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インタビュー

[インタビュー]25周年を経て挑む新たな“遙か”――「遙かなる時空の中で 龍宮の神子」開発者が語る,長年の想いとロマンを詰めた渾身作

 待望の最新作「遙かなる時空の中で 龍宮の神子」――2025年9月23日,スマートフォン向けアプリ(iOS / Android)として発表された。リリースは今冬を予定している。

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 2025年に25周年を迎えた「遙かなる時空の中で」(以下,「遙か」)シリーズは,コーエーテクモゲームスのルビーパーティーブランドが手がけるネオロマンスシリーズの代表格だ。

 本作では,歴代シリーズから舞台を一新し,新たな時空で物語を紡ぐ。新たな八葉との出会いも描かれ,これまでとは異なる関係性や物語を楽しめる。
 長年シリーズを愛する神子(プレイヤー)にとって,喜びとともに驚きや戸惑いを覚える部分もあるかもしれない。


 4Gamerは,25周年記念インタビュー(関連記事)に続き,ルビーパーティーブランド長の襟川芽衣氏と,本作ディレクター杉原 希氏に話を聞いた。「遙か」シリーズへの想いと,最新作「遙かなる時空の中で 龍宮の神子」の魅力を語ってもらっている。

写真左から杉原 希氏,襟川芽衣氏
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「遙かなる時空の中で 龍宮の神子」公式サイト

「遙かなる時空の中で 龍宮の神子」予約注文ページ

「遙かなる時空の中で 龍宮の神子」事前登録ページ



「遙か」シリーズ25周年,新たな物語が始まる


4Gamer:
 よろしくお願いします。まずは,本作でどのような役割を担当されているのか教えてください。

襟川芽衣氏(以下,襟川氏):
 エグゼクティブプロデューサーとして,作品全体の方向性を定めることから,クリエイティブの統括までを担当しています。

杉原 希氏(以下,杉原氏):
 ディレクターを務めています。世界観,ゲームコンセプト,ストーリーの設計などを担当しています。

4Gamer:
 ファン待望のネオロマンスシリーズ,そして「遙か」最新作となる「遙かなる時空の中で 龍宮の神子」ですが,どのような経緯で開発が始まったのでしょうか。

襟川氏:
 これまでに,ネオロマンスシリーズの新たな展開として,「アンジェリーク ルミナライズ」と「金色のコルダ スターライトオーケストラ」をリリースしてきました。
 「アンジェリーク」シリーズ,「金色のコルダ」シリーズと続いたので,「次は『遙かなる時空の中で』シリーズだね」という方針は,かなり早い段階で決まっていたんです。

 当初はナンバリングの続編も検討したのですが,シリーズ20周年の「遙かなる時空の中で7」を1つの集大成として制作したこともあって,シリーズの魅力を大切にしつつ今の時代に合った“遙か”を生み出すためには新展開のほうがふさわしいと判断し,本作の企画がスタートしました。

4Gamer:
 シリーズとしての立ち位置は,外伝のような作品になるのでしょうか? それとも,まったく新しい方向性の作品になるのでしょうか。

襟川氏:
 それは後者ですね。これまでの「遙かなる時空の中で」シリーズが終わるわけではなく,歴代シリーズと並行する“別の時空”で展開していく,新しいシリーズとして制作しました。

4Gamer:
 「アンジェリーク」シリーズでいうと,神鳥の宇宙と聖獣の宇宙(※違う宇宙の女王が主人公になる設定)のようなイメージでしょうか。

襟川氏:
 そうですね,イメージとしては近いです。新しく展開した「アンジェリーク ルミナライズ」(※神鳥の宇宙や聖獣の宇宙ともつながりのある,新しい宇宙の女王と守護聖の物語を描いた作品)と,立ち位置や考え方は似ていると思います。
 「遙か」に新しい弟や妹ができた,というように思っていただけると嬉しいですね。

