横浜にヒロイン＆きらめき高校の仲間たちが集結！　「ときめきメモリアル」30周年を締めくくる熱狂のステージをレポート

　1994年にKONAMIから第1作がリリースされた恋愛シミュレーションゲーム「ときめきメモリアル」。その30周年を締めくくるライブイベント「ときめきメモリアル 30th ANNIVERSARY LIVE 〜forever〜 presented by TOKYO MX 30th」が，2025年5月17日と18日の2日間，横浜のぴあアリーナMMにて開催された。


　およそ1年前，立川ステージガーデンにて開催された「ときめきメモリアル 30th ANNIVERSARY LIVE エモーショナル」は，まさに奇跡のような盛り上がりを見せた。その熱気に「大人が動いて（金月真美さん談）」実現に至ったのが，今回のライブである。13人のキャストが集結し，堂々たるパフォーマンスで，きらめき高校の生徒たちと共にステージを盛り上げた。


　本稿では，ライブ両日に参加した筆者が，その目で見て感じた会場の熱気をお届けする。なお，本ライブのアーカイブ視聴券の販売期間は5月24日23：59まで，視聴期間は5月25日23：59までだ。これから観る予定の人は注意してほしい。

■出演者（敬称略）
金月 真美（藤崎 詩織役）
関根 明子（如月 未緒役）
中 友子（紐緒 結奈役）
川口 雅代（片桐 彩子役）
菅原 祥子（虹野 沙希役）
黒崎 彩子（古式 ゆかり役）
笹木 綾子（清川 望役）
五十嵐 麗（鏡 魅羅役）
鉄炮塚 葉子（朝日奈 夕子役）
栗原 みきこ（美樹原 愛役）
よしきくりん（早乙女 優美役）
菊池 志穂（館林 見晴役）
津野田 なるみ（伊集院 レイ役）

“きらめき高校新入生”の姿も！
賑やかに開催されたライブ【1日目】

　初日のライブは，大雨と強風が吹きすさぶなかでの開催となった。今回はなんと“きらめき高校軽音楽部”こと，バンドの皆さんが演奏を担当。1曲目の「もっと！モット！ときめき」では，生音によるリッチ＆ゴージャスな演奏に胸が高鳴った。

　MCで「新入生（Switch版からの新規ファン）の方，手を挙げていただけますか」と促されると，客席のあちこちで手が挙がる。なかには，かなり若い“新入生”の姿もあり，会場からは「おお！」という驚きの声も上がった。


　Nintendo Switch用ソフト「ときめきメモリアル 〜forever with you〜 エモーショナル」が2025年5月8日にリリースされてから，約10日後のタイミングで行われた今回のライブ。筆者としても，「ときメモに初めて触れた新入生が来てくれているといいな」と期待していた。

　一方で，リリースから日が浅く，このライブの存在を知ったときにはすでにチケット販売や開催が終わっていた可能性もあるのでは……と少し心配もしていた。だからこそ，胸を張って手を挙げてくれた新入生の姿を見たとき，思わず胸が熱くなった。

　金月さんからは「新入生に優しく，いろいろ教えてあげてくださいね」と我々在校生に向けてのあたたかな呼びかけも。ファンみんなでライブを盛り上げていく，この空気感こそ，「ときメモ」ライブらしさであり，長く愛される理由なのだと感じた。


　ドラマシリーズのEDテーマだった館林 見晴「星空のパワー」，ピョンピョンはねるような可愛らしい振り付けが印象的な朝日奈 夕子「Ring Ring Train」，疾走感がまさに虹野 沙希を象徴する「エール！は君のために」，そしてダンサブル＆ポップな片桐 彩子「オールinワンダーランド」と，元気あふれる4曲が披露された。

　MCを挟み，続くブロックでは，シンセサウンドと低めの歌声がクールな紐緒 結奈「幾何学リズムのプライド」，バラを片手に大人の雰囲気をまとった伊集院 レイ「薔薇の吐息」，しっとりと切ない想いを歌い上げた鏡 魅羅「たとえば」，初々しいデートの情景が目に浮かぶ古式 ゆかり「観覧車にのって」，そして早乙女 優美による元気いっぱいの応援ソング「My energy」と，バラエティ豊かな5曲が続いた。今回のライブは，新旧の楽曲が入り混じった構成となっており，懐かしさと新鮮さが共存していた。


　続くMCパートでは，ライブ前日の5月16日に誕生日を迎えた早乙女 優美に，バンドと登壇キャスト全員からバースデーソングが贈られた。優美役のよしきさんもステージを駆け回り，客席と一体になって賑やかなお祝いムードに包まれた。


