
インタビュー
[インタビュー]「METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER」は初めて触れる「メタルギア」として,リスペクトを胸に開発を進めている
会場では,「メタルギア」シリーズ 制作プロデューサーを務める岡村憲明氏,クリエイティブプロデューサー 是角有二氏,「FOX HUNT」担当ディレクター 佐原 祐氏の合同インタビューも行われ,名作のリメイクにかける思いやコンセプトが語られた。
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[プレイレポ]「METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER」は美しいグラフィックスと新たなプレイスタイルにより,シリーズの始まりを描く
![[プレイレポ]「METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER」は美しいグラフィックスと新たなプレイスタイルにより,シリーズの始まりを描く](/games/709/G070966/20250812053/TN/001.jpg)
ステルスアクション「メタルギアソリッド3」のリメイク作品「METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER」が2025年8月28日に発売される。現行機のグラフィックスと三人称視点の「NEW STYLE」により,シリーズの始まりが新たに描かれている。
「METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER」公式サイト
――今回のリメイクについて,ユーザーに伝えたいことはありますか。
岡村憲明氏(以下,岡村氏):
原作をプレイされた方から,初めてシリーズに触れられる方まで,すべての方に魅力を伝えたいということで開発を進めました。
すでに原作を遊ばれた方には,現代のハードウェアでアップデートされたキャラクターたちの活躍で感動を味わっていただきたいです。そして,初めて遊ばれる方には予備知識なしで楽しんでいただけるものになっています。
シリーズの歴史も長くなっていますが,本作は作中の時間軸としては原点に位置する作品ですので,ぜひ遊んでいただきたいです。
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――原作は20年前の作品です。リメイクの開発ではどのように原作をリスペクトしつつ,今の時代に沿ったものにしたのでしょうか。
是角有二氏(以下,是角氏):
今回のリメイクは「グラフィックスを進化させただけでも,良いものになるだろう」ということで,開発がスタートした経緯があります。しかし,グラフィックスが変わっただけでは違和感も生じてしまいますので,システムやアニメーションなど,いろいろな部分を丁寧にアップデートしていくことになりました。
――「バイオハザード RE:2」のように,他社のリメイクではゲームデザインそのものを変えた例もあります。今回のリメイクでも,このような選択肢を検討したのでしょうか。
岡村氏:
もちろん検討はしましたが,今回のリメイクについては足すようなイメージ自体が浮かばず,「原作をそのまま出したい」と考えました。
「メタルギア ソリッド 3」としてのストーリーは,原作で表現されているとおりのもの。そして,お客様がストーリーに触れるためのツールとしてのゲームシステムを考えたとき,原作から変える意味があまりないと思ったんです。
仮に,今後我々がすべての「メタルギア」シリーズのリメイクをするとしても,今回のような形が良いのではないかと考えます。実際は作品によって,最適なやり方が変わってくるとは思いますが。
――原作の時点で完成度が高く,現代に通用するということなのでしょうか。
岡村氏:
そうです。そのうえで,新しいお客様がシリーズに触れていただく作品にしたいというリメイクのコンセプトが決まりました。初めてシリーズに触れていただくなら,評価も非常に高く,物語の時系列としても最初の時点にあたる「メタルギア ソリッド 3」がいいだろうと,リメイクが進められたんです。
実は,今回のリメイクが始まったきっかけの1つには,「メタルギア」シリーズをご存じないお客様が増えていることにあります。シリーズの歴史はMSXの2D表現から始まり,「メタルギア ソリッド」で3Dとなり,映画のようなムービーが入り,ある意味でビデオゲームの歴史そのものでもあると思います。
シリーズを残していかなければならないし,新しいお客様に遊んでいただきたいと考えたんです。
当時のままのものは,すでに発売された「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION」で体験していただけます。この状態から,映画のようなゲームに慣れた現世代のお客様に触れていただくということで,グラフィックスの向上や新要素を加えた現在の形になりました。