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4Gamer:
 25周年を迎えた「遙か」シリーズの魅力と,今作にかける想いをお聞かせください。

襟川氏:
 「遙か」シリーズのテーマとして一貫しているのは,“時空を越えて叶える恋”です。歴代シリーズの主人公である神子たちは,現代から歴史上の時代によく似た異世界へ行き,そこで出会った八葉たちと大きな使命を果たしてきました。そのなかで芽生える恋を紡いでいく……まさにネオロマンスシリーズらしい王道の物語です。その魅力は,本作でも変わっていません。

 大きく違うのは,これまでの作品では1つのタイトルにつき1つの時代をテーマに展開していたのに対し,今回はさまざまな時代へ飛んで問題を解決していく物語になっている点です。

 さらに,現代でもなく,異世界でもない場所“龍宮”を舞台にメインストーリーが進んでいくのも,新しい要素になっています。

杉原氏:
 今作では,「遙か」の魅力を大切に引き継ぎつつ,新しい展開をお届けすることが大きな課題でした。

 これまでのシリーズ同様,歴史上の時代によく似た異世界での恋もたっぷり楽しめますし,さらに今作の拠点となる“龍宮”では,八葉たちとの日常的な触れあいも描いています。冒険譚のスケール感と,日常の親密さの両方を味わっていただけることが,本作ならではの魅力だと考えています。

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4Gamer:
 「遙か」シリーズは,これまで家庭用ゲーム機で発売されてきました。今回,スマートフォン向けアプリでの展開を選ばれた理由を教えてください。

襟川氏:
 本作を作るうえで,どうしても実現したかったことの1つが,“現代の忙しい女性たちの生活にフィットする作品”を作ることでした。

 今を生きる女性たちは,お仕事や学校やご家庭があって,趣味ややりたいこともたくさんあって……本当に時間がない,という印象があるんです。そのなかでいつでも自分の好きなタイミングでアクセスし,彼と共に過ごすことができる。そんなゲームにしたかったこともあって,スマートフォン向けアプリにしました。

4Gamer:
 確かに,スマートフォンは幅広い世代の人が持っているツールですよね。普及が進んだことで,家庭用ゲーム機を持っている人は,全盛期に比べると少し減っている印象もあります。

襟川氏:
 そうですね。家庭用ゲームは腰を据えてじっくり世界観に没入できるという点が良いところなのですが,本作は「遙か」シリーズの新しいチャレンジとしてそことは別の体験を目指しました。

 スマホはいつも手元にある身近な存在ですし,手軽にストーリーや世界観を楽しんでいただき,まるで八葉と24時間一緒にいるような体験をお届けしたい――そう思って,この形を選んでいます。

 新しく入ってくださる方はもちろん,しばらく「遙か」シリーズから離れていたファンの方にも遊んでいただきたい。幅広い方に楽しんでいただくためには,プレイの敷居が低いアプリが最適だと考えました。


個別の恋も,八葉同士の関係もしっかり描く


4Gamer:
 「遙かなる時空の中で 龍宮の神子」というタイトルには,どのような想いが込められているのでしょうか。

杉原氏:
 実は,50個以上のタイトル案が検討されまして……。

襟川氏:
 舞台である海にちなんだ美しい響きのものや,「遙か」の新シリーズを意識したものなど,いろいろな方向性の案が出ていましたね。最終的には,やっぱりいちばん分かりやすいタイトルに落ち着きました。

杉原氏:
 新しい形の「遙か」をお届けするにあたって,今作には大きく2つの目標がありました。

 1つは「遙か」シリーズの魂を受け継いだ作品として,ファンの皆様に大切にお届けすること。もう1つは,シリーズを遊んだことがない方にも「ようこそ」「ここから始めてみませんか」というメッセージを込めることです。

