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カナヘイ動物たちが食う寝る出す! うん〇に着目した“排泄型”脱出アクション「プリッとプリズナー」でプリプリったよ[TGS2025]
そもそも同社は,NetEase Gamesの100%出資により2023年5月に設立された,エンターテイメントプロデュース会社です。
代表取締役社長は,スクウェア・エニックスで「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」などを手がけてきた,あの市村龍太郎氏。
ドラクエ制作経験者の新たな挑戦。その第1弾は――。
「トイレでうん〇して,ロボにお〇っこかける対戦ゲーム」
だというから,これいかに?
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はじめに裏話をしましょう。時はちょうど1年前,昨年のTGS 2024初日の夕方のこと。仕事のスタートダッシュで疲れた体を引きずり,一部関係者は会場外のとあるホテルへと向かいました。
そこで,開発中の本作をいち早く遊ばせてもらっていたのです!
当時,私が事前に見聞きしていたのは,「Pritto Prisoner」というチャーミーかつシリアスな世界観を感じさせる名称と,あの市村龍太郎氏が“作りたいゲームを作るために”と,キャリアの線路から飛び出してまで生み出した作品に触れられる機会がある,という2点だけ。
現地では関係者ごとにクローズドに応対されていました。そして定刻になるとみな,幸せそうな半笑いで一室から出てきました。これはよっぽどのものだ。期待に胸を膨らませていると……「4Gamerさん,どうぞ」。時間通りに部屋に招かれる。そこでは市村氏のほか8名ほどのスタッフが,笑顔でお出迎え。お水におしぼりまでいただけるVIP待遇に続き,「まずはPVを見てもらうと早いので」とスクリーンが点灯。そこで。
「うんぴとおぴっこで,ロボから逃げて脱出しよ〜」
とズッコケて笑わされる。ここまでがおそらく,全招待者に仕掛けられたピンクルなりのサプライズでした。おかげで思い出深く刻まれてしまって,今年の出展に合わせてあらためて取材したわけです。
ちなみに社名の由来は,「ピン!とくる発想力で、世界を楽しく!」という企業理念からきているそうですよ。
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閑話休題。ここから今年のTGS 2025での話に移りましょう。
肝心のゲーム内容は,4vs.2の非対称型対戦ゲームです。プレイヤーは4人側の「どうぶつ(動物)」と,2人側の「ロボット」に分かれて勝負します。キャラクターはそれぞれ見た目も性能も個性的で,さまざまな能力を駆使してドタバタな脱出バトルに挑みます。
ゲームモードはオンラインのクイックマッチとカスタムマッチ,さらに1人用のキャンペーンモードを確認できました。オンラインマッチにはソロ参加のほか,フレンドとのチーム参加も可能なようです。
「Dead by Daylight」や「IdentityV 第五人格」に代表される非対称型対戦ゲームは基本,ハラハラドキドキな空気感が生じます。世界観やアートデザインは作品ごとに異なりますが,対戦時のヒリヒリした感覚を強調しようとしてか,主流と言えるのはシリアスな雰囲気です。
その点,本作はどうしたことでしょう?
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プリッとプリズナーは実にゆるい。対戦における動物側の流れは「“うんぴ”で打開し」「ロボを“おぴっこ”で退けて」「ロボに捕まらないよう課題をこなし」「逃げる」です。空気どころか下半身までゆるい。
文章だけだと震えるほどお下品ですが,本作は“カワイイ”が勝っています。それもこれも,イラストレーターのカナヘイ氏によるゆるカワなデザインが全面的に押し出されているせいです。うんぴもおぴっこもキュートな世界観に巻き込まれ,汚さよりもポップさが,シリアスさよりも笑いが先んじています。これはもう絵の力でしょう。
おかげで,ゲームへの印象づけもパッと見で完了です。「ははーん。これはみんなでワイワイ笑う対戦ゲームだな」って。
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世界観としては「南海の孤島にある悪名高い監獄。超厳重警備と24時間ロボット監視が必要なほど,世界で最も危険(でキュート)な犯罪者たち(=動物)が今,混沌の脱走劇を繰り広げる――」です。
その意気込みはゲームの導入部にて,「エサをくらい 眠り 糞をたれて 逃げろ!」と伝えられるほどです。簡潔で分かりやすい。
さて,まずは動物側のキャラクターを見てみましょう。
★「うーちん」(ウサギ)
エサ場に敏感。ロボットに強烈なうさキーック!