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――レベルデザイン自体は原作から変えていないとのことですが,やはり小島秀夫監督を尊重する意図が大きいということなのでしょうか。
岡村氏:
リメイクの方向性にはいろいろな形があると考えており,追加マップの実装やレベルデザインの変更についても議論を行いました。
ただ,当時の原作を遊んだときの感覚は,シナリオだけではなくレベルデザインもセットになって表現されるものです。これこそが小島さん含めオリジナルスタッフの方々が表現されたかったことだろうから,しっかりと確実に届けさせていただくところから始めるべきではないか,というのが結論になります。
――アクセシビリティなどで,こだわったポイントはありますか。
是角氏:
現代風の三人称視点になった「NEW STYLE」と,従来どおりの俯瞰視点「LEGACY STYLE」を用意させていただいたほか,オプションにはいろいろな方に合わせたサポートもあります。
――NEW STYLEとLEGACY STYLEは視点の位置が大きく異なります。マップが同じならば,NEW STYLEは視界が良い分だけ簡単になってしまうことはないでしょうか。
是角氏:
おっしゃるとおりで,苦労した点の1つです。NEW STYLEにすると前方の視認性が大きくアップするため,射撃がとてもやりやすくなります。そのため,いろいろな部分のパラメータを調整して,原作の緊張感を保つようにしました。
すべての変更を細かくお話することはできないのですが,敵兵の視力や認識範囲,スネークのスタミナが減るスピード,発射された弾の挙動などを調整し,少しチャレンジングなものとしています。
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――ミニマップを常時表示することも可能だと思いますが,そうしなかった理由は何でしょう。
是角氏:
ミニマップは最初に試してみた変更の1つです。俯瞰マップのLEGACY STYLEには「上方向に進めばゴール」というルールが存在しますが,カメラがスネークの背後にあるNEW STYLEでは進むべき方向が分からなくなることもあります。
ミニマップも試したのですが,原作の体感を損ね,緊張感をスポイルする側面も明らかになりました。ある程度の方向のみを表示するのが最も良いバランスではないかということで,「コンパス」を実装した次第です。
――これはオリジナル版もそうでしたが,スネークのスタミナを回復するのが難しいところがあります。もっと簡単にするような選択肢はあったのでしょうか。
是角氏:
こちらも悩んだところです。サバイバル感を出すためには,オリジナル版と同じバランスが最適なのではないかという結論に至りました。
――これまでのシリーズにはFOX ENGINEが使われてきましたが,今回はUnreal Engine 5で開発しています。Unreal Engine 5の開発には,どんなメリットがあったのでしょうか。
是角氏:
Unreal Engine 5はライティングや,密度感を表現する機能が非常に強力です。FOX ENGINEはオープンワールドを開発するためのものでしたが,「メタルギア ソリッド 3」のリメイクにはUnreal Engine 5が最適であったということですね。
――グラフィックスは「画質優先」と「パフォーマンス優先」からモードが選べます。是角さんはどちらが好みでしょうか。
是角氏:
個人的には画質優先モードでしょうか。PS5 Proでプレイされるのであれば,画質はクオリティを維持しつつ,パフォーマンスが向上するメリットがあります。
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――試遊バージョンでは,原作になかった新しいボイスも発見できました。新録ボイスはどれくらい入っているのでしょうか。
是角氏:
操作が当時と変わっていますので,説明部分は原作と同じ声優さんに当時の演技をお願いして,収録を行いました。新録ボイスは「多くはない」という感じになります。
――ゲーム開始時に「あなたが好きなシリーズ作品」を聞かれましたが,選んだ作品によってどののような変化が起きますか。
是角氏:
原作に存在した仕様ですが,初期に所持しているユニフォーム,フェイスペイントが変化します。今回は,原作以降に発売されたシリーズ作品を新たな選択肢として加えてあります。
――原作にはさまざまな点で遊び心があり,小ネタも散りばめられていました。リメイクを進めて行く中で,あまり知られていなかった仕様を再発見するようなことはありましたか。
是角氏:
開発中はよく「ああ,こんな仕様あった!」という声が聞こえました。我々自身が忘れていた仕様も,バグチェックの際に報告が上がってきて,「当時もよくここでバグってたな」と思い出すこともありましたね。こうしたさまざまな仕様について,気づきにくいものはTIPSで紹介していたりもします。
