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拡大を続ける北米最大級のアナログゲームコンベンション「Gen Con 2025」会場レポート。コードネーム第2版や,LoLのTCGが初登場
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アナログゲームのイベントとしては,日本ではドイツ・エッセンで毎年開催されている「SPIEL Essen」が有名だが,Gen Conもまた1967年の初回から58年にわたって続く,歴史あるイベントである。扱われるタイトルもボードゲームにテーブルトークRPG,TCG,ミニチュアゲームと幅広く,北米地域のアナログゲームシーンを今なお強く牽引する存在であり続けている。
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会場自体も大規模で,メイン会場であるIndiana Convention Centerだけでなく,隣接するスポーツアリーナのLucas Oil Stadiumや,近隣のホテルでも行われている。いわば街の中心部がまるごと会場のようなものなのだ。
本稿では,そんなGen Conの現地の模様を写真と共にレポートする。活況を呈する北米アナログゲーム界の熱気の一端を,ぜひ感じてもらえたら幸いだ。
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「Gen Con 2025」公式サイト(英語)
今年も入場チケット売り切れの大盛況
年々規模を拡大しているGen Conだが,今年は例年を超える大盛況であった。
まず,入場にあたっては「バッジ」と呼ばれる入場チケットが必要なのだが,2024年に引き続き,開催前日の時点ですべてのチケットが完売。中でも多くの来場者が集中する金曜・土曜のチケットや,全日程を通しで参加できる4日券は,開催10日前に売り切れてしまったほどである。
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公式発表による総参加者数は7.2万人とのことだが,これは複数日参加した来場者を1人と数える,ほかのイベントとは異なるカウントの仕方が採用されている。正式発表はではないものの,一般的なのべ人数で数えれば25万人ほどに相当するという。
この参加者数だけでも,世界最大級される「SPIEL Essen」に勝るとも劣らない規模といえる。
Gen Con最高責任者が語る日米アナログゲーム事情。グループSNE・安田 均氏との対談から紐解く,日本の強みと未来の潮流

アメリカはインディアナポリスで開催された北米最大のボードゲームイベント「Gen Con 2024」。その最高責任者であるDavid Hoppe氏に話を聞く機会を得たので,本稿ではその模様をお伝えする。またグループSNE代表の安田 均氏にも同席いただき,日米のアナログゲーム市場について語ってもらった。
出展者数も増加した。昨年は540団体だった出展者数は,今年は575団体以上と発表されており,参加型イベントの数も2.4万件から3万件に増えている。来場者,出展者共に最多を記録したとのことで,昨年より着実にパワーアップしている。
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「コードネーム」第2版,LoLのTCG「Riftbound」など,注目タイトルが続々登場
ではイベント会場の様子を見ていこう。
販売ブースが立ち並ぶExhibit Hallでは,大手パブリッシャからインディーのデベロッパまで,今年も多くの新作が発表・展示されていた。そのすべてを紹介することはできないが,ここでは目立ったブースをいくつかピックアップして紹介しよう。
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ボードゲームではCzech Games Edition(CGE)の人気作「コードネーム」の第2版が発売されるなど,多くの新作が登場し,会場を賑わしていた。
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TCG関連では,人気MOBA「リーグ・オブ・レジェンド」のキャラクターが登場するTCG「Riftbound」がお披露目された。
今回はデモ版の公開のみだったが,「Riot Games Merch Store」での限定予約発売が8月4日にスタート予定で,さらに10月31日には一般販売も行われるという。日本語版発売は未定だが,来年以降に他言語への展開も検討しているとのこと。
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ミニチュアゲームでは,Catalyst Game Labsの「Battletech」シリーズの新作「Battletech Gothic」が発表されて,注目を集めていた。また老舗の「Warhammer」ブースでは,多くの参加型イベントやペイントチュートリアルなども開催された。
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テーブルトークRPGで目を引いていたのは,日本では「クトゥルフ神話TRPG」として知られる「Call of Cthulhu」で有名なChaosiumの創業50周年展示だ。Greg Stafford氏によって同社が設立された,1975年以降の同社の足跡を辿る内容で,来場者の注目を集めていた。また新作としては,新シナリオ「Call of Cthulhu: The Sutra of Pale Leaves - Carcosa Manifest」が発売されされ,人気を集めていたようだ。
