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脳波で魔力をチャージし,視線でドラゴンを撃つ。祈りでカプセルも現れる。東京ゲームショウ2025で体験した新しい遊びのかたち[TGS2025]
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そんな同コーナーに,AIと脳研究を行うアラヤが初出展していた。普段は福祉やリハビリの現場で,障がいを持つ人の操作支援などに取り組んでいる企業だが,今回はそれらの技術を「単純に遊んで楽しい」形にしたデモを披露していた。
「NeuroWizards」――視線と脳波で必殺技
アラヤのブースで最初に体験したのは「NeuroWizards」というアクションゲームだった。自社開発の脳波計を頭に装着し,コントローラを手に持つ。移動や通常攻撃はコントローラを使用し,必殺技の発動は脳波と視線を組み合わせて行う仕組みになっている。
ゲーム開始時に脳波が計測され,リラックスしたときに強く出るアルファ波の周波数によって,プレイヤーの魔法属性が決定される。例えばある周波数なら風,別の周波数なら土や氷といった具合だ。筆者は氷属性だった。
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実際にプレイすると,ドラゴンをコントローラで攻撃しつつ,視線を合わせて大技を発動することができた。
担当者は,「精度やノイズに弱い部分はありますが,視線と脳波を組み合わせれば“狙って撃つ”といったシンプルな操作は十分に可能だと考えています」と語っていた。
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将来的にはコントローラを使わず,視線と脳波だけで成立するゲームも見えてくるという。
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「無心Capsule」――祈りとリラックスでカプセルが出る
次に「無心Capsule」を体験してみた。これは脳波と画像認識技術を組み合わせた体験型デモで,見た目はカプセル自販機に近い。
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体験者はワイヤレス脳波計を装着し,カメラの前で祈りのポーズを取る。画像認識AIがポーズを検出し,同時に脳波計がリラックス状態のアルファ波を測定する。この2つの条件が一定の水準を超えたときにだけ,カプセルが排出される仕組みだ。
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担当者によれば,この発想の背景には「ガチャは物欲が強いと欲しいものが出ない」という“推し文化”のジンクスを実際に脳波で試してみよう,という遊び心があるという。「外的な動作と内的な状態が揃った瞬間に結果が出る」という設計意図が伝えられていた。
ちなみに筆者は自力でカプセルを出すことはできなかった……。
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アラヤの担当者は,脳波計を安価に製造できることから「将来的には面白いガジェットのひとつとして日常に溶け込むようにしたい」と語っていた。
また,視線や脳波を使うことで,手が不自由な人や声が出せない人でも直感的に操作できるようになり,より包括的なゲーム作りや新しい体験の創出に貢献できるとも述べていた。
一方で「現時点では正確性やノイズへの脆弱さが課題であり,すぐに実用化できるわけではない」とも説明があった。だからこそ,まずはゲームのような“遊び”の場で多くの人に触れてもらうことを重視しているという。
今回の展示では,「NeuroWizards」での視線+脳波による必殺技発動,「無心Capsule」での祈りとリラックスによるカプセル排出が実際に体験できた。いずれもシンプルな仕組みながら,確かに新しい入力方法がゲームに取り入れられていた。
まだ発展途上ではあるが,こうした取り組みがどのように広がっていくのか,今後の展開が注目される。
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