企画記事
“推し色”を日常にいかす。オタクのためのパーソナルカラー診断サロン「characolo」体験レポート&インタビュー
パーソナルカラー診断は,ここ数年で一気に知名度を拡大した。あまり詳しくない人でも,「イエベ」「ブルベ」といった言葉を一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。診断は主に百貨店や専門サロンで行われることが多く,「ややオシャレ上級者向け」といった印象を抱かれがちだ。
今回4Gamerは,オタク向けのパーソナルカラー診断サロン「characolo(キャラコロ)」に取材を行う機会を得た。記事の前半では,パーソナルカラー診断の体験レポートを,後半では本サロンを立ち上げた前田未希氏へのインタビューを掲載する。
characoloならではの工夫やこだわり,今後の展望についても話をうかがった。パーソナルカラー診断に興味がある人や,“推し活”に色を取り入れてみたいと考えている人は,ぜひ参考にしてほしい。
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なお,記事内で取り上げているキャラクターのパーソナルカラーは,本サロンおよびアドバイザーの見解に基づくものである。一つの見方として,参考程度にお楽しみいただきたい。
「オタクの為のパーソナルカラー診断サロンcharacolo」公式サイト
パーソナルカラー診断とは
まずはじめに,パーソナルカラー診断について軽く解説しよう。パーソナルカラーとは,生まれつき自分に調和する色のことで,主に「Spring(春)」「Summer(夏)」「Autumn(秋)」「Winter(冬)」の4つのグループに分かれている。
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自分に合う色をファッションやメイクに取り入れることで印象が良くなり,オシャレの幅が広がることから,近年ではかなり注目度が高い診断だと言えるだろう。
ちなみに,よく聞く「イエベ(イエローベース)」は春と秋,「ブルベ(ブルーベース)」は夏と冬を表している。
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筆者も「にじさんじ」月ノ美兎さんの動画(リンク)などを拝見し,以前から気になっていた。ただ,ハードルの高さから実行に移せずにいた。しかし,レポ漫画でcharacoloの存在を知り興味を持った……というのが今回の取材の経緯である(オタクである筆者は,“スタッフもオタク”というだけで一気に安心してしまった)。
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— characolo?オタクのためのパーソナルカラー/骨格/顔タイプ@東京池袋 大阪 (@characolo_m) June 12, 2025
characoloのパーソナルカラー診断
レポ漫画をご執筆いただきました?(1/2)
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ご自分のファッションに活かせるアドバイスはもちろん、推しのイメコン予想のお話までおまかせください?
粕汁さま(@88siru88)ご来店ありがとうございました!#PR #オタクのためのイメコンサロン pic.twitter.com/218XJHqtE8
オタク同士だからこそ伝えやすい。
“好き”をファッションに活かす工夫
characoloの東京池袋店に一歩足を踏み入れると,目に飛び込んでくるのは「魔法使いの約束」「あんさんぶるスターズ!!」「A3!」など,ジャンルを問わず並べられたグッズの数々だ。さまざまなジャンルを網羅したグッズたちは,オタクの心にグッとくるものばかりではないだろうか。
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さて,肝心の診断だが,まずはカウンセリングシートに「好きなファッションの系統」「診断を通じて知りたいことや悩み」「好きな作品やジャンル」などを記入していく。
診断時には記載したジャンルに関連するBGMを流してくれるのだが,先日開催された「ROF-MAO 2nd LIVE」の話で盛り上がっていたこともあり,ROF-MAO(ろふまお)の楽曲を流してもらった。
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ここで筆者が実際に記入したものの一部を皆さんに共有しよう。本サロンが気になる人は,ぜひ今後の参考にしていただきたい。
【好きな作品/推し】
・「にじさんじ」剣持刀也さん
・「ブルーロック」御影玲王