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「Game Design Academy」は骨太のデベロッパカンファレンス
今回から,新たな試みもスタートしている。ミシガン州のフェリス州立大学との産学連携で生まれたアナログゲームクリエイター向けのセミナープログラム「Game Design Academy」がそれだ。
アナログゲームの制作技術や,ビジネスにまつわるさまざまな知識を学べるという触れ込みのこのセミナーは,イベントの期間中,毎日開催されていて,その数は56講にも上っていた。内容もゲームデザインやUI/UXの知識から,製造や知財管理に至るまで多岐にわたり,またセミナー以外にもマンツーマンでアドバイスを受けられるコーナーまで用意されている充実ぶり。主催団体や講師の幅も,有名クリエイターから印刷会社までさまざまである。
●「Game Design Academy」のセッション例
講義名 | 概要 |
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BattleBattle! - How Do You Balance a Massively Complicated Game? | キャラクターバトルを伴うゲームのバランス調整 |
Nature Systems Game Design | 自然を題材としたゲームデザイン |
From Game Idea to Prototype | 提供された素材からゲームのプロトタイプを作るワークショップ |
Practical UI/UX for Game Design | ゲームデザインにおける,適切なUI/UXの選び方 |
Designing With Manufacturing In Mind | 時間・コスト節約に向けた,製造を念頭に置いたゲームづくり |
Protect Yourself: Intellectual Property For Designers & The Hobby Games Industry | ゲーム制作者向けの特許,著作権,商標など知的財産法入門 |
Game Design Academy Events 紹介ページ(英語)
試しに筆者らも一つ聴講してみたが,大学との共催だけあって,内容はしっかりとしたものに感じられた。例えば「Practical UI/UX for Game Design」では,色・文字・アイコンといった,アナログゲーム制作に欠かせない要素をタイポグラフィやアフォーダンスの観点から解説し,体系的な知識を身に着けられるものとなっていた。アナログゲーム制作に役立つよう,参考文献を示しながら具体的な事例が挙げられたのも好印象だ。
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変わっていくコンベンション都市,インディアナポリス
最後に,開催地であるインディアナポリスの変化についても少し触れておきたい。
会場のIndiana Convention Centerの隣では,今回大規模な工事が行われており,高層ビルの建築が進んでいるようだった。これは大手ホテルチェーン,ヒルトングループのホテル,Signia by Hiltonとのこと。
隣接する施設とは,先に紹介したスカイウォークで接続される予定となっていて,今後のGen Conは敷地面積や収容数の面で,さらにパワーアップすることが予想される。また,Signia by Hilton以外にも,さらにいくつかのホテルの建設計画があるという。
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またダウンタウン中心の商業施設,Circle Centre Mallへ通じるスカイウォーク通路が通行止めとなっていたのも今年の変化だ。2030年に向けて,こちらも大規模なリニューアルが予定されている。どのような施設になるかはまだ分からないが,こちらにも期待したい。
会場施設の拡充と共に,さらに規模が増していくだろうGen Conからは,今後も目が離せなそうだ。
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「Gen Con 2025」公式サイト(英語)
著者紹介:
Im Karton
海外アナログゲームイベントを訪ねて旅する3人組。読み方は「イム・カートン」。これまでに世界最大のアナログゲームイベントであるドイツ「SPIEL Essen」(シュピールエッセン)をはじめ,アメリカ「Gen Con」(ジェンコン),フランス「Festival International des Juex」などを訪問。「Essen Spiel Guidebook 2023」に続き,2024年はアメリカのアナログゲームイベント「Gen Con」へ行きたい人の旅行ガイド「Gen Con Guidebook」を刊行。
Omochicard
Im Kartonメンバー。海外イベント訪問時は旅行の計画や日本へボードゲームを送る宅配便の発送などを担当。海外ボードゲームが大好き。好きなボードゲームは「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」や「Kemet: Blood And Sand」。
- 関連タイトル:
Riftbound
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