インタビュー
五行元素を操るダイナミックなバトルでフィールド破壊も可能。東方のスチームパンク×オープンワールドアクションRPG「逆神者」合同インタビュー
[CJ2023]目指すテーマは“東方のスチームパンク”。オープンワールドアクションRPG「逆神者」の開発プロデューサーが語る4つのポイント
SIE上海は,ゲームイベント「ChinaJoy 2023」に合わせて,「China Hero Project」の第3期タイトルを発表した。その中の1つであるオープンワールドアクションRPG「逆神者(The God Slayer)」について,開発元であるPathea Gamesのプロデューサーに詳しく紹介してもらった。
今回公開された最新の実機映像では,古代中国の建築物が立ち並ぶ東方スチームパンクのオープンワールド,五行元素を操るアクション,そして世界観に関わるストーリーの一端が披露された。
開発者によると,本作の舞台は完全な架空世界だ。建築や衣装は中国・明王朝を基盤にしつつ,「もし蒸気機関がこの時代に誕生し,産業革命が300年早く訪れていたら」という前提で構築しているという。
そのため,明王朝風の街並みに蒸気管が張り巡らされ,河川を渡る巨大な橋や自動車,さらには支配階級が運用する飛空艇まで登場する。
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戦闘では,主人公が五行に基づく4つの元素を自由に切り替え,多彩なアプローチで戦える。映像では,金行の力で鉄塔を折り曲げて水を噴出させ敵を押し流したり,散水した地面を凍らせて動きを封じたり,石柱をせり上げて防御壁にしたあと,そのまま射出して攻撃に転じるといったシーンが確認できた。
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さらに,太極拳や短勁を思わせる武術的な動きが盛り込まれており,アクション表現にも強いこだわりが感じられる。
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2025年11月22日〜23日に中国・上海で開催されていたインディーゲームイベント「WePlay Expo 2025」では,本作のプレゼンテーションおよび合同インタビューが行われた。今回はPathea Gamesのバイスプレジデントである鄧 永進氏(以下,鄧氏)に,本作のシステムや開発方針をうかがった。
――最初の発表時と比べてロゴが変わっていますが,その理由を教えてください。
鄧氏:
当初は毛筆書体をベースにしたロゴを使用していましたが,他作品とイメージが重なり,個性が出しにくかったんです。そこで今回は幾何学的なモチーフを多く取り入れ,スチームパンク色を強めた新デザインに一新しました。
![]() 発表当時のロゴ |
![]() 今回のロゴは幾何学模様を取り入れ,テーマ性をより強調したデザインとなっている |
――世界観の基盤に「明」という時代を選んだ理由を教えてください。
鄧氏:
明王朝は歴史資料が非常に豊富で,当時の社会構造や生活様式が細かく残されています。「蒸気機関が明の時代で誕生したら何が起きるか」を考察するうえで参照しやすく,想像の幅も広がります。多くの道具を再構築するには,細かな考証が欠かせないため,設定上扱いやすい時代でした。
とはいえ,史実に基づく物語を描くわけではなく,あくまで架空世界として構築しています。
――そういった世界に,西洋風の国家は存在しますか。
鄧氏:
世界そのものは架空ですが,西洋的な影響を感じる要素は多く登場します。飛空艇はその代表例で,中国には存在しない技術であり,用途やデザインも西洋色の強いものになっています。
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――映像では都市部のシーンが多いですが,都市以外のフィールドもあるのでしょうか。
鄧氏:
もちろんあります。序盤のチュートリアルは郊外の村や峡谷を舞台にしており,峡谷は中国・重慶観光地「金刀峡」がモデルになっています。ただ,物語の中心は大都市に置いています。
――プレイ映像ではオブジェクト破壊が印象的でしたが,破壊後の状態は保持されますか。
鄧氏:
状況によります。特定エリアでは,プレイヤーが先に破壊していても,関連するミッション開始時にオブジェクトが初期化されます。家屋が燃え広がるなど,火や水に反応するギミックもありますが,ミッションに支障が出ないよう調整しています。
