俺レベの行間をこれでもかと深掘り！　新作「俺だけレベルアップな件：KARMA」が描く，君主戦争の27年間［G-STAR 2025］

　韓国・釜山で開催中のG-STAR 2025に，Netmarbleの新作「俺だけレベルアップな件：KARMA」（PC / iOS / Android）が出展されている。

　本作は俺アラこと「俺だけレベルアップな件：ARISE」，ならびに買い切り版の「俺だけレベルアップな件：ARISE OVERDRIVE」に続く，同社の俺レベ作品だ。略称は，俺カルでよいだろうか。


　本作は，TVアニメ版を題材にしたローグライトアクションRPGで，ゲーム完全オリジナルストーリーが描かれていく。

　主題は，原作のウェブトゥーン版で描かれなかった「主人公の水篠 旬が」「次元の狭間で」「27年間にわたる君主戦争を戦い」「輪廻の杯を完成させる」物語とのこと。映画のような演出とストーリーテリングが，プレイヤーの没入感を高めるらしい……。

　が，この時点で注釈が必要だろう。


　まず，現在公開済みのTVアニメ第2期では，世界中のハンターたちが凶悪なアリの討伐に挑む「架南島レイド篇」まで描かれた。私が知るコミックス版では，ここからさらにアニメ1クール分ほど先の展開まで描かれている。だが，前述した設定はなにも分からない。

　つまりこの世界観は，ウェブトゥーン版の完読者なら後方彼氏面のごとく「うんうん。分かるよ」と納得できるが，TVアニメやコミックスで追う人たちは導入の前後が分からない。そんな立ち位置にある。

　そのため，設定からしてある種のネタバレのようである。ただ，TVアニメやコミックスのファンは，そのうえでも話の展開が遠すぎて，関連性をほぼ見いだせない。ゆえに気にせず遊べる，といった感じだ。

　なお，私もウェブトゥーン版は読破しておらず，前述の設定を理解できていない。だから以降の説明も厳密には間違っているかもしれないが，そのぶん前後のネタバレにも極力触れないため，そこはご安心を。


　あらためて，物語の前提を再説明しよう。

　プレイヤーは，水篠ハンターが次元の狭間なる場所に行き，「27年間にわたる君主戦争があった」「そこで輪廻の杯を完成させた」といった一文表現でさっと場面転換――したのかは定かではないが，ともかく原作では詳細に描かれず，行間として省かれた戦争模様を体験する。

　すこし調べたところ，なにが目的で，輪廻の杯がなんなのかまで解説すると，原作のフィナーレあたりの核心に迫りそうだったため，ここでは省略する。まあ，ゲームのイントロダクションなどでサラッと説明されそうな気はするため，それまで避けるかどうかは各自に委ねよう。

　先ほども書いたが，上記の設定だけ把握しても，TVアニメとコミックスの展開がどうなっていくのかは，おそらくサッパリ分からない。ここは，物語のスケールが加速度的に膨張していくからこその利点だ。

　まとめると，知らない人は「異次元での外伝的な戦争を楽しめる」ようなので，スピンオフに触れる気持ちで差し支えない。そもそもゲームとしても俺アラと差別化され，違う切り口で楽しめる。


　試遊では，水篠が次元の狭間にやってきた流れがダイジェストで紹介され，少々のチュートリアルバトル後……えーっと，プロモーションでも大々的に押し出されているため書いてしまうが，原作のラスボス（？）である，竜帝こと「破滅の君主・アンタレス」と相対する。

　この竜帝もまた，原作では一瞬だけ出てきたくらいで，詳しく描かれていないとのこと。彼も俺カルのオリジナル膨らませ対象のようだ。同じく原作では名前しか出てこなかった超越的な存在「イタリム」に誘われ，水篠の本格的な戦いがはじまる（＝ゲームスタート）。

　なんというか，描かれなかったラスボスってなんなんだ？　ネタバレとは違う意味で原作への興味をそそられてしまう。


　ゲーム画面はクオータービューで，いわば“ディアブロ的に操作するアクション”だ。バトルステージはWave制になっており，1Waveのクリアごとに，ランダムに提示される「祝福」から1つを選ぶ。