 踏まえて,ゲームのタイトルに関しても,「ナンバリングではないが,『遙か』の新作であること」を前向きにお伝えすることがチームの願いでした。
 そこで考えたのが,“シリーズを通して,『遙か』の中心にいるのは,主人公でありお客様自身でもある神子”だということです。だから「神子」という言葉は絶対に入れたい,という思いがありました。

 さらに,今作の舞台である“龍宮”を組み合わせることで,いちばんストレートで分かりやすいタイトルになると考えて,この名前に決まりました。

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4Gamer:
 タイトルにもある拠点“龍宮”から,複数の時代にタイムスリップしていく展開を採用された理由を教えてください。

杉原氏:
 まず,拠点“龍宮”のパートを設けたのは,アプリであることを活かして八葉たちとの共同生活を味わっていただきたいと考えたためです。このパートでは,時間や時節に応じて変わる会話や,添い寝の機能などによって,お客様の生活に寄り添うような恋愛感を目指しています。

 一方,旅の舞台である「異世界」のパートで複数の時代を採用したのは,アプリの魅力のひとつである「広がっていく,更新されていく」要素を初手から感じていただきたかったためです。
 また,ユーザーの皆様へ,早期に「選ぶ楽しさ」をお届けすることも目的の1つでした。

 今作は,八葉によって出身の時代が異なるので,基本的に選んだ八葉と2人きりで,その八葉が生きる時代を旅することになります。最初は直感的に「この人と旅がしたい!」と思って選んでいただけるよう,八葉を歴史上の有名な人物に設定することで,キャラクター像をイメージしやすくしました。
 デザインや設定にもこだわっていますので,気になったキャラクターから遊んでいただけたら嬉しいです。

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源 頼朝(CV. 三浦勝之)
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平 清盛(CV. 戸谷菊之介)
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上杉謙信(CV. 益山武明)
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伊達政宗(CV. 木島隆一)
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桂 小五郎(CV. 鈴木裕斗)
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土方歳三(CV. 鈴木崚汰)

4Gamer:
 公開されている範囲だけでも,源平,戦国,幕末と,歴史的にも人気の高い時代がそろっていますね。

襟川氏:
 歴代シリーズでは,平安や戦国といった人気の高い時代はほとんどフィーチャーしてきました。だからこそ,今回はあえて時代を限定せず,バリエーション豊かに楽しめる形にしたんです。
 これまでの「遙か」にはなかった新しい試みとして,複数の時代を同時並行で渡っていく構成を取り入れています。

4Gamer:
 本作はいくつもの時代が舞台で,しかも歴代でも多彩な人物が登場しています。となると,八葉の選出はかなり大変だったのでは?

襟川氏:
 最初に「これ,どうするの?」って聞いちゃいました(笑)。おっしゃるとおり,これまでも歴史上の偉人の名前を持つ八葉がたくさん登場していますからね。

杉原氏:
 ファンの皆様は,歴代の八葉や登場人物たちに深い思い入れを持ってくださっているので,人選は本当に悩みました。

 ただ,襟川の話にもあったとおり,今作は歴代シリーズの時空と深い関わりを持つ,新たな時空が舞台となっています。例えば今作の八葉のひとりに「平清盛」がいますが,「遙かなる時空の中で3」の清盛とは時空を隔てた別の人物として受けとめていただけたらありがたいです。

4Gamer:
 八葉はさまざまな時代から選ばれていますが,「天の青龍」源 頼朝と「地の青龍」平 清盛で,天地が対になっている構図は歴代シリーズを思わせて,ちょっとニヤッとしてしまいました。

杉原氏:
 そう言っていただけると嬉しいです。
 拠点“龍宮”で展開するメインストーリーでは,仲間同士の葛藤や絆も描いていくので,同じ時代出身の天地の関係性や,時代を越えた関係性など,ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

拠点“龍宮”
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襟川氏:
 社内にも「遙か」シリーズのファンが本当に多いんです。タイトルのプロトタイプを評価する会議でも,「八葉同士の絆はどう描くのか?」という意見がたくさん出ました。実際,「恋愛だけじゃなくて,八葉の関係性や,みんなで一緒に戦う姿も見たい」という声が社内からもすごく多くて。

