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緻密なターン制バトルと派手な弾幕シューティングのエッセンス。「Enter the Chronosphere」にはゲームデザインの妙味がある[BitSummit]
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考える楽しさ,弾幕シューティングとしての楽しさ
「Enter the Chronosphere」はオーストラリアのメルボルンに拠点を置くインディースタジオであるEffort Starが開発中のシミュレーションゲームだ。
見下ろし型の画面,銃を持つ主人公,襲い来る敵といった要素が詰まったスクリーンショットからは,ローグライト全方位シューティングに思えるが,本作はターン制シミュレーションだ。それでいて,立ち回りやスリルがシューティング的であるのも確かで,「ターン制シューティング」とでもいうべきプレイを楽しめる。
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本作では「敵が多い」「特定のアイテムが出る」など,さまざまな条件を持つ「クロノスフィア(ステージ)」が自動生成される。ステージは複数のフロアで構成されており,最後のフロアにたどり着くことが目的だ。
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フロアには多数の敵やトラップがプレイヤーを待ち構えている。ジャンルとして「tactical bullet hell shooter」を謳っているとおり,無数の銃弾や爆発物をばら撒いてくる。しかし,どれだけの銃弾や破片が入り乱れていようと,プレイヤーが行動しない限り,時間が動く(ターンが進む)ことはない。行動した分だけ時間が進む,と言い換えてもいいだろう。
つまり,時間が止まった世界の中で,どう動くのが最善であるかを考えられるわけだ。通常のシューティングゲームであれば,とても避けきれないような密度の弾幕も,本作ならば少しずつ時間を進めることでスルスルと避けられる。まるで達人になったかのような気分を味わえる。
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加えて,敵には視線の概念があり,トラップや銃弾は敵にも影響を及ぼす。戦術をじっくり練られるターン制ならではの面白さを増す工夫も見られるのだ。
開けた地形では遠くからでも,こちらを見つけて発砲してくる。しかし,障害物をうまく使えば気づかれずに接近したり,爆薬のタルを狙撃して複数の敵を倒したり,敵を同士討ちさせたりもできる。じっくりとプランを練ってから1体1体攻略する,ターン制らしい立ち回りが決まると爽快だ。
ターン制であり,自分で時間を止めたり動かしたりできる……これだけだとスピード感がないように思えるかもしれないが,実際はその逆だ。敵の速度はプレイヤーほど速くないが,銃弾はスピードがあり,1ターンでけっこうな距離を飛んでくる。「銃を撃たれたが,まだ遠い」なんて呑気に構えていると,銃弾が目の前に迫ってきて仰天する……なんてことはしょっちゅう起こる。
そして,速い銃弾とプレイヤーより遅い敵の移動が好対照となり,スピード感あふれるターン制バトルという不思議なプレイフィールを味わえるのだ。
フロアにはランダムで宝箱が出現し,さまざまな性能を持つ武器が手に入る。散弾をばら撒くショットガン,自分の周囲を薙ぎ払い,銃弾も跳ね返すフレイル,発射するまで何本のビームが出るか分からないビーム銃,着弾時に大爆発する大砲など,いずれも個性的だ。ただ,あまりに強力な品を選ぶと敵が強くなるという副作用もある。
たとえゲームオーバーになっても,「今度はどんな地形になるのか」「どんな武器が手に入るのか」と考え出すと,もう1回プレイしたくなる。反射神経ではなく,慎重な立ち回りや計算された位置取りが大切になるシミュレーションゲームとしての面白さがしっかりしているので,幅広い層が楽しめそうだ。
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本作のディレクター兼プログラマーであるRhys van der Waerden氏によると,当初はマップがグリッド(格子)で区切られた伝統的なローグライクRPGを作ろうとしていたそうだ。しかし,開発中に「自分が動くと敵が動く」システムを採用し,さらにグリッドを取り除いたところ,RPGというより弾幕シューティングに近いプレイフィールとなったことから,「tactical bullet hell shooter」スタイルに舵を切った。
また,現時点では素早いドッジロールで敵弾を避ける「マルシア」,体力に優れて敵を衝撃波で吹っ飛ばす「ウルター」からプレイヤーキャラクターを選べるが,伸ばした舌で敵を捕らえたり,銃弾を弾いたりするカエルのキャラクターの実装も予定している。
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Waerden氏は「考える楽しさ,弾幕シューティングとしての楽しさが共に楽しめる」と本作をアピールしていた。近日中にSteamでデモを配信する予定なので,気になる人はぜひウィッシュリストに入れておこう。
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「BitSummit the 13th」公式サイト
4Gamer「BitSummit the 13th」まとめページ
- 関連タイトル:
Enter The Chronosphere
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