　祝福とはバフやスキルのことで，Waveを重ねていくことでキャラクターを強化していく要素である。今はローグライクジャンル全盛期とあり，実際に遊ばずともどういう仕組みか理解できる人は多いだろう。

　なお，ローグライ“ト”（引き継ぎ要素あり）と，ローグライ“ク”（引き継ぎ要素なし）の区分が分かるような要素は見つからなかった。だがジャンルで公言しているだけに，成長要素は期待してよさそう。


　操作は移動，通常攻撃（最大3回），特殊攻撃（武器固有），回避＆ダッシュ，それと影召喚に，必殺技相当のイングリット召喚だ。

　影の軍団を呼ぶと，おなじみの影の兵士たちが複数現れて，一緒に画面上の敵と戦ってくれる。イングリット召喚ではカットイン演出が挿入されたのち，画面全体に強力な必殺技が放たれる。

　水篠の武器は事前に，短剣（二刀流），大剣，銃，弓，籠手（ガントレット）から選択可能だった。事前発表のプレスリリースでは「鎌」もあると書かれていたため，これですべてではなさそう。

　武器はそれぞれアクションモーションが異なり，武器種ごとに攻撃とスキルの組み合わせによるコンボが複数存在する。モーションも原作再現にこだわるようで，ファンなら見分けられるかもしれない。



　試遊版のバトルステージは18Waveで構成されていた。Waveごとにさまざまな種類の敵が襲いかかってきて，一定区間に達するとボスが現れる。Wave間ではときおり，ローグライク系でよく見るアイテムショップも出現して，以降の手助けになる物資をまかなえる。

　1Waveの流れをさらに深掘りすると，基本はWaveごとに提示されるバトルミッションをこなしていく。クリア後は3つ提示された祝福から，スキル強化や追加アクションを選ぶ。
　すると数値面のみならず，「回避に攻撃性能付加」「範囲攻撃にサーチ攻撃付加」など，モーション自体が強化されていく。

　強化の入り具合によってはそれこそ，ハック＆スラッシュでよく味わえる，「自分がいきなり最強になった気分」を堪能できる。

バトルでWaveクリア後，ランダムな祝福と後述の「使者」を選ぶ

そのうち，シンプルだったアクションがこんなふうにド派手になる

道中攻略中はうれしいショップ

祝福は，スキルやバフなどバリエーションも豊か

　そして，これは試遊版の限定仕様になるかもしれないが，次のステージに進むときに「さまざまな属性の使者」を選べた。
　使者もまた原作要素らしいが，これ以上調べると後悔しそうなので無視して，ゲーム的には「属性」の部分が重要となる。

　使者を選んだあと，次のWaveもクリアすると，前回選んだ使者に応じた「属性縛りの祝福」が出てくるようであった。
　試遊版では（日本よりも完読者が多いであろう韓国の人たち向けの）顔見せ的な意味合いか，いろいろな使者が現れた。

　リリース時はこの点に，ステージごとの制限などを設けていくと，それだけで遊びの幅が広げられそうである。

ボスは予兆エフェクトありで強力な攻撃をしてくる

それでもイングリットにどうにかしてもらおう

　ゲームとしては，基本システムからしてアクション性が高く，腰を据えてじっくりとチャレンジする濃密さが感じ取れた。

　また，事前情報では原作の魔獣「地獄の門番ケルベロス」「ホブゴブリンボス」「貧欲なるヴォルカン」「大呪術師カンディアル」「悪魔王バラン」などが登場するとされたが，世界丸ごとのオリジナル創作とあって，未知なる敵の出現も期待してしかるべきだろう。

　最後は，G-STAR 2025開催記念として公開されたオープニング映像も載せておく。A-1 Pictures制作のアニメーションが単純にすばらしいが，ネタバレにおびえるのなら，（原作を読める）ピッコマにGOだ。