 最初は“龍宮”で描くメインストーリーはもっとシンプルな想定だったんですが,そうした意見を受けて,しっかり作り込む方向に切り替えました。結果的に,恋も絆もたっぷり楽しめる内容になったと思います。

4Gamer:
 異なる時代を生きる八葉が集まるのは,特別な拠点“龍宮”があるからこそできる体験ですよね。本作ならではの物語が楽しめそうで,ますます期待が高まります。

襟川氏:
 そういった意味では,「遙かなる時空の中で」シリーズ25周年にふさわしいタイトルになっていると思います。

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4Gamer:
 リリース時点では,八葉は6人だけの登場になるそうですね。象徴的な“8人”ではなく6人スタートにしたのは,何か理由があるのでしょうか。

杉原氏:
 本作の八葉は,それぞれの時代に存在していて,最初は拠点の“龍宮”に各時代から2人ずつ来ている設定なんです。
 8人からスタートすると「これ以上はキャラクターが増えない」という印象を与えてしまうかもしれないので,あえて6人から始めることにしました
 ここから物語が進むにつれて,八葉も増えていくので,ぜひご期待いただけたら嬉しいです。

襟川氏:
 龍宮の神子に仕える八葉は,最初から全員そろっているわけではありません。各時代にそれぞれ八葉がいて,現時点で公開されているのが3つの時代ですから,計算するとかなりの数になるはずですが……そこは順当に登場していくのか,それともまた新たな時代の八葉が出てきたりするのか,ぜひ楽しみにしていただけたらと。
 新しい八葉は,数か月に1人のペースで追加登場する予定です。

4Gamer:
 新たなキャスト陣を迎えた理由についてもお聞かせください。

杉原氏:
 襟川も言っていたように,本作は,歴代の「遙か」シリーズにとっての“弟や妹”のような存在にできたら,と考えて制作してきました。今回登場する新たな八葉たちから見て,これまでのシリーズに登場した八葉たちは,別の時空にいる“尊敬すべき先輩”です。
 その立場や関係性を立たせるため,今作の八葉については新しいキャストをお迎えすることになりました。


神子と八葉,そして歴代八葉まで大集結!


4Gamer:
 本作の神子は20歳という設定なんですね。これまでの作品よりも,少し高めの年齢になっています。

杉原氏:
 はい。今回では少し踏み込んだ恋愛表現を取り入れているので,主人公の神子も“成人した女性”に設定しました。プレイヤー層の方々に近い目線にすることで,より物語に入り込みやすくできれば,という狙いもあります。

 また,プレイヤーの皆様の気持ちをより反映しやすいよう,物語中で提示される選択肢の内容もこだわって作られています。

結川 灯(CV. 瀬戸麻沙美)
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4Gamer:
 本作の主人公は“龍宮の神子”になるとのことですが,歴代の白龍の神子や黒龍の神子とは立場が違うのでしょうか。

杉原氏:
 はい。本作の舞台は,金色の龍神が治める時空です。主人公はその神子なので,歴代シリーズに登場した神子たちとは,また立場が異なる存在になります。

4Gamer:
 歴代シリーズでも,金色の龍が登場したことがありましたよね。

杉原氏:
 そうですね。シリーズを知っている方なら「もしかして,あの種類の龍神かな」とピンとくるかもしれません。

4Gamer:
 今回,複数のキャラクターデザイナーを採用された意図を教えてください。

杉原氏:
 今作は,拠点“龍宮”と異世界という二つの軸で物語が進むことや,複数の時代を旅することなど,作品全体を通してバリエーションを楽しんでいただきたいという意図がありました。
 キャラクターデザインも,そのコンセプトに応じた形で依頼をさせていただき,各先生方の個性に満ちた魅力的なキャラクターに仕上げていただきました。

