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「BIOHAZARD Survival Unit」のリリースを控える橋本真司氏が,グローバルIP時代におけるプロデューサーの役割を語る[G-STAR 2025]
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同氏は,バンダイ時代は「橋本名人」として知られ,スクウェア・エニックス時代は「FINAL FANTASY」シリーズなどをプロデュースしてきた。
定年退職後はソニーグループに移り,現在は11月18日にリリースされる「BIOHAZARD Survival Unit」(iOS / Android)のエグゼクティブプロデューサーを務めている。
プロデューサーとディレクターの関係性
橋本氏はまず,プロデューサーとディレクターの関係性について語った。同氏によれば,ディレクターは「ダイヤの原石」であり,プロデューサーの役割はダイヤが輝けるように環境を整えることだという。
「ディレクターにビジネスのスキームや予算管理を押し付けるのは難しい。そうした面倒なことを全部引き取るから,いいものを作ってくれというスタンス」と同氏は説明する。
プロデューサーは,お金を借り,それに利子を乗せて返済し,次の投資を得るというサイクルを回し続けなければならない。
一方で,そうしたプレッシャーがディレクターに波及すると,ゲームの根幹が揺らいでしまうことがある。「利益を確保したい投資家や会社と,いいものを作りたいディレクターとの間で板挟みになるが,花開くまで耐え忍ばなければならない」と,プロデューサーの苦労が語られた。
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グローバル展開の方法
橋本氏は,グローバル展開の方法についても言及した。「BIOHAZARD Survival Unit」は,韓国のJOYCITYが開発を担当したが,海外企業といちからスマホゲームを作るのは,同氏にとって初めての経験だったという。
「ずっと日本にいると分からないが,国によってノウハウは全然違う。コンシューマがメインの国もあれば,スマートフォンやPCがメインの国もある」と各国の違いを強調した。
グローバル展開を実現するには,「それぞれの国で味方を作ること」が重要だという。必ずしも社員である必要はなく,フリーランスでも構わない。「自分にとっての味方を世界中に作っていく。人数の多さではなく,仕事しやすいパートナーを見つけることが重要」と語られた。
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新作スマホゲーム「BIOHAZARD Survival Unit」は,「バイオハザード」を戦略ゲームとして再解釈した作品だ。戦略ゲームにスキンをかぶせただけのものにせず,原作シリーズの要素を詰め込み,スマホでも恐怖を味わえるような工夫を詰め込んでいる。開発のキーパーソンに話を聞いてみた。
納期を守ることの重要性
橋本氏は,納期を守ることの重要性も指摘する。「1か月スケジュールが延びると,その分の給料を支払わなければならず,損益分岐点が変わってしまう。納期がずれることがプロジェクトにとって最大の危機になる」と説明する。
「あと1か月あれば,すごくいいものになるという話は100万回聞いた」と苦笑しながらも,延期すればするほどコストが上がり,プロデューサーの首を絞めることになると述べた。
一方で,数多くのタイトルを手掛けてきた中で,「もう少し粘ればよかった」といまだに後悔しているものもあるそうだ。納期とクオリティの狭間で,プロデューサーは常に難しい判断を迫られている。
また,プロデューサーが管理すべき要素として,橋本氏は「ヒト・モノ・カネ」を挙げる。とくに重要なのが「キャスティング」だ。
ここでいうキャスティングとは,声優やタレントだけでなく,プログラマー,ディレクター,キャラクターデザイナーなど,チーム全体の人選を指す。数百人規模のチームでは,セクションごとにリーダーを決め,彼らと毎週打ち合わせを行い,プロジェクト全体を把握していくという。
「ほぼ毎日相談される。一人ひとりの悩みを,チーム全員分聞かなければならないので,スタートからゴールまで本当に長い旅だ」と,プロデューサーの宿命を語った。
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これからゲーム業界を目指す人へ
橋本氏は,これからゲーム業界を目指す人に向けて,「プロデューサーの責任は重いが,全体が見渡せるので楽しい。完成して売れたときの喜びは何物にも代えがたい」と,やりがいを強調する。
世界中のイベントに参加する中で,「あのソフトに出会って,人生が変わった」と言われたこともあるという。「自分が関わったコンテンツが役に立ち,人生の励みになったと言われたときは,やっててよかったと思う」と語った。
一方で,現在のゲーム業界の厳しさにも触れた。「昔は5タイトル中,1つや2つ失敗しても次のチャンスがあったが,今は未来の保証がない」と,シビアな現実を指摘する。それでも,「保証がないから辞めるのか。やりたくて業界に入ったのだから,精神的に負けてはダメだ」と,諦めない姿勢の重要性を訴えた。
講演の最後に,橋本氏は「プロデューサーに最も大切なのは,人とのコミュニケーション能力」だと述べた。「100億単位のプロジェクトでは,行ったことがない,話したことがないと言っている場合ではない」という。
世界中のファンに届けるためには,プロデューサーが現地に行って直接状況を把握することも求められる。「教えてもらうこともできるが,自分で見たほうがいい。プロデューサーの行動力とコミュニケーション能力はすごく重要だ」と強調し,講演を締めくくった。
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(C)CAPCOM (C)Aniplex Inc. (C)JOYCITY Corp.
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