――原作には「サルゲッチュ」とのコラボコンテンツ「猿蛇合戦」がありました。今回のリメイクでは「ボンバーマン」とコラボした「ボム蛇合戦」(Xbox限定)が追加されています。「ボム蛇合戦」の開発の経緯やコラボ相手が「ボンバーマン」になった理由,他機種展開の可能性について聞かせてください。
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是角氏:
「猿蛇合戦」がコラボコンテンツでしたから,新たに作るXbox限定コンテンツでも同様の取り組みが期待されるだろうということで,コラボものになることは最初から決まっていました。
コラボさせていただくIPについては,いろいろなアイデアが出ましたが,その中で挙がったのが「ボンバーマン」だったんです。弊社のIPであり,「猿蛇合戦」に登場するピポサルさんとの親和性もあるということで,「ボム蛇合戦」の制作が決まりました。
開発にあたっては,同じ会社ということでボンバーマンのモデルやモーションをスムーズに入手できました。すぐ実験に入ったんですが,ボンバーマンをボムで吹っ飛ばした瞬間に「これでいいじゃん!」と納得できるインパクトと爽快感があったんです。
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岡村氏:
他機種展開については,いろいろなプラットフォームで遊ばれている中,皆さんが喜ばれる方法はどういったものなのだろうといったことを考えていければいいなと思います。
――「FOX HUNT」モードはスニーキングが重視されることから,同様のコンセプトを持つ「メタルギア オンライン」のファンも注目しているようです。
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佐原 祐氏(以下,佐原氏):
「メタルギア」らしいかくれんぼの遊びを対戦ゲームとして拡張したもの……という点では「メタルギア オンライン」と同様です。スニーキング系ルールを好まれていた方々に,楽しんでいただけるものになっていると思います。
こうしたルールはほかのシューターにはあまりないので,「メタルギア オンライン」を遊ばれたことのない方も新鮮な気持ちでプレイしていただけるのではないでしょうか。
「METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER」,オンライン対戦モード“FOX HUNT”の配信時期が2025年秋に決定

KONAMIは本日(2025年8月8日),「METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER」に搭載予定のオンライン対戦モード「FOX HUNT」の配信時期が2025年秋に決定したと発表し,新たなスクリーンショットを公開した。
――会場で公開された映像には,カムフラージュで周囲に紛れ込み,思いもよらないところから現れるようなシーンがありました。実際のプレイ中に同様のシチュエーションは発生するのでしょうか。
佐原氏:
詳細はまだお話できないんですが,映像にあったようなシチュエーションはテストプレイでも実際に発生しています。試合後に自分たちで動画を見返していても,「こんなところに隠れていたのか!」と新鮮な驚きがありますね。
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――今後,「FOX HUNT」モードのテストなどが行われるのでしょうか。
佐原氏:
現時点ではまだお伝えできることはありません。今後の発表をお待ちください。
――これから「メタルギア」に触れる人に向けて,とくに力を入れた点などを教えてください。
是角氏:
ここから「メタルギア」の物語が始まっていくので,初めての方もスムーズに入っていただけるでしょう。ゲーム性や操作方法,シリーズ特有のいろいろな小ネタ,気づきにくいような攻略法などはTIPSで解説しており,表示頻度を調整することも可能です。ぜひご活用いただければと思います。
――ありがとうございました。
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※ゲーム画面は開発中のものです。
「METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER」公式サイト
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(C)2025 Sony Interactive Entertainment Inc. Ape Escape and Piposaru are trademarks of Sony Interactive Entertainment Inc. (C)Konami Digital Entertainment
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