・「WIND BREAKER」十亀 条
・「アイドルマスター SideM」握野英雄
【知りたいこと,悩み】
・自分に合う仕事用のコスメを知りたい
・元々の肌の赤みが気になる
・推しのイメージカラー(ユニットカラー)が緑,紫が多く,うまく取り入れる方法が知りたい
・推しのパーソナルカラーが知りたい
まずはパーソナルカラーについての説明やレクチャーを受けていく。アニメや漫画のキャラクターたちを4つのグループに分けた資料といった,オタク心をくすぐる内容が並び,楽しみながら学べる資料に思わず感心した。
たとえば,明るい髪色(金髪やオレンジ髪)のキャラクターは「Spring」,シャープな印象のキャラクターは「Winter」といったように,特徴によって分類が異なるのも面白い。
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普段友人から「推しの好みが分かりやすい」と言われがちな筆者だが,ここで衝撃の事実が清野さん(担当アドバイザー)によって語られる。
今回挙げた推しはパーソナルカラーが基本的に「Summer」にまとまっているというのだ。新たな共通点にはとても驚かされた。今度から推しの共通点を聞かれた際には,「『Summer』タイプのキャラが多いんです」と答えようと思う。
【筆者の推しのパーソナルカラー】
・「にじさんじ」剣持刀也さん:Summer
・「ブルーロック」御影玲王:Summer
・「WIND BREAKER」十亀 条:Summer or Autumn
・「アイドルマスター SideM」握野英雄:Summer
説明がひととおり終了すると,いよいよお待ちかねの診断へ。最初は4種類のなかから自分に当てはまるものを探っていく。ピンク,イエロー,ブルーといった色に分類される布を順番に当てていくのだが,それぞれ微妙に色味が違う。
すると,「Spring」や「Winter」の布を当てると顔がパッと明るくなり,赤みが引いていくのを感じる。一方,「Summer」の布を当てると,顔全体がぼんやりとした印象に。「Autumn」に至っては,顔が明らかにくすみ,赤みが増してしまうという変化がはっきり現れる。
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筆者のパーソナルカラーが「Winter」(次点で「Spring」)と判明したところで,次は「Winter」のなかでとくに似合う色を診断していく。
先ほどとは違い,布を当ててもほとんどの色に違和感はないように思えるが,結果を見ると比較的鮮やかなカラーが似合うようだ。診断中も「これは(竈門)炭治郎くんの髪の色」といったように,作品やキャラに例えながら説明してくれるのもありがたい。
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長年オタクをしていて,緑や紫を取り入れるのは難しいのではないか……と考えていたが,「FRAMEのカラーは取り入れて大丈夫」「剣持さんのカラーはROF-MAOでのカラー(バイオレット)を取り入れたほうが良いかも」という言葉をいただき,一気に世界が広がったように感じた。
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ここで筆者の頭に一つの疑問が浮かぶ。筆者のなかでは,肌が白い人=「Winter」だというイメージがあったが,実際には異なる結果になることもあるのではないか。
筆者が思う「Winter」っぽい人(例:「にじさんじ」甲斐田 晴さん,「SK∞ エスケーエイト」馳河ランガ)を挙げて質問すると,「どちらも『Summer』だと思う」との回答が。肌が白い人=必ずしも「Winter」ではないことをあらためて痛感させられた。
診断はここまでだが,最後にコスメについての提案や助言をいただいた。本サロンではコスメをいくつか取り揃えており,実際に色味を見せてもらいながら説明を受けられる。
また,「なるべく推しにお金をかけたい……!」という人のために,プチプラコスメを多めに用意しているそうだ。サロンに実物がない場合でも,サイト経由で調べて合いそうな型番を教えてくれるので,安心してほしい。
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すべて終了すると,診断結果をまとめた「アドバイスシート」や,自身のパーソナルカラーに合った「布製スウォッチ」,「おすすめコスメデータ品番」が手渡される。とくに布製スウォッチでは,似合うカラーに目印が付いているため,時間が経っても確認できるのはうれしいポイントだ。
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最後に,筆者の体験をもとに,事前に準備しておくとスムーズに診断を受けられるポイントをまとめた。訪問を検討している人は,ぜひ参考にしてほしい。
