紹介記事
【case.I 鷹司アオ】名家の御曹司が示す歪んだ愛――“犬”として躾けられる「OVERNIGHTZ」被験報告
Rejetによる新作シチュエーションCDシリーズ「OVERNIGHTZ」(オーヴァーナイツ)の発売まで,残り1か月を切った。2025年10月から全3作が展開され,ボリューム満点のシナリオとオーケストラ演奏による豪華なサウンドで,聴きごたえのある仕上がりとなっている。![]() |
今回4Gamerでは,「OVERNIGHTZ」の魅力を伝えるべく,全3回にわたり被験報告の形式でレポートを掲載する。実際に聴取して得られた観察結果や注目点を整理し,記録としてまとめていく。
記念すべき第1回は,10月22日発売予定の「case.I 鷹司アオ(CV.小野友樹)」。記事の最後には,一足先に本編を試聴した関係者からのコメントも添えているので,あわせてチェックしてほしい。
被験者概要:名家の御曹司が抱える葛藤と“歪み”
今回,被験者として選定されたのは,華族の御曹司であり,帝国大学に通う鷹司アオ。彼が抱える“歪み”とは何か,そして新薬「オルタンシア」を投与するに至った理由とは何か。本件は謎が多く,筆者も聴取前から注目していた。
鷹司アオ(CV:小野友樹)
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PROFILE | |||
年齢 | 21歳 | 身長 | 180cm |
体重 | 68kg | 好きなもの/嫌いなもの | 珈琲/あんぱん |
case.I 鷹司アオのあらすじ
かつては栄華を誇った鷹司家も,現在は破産寸前にまで衰退。その跡取りである“アオ”は,<貴女>とともに屋敷での生活を送っている。
アオは<貴女>を「ポチ」と呼び,散歩に連れ出すなど“犬”として扱っている。一見すると平穏な日常のように映るが,外では常に雨が降り続き,屋敷には鎖や首輪が置かれているなど,不穏な兆候が随所に観察された。
やがてアオのもとに訪問者が現れる。差し向けたのは彼の姉とされ,その人物は<貴女>を連れ去ろうと試みるが……!?
アオの過去と“躾”の理由
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序盤における被験者 アオの言動として,目覚めた<貴女>に「よーしよし」と語りかける場面が確認された。一見穏やかな朝の描写であるが,“扱いの違和感”を強く印象づける。また,ダミーヘッドマイクを用いた音響により,距離感が極めて鮮明に伝わり,臨場感が増幅する点も特徴的である。
前半の日常描写では安定した様子を保ちながらも,随所に“狂気”の兆候が観察された。例として,好物である珈琲を飲む場面では,“<貴女>の爪”を一緒に焙煎していると淡々と語り,彼の歪んだ一面が早くも浮かび上がった。
加えて,プロフィールにも記載されていた“出生の事情”が次第に明らかとなる。幼少期から姉たちに蔑まれてきたアオが,具体的にどのような仕打ちを受け,彼女たちに対しどのような行動をとったのか。その一端が徐々に提示され,日常は不穏さを増していく。結果,60分の聴取は体感的に短く,緊張感に満ちていた。
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被験結果:case.I 鷹司アオ 各エンディングの考察
病室で意識を取り戻した被験者アオは,謎の獣人 たふねからある問いを受ける。その後,物語は大きな転換期を迎えるのであった。以下に各エンドの観察結果を記す(気になるエンドをクリックorタップしよう)。
3つの結末はいずれも異なる色合いを示していた。いずれの結末においても,アオの過去や想いが色濃く投影されており,聴取後には深い余韻が残された。
先行被験者のコメント
ここからは,4Gamerスタッフや関係者によるコメントを記録する。実際に聴取した者の率直な印象をまとめたものであり,購入を検討している読者や,すでに予約を済ませた者にとっても参考となるだろう。
Rejet 広報スタッフ
被験中,その愛が“人”としてなのか“犬”としてなのかという疑問はあれど,どの90分間を受け取ってもすごく愛されていると感じさせてくれるのがアオさんです。
一見クールな彼ですが,ふとした瞬間に見せる柔らかい声音や微笑みが甘くて甘くて……一瞬で「人だろうが犬だろうがもうどっちでも構わない」という気にさせられます。
この甘々があるぶん,彼が内に抱える厳しさや歪んだ一面がより強烈に印象づけられるわけですが,要所で甘く深く愛を感じているからこそ厳しく手酷くされることにすらも愛を感じる。これぞRejetマジック!
「犬なのにそんなことまでされちゃっていいんですか!?」というようなご褒美シーンもたくさん盛り込まれているので,顔に出やすい方は用法用量+聴く環境にもお気をつけください!