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しかし,物理反応を完全再現するのは難しいため,扱える規模に絞ったギミックを配置し,戦闘のサポートとして機能させています。
――フィールドとのインタラクションは多彩になっていますね。その膨大な作業にAIを使っていますか。
鄧氏:
開発時の参考としてAIを使用することはありますが,ゲーム内ではAIジェネレーションによるアセットを採用していません。
――オープンワールドのレベルデザインについて教えてください。
鄧氏:
大規模なオープンワールドの経験者が国内には少ないため,レベルデザインは難しいです。そこでエリアを「モジュール化」し,主要ミッションをクリアすると新エリアが開放される形式を採用しました。メインルートは設定しつつも,複数の進行経路を想定し,どのルートでも自然にイベントが発生するよう調整しています。
ただ,オープンワールドはプレイヤーの自由度が高い分,行動の予測が非常に難しくなります。例えば,ボス戦が3階にあったとして,本来なら1階から順に進むところを,何らかの方法でいきなり3階に到達する可能性もあります。そうしたケースでも戦闘が正常に開始されるよう設計しています。
――開発拠点が重慶とのことですが,街づくりにも影響していますか。
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大きく影響していますね。山と川に囲まれた地形や,川に架かる巨大な橋といった要素は,いずれも実在の風景を参考にしています。また,川沿いに広がる商業区は,観光地としても知られる「洪崖洞」をモデルにしました。
開発初期の段階から「高さのある街並み」を作る構想はあったのですが,古代中国の技術設定のままでは高層建築が成立しません。そこで,世界観との整合性を持たせるために蒸気機関の存在を組み込み,建築技術が発展した理由づけを行っています。
――スチームパンクといえば「ランドマーク」のイメージがあります。都市はランドマーク中心のデザインですか。
鄧氏:
基本は現実寄りの建築にスチームパンク要素を重ねる形です。ただし,特異な「神」の存在を示すため,一部にはランドマーク的な構造物も配置しています。
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都市は商業区,工場区,スラム街など複数エリアで構成され,各地で異なる雰囲気を味わえるようになっています。今回の映像は商業区エリアで録画したもので,スラム街になると建物もおんぼろ屋が中心になります。
――プレイ映像を見たところ,室内にも入れるようですが,そういった建物は多いのでしょうか。
鄧氏:
扉や窓が開いている場所は基本的に探索可能です。
――同じシーンで,主人公に食事が邪魔されたNPCの反応が非常に豊かでしたね。
鄧氏:
ええ,NPCには「勇気」などのパラメータを設定しており,値が低ければ逃げ出し,高ければその場に残って見物したり,極端に勇敢なNPCは戦闘を手助けしてくれることもあります。
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――主人公は常に仮面を着けていますが,素顔の姿で行動する場面もありますか。
鄧氏:
あります。主人公はバットマンのように「二つの顔」を持っています。仮面は神権に抗う反抗者としての姿,素顔は一般市民としての顔です。NPCへの聞き込みや,人助けなど市民でなければ進められない要素も存在します。
――市民の姿で戦闘に入ってしまったらどうなるかを教えてください。
鄧氏:
オープンワールド系のゲームをご想像いただければ近いです。主人公は素顔で戦闘を始めると「罪悪ランク」が上昇し,治安維持部隊(警察的な存在)が出動して追跡されます。こうなるとなんとか罪悪ランクを下げる必要があります。
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神による統治下の都市は表面上こそ平和ですが,内部には厳しい監視体制が敷かれています。
――タイトルにも「神」がありますが,統治者が神格化された存在を意味するのか,それとも本物の神なのでしょうか。
鄧氏:
本物の神ですよ。本作の世界は神によって創られ,人々には「気」が宿っています。そして寿命を迎えると,神がその気を回収します。しかし,気を五行元素に変換して操る「エレメンサー」の登場によって均衡が崩れました。