【事前準備のススメ】
・聞きたいことや悩みを箇条書きにして紙にまとめる(その場で考えると忘れてしまう可能性があるので)
・推しのパーソナルカラーを知りたい人は,事前に何人かピックアップしておく
・コスメや服の相談をしたい人は,普段使用(着用)しているものを持参する(筆者はコスメを持参した)
ここでは触れなかったが,乙女ゲームの話やそれぞれの“推し”についてなど,取材とは思えないほど楽しい90分だった(清野さん,ありがとうございました!)。同じオタクだからこそ,気兼ねなく相談できる雰囲気は「characolo」ならではだとあらためて実感した。ぜひ“色”という観点から,推し活にアプローチしてみてはいかがだろうか。
「オタクの為のパーソナルカラー診断サロンcharacolo」公式サイト内のメニューページ
“好き”に寄り添う色を届けたい――
characolo代表 前田未希氏インタビュー
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4Gamer:
本日はよろしくお願いします! まずは,前田さんが普段どのようなことをしているのか,教えてください。
前田未希氏(以下,前田氏):
私は株式会社otamieuxの代表として,現在2つの事業に力を入れています。今回体験していただいた「オタクのためのパーソナルカラー診断サロン『characolo』」と,「オタクのための縁結び婚活サロン『おたえん』」を運営しています。
4Gamer:
オタクのための事業を行っているということで,もしよろしければ,最近ハマっている作品やジャンルについても聞かせてください。
前田氏:
聞いていただきありがとうございます(笑)。実は今,ROF-MAO(「にじさんじ」所属のユニット)にハマっていて……! それと,「僕のヒーローアカデミア」や中華ジャンルも好きで,中国語を勉強したりしています(笑)。
4Gamer:
中国語を勉強するほどハマっているとは……すごい!
それではあらためて,characoloは“オタクのためのパーソナルカラー診断サロン”ということですが,サロンを立ち上げようと思ったきっかけは何でしょうか。
前田氏:
私自身が長年作品ファンということもあり,事業を始めるなら,自分の経験が生かせるようなことをしたいと考えていました。それと,一時期,何を着たらいいのか分からなくなってしまって,近くのパーソナルカラー診断サロンに行ってみたことがあるんです。
当時は「A3!」の皇 天馬くんに夢中で,オレンジ色の服を着たかったのですが,そこは一般的なサロンだったため,その理由を伝えることもできず,「このオレンジは天馬くんの色とは違うんだよね」といった細かなニュアンスもうまく共有できませんでした。そういったもどかしさから,「それなら自分でやろう」と思い,勉強を始めました。
4Gamer:
確かに,イメージカラーが定まっているジャンルだと,なかなか伝えにくいですよね。
前田氏:
そうなんです。オタク文化に詳しくない方に,そうした背景を説明するには,やはり少し勇気が要ります。
4Gamer:
ちなみに,characoloの客層は,どの年代の方が多いのでしょうか。
前田氏:
10代から50〜60代まで,幅広い年代の方にご利用いただいています。親子でお越しになるケースもあり,お母様と娘さんで一緒に診断を受けられる方もいらっしゃいますよ。
4Gamer:
なるほど。サロンにはさまざまなお客さまが訪れていると思いますが,最近はどのジャンルのファンがとくに多いのでしょうか。
前田氏:
全体的に「刀剣乱舞」(「刀剣乱舞ONLINE」)のファンの方が非常に多いですね。characoloは今年で7年目になりますが,オープン当初から常に高い割合を占めていた印象があります。
4Gamer:
「刀剣乱舞」はメディアミックス展開が盛んですし,ファン層も広いですよね。
では,前田さんが考えるcharacoloならではの強みやこだわりを教えてください。
前田氏:
やはり“共通言語が通じる”ところですね。たとえば「緑が似合います」と言われるより,「あなたに似合う緑は○○くんの髪の色です」と言われたほうが,イメージがしやすいと思うんです。
私自身も,「緑谷出久くん(『ヒロアカ』の主人公)の髪の色」と言ってもらえたほうが理解しやすいので,そこが大きな強みだと感じています。
4Gamer:
私も推しのイメージカラーが緑であることが多いんですが,緑にもパステル調や深い色味など,さまざまな種類がありますよね。キャラクターに例えると,確かに伝わりやすいと感じました。
ところで,サロンに飾られているグッズは,スタッフの皆さんで持ち寄られたものですか?