 そのなかで,主人公の神子をはじめとしたキーキャラクターについては,歴代シリーズでキャラクターデザインとコミカライズを手がけてくださっている水野十子先生にぜひお願いしたい,というのがチーム全員の願いでした。お引き受けいただけたことに深く感謝しています。

 さらに,本作では数か月に1回,歴代キャラクターが登場するイベントを予定しています。第1回では「遙か3」のヒノエが登場するのですが……。

ヒノエ(CV: 高橋直純)
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4Gamer:
 歴代神子たちの喜びの悲鳴が聞こえてきそうですね。

杉原氏:
 喜んでいただけたらとても嬉しいです。そのイベントでは,「遙か3」のヒノエと望美の“恋愛後日談”を描いたカードを実装予定で,イラストは水野十子先生の描き下ろしです。

襟川氏:
 美しいうえに,とても糖度が高いイラストなので,ぜひご期待ください。

4Gamer:
 歴代八葉とのイベントは,どのような形式になるのでしょうか。

杉原氏:
 歴代シリーズの時空と本作の時空には深い縁があり,そのため定期的に“接近”します。ただ,近づきすぎると両時空が衝突する危険があるので,その接近時に現れる“時空の浮橋(ときのうきはし)”という場所において,両時空の八葉が協力して衝突を防ぐ――というのがイベントの大枠です。

 歴代の八葉は,衝突を食い止めるために「心のかけら」の力を用いてくれており,それを取り戻していく過程で,歴代神子との恋を振り返ることになります。
 初回イベントでは,「遙か3」のヒノエと望美が出会ってから結ばれるまでを,ヒノエの視点も交えて丁寧に描く予定です。

4Gamer:
 “心のかけら”は,本作でも重要な役割を果たすんですね。

杉原氏:
 はい。この仕組みによって,シリーズを遊んだことがない方でも歴代の恋を改めて楽しめるようになっています。そしてもう1つの目玉が,先ほどお話しした水野十子先生描き下ろしイラストと共にお送りする,“恋愛後日談”のカードストーリーです。

 本当に甘く,少し艶めいた内容にもなっていて,新規収録のボイスもたっぷりご用意しています。カードだけでなく,イベント中の随所で,歴代八葉の新録ボイスを楽しんでいただける仕組みにしています。

4Gamer:
 歴代シリーズファンにとっても,感慨深いイベントになりそうで楽しみです。初回に登場するヒノエは適応能力が高い人物なので,今回のような事態に向き合うのにぴったりですよね。

杉原氏:
 そうですね。ヒノエは今作の八葉たちともフランクに交流してくれるんですが,なかでも同じ“天の朱雀”の八葉である伊達政宗とは深く関わるので,そこもぜひ注目していただきたいです。

4Gamer:
 同じ天地四神の力を持つ八葉同士が交流する場面が多いのでしょうか。

杉原氏:
 はい。八卦のうち,特定の力が必要になるという設定上,天地四神同士の交流が多くなります。それに加えて,歴史的に関係の深い人物同士についても,掘り下げて描いていきたいと思っています。

4Gamer:
 神子や八葉たちだけでなく,拠点“龍宮”のグラフィックスもとても美しいですよね。

杉原氏:
 ありがとうございます。水の都としての美しさはもちろん,プレイヤーの方々がリラックスでき,癒しやときめきを感じられる空間になるよう,こだわって作られています。

4Gamer:
 拠点にいるとき,魚をタップするとハートが出ますよね。

杉原氏:
 気づいてくださって嬉しいです。あれは,魚たちにも愛着をもっていただきたいという,チームのこだわりポイントでして……。

襟川氏:
 そうなんです。アクアリウム要素も取り入れているので,ちょっとした癒しとして楽しんでいただけたら嬉しいですね。

4Gamer:
 音楽も素晴らしいですよね。

襟川氏:
 「遙か」シリーズでは,音楽も世界観を形作る大切な要素なんです。音楽によって感情が揺さぶられることって多いですよね。
 本作の物語自体がとてもドラマチックなので,音楽もそれに寄り添う形でメロディアスで感情を大きく動かす旋律を入れてほしいとお願いしました。
 おかげで,まさに理想通りの仕上がりになっていると思います。

