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印刷2025/07/05 16:14

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FENNELのCEO・高島氏,元プロ選手のmittiii氏,REVOのオーナー・中野サガット氏がeスポーツ産業のリアルを語る。プロ選手の給与は年々増加

 国内最大規模のスタートアップカンファレンス「IVS2025」の2日めとなる2025年7月3日,京都市勧業館 みやこめっせのステージで「日本のeスポーツシーンが1兆円規模になるには - 新世代のスターたちが形成する産業を知る」と題したセッションが行われた。

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 登壇したのは,プロeスポーツチームFENNELのCEOである高島 稜氏,ゲーマーコミュニティを運営するNERDERのCEOであるmittiii(浦東大路)氏,そして,eスポーツチームREVOのオーナーである中野サガット氏。モデレーターは,アテナ機関の代表 おりぴぴ氏が務めた。

 セッション冒頭で,中野サガット氏は自身の経歴を語った。同氏は中学生時代に「ストリートファイターIIターボ」の全国大会で優勝した経験を持つが,当時はeスポーツという言葉もプロゲーマーという存在もなかったので,「ただのゲームオタク」扱いだったと振り返る。

 「昔はオフライン対戦が主流だったが,現在はオンライン対戦が中心となっている。しかし,今でも大規模な大会はオフラインで行われ,そのための練習場所が不足している」と中野サガット氏は指摘する。

 「VALORANT」の元プロ選手であるmittiii氏もこれに同意し,「オンラインだと閉鎖空間でゲームに没頭できるが,オフラインの大会では集中力を削がれる」と説明した。慣れが重要なので,オフライン大会に環境を近づけて練習していたそうだ。

 高島氏は,FENNELが日本のeスポーツチームとして初めてゲーミングハウスと練習環境を分けた,「通い制」を導入したことを紹介した。選手の競技成績に大きく影響したという。

 続いて,プロeスポーツ選手の給料について議論が行われ,中野サガット氏は,自身がチームを立ち上げた2019年当時,選手に月10万〜15万円を支払っていたと明かした。「生活もしなきゃいけないだろうなと考えつつ,戦績やフォロワー数をもとにざっくり設定した」と当時を振り返る。

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中野サガット氏
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mittiii(浦東大路)氏

 mittiii氏は7年前に17歳でプロ選手になり,最初は一軒家で男5人の共同生活だったという。「リビングにPCが5台並び,生活費として月5万円をもらっていた。今のプロ選手と比べれば少ない額かもしれないが,当時はゲームをしてお金をもらえることが幸せだった」と語る。

 その後は,19歳で月20万円,21歳で月60万円を受け取るようになった。「タイトルやジャンルによって給料の水準は大きく違い,自分のやっていたFPSはかなり高い」とmittiii氏は説明した。

 高島氏は業界全体の変化について,「2019年頃,『VALORANT』の日本人プロ選手の平均月給は15万円程度だったが,現在は50万円。トップ選手は年俸2500万〜3000万円になっている」と具体的な数字を挙げた。
 また,格闘ゲームのトップ選手の一部は億単位の契約金を得ており,インフルエンサーとしての活動で収入はさらに増えると,高島氏は述べる。2020年頃から給与がインフレ化し,選手の金銭感覚の変化も感じるという。

 賞金についても大きな変化があった。中野サガット氏は,2025年3月に両国国技館で開催された「ストリートファイター6」の世界大会で優勝した翔選手が100万ドル(約1億5000万円)を獲得したことに触れ,「32年前,同じ場所で日本一になった私がもらったのは自転車1台だけだった」と時代の変化を思い返した。

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高島 稜氏
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おりぴぴ氏

 eスポーツ市場をさらに大きくするための課題について,高島氏は「100億円規模の企業価値を持つチームが10個くらい,並列で作られる必要がある」と指摘。現在,50億円〜150億円の企業価値を持つのは日本に3〜4チームしかなく,それ以下のチームとの格差が開いているという。

 mittiii氏は「ほとんどのeスポーツはPCゲームだが,PCでゲームをプレイする人の絶対数が足りない」と課題を挙げ,渋谷に100坪くらいのPCバン(eスポーツ施設)を出店予定であることを明かした。韓国では1万店舗,中国では10万店舗あるPCバンが,日本ではまだ少ないという。

 中野サガット氏は,スポンサー獲得のための営業力不足を指摘。「広告代理店などのプロを入れてテコ入れしていくことが業界の活性化につながる」と提案した。

 最後に,各登壇者からメッセージが送られた。おりぴぴ氏は「女性のeスポーツシーンもサポートしてほしい」と訴える。

 高島氏は「eスポーツチームは,どこかのタイミングで一気にアクセルを踏まないといけない」と積極的な事業展開の必要性を強調した。

 mittiii氏は「ゲームをスポーツとして捉えることで,eスポーツの価値は変わる。ぜひイベントや大会に足を運んでもらいたい」と呼びかけた。

 中野サガット氏は「自分は日本一と世界一になったので,今度はチームから日本一や世界一を生み出したい。業界を活性化するため,いろいろな人と出会いたい」と協業への意欲を示し,セッションを締めくくった。

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