
インタビュー
少しでも早くSwitch2ユーザーに「ペルソナ3 リロード」を届けたい。Switch2版開発者インタビュー[TGS2025]
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本作は,2024年2月に発売された同名RPGのSwitch2版。現在のペルソナシリーズのベースとなるゲーム進行やシステムを築いた「ペルソナ3」(以下,P3)を,美しく,そして遊びやすくリメイクした作品だ。
そんな本作についてTGS 2025の会場で「P-STUDIO」総合プロデューサーの和田和久氏と,本作のディレクターを務める小森祥弘氏に話を聞いた。
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「ペルソナ3 リロード」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まずは「P3R」という作品についてあらためてお聞きしたいと思います。2024年にリリースされた他機種版(PC/PS/Xbox)はとても好評で,さまざまなアワードでノミネートや受賞もされています。その反響をどう受け止めていますか。
和田和久氏(以下,和田氏):
「P3R」がここまで多くの皆さんに受け入れてもらい,高い評価をいただけたというのは,本当に素直にうれしいですね。
僕らとしては特に,オリジナルの「P3」を遊んでくれていた人たちに「楽しんでもらえるものにする」ということが重要だと考えていたので,その方たちがいち早く支持してくださったのは大きかったです。
それが最初の反響になって,そこから徐々に「ペルソナ5」(以下,P5)以降でシリーズに触れた人や,最近ゲームを始めた人たちへ広がっていった,という印象があります。
最近では実況動画をきっかけに遊んでくれるケースも増えてきたのかな,と感じています。
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4Gamer:
なるほど。以前もうかがいましたが,アトラスさんは近年「プラットフォームや地域を問わず同発する」という方針を取っていますよね。そこで国や言語のラグがなく,世界中で同時に遊べてその気持ちを共有できるようになったのも大きいかと思いました。
和田氏:
そうですね。これまで我々のタイトルは,どちらかというと「完全初動型」でした。最初に熱心なゲーム好きやシリーズファンの方々に買っていただくというイメージですね。
ただ最近は,じわじわ売れていくケースも増えてきましたし,同発を基本にしてから“世界同時に盛り上がっている感覚”を強く感じられるようになりました。
ここまで大きなタイトルを同発で取り組んだのは「P3R」が初めてで,それがいい形でゲームを広げることになってよかったです。
4Gamer:
今のペルソナシリーズの大元になっている作品なので,期待やプレッシャーも大きかったと思います。
和田氏:
それは最初にも伝えましたが,オリジナル版をプレイ済みのユーザーさんからは「リメイクのポイントをどこに寄せるか」という部分に対して非常に好評をいただけましたし,新規の方々からは「新鮮な,新しいゲーム」として楽しんでもらえたと思います。
さらに最後まで遊んでくださった方々からは絶賛の声もいただけて,あらためてリメイクしてよかったなと感じています。
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4Gamer:
今回のSwitch2版発表についてはどうでしたか。
和田氏:
「任天堂ハードでも出してほしい」という期待の声は以前からたくさんありました。だからNintendo Directという場でしっかり発表できたのはよかったですね。
国内外で喜んでいただけて,とてもうれしかったです。
4Gamer:
Switch2版を開発することになった経緯を教えてください。
和田氏:
任天堂ハードで展開したいという気持ちは当初からありましが,同時開発はどうしても難しい状況でした。
そのあとSwitch2が発表され,「少しでも早く開発機を手に入れて,Switch2で遊びたい人に届けたい」と考えて動き始めました。
4Gamer:
今回Switch2専用となった理由はどこにありますか。
和田氏:
一番の理由はシンプルで,“皆さんに早くお届けしたい”からです。他機種版からなるべく間を空けずに出したいと考えていました。
SwitchとSwitch2の縦マルチを検証しましたが,それだと当初の想定より1年は遅れてしまうと分かって。
小森祥弘氏(以下,小森氏):
Switchで検証したとき,そのまま移植するのはパフォーマンス的に厳しかったんです。
Switchでもハードにあった快適な操作性やグラフィックスを実現するには,UIやアートを根本から作り直す必要がありました。そうなると想定より1年は伸びてしまうと。
