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インディ開発者のためのイベント「CREATORS\'PLAYGROUND」をレポート。開発者が共に遊び,語り合う大切さを確認できた場
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印刷2025/06/23 10:00

イベント

インディ開発者のためのイベント「CREATORS'PLAYGROUND」をレポート。開発者が共に遊び,語り合う大切さを確認できた場

 インディーゲーム開発者向けイベント「CREATORS'PLAYGROUND」(くりぷれ)が,2025年6月8日に神奈川県の横浜デジタルアーツ専門学校で開催された。

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 このイベントは,インディーゲーム開発者がお互いのゲームをプレイし合う交流イベントだ。一般向けのイベントでは,ブースの向こう側にいて参加者に対応している開発者たちが,純粋にゲームを楽しみ語り合う“熱い光景”がそこにはあった。

 本稿ではイベントの様子と,主催者である城雅音 武(しろがね・たける)氏@newfrontia),共同主催であり,東京ゲームダンジョンでおなじみの岩崎匠史氏@iwski)の談話をお届けする。

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 まずは会場にいた開発者の様子から。撮影の許可をいただけた人物を紹介していこう。

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終末世界で謎の生き物を育てるアドベンチャー「CultureHouse」の作者フツララ氏(@yasukiwatanabe)。やはりというか,一味違った雰囲気のゲームをプレイしていた。7月に開催されるCEDEC 2025では,ライトニングトークのコーナーで講演するとのこと

多分野で活動するライターで,インディーゲーム開発者でもある葛西 祝氏(@EAbase887)は,「失認 AGNOSIA:REALITY CONTROL ACT 1」を展示しつつ,その横で“開発中の自身自身”を見せるという面白い試みをしていた
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取材中,筆者に声をかけてきたNESTEDGE代表の殿崎 悟氏。氏は「チェインクロニクル」に続くチェインシリーズ第2弾「ワールドチェイン」のディレクターなどをつとめた人物。今回は,開発者との接点を求めて来場したとのこと

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[2016/09/05 12:30]

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「ウンコテクニカ」の作者であるうどんぱ氏(@udonpa)は,珍しくお面を外していた。もちろん素顔の撮影はNG。「早く排泄,いやリリースしたいです」と語っていた

 会場では,開発者たちが同じ目線でゲームデザインについて語り合ったり,ときには目の前で発生している不具合の再現性を調べたりしていた。
 それを目にした筆者も,思わず「面白そうなお話をしてますね」と会話に加わらせてもらうこともあった。普段よりも「個人の意見」を口にしていたので,今にして思えば,インディー開発者に自説を語る「説教おじさん」になっていたのではないかとゾッとする。杞憂だといいのだが……。

 以下は筆者が触れたゲームの一部だ。フラッシュ的に紹介していこう。

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Zef氏(@ZeF_games)の作品「黒くないカギで開かないドアはない」は,画面に表示された否定文を「否定」し,二重否定で解くアクションパズル。文中の語句をクリックするといろいろ起こる。6月中にSteamで体験版を出す予定とのこと

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あるの氏(@alnyan)が出展していた「トットと魔法のスープ」は,スープのレシピを探して石化したネコたちを助けていく,ストーリーを追うタイプのRPGだ。Steamに関するアドバイスを求めていたが,回答は得られたのだろうか

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したかみ氏(@CCPJ_a)が展示していた「美ら海VR」(ちゅらうみVR)は,海中で魚と触れ合ったりする感覚を味わえる作品だ。また,作中で使われている魚群制御の方法について解説する本も展示していた

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東京工科大学の学生・有竹氏(@AritakeLAB)が制作する「ハヤツバサ」はVRゴーグルをかぶり,うちわを付けたコントローラを振ることで,翼ではばたく手応えを得られる飛行体験シミュレーター。飛ぶスピードに応じて前方のファンから吹く風の強さまで変化する,かなり本格的な内容だった

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サザガレ氏(@SAZAGARE546)の「POP IN BLUE」は,画面の手前に向かって,足場をジャンプしながら登っていくゲーム。筆者は“壺おじ”こと「Getting Over It with Bennett Foddy」を思い出したが,じつは「Downwell」にインスピレーションを受けたらしい。まだ仮のビジュアルと語っていたが,その抽象的なところに惹かれるものがあった

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葛西 祝氏の「失認 AGNOSIA:REALITY CONTROL ACT 1」(外部サイトリンク)は,電車内で視線を動かし,いろいろなものを「見る」ことで進行していく。ライターでもある氏が,テキストではなくインタラクティブな形式で描きたかった「体験する現代詩」だ

 開発者同士の交流は,一般的なインディーゲームイベントでの会場や,そのイベントを終えてからの打ち上げなどでも行われているが,今回のイベントでは各々の作品が目の前にあることもあってか,それを介した密なコミュニケーションが自然と生まれる場となっていた。

 では最後に,イベントを主催した城雅音氏と岩崎氏の談話をお伝えする。

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城雅音 武氏(右)と岩崎匠史氏(左)

4Gamer:
 まずはイベントの開催に至った経緯をお願いします。

城雅音 武氏(以下,城雅音氏):
 会場となった横浜デジタルアーツ専門学校では,毎月「新横浜インディゲームもくもく会」が行われています。それもあってか,同校の方からは「開発者同士のコミュニケーションを取れる場として,この会場を活用してほしい」というお話を頂いていたんですよ。