★「名前募集中」(ネコ)
障害物を飛び越えて,うんぴ時はハイににゃる!
★「ジブラ・ジョン」(シマウマ)
広い視野とジャジーな高速ダッシュで白黒つける!
★「きらら」(イヌ)
うんぴがキラキラ! みんなの目覚ましアイドル!
★「ムッシュ・クロサワ」(ペンギン)
水上もスイスイ。料理の腕前はペンギンの魔法!
★「エレファンクシー」(ゾウ)
絵を描いてごまかすゾー。水飲み芸で大量おぴっこ!
★「チューピック」(ネズミ)
ちゅーちゅー隠れてヒソヒソ。鍵穴開けもお手の物!
★「Dr.マッド」(ブタ)
ロボの目を奪うなら,マッドでブーな博士にお任せ!
★「マスター・レオン」(ライオン)
百獣の居合いで一刀両断。でも足腰は老いだねえ。
このうち私が選んだのは名前募集中です。モチーフは猫です。
各キャラクターには速度・胃袋・膀胱のパラメータのほか,アクティブ/パッシブスキルが存在します。一例として,ネコは移動速度が早いですが,胃袋と膀胱は小さめ。エレファンクシーは速度普通ですが,胃袋と膀胱が大きめ,などなど特徴が差別化されています。
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そしてゲームスタート。動物は「移動」「うんぴ」「おぴっこ」「スキル」「インタラクト」の5操作が基本ですが,プレイ中の大半は“移動しながら1〜2ボタン使う程度”のため,操作自体は忙しくない。肝心の目的は,制限時間10分以内にステージから脱出することです。
その方法として,エサ場で胃袋を膨らませ,トイレでプリプリっとうんぴして,ミッションをこなしていきます。トイレ中,ゲージ上のバーをタイミングよく停止させられると,排泄後の移動速度がギューン! と大幅にアップします。全員で必要な数のうんぴをトイレにすれば,出口扉が解除されるので,あとはスタコラサッサと逃げるだけ。
まんま,食う出す逃げるのプレイサイクルですね。
※ステージによってミッション内容は異なるようですが,基本は「うんぴして切り開く」ものになるみたいです
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対戦中のキモは,エサ場がランダム湧きであることや,トイレがどこにあるのかを踏まえておくことです。ステージ内では通行止めしてくる箱を壊し,ワープ移動できる穴に隠れ,こそこそと活動します。
ステージ各所にはプレイヤーのロボット以外にも,警備ロボット(COM)がいて,見つかるとあら大変。ロボット陣営に「どの方角にいるか」の情報を与えてしまいます。さらに相手ロボットに見つかったら,プライドをかけた鬼ごっこの開幕。敵はさまざまな武装で捕まえようとしてくるので,こちらは水場でパンパンにしておいた膀胱から「おぴっこ」を放出!
おぴっこは相手に自動で照準を合わせてくれますが,自分で360度自在の方向にも飛ばせて,ロボットにかけると動きを止められます。といっても自己防衛が関の山のため,激しい攻防で体力ゲージをゼロまで減らされてしまうと,あえなく捕まってしまうことでしょう。
そのあとは(監禁部屋的な)ベッドでスヤーっと眠らされることに。
このとき,一般的な非対称型対戦ゲームでは仲間の救助が求められますが,本作では(特定スキル以外では)自力で起きます。そのためには「夢のなかでヒツジさんを追い返す」,通称ヒツジかぞえゲームに挑み,タイムカウントが0になれば起床。また脱出に臨めます。
このヒツジさんを追い返すという絵面が,ひじょーにシュールです。
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動物側はそれぞれ,3回捕まってしまうと脱落となります。そのときは「うんぴ憑依」で自分がうんぴと化し,けなげに仲間を手助けしていきます。うんぴ憑依時はひょこひょこと移動しかできませんが,スイッチを押して味方の退路を切り開くなど,味方の支援が可能です。
また,最後の1匹になると一発逆転の「フィーバーモード」が発動! ゴール条件やヒツジかぞえゲームが有利に働くようでした。
実際のプレイでは,仲間同士でワチャワチャと逃げつつ,どうにか出口扉を解除し,脱落者がいるなかで逃走を図りました。出口扉を開くには開放ボタン上にうんぴをせねばならないのですが,最後の最後,みんなのアイドルきららがレインボーうんぴをパナしたところで,ロボットに見つかってしまいます。
私は,うんぴ直後の彼女を見捨てて1人でゴール。きららの尊い犠牲に思わず敬礼です。けーれい!!!