和田氏:
できるだけ早く皆さんにお届けしたいという思いからSwitch2専用にしました。
当初の予定では発売は年明けだったのですが,開発が順調に進行したことで,今年10月に発売できることになりました。
予定よりも早くリリースできることをうれしく思っています。
4Gamer:
ディレクターの小森さんは4Gamerでは初めてになると思いますので,あらためてですが自己紹介を兼ねて小森さんがディレクターを務めることになった経緯を聞かせていただければと思います。
小森氏:
あっ,そうですね。まずははじめまして(笑)。アトラスには新卒で入社して,もう20年近くゲーム開発に携わっています。
ただ,実はこれまでペルソナシリーズにはあまり深く関わってこなかったんです。関わったといえば「Burn My Dread」の英語歌詞の担当というちょっと変わった形で,「英語のこの部分を見てもらえないか」という形で手伝った程度でした。
4Gamer:
個人的には小森さんは「世界樹の迷宮」シリーズのイメージが強かったです。
小森氏:
そうですね。ほとんどのシリーズ作品でメインプログラムを務めてきました。
そのほかにも「女神異聞録デビルサバイバー」や「真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY」「真・女神転生V」といった任天堂ハード向けのタイトルに多く関わっています。
直近だと「真・女神転生V Vengeance」でサブディレクターを担当しました。開発全体の管理や,パッチ対応,体験版のディレクションなどを務めています。
4Gamer:
なるほど。ペルソナシリーズ作品という前に,Switch2という任天堂のハードで作るということで小森さんに声がかかったのでしょうか。
ちょっと短絡的な発想なんですが,「P3R」のSwitch2版ディレクターに小森さんのお名前を拝見したとき,「手元で遊べるRPGの世界樹の迷宮を作ってきたから,Switch2版の「P3R」も担当されたのかな」と思ってしまいました。
小森氏:
なるほど(笑)。でも実際にはそうではなく,「真・女神転生V Vengeance」の経験が大きかったというのがあります。SwitchというハードでUnreal Engineを使ってゲームを作った,その知見が生きましたね。
和田氏:
小森はSwitch関連の知見をかなり先んじて持っていたんです。だからSwitch2版の検証も含めてお願いするなら,小森と彼が所属する第1プロダクションが最適だろう,という判断でした。
4Gamer:
Switch2はPCやほかのコンソール機とは違った特徴のあるハードです。開発にあたって,どのような点を意識されましたか。
和田氏:
やはりハードとしての特色が一番大きいですね。
他機種版を持っていない人がSwitch2で初めて「P3R」を手に取るとしたら,“携帯と据え置きの両スタイルで遊べること”を求めるだろうと思いました。通勤/通学中は携帯モードで進めて,家では大きなテレビ画面でくつろぎながらプレイする。
その両方のモードで快適に遊べて,しかもグラフィックスも綺麗であることは強く意識しました。
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4Gamer:
真剣に向き合いながらも,場面によってはちょっとゆるく遊べるのはいいですね。
いまはPCでもハンドヘルド機が広まっていますし,PSにはPS Portalもありますが,Switchはやはりそういうスタイルで楽しみたい人が多そうです。
Switch2版を作るうえで,大変だった部分はどこでしょう。
小森氏:
和田が言ったように,テレビモードと携帯モードで快適に遊べることをちゃんと再現するのが難しかったです。
Switchって,ドックに抜き差しするだけで瞬時にモードが切り替わりますよね。その間にローディング画面とかも挟まらない。
4Gamer:
ああ,確かに慣れすぎて当たり前になっていますけど,それくらいあの瞬時の切り替えって違和感がないものというか……。
小森氏:
そうなんです。テレビと携帯モードではハードウェアの性能が違うんですが,それが一瞬で出力として切り替わったときに,絵的にどちらかが劣っているように見えず,両方で快適に遊べるようにする。
「こっちのモードはグラフィックスが低いな」と思われたら違和感が出ちゃいますね。そうならないようにすることって実はすごく難しい調整なんです。
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4Gamer:
当たり前にできていることのありがたみを感じました。
そんないろいろなプレイスタイルで遊べる「P3R」ですが,Switch2版ならではの“おすすめの遊び方”はありますか。
和田氏:
