全面的改修で，さらに完成形に。「Enshrouded~霧の王国~」に大型アップデート「Wake of the Water」が導入

　「Enshrouded〜霧の王国〜」は，Keen games GmbHが開発したオープンワールドサバイバルRPGで，2024年1月24日に早期アクセスゲームとしてSteamにてローンチした作品だ。そしてこの11月10日には，第7弾アップデート「Wake of the Water」が，ついにリリースされた。

　早期アクセス開始時にもプレイレポートを掲載しているが，本稿は今回のアップデートを中心にしたファーストインプレッションをお届けしよう。



　舞台となる世界は，毒の霧（シュラルド）で覆われて滅亡しているのだが，プレイヤーが演じる主人公はフレイムボーンとして覚醒し，黙示録さながらの世界を探索し，拠点を築き上げ，文明の炎を継いでいく。

　本作は数回のアップデートを経て数多くのアイテムやシステムを追加してきたのだが，今回のアップデートは，ここまで追加してきた内容を全面的に見直したうえに，いくつかの改善点が見られる。


　最初に気づいた点として，倒した敵からドロップされる装備の種類がかなり増えたことがある。ザコ敵が使っている短剣から，エリート格の強敵が使う大剣まで，ドロップで入手可能になった。

　強い敵ほどレア武器がドロップしやすい気がするので，どうにか強敵を倒していい装備を手に入れると，そのまま中盤まで使えるかもしれない。これにより，武器に困らないだけではなく，いらない武器を回収してアップグレードに必要なルーンをたっぷり入手できるわけで，これは嬉しい変更だといえる。

待望の両手剣も今回のアップデートで実装した

　条件を満たせば装備のレシピが解禁されるので，鍛冶師のところで作れるようになる。しかも今回のアップデートで，以前手に入れたことのあるユニーク武器も製作可能になった。

　例えば序盤で大変世話になった「慟哭の剣」は松明のように光るので，暗い場所での探索において便利だったのだが，中盤に入るとダメージが入らなくなって使いにくくなる（ので泣く泣く使わなくなる）。しかし今回のアップデートで，さらに強力な「慟哭の剣」が作れるようになり，これで慟哭の剣を手放さずに済むようになり，とてもありがたい。

アップデート前の「慟哭の剣」のダメージは貫通や斬撃属性だったが，アップデート後はちゃんとデザインに合わせて炎属性のダメージが与えられる

　そしてアップデートタイトルの「Wake of the Water」が示すとおり，今回の見どころはやはり「水」の導入だ。本作はボクセル環境なので，大体のものが破壊可能となっている。

　ゲーム開発的観点で見ると，本作のグラフィックス表現レベルで，ボクセル環境の中に水のような流体を入れると，スペックの要求もかなり高くなるに違いない。そのためか，以前のバージョンでは川や湖などの水場がまったくなかったのだ。

　物語の設定上，世界を滅亡寸前に追い込んだシュラルドが地表の水をすべて飲み干した（！）わけで，元々水があったようなところは，今や死のベールに覆われている。

湖の水は滝になって侵蝕区域に流れ込み，危険区域を形成していた

　緻密なグラフィックス表現と流体の導入は両立が難しいわけで，「水」を導入したとはいえ，そこら中に水場を追加するというわけにもいかないようだ。限られた水場を捜すのはなかなか難儀だったが，見つけた瞬間は，まるで死に絶えていく世界が息を吹き返したような気がした。


　試しに潜ってみたが，水中の透き通った質感が美しく表現されている。じっくり観察してみたいのだが，酸素を使い切ったらおぼれるのでのんびりはできない。

　水の流れ方が気になったので，つるはしで地形を改造してみたが，地面を削ったら，しっかりそこから流れ出してくる。多少のへこぼこはできるが，許容範囲だ。シュラルドが水を飲み干した世界だからこそ，水辺に拠点を構えるのは悪くない気がする。

サバイバルゲームの定番ともいえる釣り要素も追加されている

　水場ができたことに伴い，水の入手方法も変わった。前は井戸や廃墟にあった樽から水を手に入れたが，アップデート後はまず水場を探し出す必要がある。そしてクラフトで水袋を作って，水場に行って水を汲むのだ。従来の井戸でも水を「飲む」ことは可能だが，水を手に入れることができなくなったことには注意だ。


　今回のアップデートでは，ボクセル環境に流体を導入するという課題を克服し，既存のアイテムを見直し，システムの完成度を磨き上げ，遊び心地がよくなっていた。拠点を作るのが好きなプレイヤーはもちろん，システム改善によってバトルやダンジョン探索を楽しんでいるプレイヤーも，以前より楽しく遊べることだろう。