　その後も，花籠を持ちミュージカルのような演出で披露された清川 望「明日の花のように」，控えめながらも芯の強さが感じられる美樹原 愛「あなたがいるから」，本をめくるしぐさとともに温かい歌声で会場を癒やした如月 未緒「ハードカヴァーはずして」，そして言わずと知れた爽やかなラブソング，藤崎 詩織「教えてMr.Sky」と，4曲が続いた。

　ときにしっとり，ときにはつらつと，目の前のヒロインたちがそれぞれの世界を作り上げていく。ライブ初披露の楽曲もあり，次から次へと供給される「ときメモ」成分に体と心が追いつかないほど。まさにぜいたくな空間が広がっていた。


　ここで全員が再び舞台に登場し，今回販売されたライブグッズを紹介するコーナーへ。菅原さんが可愛らしくタオルを振り回した拍子に，紐緒さんのアクリルスタンドに当たり倒してしまうというハプニングがあったり，中さんがペンライトの点灯に手間取り慌てたり，ライトの色味についてキャスト間で意見が飛び交ったりと，相変わらず賑やかなやり取りが続いた。

　そんな様子を微笑ましく見守る客席のあたたかさもまた，「ときメモ」ライブらしい光景だ。あらためて，この日の幸せを噛み締めたくなる。


　約15分の休憩を挟んで，ステージが再開。両サイドから白い衣装の中さんと，黒い衣装の津野田さんが登場し，紐緒 結奈＆伊集院 レイによる「Rent-I♡（恋愛）否定組」を熱唱。シンメトリーのダンスも見応えたっぷりだった。続いては，鏡 魅羅「月夜の出来事」。この2曲には，どこか懐かしく，バブル時代の空気を感じさせる“かっこよさ”が漂っていた。

　その空気を元気パワーで一気に吹き飛ばしたのは，よしきさんによる早乙女 優美「元気満タン！恋模様」。Cメロで主人公に“早く好きになってよ！”と叫ぶような歌詞が印象的で，胸に刺さるパフォーマンスだった。続く虹野 沙希「笑顔いっぱい！」では，菅原さんがネイビーのドレスに衣装チェンジ。タイトルどおり，笑顔あふれる歌唱で観客を魅了した。


　MCパートでは，昨年のライブに引き続き，五十嵐さんの“高校生らしい”衣装が話題に。キャスト陣のアットホームなトークに，客席も大きな笑いに包まれた。「ときメモ」のライブにおいて，MCもまた大きな楽しみのひとつであるとあらためて実感するひとときとなった。

　サビの振り付けがたまらなく可愛らしい古式 ゆかり「あなたとメリーゴーランド」，70年代を思わせるサウンドに栗原さんのウィスパーボイスがぴったりとマッチした美樹原 愛「Sweet Heart」，切ない胸の内を大切に歌い上げた如月 未緒「空いっぱいの気持ち」，レザージャケット姿でクールにキメた朝日奈 夕子「愛につかまらないで」，恋と世界征服のはざまで揺れる乙女心を歌った紐緒 結奈「愛なんていらない」――5曲が続けて披露された。なかにはライブ初披露となる曲もあり，一瞬たりとも目が離せない構成だった。


　MCを挟んで登場したのは，清川 望の活動的な魅力を笹木さんが全身で表現した「フォトグラフ」。続いて，きらめき高校の制服を思わせるセーラーワンピース姿でパフォーマンスした片桐 彩子「Tomorrow Only you」，会場全体が切ない夜の空気に酔いしれた館林 見晴「メビウスのループ」，女性としての伊集院 レイが初めて歌った幸せな楽曲「あなたと紡ぐアルバム」，そして堂々たる歌唱でソロコーナーを締めくくった藤崎 詩織「オレンジの空」。それぞれの個性と魅力が詰まった5曲に，客席も引き込まれていった。


　本編の最後を飾ったのは，キャスト全員がステージにフォーメーションを組んで披露した「♡のスタートライン〜with you〜」。客席からのコールも一段と大きくなり，会場の一体感は最高潮に。曲のラスト，キャストたちがビシッと決めたポーズは……なんと今回のライブメインビジュアルと同じポーズ！　思わず歓声が上がる，印象的なフィナーレとなった。


　客席から即座に沸き起こったアンコールの大きな声。それに応えて登場した「ときめきオールスターズ」が歌ったのは，「10th SMILE（＝じゅうねんスマイル）」。10周年のときに生まれたこの曲が，30周年を締めくくるライブのラストに披露されるなんて――こんな素敵なことがあるだろうか。

　この曲が作られた当時，きらめき高校の生徒たちはもちろん，制作に関わった方々でさえ，今日のこの瞬間を想像してはいなかったかもしれない。13人のキャストの優しい歌声に乗って，そんな“きらめき高校関係者”たちの30年分の想いが，確かに私たちの胸に届いた。


　続くMCでは，今回のライブでリッチなサウンドを支えてくれた“きらめき高校軽音部”ことバンドメンバーの紹介が，笑いと拍手のなか賑やかに行われた。さらに，振り付け・演出担当のRYON・RYON氏もステージに登場。「サプライズは微笑みのあとで 〜forever Smile〜」のサビの振りを客席と一緒に練習し，そのまま全員参加の歌唱へ。新しい「ときメモ」に出会えたこと，このライブに立ち会えたこと――30年のときを越えてつながる想いが，歌詞の一つひとつに詰まっていた。

　そして，大トリはもちろんこの曲。「二人の時〜forever〜」。多幸感に包まれた空間のなか，キャスト全員がステージから精いっぱい客席に手を振る。その姿は，終演後もずっと心に焼き付いて離れなかった。「観に来られてよかった」。そう心から思える，かけがえのない1日となった。

30周年を締めくくる，
温かい愛に包まれたステージ【2日目】

　さて，翌日も私はぴあアリーナMMにやってきた。今日はライブ2日目，すなわち最終日。開演前から，早くも少し寂しい気持ちがこみ上げてくる。「もっともっと観たい」「1週間くらい続いてほしいな……」そんな想いで，会場の雰囲気に身を委ねていた。

　2日目のオープニングも，やはり「もっと！モット！ときめき」からスタート。まさに幕開けにふさわしい一曲だ。MCを挟んで，ソロパート第1弾――名付けて“元気ソングコーナー”（※筆者命名）が始まった。

　登場したのは，早乙女 優美「元気満タン！恋模様」，虹野 沙希「エール！は君のために」，1日目とはまた違った表情を見せた朝日奈 夕子「超（今世紀最大級）LOVE」，さらに笹木さんが軽快なタップダンスを披露し，終盤には栗原さんも加わった清川 望「春にきがえて」の全4曲。前日に続き，元気と笑顔に満ちたパフォーマンスが続き，会場のボルテージも一気に上がっていく。

　なお，新曲は基本的に両日ともに披露されていたため，どちらか1日だけ参加したメモラーも，しっかり楽曲を楽しめる構成となっていたのがうれしいポイントだった。


　MCを挟み，伊集院 レイ「透明な仮面」から次のパートへ。レイの内面に潜む苦悩が，情熱的な歌声で表現された。1日目に続き，超“高校生らしい”ドレス姿で登場した五十風さんが歌い上げた鏡 魅羅「水の都へ…」，中さんのハスキーで美しい声と，キーボードの丸みを帯びた音色が絶妙に心地よく重なる紐緒 結奈「手のひらの革命」，そして片桐 彩子「オールinワンダーランド」へと続く。


　ここからは，スローテンポな楽曲が中心のしっとりとしたブロックへ。美樹原 愛「Sweet Heart」，館林 見晴「メビウスのループ」と新曲が続き，おっとりした印象の古式 ゆかりが，いつもとは違う凛とした一面を見せる「THANKS SONG」，さらに如月 未緒「空いっぱいの気持ち」，藤崎 詩織「オレンジの空」と，美しい歌声が会場を優しく包み込んだ。


　ムーディな雰囲気に染まったステージに，再び全員が登場。各キャストが，自身の歌唱中に起きたちょっとしたハプニングや間違いを明かしつつ，会場を笑いで和ませてくれる。いい意味で肩の力が抜ける，絶妙なバランスのトークタイムだ。

　そして，1日目と同様にグッズ紹介コーナーへ。シリアスなまま終わらせないのが，さすが「ときめきオールスターズ」。そのサービス精神の旺盛さに，またひとつ笑顔がこぼれる。

　休憩ののち，舞台に登場したのは，金月さん，菅原さん，菊池さんの3人による自称“晴れ女’s”。……とのことだったが，実は全員が雨女だったというオチも。さらに「キラキラの衣装でそろえよう」と約束していたのに，なぜか菊池さんだけキラキラ度がかなり低かったことなどをネタに，楽しいトークが繰り広げられた。

　そんな3人が披露したのは，まさかの「Go! Go! パラメータ 〜Shiori・Saki・Miharu〜」。この曲は，同じメロディにそれぞれのキャラクターを演じるキャストが自ら歌詞を書いたというユニークな楽曲だ。客席のきらめき高校の仲間たちがコーラスを担当し，会場全体が一体となって楽しむパフォーマンスとなった。

　その勢いのまま，朝日奈 夕子「Ring Ring Train」，紐緒 結奈「幾何学リズムのプライド」，そして爽やかな曲調が切なさを引き立てる失恋ソング，片桐 彩子「好きなままで好きでいい」へと続く。

　MCでは，各楽曲の収録秘話や「Go! Go! パラメータ」の歌詞についても語られた。なかでも金月さんによる「一緒に帰って友達に噂されると……」という詩織の名セリフが飛び出した場面には，会場中が思わず沸き立つ。「超ラッキー！」と思わず声に出したくなる，うれしいサプライズだった。


　次のコーナーは，早乙女 優美としては珍しくスローで落ち着いた雰囲気の「スプリングフロート」からスタート。“ラブリーリトルデビル”など，少しミスマッチにも思える歌詞がたまらなく可愛らしく響く。続いて，古式 ゆかり「あなたとメリーゴーランド」，栗原さんが一音一音を丁寧に味わうように歌い上げた美樹原 愛「UnSelfish」，鏡 魅羅「たとえば」，そして会場に優しく語りかけるような歌声が印象的だった如月 未緒「風よ」と，さまざまな表情を持つ楽曲が続いた。


　それぞれの曲を終えたあとには，キャストによるコメント付きのMCも挟まれた。そこから再び始まったのは，清川 望「フォトグラフ」，そして正統派アイドルソングを思わせる軽やかなメロディの虹野 沙希「出会えて良かった」。自然と“沙希ちゃん”コールが沸き起こり，会場の一体感も高まっていく。

　続いて披露されたのは，館林 見晴の最初の曲にして代表曲ともいえる「フィフネルの宇宙服」，そして伊集院 レイ「あなたと紡ぐアルバム」。さらに，ゲーム内で告白シーンのインストBGMとして流れる，藤崎 詩織の「告白」も演奏された。この曲は，メモラーなら誰しもが耳にしたことのあるメロディだろう。そこに金月さんの歌声が重なり，あらためてこの楽曲の持つ美しさと特別さに気付かされるひとときとなった。


　本日最後の，五十嵐さんとのコーレス「ハイ，鏡さん！」を存分に楽しんだあとは，本編ラストの曲，「♡のスタートライン〜with you〜」へ。キャストの皆さんが舞台をあとにすると，間をおかずにアンコールの声が客席から湧き上がった。

　そして再登場したキャストの皆さんは，お揃いの白いライブTシャツに着替え，「10th SMILE（＝じゅうねんスマイル）」を歌唱。互いに目を合わせ，微笑み合いながら歌う姿に，こちらの胸までじんわり熱くなる。あれ？　ステージが滲んで見える……カメラのピントが合わないよ……。


　続いて披露されたのは，客席の同級生たちもサビの振り付けに参加する「サプライズは微笑みのあとで 〜forever Smile〜」。今回はソロ曲での参加だった関根さんも加わり，ラストナンバーは「二人の時〜forever〜」。ああ，これでライブも終演――かと思いきや，会場の熱はまだ冷めない！

　なんとここで，まさかのダブルアンコールが巻き起こる。「もう一回！　もう一回！」と，メモラーたちのアツい声が会場を包み込み，再びキャストを呼び戻した。

　そして本当に最後の最後は，やっぱりこの曲，「もっと！モット！ときめき」。ステージの上も客席も，みんな最高の笑顔であふれていた。演者たちのパフォーマンスはもちろん，客席からもたくさんの「ありがとう」が届けられる。

　「ときめきメモリアル」が好きでよかった――そう心から思える，忘れられない一夜となった。


　今回のライブで演奏された楽曲は，各日30曲以上。新曲や全体曲など共通のセットリストもあったが，単純に曲数だけを数えても，2日間でおよそ70という大ボリュームだった。キャストの皆さんが，楽曲やキャラクターのイメージに合わせて何種類もの衣装に着替え，全力でパフォーマンスを届けてくれたことにも，大きな愛を感じずにはいられない。

　また，キャストの皆さんのトークを聞いていると，ふとした瞬間にヒロインたちの姿と自然に重なるような一面が垣間見える。きっとそれは，キャラクターが皆さんの血肉となり，生きている証なのだろう。


　「ときめきメモリアル」は，30年という歳月を歩んできた。振り返ればあっという間だった気もするし，長い道のりだったようにも感じる。我々きらめき高校の仲間たちは，この作品をとおしてつながり，ワクワクや幸せを共有しながら，同じ時間を重ねてきた“同級生”だ。そんなみんなと同じ空間でステージを囲み，愛に満ちたパフォーマンスをともに体験できたこと――それはまさに奇跡であり，この上なく幸せな出来事だった。

　このかけがえのない時間を宝物にして，「ときめきメモリアル〜forever with you〜 エモーショナル」を遊びながら，またいつか，同じように幸せなステージに再び出会えることを夢見たいと思う。

　あらためて，ありがとう。「ときめきメモリアル」。

　なお，アーカイブ配信の視聴期間は2025年5月25日まで。ぜひその目で，この奇跡のステージを目撃してほしい。

「ときめきメモリアル 30th ANNIVERSARY LIVE 〜forever〜 presented by TOKYO MX 30th」視聴券はこちら