の1つは,1986年に15歳の少年Tadeu Curingaが制作したブラジル発のゲーム「Em Busca dos Tesouros(宝探しの旅)」の復刻版だ。

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 当時のブラジルは,情報機器の輸入が制限されていた時代で,国内メーカーがAtariクローン機(DaktarやCCSなど)を製造販売していた。Curinga氏はこの環境下でゲームを自作し,家庭用コンピュータTK85を使ってプログラムを開発,雑誌を通じて販売していたという。

 本作は横スクロールのマップを探索し,宝を集めて進むアクションアドベンチャー。現在の基準から見れば非常にシンプルだが(日本の古いユーザーなら「カセットビジョン」を思い出すかも),画面ごとに構成や難度が異なり,短いながらも緊張感のあるテンポが印象的だ。

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「Em Busca dos Tesouros」公式サイト

「Em Busca dos Tesouros」(itch.io)



制限ある中開発された新作「Jataí: The Bee」


 もう1つの出展タイトルが,Atari 2600用の新作ゲーム「Jataí: The Bee」だ。

 本作は,ブラジルの開発者Fernando Salvio氏によるオリジナル作品で,ブラジル固有種のミツバチ“ジャタイ”(Jataí)を題材にしている。プレイヤーは働き蜂として花粉を集め,巣に持ち帰りながら,外敵であるクモや"レモンビー"から巣を守るのが目的だ。

 ステージは2つのフェーズで構成されている。前半では空を飛び回りながら花を探し,花粉を集める。花の位置や敵の配置を見極め,どの花を優先して回収するかが攻略のポイントだ。後半では巣の内部に入り,仲間の蜂と協力して蜜を蓄える。タイミングよく操作しないと,敵に侵入され巣が破壊されることもある。

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 プログラムサイズは32KBで,実機のAtari 2600で動作するよう設計されている。操作感やサウンド,ドットアニメーションはすべて手作業で制作されており,80年代的な制約の中で新しいリズムとテンポを生み出している。itch.ioで5.99ユーロで販売されており,気になる方はぜひ手にしてみよう。Atari 2600エミュレータでも動くはずだ。

「Jataí: The Bee」公式サイト

「Jataí: The Bee」(itch.io)



懐かしさを再現するだけでなく,昔の制約を使って新しい体験を作りたい


 Bitnamicによれば,ブラジルにはレトロゲーム開発者やコレクターのコミュニティが今も活発に存在するという。たとえば「Canal 3 EXPO」などのレトロゲームイベントでは,80年代のハードウェアを現役で扱う若い開発者の姿も見られる。多くの場合,親世代の影響でAtariに興味を持ったという参加者が多いそうだ。
 同社が出展していた製品の中には,限定コレクト版として350レアル(約1万円)で販売されている。どれも少量生産のため価格は高めだが,組み立てから販売までを,国内の自社で,手作業で作っているとのことだ。

「Jataí: The Bee」の場合,同封しているハチのブロックが鍵になり,針を刺すと箱が開ける仕様に
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 Bitnamicの取り組みは,単なる懐古趣味にとどまらない。現在もAtari 2600を中心とした新作を制作・販売しながら,当時の技術と文化を現代の開発環境で再現・継承するという姿勢が明確だ。「懐かしさを再現するだけでなく,昔の制約を使って新しい体験を作りたい」と語っていた。

 派手な演出が目立つBGSの中で,彼らのブースは異質だったが,"古い技術を使い続ける"という静かな挑戦は,確かな存在感を放っていたといえるだろう。

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Bitnamic Software公式サイト

4Gamer「Brazil Game Show」記事一覧

「BGS 2025」公式サイト(ポルトガル語)

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