Rejet 販売スタッフ
彼から見たら人なのか,犬なのか。
もはや犬でしかないのではないかと思うような描写やセリフ,音の数々に終始惑わされてしまいました。
冒頭を聴いただけでは分からず,謎を抱えたまま進んでいくストーリーにワクワクとドキドキを感じるのも,この作品の良さだと思います。
背景や現状をストーリーが進むごとに知っていくなかで,苦しさや切なさを感じる場面が多々ありました。
どのルートも聴き入ってしまう展開で,とても好きな10年ほど前のあのころのRejetが浮かぶ展開もあり,個人的に懐かしい気持ちにもなりました。
それから,幸せな結末だけではないところにも良さを感じました。
Rejet 営業スタッフ
シナリオを先に読んでいたのですが,アオはもっと静かで冷静な人だと思っていました。
しかし,実際に声で聴くと想像以上に感情豊かで,人間味のある人なんだなと認識をあらためました。
普段は落ち着いた低い声なのに,激情の瞬間には一気にトーンが変わります。
その感情の振れ幅が本当に魅力的です。
あなたのことを正真正銘“犬”として扱う彼ですが,その声の奥には冷静さの裏に潜む狂気や独占欲,そしてどこか切ない優しさが共存しています。
ダミーヘッドマイク収録ならではの息遣いや囁きの湿度も相まって,まるで現実で支配されているような感覚。
穏やかなトーンから一転,ゼロ距離で囁かれる瞬間は本当に圧倒的。
これぞ“聴く倒錯”という言葉がぴったりで,非常におすすめです。
これを聴く<貴女>は“犬”であるわけですが,おさんぽ中の視聴は,自己責任でお願いします(笑)。
Rejet 製造スタッフ
Rejetらしい,癖の強い世界観が光る作品でした。
ただのハッピーエンドでもバッドエンドでもない終わり方が,心に静かな余韻を残します。
きっと,雨の日にはアオのことを思い出してしまうはず。
複雑に絡み合う物語だからこそ,聴けば聴くほど「OVERNIGHTZ」の世界やアオの心情が見えてきて,リピート必至!
公式サイトの人物紹介でアオのことを知ってから聴くと,より深く「OVERNIGHTZ」の世界に沈み込めると思います。
アオの倒錯した愛に支配され,「ポチ」と呼ばれる。
そこに愛があるのなら――そんな歪で幻想的な世界も,案外悪くないのかもしれません。
ステラワース スタッフ
ありそうでなかったこのシチュエーション……!
名家の跡取り,人の上に立つ存在としての威厳,他者を寄せ付けない迫力のある“鷹司アオ”というキャラクターの魅力もさることながら,そんな彼が“犬”である“ヒロイン”にだけ見せる面があまりにも愛おしい……!
Rejetから発売している別シリーズで「エム猫ちゃん」や「雌豚」と呼ばれたことはありますが,実際に犬扱いをされながら囁かれるのは人間として聞く時と違う感情が沸き上がる気がしました。
飴と鞭という言葉がありますが,鷹司アオくんの対応はまさにそれだな……と思うほど,いろいろな面を見せてくださるのが個人的な推しポイントです。
ヒロインにだけ甘いのかと思えば“飼い主”として厳しく“躾”だと接してくる……一言しゃべるごとに次は一体どんな彼が見られるだろうかと続きを聞くのが楽しみになるシナリオです。
そうして彼の魅力に触れていくとだんだん世界観が見え始め,彼からの接し方にも変化が……。
小説を1冊読んだような重厚感のあるストーリーは繰り返し聞くたびに新しい発見があって,何度もリピートしたくなります。
印象的な雨の音などのSEやBGMで彩られた独特な世界観が癖になる作品です。
4Gamer ばしょう
わたしは,あえてあらすじを読まずに音声を聞きました。
「ポチ」のことを最初のトラックでは,本当に犬だと思って聞いていたのですが,少しずつ「おかしい」と感じ始め,真実に気付いたとき,思わず「うわぁ」と声を上げることに。
本当に「ポチ」が犬だったら,良い過保護っぷり……と思っていたら狂気的な一面も飛び出してきて,正直に言うと恐ろしい! ですが,救いがありそうな穏やかなエンディングも用意されており,ほっとしたのでした。
小野友樹さんの演技が素晴らしく,淡々とした口調がRejetらしい作風にとてもあっていました。
4Gamer さがさん
久しぶりにダミーヘッドマイクの破壊力に震えました。
ふとした瞬間に狂気がのぞく――そのギャップにゾクッとします。彼と<貴女>の関係も独特で,甘さのなかに緊張感があり,耳が離せません。エンディングがそれぞれ違うのも面白く,個人的には救いのある展開が好みです。
Rejetらしいドラマティックさをたっぷり味わえる1枚。「あぁ,やっぱりこの世界観だな」と思いました。
4Gamer 芥川
ずっと待ちわびていました。本当にありがとうございます。
このときのために気持ちを温めてきたのかもしれません。
今日までこの作品を追いかけてきたのは,きっとこの胸の高鳴りに出会うためです。
もしこの世界で独り占めしていただけるなら,ほかには何もいらないと思いました。
もっと強く導いてください。
ヘッドホンから響く声に心を揺さぶられるたび,私は現実を忘れて没頭していました。
この作品が与えてくれる体験は,優しさも切なさも,すべてが鮮烈です。
Rejetの作品を知ってから,これ以上に胸を高鳴らせる世界はありません。
もっと与えてほしい,でも焦らしてほしい。
そんなふうに思わせてくれるのは,この作品だけです。
ありがとう,Rejet。お帰りなさい,私の狂(シア)わせ。
私の理想の狂気(アイ)が帰ってきました。
また新しい毎日を彩ってくれることを楽しみにしています。
総じて「case.I 鷹司アオ」は,歪みを抱えつつも愛を求め続ける彼の姿が強く印象づけられ,聴き手の心を揺さぶる内容であるとの感想が多かった。エンディングごとに異なる“愛のかたち”が描かれており,解釈が聴取者の数だけ広がる点も,本作の特筆すべき魅力である。
次回は,11月発売予定の「case.II 裏辻リノ(CV.吉野裕行)」を取り上げる。新たな被験者がどのような物語を見せてくれるのか――アオ編とはまた違った衝撃が待っていそうで,続報に期待してほしい。
「OVERNIGHTZ」公式サイト
(C)Rejet