前田氏:
はい,スタッフたちの私物です。なので,かなり雑多な雰囲気になっています(笑)。
4Gamer:
ジャンルもさまざまで,何かしら刺さるものが見つかりそうです。
また,characoloは“スタッフも全員オタク”とのことで,自分の趣味を安心して話せる場所を探している方にとって,大きな魅力だと感じました。
前田氏:
そうですね。公式サイトにも掲載しているのですが,それぞれ異なるジャンルの作品が好きなので,お客さまのなかには,ご自身の推しと同じジャンルが好きなスタッフを指名して予約される方もいらっしゃいます(公式サイトのスタッフ紹介ページはこちら)。
4Gamer:
SNSで,イベントに合わせたおすすめコーデを紹介されているのも印象的でした。
前田氏:
ありがとうございます。characoloは概念コーデを強みにしていることもあり,公式Xでは参考になるようなイメージコーデを定期的に投稿しています。現場に行く際には,推しをアピールしつつも,オシャレも楽しみたいという方が多いので。
イメージコーデを作成する際は,見る人が見れば分かるけれど,そのまま会社にも着て行けるような,さりげないバランスを意識しています。
4Gamer:
分かります! さりげなく推しを身につけたいんですよね。
パーソナルカラー診断の際に,とくに重視しているポイントや,心掛けていることがあれば教えてください。
前田氏:
お客さまがどのような目的でいらしたのか,必ずヒアリングするようにしています。一般的なサロンでは「オシャレになりたい」「垢抜けたい」といったご相談が多いと思うのですが,characoloではそれ以外の理由で来られる方も少なくありません。
たとえば「来月のイベントでこの色を着たい」「推しとコラボしているコスメを買ったけれど,どう使えばいいか分からない」といったご相談も多いため,来店の理由は丁寧にお聞きするようにしています。
4Gamer:
サロンを立ち上げてうれしかったことや,「立ち上げて良かった」と思った瞬間についても,うかがいたいです。
前田氏:
基本的に,このようなサロンは一度きりで終わる方が多いのですが,characoloではリピーター向けのコースもご用意しており,継続的に通ってくださる方も多くいらっしゃいます。
そうした方から,診断後にSNSで感想を投稿していただいたり,「このコーデで現場に行ってきました」といった写真を送っていただいたりするのが,非常にうれしく,やりがいを感じる瞬間です。
4Gamer:
お客さまからの相談で,とくに印象に残っているものはありますか。
前田氏:
他店ですでに診断を受けていて,結果にも納得されているものの,「似合う」と言われた色がご自身の好みではなく,どうしたらよいか悩まれていた方がいらっしゃいました。とても印象に残っています。
「診断は受けたことがある」という方も多いですし,「結果には満足しているけれど,characoloの視点も聞いてみたい」という方もいらっしゃいます。「推しのパーソナルカラーを知りたい」といったご相談もありますね(笑)。
4Gamer:
確かに。自分のパーソナルカラーと好きな色が同じとは限らないですよね。
前田氏:
そういったことはよくあります。ただ,好きな色も自分にとって大切な要素ですので,「どうすればもっと似合うか」という視点に切り替えてお話しするようにしています。
ご自身の推しを表現するために特定の色を身につけたい方も多いため,たとえば服ではなくアクセサリーで取り入れるなど,少しでも工夫できる方法をお伝えするようにしています。
4Gamer:
characoloで今後挑戦してみたいことや,取り入れてみたいことがありましたら教えてください。
前田氏:
実は,ちょうど長期講座を計画しているところなんです。現時点ではcharacoloは基本的に単発のレッスンのみの提供となっていますが,今後はお客さまとより深く関わっていけるような,3か月程度の継続的な講座を構想しています。
参加される皆さんの“好き”や“なりたい”を言語化しながら行動計画を立てていき,最終的には発表会のような場を設けられたらと考えています。
「小さいころは何が好きだった?」というところから始めて,「本当はこういうコーデがしたかった」といった思いを,ファッションやメイクといった形で具体化していきます。
そして,その理想を実現するために何ができるのか,一緒に考えていくイメージです。やはり診断だけでは限界があると感じていますので,現在,さまざまな形を模索しています。
4Gamer:
すごく面白そうです! 実現を楽しみにしております。本日はお話を聞かせてくださり,ありがとうございました!
――2025年7月29日収録