杉原氏:
 今回は複数の世界を巡るので,音楽もそれぞれの世界観に合わせた作りになっています。例えば,拠点“龍宮”では水をイメージしてハープを使い,平安の世界では笙(しょう),戦国では尺八など,時代ごとの特色に合わせた楽器を取り入れています。
 そうした音の違いで世界を感じられる仕掛けも,ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

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友人ルートや“神気注入”など,ときめき要素を深掘り!


4Gamer:
 本作の見どころを教えてください。

杉原氏:
 最大の見どころは“二軸の恋”です。
 歴史上の時代によく似た異世界での恋はもちろん,拠点“龍宮”での日常的な恋も描いているので,まさに2倍のボリュームで,たっぷり恋を楽しんでいただけると思います。

4Gamer:
 本作は恋愛だけでなく,八葉と友人関係のままでいることもできるそうですね。

杉原氏:
 はい。愛で結ばれた恋人か,深い絆をつむぐ相棒か……プレイヤーの皆様のスタイルに合った関係性を楽しめるようになっています。「このキャラクターとは恋人になりたいけど,あのキャラクターとは友情を深めたい」――そんな遊び方ももちろん可能です。

4Gamer:
 ステキな人物が多いだけに,友人関係のストーリーにも興味を引かれます。

杉原氏:
 ありがとうございます。相棒ルートのほうでも異世界での重厚なストーリーを最後まで楽しめるようになっていますので,ぜひご期待ください。
 さらに,一度恋愛関係になったあとは,「恋人」と「相棒」の関係性を自由に切り替えることができます。拠点の”龍宮”パートでは,関係性によってキャラクターからの接し方が変わったりもしますので,よかったらぜひ試してみてください。

4Gamer:
 どちらも楽しみたい人には嬉しいシステムですね。
 見どころの1つ“神気注入”は,八葉との距離が一気に縮まるドキドキ要素です。採用の理由を教えてください。

襟川氏:
 これはもう,開発陣の肝いりシステムです(笑)。

杉原氏:
 そうですね,気合が入りました(笑)。スマートフォンといえばタッチ,タッチといえば触れ合い,せっかく触れ合うなら少し大胆に……ということで,八葉との交流にタッチアクションを交えたスキンシップを取り入れることにしたんです。プレイ初期から甘いやりとりを楽しめるようにしたいという考えもありました。
 「遙か」シリーズとしては挑戦的な試みになったかと思います。

襟川氏:
 ネオロマンスシリーズのなかでも,かなり糖度の高いシステムになっていますね。実装の話が出る前から「神子は成人しているので,甘めのイベントCGも欲しい」とお願いはしていたんですが,“神気注入”をやりたいと聞いたときは正直,「大丈夫かな……」と少し心配もありました(笑)。
 でも,完成したシステムを見たら本当に素晴らしくて。とくに目線の位置なんかは,チェックにもつい熱が入ってしまいました(笑)。

杉原氏:
 確かに,襟川のチェックが入ったあとは,シーンの美しさや情感がぐんと増していました(笑)。一歩踏み込んだときめきを目指しつつも,「遙か」シリーズが大切にしてきた世界観や情緒を守りつつの展開にはなっていますので,そこは安心していただけたらと思います。

襟川氏:
 あくまで“上品な色気”ですからね。

4Gamer:
 お相手の八葉によって,距離感やリアクションが違うのも楽しいポイントですね。

杉原氏:
 ありがとうございます。キャラクター性にこだわった作りになっているので,ぜひ深く楽しんでいただきたいです。

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4Gamer:
 同じく注目の要素である“添い寝”。こちらは,かなり日常に寄り添ったコンテンツですね。

