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[プレイレポ]数字もルールも自由自在。いつも人気の“大富豪系”注目作「マッチ売りの大富豪」「イノシシ・カニ・フンコロガシ」を紹介
2025年5月17日と18日に開催された「ゲームマーケット2025春」においても,複数の大富豪系ゲームがお目見えしていた。
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HEY!とキューハチドッグのブースに出展された「マッチ売りの大富豪」「イノシシ・カニ・フンコロガシ」の2作品もまた,そうしたルールを採用したカードゲームだ。いずれも独特な工夫がほどこされた良作だったので,本稿ではこの両作のプレイレポートをお届けする。
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「ゲームマーケット」公式サイト
マッチ棒で数字をクリエイト「マッチ売りの大富豪」
HEY!の「マッチ売りの大富豪」(税込2500円)は,ほぼ大富豪そのままのルールで遊べるカードゲームだ。共有の場に出されたカードより強い(数字が大きい)カードを出し続け,いち早い手札の使い切りを目指す。
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それだけなら,単に「強力な手札を持っているか否か」で勝敗が決まりそうなものだが,それを覆して面白い読み合いを生み出すのが“マッチ棒”の要素だ。
各プレイヤーは1本のマッチ棒を持った状態でゲームを開始し,パスするごとに追加のマッチ棒を獲得できる。そして,このマッチ棒をカードと組み合わせることで,カードの数値を変更できるのだ。
たとえば,「8」のカードを同時に4枚出したいとき,例え手札に条件を満たす「8」のカードが足りずとも,「0」カードの中央にマッチ棒を足し,「4」のカードの隙間を埋めれば「8」のカードを作り出せる。
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さらに面白いのは,マッチ棒を使うと「9以上」の数字も作れてしまう点だ。10以上には16進数表記を用い,最大F(16)までが許可されている。非常に弱い「1」であっても,わずか2本の追加で「F」まで強化できるわけで,手持ちのマッチ棒次第で強さがガラリと変化する。
こうしてカードとマッチ棒の組み合わせで,手札を効率よく消費していくわけだ。
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カードの序列を反転させる“革命”も存在するが,これらは同じ数字のカードを5枚が必要となっていて,同じ数字のカードが4枚しかない本作では,革命を起こすのに必ずマッチ棒を使わねばならない。
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なお本作のルールはゲームマーケット公式の紹介ページに掲載されているので,詳細はそちらを参考のこと。今後の販売予定などはHEY!の公式X(旧Twitter)で発信していくとのことなので,入手したい人はフォローしておくといいだろう。
ゲームマーケット「マッチ売りの大富豪」紹介ページ
ルール変更で状況をコントロールする「イノシシ・カニ・フンコロガシ」
キューハチドッグの「イノシシ・カニ・フンコロガシ」(税込3500円)は,色と数字の概念がある大富豪系ゲームだ。例によって手札を使い切れば勝ちなのだが,本作は“どのカードを出せるか”の“ルール”が,状況に応じて変動するのが特徴となっている。
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その“ルール”を決定するのが,各プレイヤーが1枚ずつ持つ「イノシシ」「カニ」「フンコロガシ」のチップだ。共有の場に積み上げられたチップの,最後に置かれた(最上段の)一つが,現在の“ルール”となる。
チップ | ルール |
---|---|
イノシシ | 同色,かつ大きい数字を出せる |
カニ | 色を問わず,同じ数字を出せる |
フンコロガシ | 同色,かつ小さい数字を出せる |
初期の“ルール”は「イノシシ」から始まるが,本作のカードは1〜9までしか存在しないので,わりとすぐに出せる手札が枯渇してしまう。そこで手元にあるチップを共有の場に配置することで,カードを出す“ルール”を変更するのである。
チップを使ってもカードを出せない状況(チップの手持ちがない/あっても出したくないを含む)に陥ると「パス」扱いとなり,共有の場からチップを1枚獲得できる。ただしタイミングを誤ると,同じチップが複数枚手元に来てしまうので注意しよう。
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発想優先で作られたかのようなシンプルなシステムではあるが,これが実際に遊んでみると,非常に面白い駆け引きを生み出しているのに気付くはずだ。
多くの場合,チップを出すなら「現在の手札で多くカードを出せそうなルール」に変更したいと考えるはずだ。しかし,それはすなわち「私はこの色の,この範囲のカードを多く持っています」と宣言するに等しいわけで,当然ほかのプレイヤーは妨害しようとする。
妨害するには,さらに“ルール”を上書きするのが手っ取り早いが,とはいえチップには限りがあるので,それを毎回妨害に費やすのは難しい。となれば,ほかのプレイヤーが設定した“ルール”で,多くの手札を出せる状況を作るのが理想ということになる。
そうしてチップを出すタイミング,手札の切り方を工夫してブラフをはり,自分にとってよりよい環境を構築していくのが,本作の駆け引きということになるだろうか。なかなか奥深いタイトルである。
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得点は誰かが手札を出しきった時点でラウンド終了となり,その時点で残った手札とチップの枚数を掛け合わせた数を失点として記録する。これを複数ラウンド繰り返し,失点が最も少なかったプレイヤーが勝利となる。そのため手札を使い切ることが難しいなら,さっさとチップを減らすのも戦略の内である。
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カジュアルに遊べる作品なのは間違いないが,同時にしっかりとした駆け引きも内包した初心者も上級者も楽しめるタイトルだと感じられた。プレイ人数も最大3〜5人と幅が広く,言語依存性もない作品なので,手軽に遊べるゲームを探している人は,ぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。
BOOTH「イノシシ・カニ・フンコロガシ」商品ページ
「ゲームマーケット」公式サイト
- 関連タイトル:
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