プレイ中はハラハラドキドキ感がちゃんとあるのですが,ヒリつく感情はユニークな世界観に押し負けて,明るい気持ちで楽しめました。
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その後,ロボット陣営側にもチャレンジしました。こちらは2人体勢で,動物側のキャラ選択とは異なり,「上半身」や「下半身」などを組み合わせて,自分なりのロボをカスタマイズします。
上半身には,近接一撃必殺の「捕獲網」,遠距離射撃の「吹き矢」,周囲をビリビリさせる「スタンガン」,低速ホーミングの「投げ縄」があります。それぞれ威力や動作,ヒット効果が異なっています。
下半身は,万能型の「二足」,障害物を乗り越えられる「多脚」,ノリにノれば最速な「タイヤ」,鈍重・頑強な「タンク」です。どれを選ぶかによって移動速度やおぴっこ耐性が変わります。
さらに,高速移動やトラップ設置などをできる「ガジェット」(アクティブスキル),視界確保やシールドの「強化パーツ」(パッシブスキル)も選んだら,自分だけのロボットが完成。どう作っても見た目はゆるめです。
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ロボット側の目的は,動物側の全捕獲か制限時間超過です。
おもな操作は「移動」「攻撃(捕獲行動)」「ガジェット(スキル)」「ズーム切り替え」「インタラクト」です。動物側との大きな違いは視界ズームで,これにより動物よりも視界を広く取ることができます。
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ロボ側は基本,警備ロボが鳴らしてくれる警報を頼りに,動物のいる位置を特定していきます。見つけたら,あとは武装を駆使して全力で眠らせるだけ。おぴっこやスキルに注意して追い詰めていきます。
また,ステージ内に排泄されたうんぴをバキュームで吸い,拠点的なタンクに一定量を収めると,ロボが「バージョンアップ(レベルアップ)」します。レベルは最大3で,値が上昇するごとに能力も高まります。
さらに,レベルアップ時にタンクからガジェットや強化パーツがランダムで排出されます。いずれのアイテムも使用回数に制限があったり,状況に応じて有用性が変わったりするため,取捨選択が重要です。つまるところ勝利の秘訣は,周囲をくまなくお掃除すること!
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ロボは動物たちの脱出阻止のために,あの手この手を使っていきます。鉄板の戦略は,うんぴのためにエサ場やトイレにやってくる対象を狩ること。ステージごとのマップ構造で穴場も変わりそうです。
そして2人体勢というのがすばらしい。1人だと「大丈夫かなあ……」的なプレッシャーが生まれがちですが,2人だといろんな意味で心強い。ロボット側もちゃんと協力型対戦プレイを楽しめるわけですね。
私の場合,直感的に「初心者はホーミング系の攻撃がいいだろう」と投げ縄を主武装としたところ,これがドンピシャ。高速移動ガジェットと組み合わせて爆走しまくり,出口扉こそ開放させられてしまいましたが,動物陣営の全捕獲に成功! 自己肯定感が高まりました。
こうしたプレイを重ねてゲーム内通貨をためると,「デコり商店」でキャラクターの衣装やチャットスタンプも購入できるようです。
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本作は操作も挙動もルールもシンプルです。非対称型対戦ゲームの文脈をうっすらとでも知っている人,例えば“動画オンリー勢”でも,ワンプレイもすれば基本的なことを覚えられるはずです。
とくに魅力的だったのは,終始ストレスをほとんど感じなかったこと。同ジャンルは,対戦ゲームとしてそれなりに戦法や定石が求められるものです。そこは本作も同等なのですが,プレイ中はとにかく声を上げて笑ってしまう。なぜか? やはりこの雰囲気のせいです。
おもしろカワイイ絵面が強く,演出もバカバカしくて笑いが漏れ。本気で対戦していても,感情が明るい方面に持っていかれてしまう。ゲーム体験の感想を“ビジュアルの力でねじ曲げてくる”パワー系とすら言えます。本作は本当に,キャッチーな見た目通りの内容でした。