襟川氏:
 はい。「24時間,大好きな彼と一緒にいる」という体験を,ゲーム中はもちろん離れている時も感じてもらえるようにしたかったんです。「眠るときに八葉と一緒に眠れるモードを入れたい」という提案を受けたとき,すごく素敵だなと感じました。
 おはようからおやすみ,さらには“もう一度おはよう”まで,ずっと一緒にいられる体験を目指しています。

4Gamer:
 画面が縦持ちなので,“添い寝”モードとの相性もいいですね。

杉原氏:
 そうですね。お休みの際,ぜひ枕元に置いていただけたらと思います。しばらくすると八葉も眠って寝息が聞こえてきたり,軽くタップすると起きて反応を返したりします。そうしたリアルな距離感も楽しんでいただけたら嬉しいです。

4Gamer:
 寝息や寝言にもバリエーションがあるのでしょうか。

杉原氏:
 はい。寝息にもいくつか種類がありますし,今後のアップデートで寝言なども追加していく予定です。いろいろなパターンを楽しんでいただけると思います。

4Gamer:
 チュートリアルである序盤では,平 清盛,伊達政宗,土方歳三の3人から相手を選択できます。この3人にした理由を教えてください。

杉原氏:
 まずは,できるだけ個性の異なる3人を,という意図がありました。また,本作が歴代シリーズとは別の時空の物語であることを早めにお伝えすることで,「どちらの時空も大切にしていく」という意思を示したく,あえて歴代シリーズの登場人物と同じ名前を持つ平 清盛を登場させました。
 さらに,伊達政宗や土方歳三も歴史的に大変有名な人物なので,ユーザーの皆様も人物像をイメージしやすいのではないかと考えています。

4Gamer:
 バトルもシリーズおなじみの要素の1つです。今回のカードバトルの見どころを教えてください。

杉原氏:
 本作全体の見どころのひとつとして,美しいカードイラストがあると思っていまして,「このイラストをバトルでも生かしたい」と考えた結果,現在のライフスタイルにも合う手軽で爽快感のあるカードバトルシステムにたどり着きました。

 特に注目していただきたいのが,本作独自の必殺技である“神降ろし”です。お好きなキャラクターの勇姿を見るために気軽に発動していただくのがおすすめですが,攻略の切り札として戦略的に使うために,どのキャラクターにどんなタイミングで神を降ろすか,掘り下げて考えていただくのも面白いと思います。
 ぜひプレイヤーの皆様のスタイルに合わせて楽しんでいただけたらと思います。

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襟川氏:
 また,本作には五行による属性相性もあります。編成をじっくり考えるのもいいですし,「ちょっと大変そう……」と思ったらオート編成やスキップ機能があります。基本的にはオートバトルで手軽に遊べるようになっていますので,安心して遊んでみてください。

4Gamer:
 カードといえば,拠点“龍宮”に登場する魚の精霊たちも入手できるのが楽しかったです。

襟川氏:
 最初は正直,「魚の精霊が仲間になるのはどうなのかな?」って思ったんです(笑)。「需要あるのかな?」と半信半疑だったんですが,イラストを見せてもらったらあまりに可愛くて,気持ちが一気に変わりました。
 ちなみに,魚の精霊は八葉育成の素材にもなるので,見た目だけじゃなく実用性もばっちりです。

杉原氏:
 魚の精霊たちは“龍宮”の物語やマップにも登場しますし,システム内の「かわら版」という掲示板にもいろいろな投稿をしてくれます。拠点“龍宮”で過ごす仲間として,カード含め愛着を持っていただけたら嬉しいです。

4Gamer:
 本作には,時間経過でアイテムを入手できる“放置系ゲーム”の要素も取り入れられているそうですね。

杉原氏:
 はい。プレイしているあいだは,八葉たちとの恋愛や物語を最優先で楽しんでいただきたく,負担を感じる作業要素は放置系ゲームの仕組みでサポートする形にしました。

