
インタビュー
オープンワールドサバイバル「山外山(ヤマソト)」開発者インタビュー。最大10人で拠点作りやクラフトを満喫できる[TGS2025]
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ゲームの内容については「こちら」を参照してもらうとして,本作がインスパイアされたのは「山海経」という古代中国の史書である。
これは神話的要素が多く含まれる地理書,あるいは妖怪図鑑のような書物で,前4世紀から3世紀頃にかけて徐々に形作られたとされている。
Unreal Engine 5で描かれる美しいグラフィックスが目を惹く本作だが,会場で体験できるミニボス戦や探索に加え,仲間と共に楽しめるベースビルディングやクラフティングに注力した作品になるという。
本稿では,同社のチーフ・テクノロジーオフィサーであるリン・チェンカオ(林晨超)氏にうかがった,その詳細について紹介したい。
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4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まず,CyancookGamesについてご紹介いただけますか。
リン氏:
はい。我々は2022年8月に起業した,まだ3年目の若いメーカーです。当初は5人でしたが,今では70人の開発チームにまで成長しました。
4Gamer:
リンさんのご自身の経歴についてもお聞かせください。
リン氏:
以前はTencentの投資部門で働いていました。ただ,プログラミングは小学生の頃から熱中していまして,その経歴だけで言えば30年のベテランかもしれません(笑)。
4Gamer:
「山外山」というタイトルが非常に印象的です。これは古典の「山海経」からインスパイアされているそうですね。
リン氏:
その通りです。「山海経」は英語で「Classic of Mountains and Seas」と呼ばれますが,その直訳を避け,少し詩的な表現にしたのが公式英語タイトルの「Of Peaks and Tides」です。
日本語タイトルでは“海”が抜けていますが,“山並みの向こうにある世界”を表現しようとしています。
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4Gamer:
なるほど。トレイラーでは原始的な衣服のキャラクターも見られましたが,世界観はどのようなものでしょうか。
リン氏:
特定の時代ではありませんが,短く言うと「神話時代のポスト・アポカリプス」です。
かつて,中国の夏・商王朝以前に,神と人が共に暮らす美しい古代文明がありました。彼らは高い塔を建てて平和を謳歌していましたが,ある異変で文明が崩壊してしまった,というのが本作の世界の始まりになります。
4Gamer:
つまり,崩壊した文明を再興することがゲームの目的になるわけですね。
リン氏:
そういうことになります。人類はほぼ滅亡し,「山海経」に描かれるようなクリーチャーが跋扈する世界で,神の時代から人の時代へと移る過渡期をどう生き抜くか。文明の再興は,本作の根底に流れるテーマです。
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4Gamer:
ジャンルは「クラフティングサバイバル」とされていますが,TGS 2025のデモでは「ARK」や「Valheim」のようなゲーム性は感じられませんでした。
リン氏:
ええ,まだ完成度が非常に低く,建築やクラフティングの要素をお見せできる段階にないことをご了承ください。プレイヤーは文明の創始者となり,ほかのゲームより大きなスケールで,基地ではなく“町”を作るようなイメージを持っていただくと良いでしょう。
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4Gamer:
時代的には,まだ石器時代,もしくは青銅器時代の初期辺りかもしれませんが,武器なども自分でクラフティングできるわけですよね。最初は石器で戦うのですか。
リン氏:
はい。ですがゲームを進めると金属やほかの鉱物など多彩な資源が手に入り,それらを利用して魔法的な属性を持つ武器や広大な拠点を作り上げていきます。
いわば,プレイヤーは“デミゴッド”なのです。しかし,神々はその行いを快く思っていませんから,天地を引き裂くような天変地異が引き起こされるかもしれません。
4Gamer:
「山外山」には,ストーリーキャンペーンも用意されているのでしょうか。
リン氏:
はい。30時間ほどのキャンペーンを想定していますが,それが終わったあとも,ベースビルディングなどのサンドボックス要素を長くお楽しみいただけます。
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4Gamer:
ゲームの説明文では「仲間と共に……」というような協力プレイを匂わせる表現もありますが,MMOのようなゲームになるのですか?
リン氏:
いえ,MMOというほど大規模ではありませんが,最大10人の仲間と協力して巨大な神獣と戦ったり,クラフティングや建築を楽しんだりできるようになると思います。
4Gamer:
グラフィックスが非常に美しいですね。草原の色使いだとか雲のモクモク感を見ると,ジブリ作品のような雰囲気を感じます。
リン氏:
ありがとうございます。ジブリアニメは我々の大きな指標です。Unreal Engine 5を使いつつも,リアリズムではなく,東洋神話的な世界の構築を目標にしています。
我々はまだ若いメーカーですが,上海には優秀な開発者を育てる大学が多く,そこから来た若いメンバーがチームを活気づけてくれています。縦割りではなくフラットな開発体制で,若手の良いアイデアはどんどん採用していく方針です。
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4Gamer:
昨今の中国インディーゲームの成長には目覚ましいものがありますよね。
リン氏:
やはり,2020年の「原神」の成功がすべてを変えたのだと思います。あの成功が,若い開発者たちに一歩踏み出す勇気を与えてくれました。
「黒神話: 悟空」のように,中国的な要素を強みにしつつ,「山外山」も世界中の人々にアピールできる作品になればと願っています。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
8月上旬に開発が発表されたばかりということもあり,「山外山」の具体的な発売日などはまだ決まっていないものの,テキストとインタフェースの日本語対応はすでに公表されている。
東京ゲームショウ2025に来場する予定の人は,この機会に本作のデモをプレイしてみてほしい。また,Steamストアページも公開済みなので,本作の動向が気になる人はウィッシュリストに追加しておこう。
CyancookGames 公式サイト
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山外山(ヤマソト)
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- ライター:奥谷海人
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