
インタビュー
[インタビュー]限界のその先へ。「The First Descendant」の2年目,そして新シーズン「Breakthrough(突破)」への決意
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2025年には大胆な変革が進んでいる。広大なフィールド「アクシオン平野」の実装,8人参加のフィールドレイド,新ディセンダント「ネール」の登場,そしてショーケースイベント「Descendant Fest 2025」の開催。新シーズンはその名のとおり,既存の枠組みを突破しようとする意志が表れている。
[プレイレポ]「今からでも間に合う?」「はい,間に合います」 新シーズンを迎える「The First Descendant」は,まさに今がスタートチャンス
![[プレイレポ]「今からでも間に合う?」「はい,間に合います」 新シーズンを迎える「The First Descendant」は,まさに今がスタートチャンス](/games/649/G064958/20250804016/TN/034.jpg)
NEXON Gamesが開発を手がけるオンラインTPS「The First Descendant」は,2025年8月7日にシーズン3「Breakthrough(突破)」が開幕する。「NieR:Automata」とのコラボ,新フィールド,新たな継承者などの情報をお伝えしよう。
この1年間で開発チームはどのような手応えと課題を得て,今回のアップデートに臨んだのか。4Gamerではプロデューサーのイ・ボムジュン氏,ディレクターのチュ・ミンソク氏にメールインタビューを実施した。
「The First Descendant」公式サイト
4Gamer:
「The First Descendant」が正式リリースから1周年を迎えました。これまでの歩みをどう振り返っていますか。
イ・ボムジュン氏:
正直に言うと,まだ道半ばだと感じています。
「The First Descendant」の理想と,実際にプレイヤーの皆さんが体験したバージョンとのギャップを埋める作業に取り組んできた1年でした。
初期段階ではシステム面に多くの課題があり,私たちが想定していたゲームプレイと,実際のユーザー体験との間に大きな乖離があったと感じています。
それでも,私たちはこの1年でそのギャップを埋めることに全力を注ぎ,多くのプレイヤーに少しずつ私たちの目指す方向性を理解,共感していただけるようになってきたと感じています。
これからの1年は,引き続きプレイヤーの皆さんとの信頼関係を再構築し,より洗練された,満足度の高い体験をお届けすることを目標にしています。
4Gamer:
開発チームとして「想定どおりだったこと」「想定外だったこと」を教えてください。
チュ・ミンソク氏:
ライブサービスというのは,本当に予測が難しいものだと実感しています。中でも印象に残っているのは,あるDev Liveの配信です。
2時間を超える長時間のセッションにもかかわらず,何千人ものプレイヤーの方々がリアルタイムで視聴してくださり,驚きと同時に深い感謝の気持ちを抱きました。
配信は11:00(韓国時間)に行っているため,時差の関係でグローバルの皆さんにとっては決して見やすい時間ではないことも理解しています。
それでも多くの方に関心を持ち続けていただけることは,私たちにとって大きな励みであり,同時に責任の重さも改めて感じています。
その想いを胸に,今後のDev Liveでは,より丁寧で充実した準備を心がけていきたいと考えています。
4Gamer:
新シーズンのテーマには,どのような意図やメッセージが込められているのでしょうか。
イ・ボムジュン氏:
「Breakthrough」は,単なるストーリー上の突破だけを意味するものではありません。現在の限界を乗り越えようとする,開発チームとしての内なる原動力の象徴でもあります。
このアップデートでは,大規模なオープンフィールド,ホバーバイク,8人参加のコロッサスレイド,新たな武器など,多岐にわたる変化が導入されます。
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私たちの目標は,これまでのシーズンとはまったく異なるテンポと流れを提供することでした。
これらすべての取り組みの核心にあるのは,前進を続け,決して現状にとどまらないという私たちの強い意志です。
4Gamer:
アクシオン平野やホバーバイクなど,新たなフィールドや移動手段が加わりました。これによって,プレイヤーにどのような体験を与えたいと考えていますか。
チュ・ミンソク氏:
この1年間,私たちのアップデートは主にダンジョンベースのコンテンツに焦点を当ててきました。ダンジョンはテンポが速く,目的志向のゲームプレイを提供する一方で,協力プレイの体験が短命かつ断片的になりがちです。
そこで私たちは,よりオープンで持続的な環境の中でプレイヤー同士が交流できるマルチプレイヤーコンテンツを作りたいと考え,フィールドコンテンツに注力することにしました。
ローンチ時にはダンジョンとフィールドの両方が存在していたものの,リリース後のゲームプレイは圧倒的にダンジョン寄りになっていました。多くのプレイヤーから,より広大でダイナミックなフィールドコンテンツを求める声が寄せられ,それは私たちが思い描いていたビジョンとも一致していました。