 例えば,育成に必要なアイテムは時間経過で自動的に入手可能です。さらに,ゲームを遊んでいないあいだも八葉たちが依頼をこなしたり装備を作ってくれたりします。画面を開いていないときでも,八葉からの思いを味わえるような作りを目指しました。

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4Gamer:
 お話いただける範囲で,今後の展望を教えてください。

襟川氏:
 まずは,2025年11月8日,9日開催の「アニメイトガールズフェスティバル2025」にて,ブースとステージへの出展を予定しています。会場では特別な企画もご用意していますし, ステージは配信もありますので,ぜひ楽しみにしていてください。

 さらにいま,Nintendo Switch向けの「遙か」シリーズタイトル,例えば「遙かなる時空の中で7」などがセール中なんです。シリーズをまだ遊んだことがない方はもちろん,「久しぶりに遙かに触れてみようかな」という方にも,この機会にぜひ手に取っていただけたらと思います。

4Gamer:
 最後に,応援してくださっている神子の皆さん,そしてこれから新たに神子になる皆さんにメッセージをお願いします。

杉原氏:
 まずは,いつも応援してくださっている皆様,本当にありがとうございます。皆様の支えがあってこそ,シリーズ25周年を迎えた今でも「遙か」を作り続けることができています。
 そして,シリーズをプレイされたことのない皆様,ここまでお読みくださりありがとうございます。今作にご興味をお持ちいただけてとても嬉しいです。

 また,この場をお借りして,シリーズに関わってくださったすべての方々にも感謝をお伝えしたいです。水野十子先生をはじめ,歴代シリーズのキャストの皆様,新たに参加してくださったイラストレーターやキャストの皆様に心より御礼申し上げます。

 私自身は学生時代から「遙か」シリーズのファンで,チームに加わったあとは,先輩方やお客様方から多くのことを教えていただきながら「遙か」に携わってきました。とても大切なタイトルだからこそ,新展開でお届けすることには大きなプレッシャーもありました。それはチームメンバーも全員,同じ思いだったと思います。

 シリーズを愛してくださっているファンの皆様,そしてこれから新たに遊んでくださる皆様,すべての方々に「遙か」ならではのロマンをお届けしたい。その一心で議論を重ね,たどり着いたのが本作です。形や舞台はこれまでと異なるところもありますが,「遙か」の魂を感じていただけるよう,チーム一同心を込めて作りました。ぜひお手に取っていただけたら嬉しいです。

襟川氏:
 これまでのインタビューでも「新作はいつですか?」とたくさん聞かれてきましたが,そのたびに「一生懸命作っています」としかお答えできませんでした。
 いい作品をお届けするために,何度もスクラップ&ビルドを繰り返し,形を変えて試行錯誤を続け,3年かけてようやく皆様にお届けできるところまで来られて,本当に嬉しく思っています。
 長いあいだ,変わらず応援してくださった皆様のおかげで,こうして新作を作ることができました。本当にありがとうございます。

 本作はナンバリングではなく,新たなシリーズとしてのスタートになります。これまでの「遙か」があったからこそ生まれた作品であり,シリーズを大切にしつつ,さらに広げていきたいと考えています。支えてくださった神子の皆さんも,これから新しく神子になる皆さんも,どちらにも楽しんでいただけるよう全力で取り組んでいます。

 「ネオロマンス」シリーズは,“日々の生活に彩りを”という想いを込めて作っています。疲れたとき,癒しが欲しいとき,刺激を求めるとき――本作が少しでも皆さんの日常にときめきを届けられたら嬉しいです。

 これからも「遙かなる時空の中で」を30周年,35周年と続けていきたいと思っています。シリーズも,新たに始まった「龍宮の神子」も,どちらも応援していただけると幸いです。どうぞよろしくお願いします。

4Gamer:
 ありがとうございました。

――2025年8月27日収録

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