
イベント
X(旧Twitter)でのゲーム関連投稿数は日本が1位。Xがゲーム業界に提示するコミュニティ戦略とは?
ソーシャルメディアプラットフォームとしてのX(旧Twitter)が,いかにゲーム業界における広告戦略とコミュニティ形成の中心的存在となっているかを,具体的なデータと事例を交えて解説された。
![]() |
最初にKobes氏が示したのは,Xの圧倒的な成長データである。月間アクティブユーザー数は前年比3%増の5億4800万人に達しているが,それ以上に注目すべきはデイリーエンゲージメントが90%増加している点だ。
あわせて動画視聴回数も38%増加しており,ユーザーがプラットフォーム上で単に情報を閲覧するだけでなく,積極的にコンテンツと関わり,より長い時間を費やしていることが数字として表れている。
![]() |
Xにおける会話カテゴリー全体を見ると,スポーツが1位を占めるものの,ゲームは2番目に大きな会話量を誇る。
Kobes氏は,Xがeスポーツイベントやスポーツイベント,カルチャー関連の主要な瞬間における「ゴールデン・プラットフォーム」として機能していると説明した。とくにゲーミングブランドにとっては,リアルタイムの会話が集中する場所として,最も重要な瞬間にオーディエンスへリーチできる,比類のない存在となっているそうだ。
![]() |
ゲーマーは常にゲームについて語ることを好む。X上のゲーム関連の会話は「常時オン」の状態にあり,毎日2000万件以上の投稿が発生しているという。この会話量は増加の一途をたどっており,ゲーム業界にとって無視できない市場規模を形成しているという。
世界の主要市場におけるゲーム関連投稿数のデータで,印象的だったのは日本の圧倒的な存在感だ。ゲーム関連の投稿数において,日本はほかの市場を大きく引き離してトップに立っている。
アクティブユーザー数ではアメリカが最大の市場であるにも関わらず,デイリーの会話数では日本が最大となっている。アメリカが僅差で2位に続き,タイは4位だ。
![]() |
東南アジアおよびアジア市場の存在感も強い。タイ,インドネシア,インド,フィリピンといった国々が,Xにおけるトラフィックを大きく牽引している。注目すべきは,日本,韓国,インドのような市場で,モバイルゲームが会話の構成比において非常に高い順位を占めている点だ。
つまり,東南アジア,韓国,日本でモバイルゲームを展開する場合は,Xの運用がかなり重要になることが示されている。
プラットフォーム別で見ると,PCおよびコンソールが最も高いレベルのポスト数を牽引しているものの,モバイルゲームが著しい成長を見せている。Xは,アクションアドベンチャー,RPG,格闘ゲーム,FPS/TPS,スポーツなど,あらゆるジャンルで会話の拠点となっているわけだ。
![]() |
Kobes氏は,2024年のトップゲームタイトルの多くが,アジアのどこかで制作・開発,またはパブリッシングされている点を強調した。
これは,アジアの市場や文化,ならびにアジアのゲーム収益化に対する業界全体の方向性を示している。トップのゲーム関連ハッシュタグも,アジアの文化が世界を席巻している状況を反映している。
Xのゲーミングオーディエンスの特徴として,その若さが挙げられる。ゲーミングオーディエンスの70%は35歳以下であり,X上のゲーマーの3人に1人はZ世代だ。彼らはプラットフォームで宣伝されたゲームを購入する傾向が強く,Xは単に適切なオーディエンスを引き付けるだけでなく,非常に価値のある長期的な顧客の獲得も支援しているという。
![]() |
実際,Xユーザーはゲームをダウンロードする可能性が13%高いというデータも示された。プラットフォームのオーナーであるElon Musk氏自身が,ゲーマー向けに構築されたプラットフォームを作ることに注力している点も,今後の展開において重要な要素となるだろう。
![]() |
講演の中で,Xが持つ瞬間的な影響力を象徴する事例として紹介されたのが,「グランド・セフト・オートVI」のトレイラーリークだ。
トレイラーがX上にリークされた際,わずか数時間で2000万回の視聴に達した。Rockstar Gamesはこの瞬間を捉えて正式なトレイラーを公開し,世界中の著名人やインフルエンサーによって投稿された。トレイラー公開を取り巻く2日間で,150万人以上が公式トレイラーを投稿またはリポストしており,オーディエンスがいかに反応したかが如実に示された。
講演の終盤で触れられたのが,X.AIとの統合による今後の展開だ。Xは最近,X.AIと提携し,現在は「X.AI holdings」という1つの会社に収束している。これにより,AIの力を利用して,広告主のキャンペーン最適化,ターゲットオーディエンスの獲得,ブランドセーフティ,および製品理解を支援できるようになった。近いうちにクリエイティブ最適化が導入され,AIを活用した広告体験を可能にするという。
![]() |
Kobes氏は講演の最後に,Xがローンチから維持に至るライフサイクル全体を通じて,エンゲージメント,認知度,コンバージョンを最大化するための製品を提供していると強調した。
何百万人ものゲーマーが常にエンゲージし,つながる準備ができており,見逃すことのできないユニークな瞬間を生み出し続けている場所――それがXだ,という主張であった。
![]() |
ゲーマーコミュニティは単なる受動的な存在ではなく,エンゲージメントを牽引するうえで必要な力となる。ゲーム業界にとって,Xを運用することの重要性は,今後もさらに高まっていくかもしれない。
「gamescom asia」公式サイト
4Gamerの「gamescom asia x Thailand Game Show 2025」記事一覧
- 関連タイトル:
講演/シンポジウム
- この記事のURL: