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世界2億DLのインパクトが強烈すぎる「ホワサバ」。日本ローカライズプロデューサーに聞く,“なにが成功の秘訣だったのか?”[TGS 2025]
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本作は,雪と氷に包まれた終末世界で,残された人類たちがコロニーを運営していく,モバイル用ストラテジーゲームだ。
そんなホワサバはちょうど昨年のTGS 2024のころ,配信開始から約1年半で世界累計9000万ダウンロードに達した。だが,この1年でさらに飛躍し,なんと“世界2億DL”までたどり着いたという。
ここまで強力なIPに成長した起因はなんなのか。また,どのような狙いを持って市場に送られたのか。その秘訣を聞いてみた。
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「ホワイトアウト・サバイバル」ダウンロードページ
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Century Gamesの歴代1位
4Gamer:
お時間を取っていただき,ありがとうございます。
まずは簡単に自己紹介をお願いできますか。
日本支社のK氏(以下,K氏):
私はCentury Gamesの日本支社でローカライズプロデューサーを務めています。基本的な業務内容としては,海外の本社スタジオで開発されたゲームを日本で提供するために,カルチャライズなどの対応をしています。とくに日本支社は全タイトルの全サポートといった感じですね。
4Gamer:
これまでの経歴も教えてもらえますか。
K氏:
私は長らくモバイルゲームのプロデュースに携わってきました。さかのぼるとフラッシュゲームのサイト運営からはじまり,携帯電話のソーシャルゲーム,それからスマホゲームと,モバイル中心の経歴です。
4Gamer:
なかなかの古強者なわけですね。
ホワサバにはいつごろ参加されたのでしょう。
K氏:
入社したのは2020年で,ホワサバとは開発段階から縁があります。
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4Gamer:
あらためて,ホワサバはどんなゲームなのでしょう。
K氏:
雪で覆われた極寒の地をテーマに,残された人類がコロニー(避難所)を都市へと発展させていく,ストラテジーゲームです。
メインの遊びは,多人数のプレイヤーで同盟を組み,同盟同士で領地拡大を目指したり,そのあいだに争ったりと,他者とのコミュニケーションを楽しむところが最大の特徴になっています。
4Gamer:
ホワサバを語るうえで,リリースから約2年半で世界累計2億ダウンロードを突破したというニュースは欠かせません。
端的に,社内ではここまで人気になると思っていたのでしょうか。
K氏:
我々も「予想以上に結果が出た」と感じています。
2023年の他地域リリース当初も,ゲーム自体のクオリティが評価されていたため,徐々に成長していけるだろうと見込まれていました。ところが,そこから先の大反響についてはまったく想定外でしたね。
4Gamer:
Century Gamesのタイトルでは,歴代何位の反響ですかね。
K氏:
圧倒的に1位ですね。続く2025年2月リリースの「キングショット」も,おかげさまの勢いでご支持いただけております。
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4Gamer:
ホワサバは日本だと,どのような人たちが遊んでいるのでしょう。
K氏:
ボリューム層は20代から40代の男女ですが,圧倒的に突出した年代はなく,幅広い層にプレイしていただけております。
ただ,特徴としては“女性ユーザーが全体の4割”を占めています。こうした戦略ストラテジーって,基本的には男性ユーザーが多くなるものなのですが,ホワサバはそこが違うかもしれません。
4Gamer:
ほかの地域でも同じような傾向が見えていたり?
K氏:
はい。ほかの国や地域でも女性比率が高いです。
4Gamer:
それは最初から狙っていたことなのでしょうか。
K氏:
そうですね。ビジュアル面は全体的にライトな作風にし,あまり怖い印象を与えないようにして,幅広い層に遊んでもらいたいと,開発プロデューサーがもともと狙っていたはずです。
4Gamer:
実際,戦略ストラテジーは“ゴリゴリなマッチョ感”が強めな傾向にありますが,ホワサバはカワイイが前面にきていますもんね。
ここのブースもフワッとかわいらしい展示物が大半ですし。
K氏:
開発も,そういう柔らかさを意識したんだと思います。
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4Gamer:
日本のローカライズは,どのような業務をしているのでしょう。
K氏:
基本的にゲーム内容はグローバル共通のワンビルドですので,ゲームバランスなどには手を加えていません。
そのうえで,セリフなどのゲーム内テキストのローカライズ作業や,日本向けのキャラクターを提案するなどのカルチャライズ,プロモーション時のクリエイティブ作業などが主な業務になります。
4Gamer:
PRのクリエイティブもやっているんですか。
K氏:
PV映像などは本社が制作していますが,こうした日本でのリアルイベントなどは我々が中心に手がけていますね。
4Gamer:
以前の「さっぽろ雪まつり」とかも?
K氏:
はい,そうです。
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2025年2月でサービス開始2周年を迎えるスマホ向けタイトル「ホワイトアウト・サバイバル」が現在,北海道で開催中の「2025さっぽろ雪まつり」に出展中だ。本稿ではそんな雪まつりの会場の模様を写真でお伝えしながら,ゲームの魅力をあらためて紹介する。
4Gamer:
日本におけるホワサバの認知度は,やはりSNSをはじめとするインターネット広告や,TVCMの映像によって高められたかと思います。
ああした広告戦略は,リリース当初から考えていたのでしょうか。
K氏:
本格的にやりはじめたのは,リリース4か月後くらいでした。それまではゲームの継続率などのKPI(重要業績評価指標)を追っていて,いろいろ見極めたのち,大規模に展開することを決めたんです。
4Gamer:
機を見逃さず,会社全体で動けたわけですね。
日本は現状,どれくらいのシェアを占めているのでしょう。
K氏:
大まかではありますが,国・地域のシェアだとアメリカなどの欧米圏が強く,次いで中国,さらに日本や韓国と続きます。
4Gamer:
日本でもストアセールスランキングで上位を維持し続けているわけですから,どの地域でも大成功の部類なのでしょうね。
一方,本作はミッドコア,もしくはハードコア寄りのゲーム性ですが,タイトルとしてはハイリッチなAAA級タイトルとは言えません。しかし,こうしたゲームがAAAよりも成果を生むことはままあります。しかも今回は圧倒的にです。これは同社が長らく「こうしたゲームで勝つ」と意気込み,ここまでやってきた結果なのでしょうか。
K氏:
そうですね。弊社は過去にもいろいろなチャレンジを積み重ねてきました。作ってきたゲームジャンルも多種多様でしたし,そうしてノウハウを培ってきた結果,ホワサバなどの戦略ストラテジーがうまくいった,という流れがあるかと思います。
4Gamer:
この大成功例は,今後も相当な影響を残しそうですしね。
K氏:
そうですね。
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4Gamer:
中国のゲームでは成功のために,「広告で勝ちにいく戦略」もよく見られます。日本での直近例だと「キノコ伝説」ですかね。
こうした広告戦略で市場に打って出る考えは,とくにハイパーカジュアル領域で流行していた作法ですが,日本産のゲームでは最近聞かなくなってきた気がします。今でもホワサバのような成功例があるにも関わらずです。それこそ,諦めたというくらいに。
その点,お膝元の中国や成功した欧米ではまだまだ盛んな印象を受ける戦略ですが,体感としてはいかがでしょう?
K氏:
海外のほうがそうした戦略の傾向が強いんじゃないかとは,私も思います。やはり日本市場はよく言われるとおり,ほかの国の市場とは毛色が違いますから。そのためホワサバも,本格的に広告展開するのは「日本でもうまくいくんじゃないか」という見込みが立ってからでした。
4Gamer:
日本でなぜ勝てたか,という分析はできていますか。
K氏:
あくまで私の推論ですが,先ほど言ったように戦略ストラテジーは従来,戦争やファンタジーやゾンビをテーマにするなど,特定のターゲット層に向けて世界観を定めるものが大半でした。
その点,ホワサバは雪国を世界観としつつも,ビジュアル面では人を選ばないカジュアルさを強めています。そこが女性層をはじめとする幅広い層にリーチできたのだろうと見ています。
4Gamer:
キングショットも絵柄が柔らかめですもんね。決して類例がなかったわけではありませんが,なにか確かな違いがあるんでしょうね。
K氏:
キングショットも中世の戦争をイメージした世界観ではあるのですが,キャラクターはかなりライト寄りに調整していますからね。
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4Gamer:
ちなみに,Century Gamesってどんな会社なのでしょう。海外イベントではよく目にするものの,接点は持たずじまいが続いていて。
K氏:
弊社のミッションは「世界を笑顔でつなぐ」です。企画段階から特定の国や地域,ターゲット層を定めず,世界中の人たちに楽しんでもらえることを前提に,最高のゲームを作ろうと心がけています。
4Gamer:
日本支社のほうはどうですか?
K氏:
日本支社はけっこう少人数でやっています。開発は本社がやるので,我々は日本でゲームを受け入れてもらえるための努力をするわけです。
4Gamer:
ホワサバは現状,世界的成功に踏み入れているかと思います。それこそ今から10年選手が見えるようなパフォーマンスですが,今後の日本市場でさらに盛り上げていくための思索はされていますか。
K氏:
日本では今後,タイトル名や会社名をブランドとしてはっきり認めていただけるよう,信頼を高めていくブランディングが重要だろうと考えています。方法としても,さっぽろ雪祭りのように,もっとユーザーさんと交流できるリアルイベントですとか,TGSのような大きなイベントに積極的に参加するとか,そうした動きで認知を広めていきたいです。
4Gamer:
であれば自社イベントも?
K氏:
そうですね。以前,サービス1周年記念のときにオフラインイベントを実施しましたが,そうしたことも増やせればと思っています。
4Gamer:
今後も躍進がありそうですね。本日はありがとうございました。ホワサバが今後どこまで伸びていくのか,さらなる飛躍を期待しています。
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(C) Copyright 2023 Century Games Pte. Ltd.
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