岩崎匠史氏(以下,岩崎氏):
 2024年末に,サイバーエージェントさんと一緒にインディーゲーム開発者たちの忘年会を行いまして,そのときに今日と同じような,お互いのゲームを遊びつつ自由に話せる場を作ってみたんです。
 そこで協力してくださった城雅音さんが,このようなイベントが求められているんじゃないかと考えてくれたのも,きっかけのひとつですね。

城雅音氏:
 あの時はめちゃくちゃ盛り上がっていたんですよ。プレイ環境は10ブースくらいかな,と思っていたら,最終的に20ブースまで増えて。電源を引っ張ってきたりしつつドタバタやってました。
 やっぱり,通常のイベントだと,当たり前ですけどみなさん忙しくて話す時間がないんですよ……。挨拶しておしまいとかになってしまいがちで。

岩崎氏:
 私自身も,開発者同士がコミュニケーションを取れる場をずっと作りたいと思っていたんです。

4Gamer:
 岩崎さんは東京ゲームダンジョンを続ける中でだいぶ模索されてましたよね。イベント後に交流会を用意してみたりとか,作品のプレゼンテーションをみんなで見る会とか。

岩崎氏:
 そうなんです。ただ東京ゲームダンジョンも開催回数が増えてきて,自分の手が回らなくなってきたので,そちらは城雅音さんにお願いしようと思いまして。それに自分が主催の時と違って,遊べるのがいいですね。「ウンコテクニカ」をやっと遊べました(笑)。

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「ウンコテクニカ」をプレイする岩崎氏。この笑顔!

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「ハヤツバサ」も遊んでいた

4Gamer:
 あと,その人の作ったゲームを遊びながらだと,とてもお話しやすいですよね。それは取材をしている私も感じました。

城雅音氏:
 そうなんです。今日は上のフロアでもくもく会も行われていて,こちらにも自由に入れるようにしたんですけど,けっこう興味を持ってもらえたみたいです。小規模開発者は自作を人に遊んでもらったり,感想を話す機会がなかなかないんですよ。

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もちろん城雅音氏も,イベント運営の合間を見てゲームをプレイしていた

4Gamer:
 会場でもくもく会の参加者とお話する機会がありましたが,皆さん「次は参加してみたくなった」とおっしゃってました。

城雅音氏:
 あと開発者オンリーにするメリットとして,普段よりラフな感じというか,バグが出ても変に取り繕ったりせず,開発者同士なので大めに見てもらえるのもいいかなと。

岩崎氏:
 あんまり装わずに,すっぴんで出られる場みたいな(笑)。ブースの飾りつけやチラシの準備とかなしで,気軽にプロトタイプを出せる場は必要だと思っています。

4Gamer:
 このイベントは今後も継続していくのでしょうか。

城雅音氏:
 はい。まず7月に秋葉原で第2弾を開催する予定です。さらに10月には今日と同じ会場で,今度は学校の生徒さんの作品も展示する予定です。

4Gamer:
 岩崎さんはいろいろなインディーゲームのイベントに協力されていますが,何か理由はあるのでしょうか。

岩崎氏
 僕もひとりのゲーム開発者ですから,開発者仲間がいることや,仲間が喜んでくれることがうれしいんです。開発者に寄り添ったイベントのためなら,自分が持っているノウハウなどは惜しまずお伝えしようと思っているんです。
 東京ゲームダンジョンだけを大きくしたいわけではなくて,インディーゲーム界隈が活性化してくれたらという思いもあります。

4Gamer
 では最後に,主催である城雅音さんからひと言お願いします。

城雅音氏:
 このイベントは東京ゲームダンジョンに出展する前に,開発者同士でゲームを遊んだり,意見を交換したりする場としても活用してもらえたらと思います。
 実は「東京ゲームダンジョン試遊会」という名前も考えていたのですが,出展した後のフィードバックの場でもあるので,別の名前にしてみました。これからも引き続きよろしくお願いいたします。

4Gamer:
 ありがとうございました。


 2025年現在,インディーゲームという言葉の捉え方はいろいろだろう。小規模チームでニッチな需要に応えるゲームという認識や,一部には「ゲームの強力な売り文句」と捉える向きもあるかもしれない。
 しかし筆者は,既存の人気作にとらわれない……もちろん影響を受けていても構わないが,新鮮な遊びや物語を追求する「インディーゲーム」がもっともっと増えてほしいと感じている。
 たとえ作品が完璧でなくとも,あるいは商業的な成功を収めなかったとしても,そのユニークな発想や,果敢な試みそのものに,大きな価値があると信じるからだ。

 あなたの作品がほかの開発者の心に火をつけ,「僕もこんなゲームを作りたい」「私も新しい遊びを追求しよう」と促したなら,インディーゲームを愛する者,いやすべてのゲームを愛する者にとって計り知れないプラスとなるだろう。
 そう捉えるならば,個々のゲームの成功・不成功は,じつはそれほど重要ではないのかもしれない。
 「CREATORS'PLAYGROUND」が,今後そうした場として発展していくことを願ってやまない。

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最後は記念撮影。第1回「CREATORS'PLAYGROUND」はこれにて閉幕となった
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