もちろん人それぞれ自由に遊んでいただきたいんですが──そうですね,たとえばレベル上げとかは通勤途中の携帯モードで,本格的にストーリーを進めたいときは家に帰ってテレビで,という遊び方を僕だったらやりますね。
4Gamer:
私もそれをするので分かります。RPG好きだと,素材集めやレベル上げは気軽な姿勢や移動中に,ストーリーが動くときは腰を据えてテレビで,という遊び方がもう定着していそうです。
和田氏:
あと,Switch2は家族で遊ぶ方も多いので,1人用のゲームではあるんですけど“横で一緒に見て楽しむ”っていうスタイルもありますね。
4Gamer:
冒頭でも配信動画の話が出ましたが,プレイするだけじゃなくて“シェアの楽しみ”というのはありますよね。
和田氏:
そうですね。そこから興味を持ってくれたら,ご家族それぞれが自分のセーブデータを作って遊べますし。
そうやって触れたことがなかった人がプレイしてくれるようになったら,開発者としても本当にうれしいですね。
4Gamer:
実は近いことがあって,私がPS5版をPS Portalでプレイしていたら,子どもが興味を持ったんです。横で一緒に見ながらゲームのことを教えてあげたり,表現的にまだ見せられないなと思うシーンは「ここは見せられないよ」さっと隠したりしながら,親子で楽しんでます。今では「ジャックフロストかわいい!」ってすっかり好きになってますね。
和田氏:
ああ,そういう広がり方っていいですね。
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4Gamer:
さてそろそろお時間なんですが,「P3R」のSwitch2版の次には「ペルソナ4」(以下,P4)のリメイク「ペルソナ4 リバイバル」(以下,P4R)が控えています。開発発表があったばかりで詳細な情報は明かせないと思いますが,何か一言いただけませんか。
和田氏:
そうですね……「P4」って「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」で本当にいろんな要素を盛り込んでいるので,次の“R”を作るとなると,盛るだけではなくて,さらにまた違う形で楽しめる体験にしなければいけません。
そこは物量も含めて正直とても大変ではあるんですが,いい感じに仕上がりそうだ! ……という手応えはあります。
4Gamer:
発売時期や内容はまだ話せないと思いますが,期待していていいですか
和田氏:
もちろん皆さんの期待に応える作品に仕上げていきますよ!
発売時期はまだお伝えできませんが,まずはSwitch2版の「P3R」に注目していただきたいです。「P4R」も含めさまざまな開発を進めておりますので楽しみにしていてください。
それとはちょっと話が変わりますが,来年2026年はペルソナシリーズ30周年の節目なので,よりいっそうファンの皆さんに楽しんでもらえるような年になればと思っています。
4Gamer:
では最後に,オリジナル版をプレイした方で,他機種ではまだ「P3R」を遊んでいなくて,これからSwitch2で遊ぶという人にメッセージをお願いします。
和田氏:
「P3」をリメイクするにあたって注視したのは,ユーザビリティとグラフィックスです。
シリーズが進むにつれて進化してきたUIの演出やシステムを取り入れながらも,“3らしさ”はしっかり残しながら以降の作品で生まれた要素を取り入れました。
分かりやすいとこで言えば「コミュ」関連ですね。昔のようにシビアではなく,かなり遊びやすくなっています。
もちろんゲーム自体がぬるくなったわけではないので安心してください。
これはSwitch2版に限らずですが,体験版もありますのでちょっと興味を持ったらまずそこから遊んでいただければと思います。
どれだけ話を聞いても,やっぱりゲームはやってみないと分からないですから(笑)。
4Gamer:
本当にそのとおりですね(笑)。プレイすると「ここは,こうなっているんだ」「遊びやすくなってるな」と思えるポイントがきっと見つかるはずだと。
では初めて触れる方にも一言お願いします。
和田氏:
「P5」でペルソナシリーズを知ったという人は多いと思いますが,「P3R」は「P5」とはまったく違うテイストの「ペルソナ」作品ですから,ペルソナシリーズに興味を持っていただけたなら「P3R」も是非プレイしてほしいですね。
19年前のゲームですが古さを感じさせない,まったく新しい新作として楽しんでいただけると思います。
ゲームの中でキャラクターたちと出会い,一緒に成長していく。その体験を通して,人生を少し豊かにするような気づきが得られたら,開発者としてこれ以上うれしいことはありません。
4Gamer:
ありがとうございました。
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- CERO C:15歳以上対象
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