気を変換して使用する度に,神が回収できる量が減ってしまいます。それが神の逆鱗に触れ,エレメンサーは脅威と見なされ,大量虐殺が行われました。主人公はその事件「神誅の日」で両親を失い,ここから物語が始まります。
グローバル展開を目指しているので,どの国のプレイヤーにも分かりやすい世界観と物語にしています。作品の魅力を感じてもらえたらうれしいです。
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――戦闘での元素切り替えについて教えてください。
鄧氏:
本来は五行すべてを入れたかったのですが,ゲームパッドのボタン数の都合で「金・水・火・土」の4種に絞りました(笑)。トリガー+ABXYの組み合わせで即時切り替えできます。
![]() 土行の力を応用し、手に岩を纏わせれば攻撃力を高められる |
![]() 石柱をせり上げることで、炎攻撃を遮る防壁を作る |
元素の応用は開発陣のアイデア次第ですね。たとえば石柱を隆起させれば防御壁になりますが,そのまま飛ばして攻撃にも転じるよう設計しています。
――異なる元素による相互作用はありますか。
鄧氏:
一部の場面では反応します。例えば炎上する場所へ水を当てると,蒸気が立ちこめ視界を遮るなど,特定の組み合わせには効果があります。ただし全パターンを網羅しているわけではありません。
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――戦闘における成長要素は?
鄧氏:
序盤,主人公は火行の技しか使えません。師父に鍛えてもらい,ほかの元素の使い方を習得していきます。成長しながら立ちはだかる強敵を挑んでいく流れです。
――反乱軍,二つの顔,都市探索といった要素が「アサシンクリード」を連想させます。本作も同様にマップ上に注目ポイントでコンテンツを埋めていくのでしょうか。
鄧氏:
「アサシンクリード」シリーズと比べると,本作のメインストーリーはもう少し長くなります。サブコンテンツについては,注目ポイントとしてマップ上に表示されるものと,プレイヤーが自力で探索して発見するものの両方があります。
もちろん「アサシンクリード」は私たちが参考にした作品の一つですし,そのほかにも「ウィッチャー3」,さらには「アバター 伝説の少年アン」というアニメ作品もあります。プレイ映像をご覧になれば,それぞれの影響を部分的に感じてもらえると思います。
――「アバター」のように,元素を極めると派生能力を得るような進化はありますか? たとえばファイアーベンダーが炎を極めれば,雷も扱えるような要素。
鄧氏:
RPGとしてステータス成長はありますが,「火を極めると雷になる」といった派生要素は現状ありません。アニメ「アバター 伝説の少年アン」から多くの着想を得ていますが,影響が強すぎることを避けるため,別方向のアプローチを模索しています。
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また,当初はソウルライク寄りの設計も検討しましたが,目指す方向性と異なるため採用していないので,ソウルライク作品にもなりません。あまり難度を高くせず,格好よく気持ちよく戦えるアクションRPGを目指しています。五行元素の組み合わせで独自のゲーム体験を提供したいと考えています。
――現時点でのプレイ時間はどれくらいでしょうか。
鄧氏:
主線と支線を含めておよそ40時間を想定しています。スムーズに進めた場合の目安です。
――Pathea Gamesは「My Time at Portia」などサンドボックス系の印象が強いですが,本作のような大作志向に踏み切った理由は?
鄧氏:
単純に面白そうだからです。現実的な話をすれば,成功すれば大きな収益も望めます(笑)。「Portia」路線を続ける選択肢もありましたが,より大きな目標に挑戦したいというのは,クリエイターの性です。
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「My Time At Portia」や「My Time at Sandrock」の売上は好調だったものの,さらなる挑戦を支えるには十分ではありませんでした。そこで,次のステップにふさわしい規模の作品として「逆神者(The God Slayer)」を選んだのです。
――ありがとうございました。
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