その結果,「Breakthrough」では最大規模のフィールド「アクシオン平野」を実装します。コロッサスレイド:ウォールクラッシャー,アクシウム補給物資の投下,戦場など,多様な大規模イベントが展開されます。
そして,プレイヤーがこの広大なエリアを効率よく移動し,新コンテンツを存分に楽しめるよう,新たな移動手段「ホバーバイク」も導入しました。
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4Gamer:
8人レイドは,本作のPvEコンテンツにおいてどのような役割を担うと考えていますか。企画段階で意識したことがあれば教えてください。
チュ・ミンソク氏:
アクシオン平野で導入された8人用レイド「コロッサスレイド:ウォールクラッシャー」は,従来のレイドというよりも,大規模なフィールドイベントのような体験を目指して設計されました。
決まった時間になると,プレイヤーたちはウォールクラッシャー討伐のために集結し,ランダムにマッチングされた8人で強敵に挑みます。
この構成により,緻密なチームプレイや複雑なギミックにはあえてこだわらず,スケールの大きなシネマティックな戦闘と直感的な攻撃パターンに重点を置きました。
また,サーバー全体のプレイヤーが協力して,1週間に一定数のウォールクラッシャーを討伐することで報酬を獲得できる「ワールドクエスト」システムも準備しています。
これにより,ウォールクラッシャーはアクシオン平野における代表的なフィールドコンテンツの1つとして定着していく予定です。
4Gamer:
新たに登場したディセンダント「ネール」は,どのような経緯で生まれたキャラクターなのでしょうか。デザインやスキル構成の面で意識したポイントを教えてください。
チュ・ミンソク氏:
リリース初期から多くのプレイヤーが,プレイアブルなディセンダントとして登場を期待していたNPCでした。既存のNPCがプレイアブルなディセンダントに移行するのは初めてのことで,私たちは非常に意義深いマイルストーンと考えています。
これをきっかけに,今後もより多くの馴染み深いNPCをプレイアブルキャラとして加えていく広範な計画の始まりだと見ています。
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メインストーリーでは,ネールは戦略アドバイザーの役割を果たし,エンゾと深い関係性を持っていました。彼女のスキルセットはその背景を反映するように設計されており,敵をスキャンして有利に戦うためのエーシブ(Ecives)使用など,情報収集を軸にした能力が組み込まれています。
とくに暗号化された金庫の解除時には,エンゾとの独自のシナジーも用意しました。
シーズン3のメインストーリーの軸は,ネールのディセンダントとしての覚醒に焦点を当てています。キャラクターの覚醒をメインストーリーで描くのは今回が初めてで,その制作には特別なこだわりを持ちました。
ネールの覚醒シーンは8分間のシネマティックとして演出されており,プレイヤーの皆さんにじっくり楽しんでもらえればと思います。
4Gamer:
「Descendant Fest 2025」開催の背景や,プレイヤーとの新たな関係構築という意味で重視しているポイントを教えてください。
イ・ボムジュン氏:
「Descendant Fest 2025」では,これまでの歩みを振り返り,アップデートの内容を紹介し,プレイヤーの質問やフィードバックに直接応える場としました。
開発チームにとって,プレイヤーとの意味のある関係を築き,維持することは常に最優先事項です。私たちは常にプレイヤーからの声を集め,それをゲーム改善の土台にしています。
4Gamer:
この1年間,プレイヤーのフィードバックが開発方針に影響を与えた例を紹介してください。
チュ・ミンソク氏:
「The First Descendant」のローンチ時と比べて大きく改善されており,その多くはプレイヤーのフィードバックを直接反映したものです。とくに,多くのプレイヤーにとって大きな負担となっていたファーミングループの過酷さや,繰り返しのストレスを和らげることに注力しました。
繰り返しの失敗で早期に離脱してしまった方もいるかと思いますが,体験面は大幅に改善されているので,ぜひ再びプレイしてみてほしいです。
とはいえ,まだ改善すべき点は多く,その中でもバランス調整はとくに重要な課題です。「Descendant Fest 2025」では毎月のバランスパッチ計画を発表しましたが,道半ばであることは自覚しています。
プレイヤーの声に謙虚に耳を傾け,期待に応えられるまでゲームのブラッシュアップを続けていきます。
プレイヤーの意見を集めるために,Dev LiveのQ&A,DiscordでのAMA,リリース前のFGT(ファンゲームテスト)など,さまざまな取り組みを行ってきました。そして今回のシーズン3のアップデートからは,プレイヤーの提案をもとにした新機能としてゲーム内アンケートも導入しました。
プレイヤーベースが非常にグローバルなため,フィードバックは多様かつ深い洞察に満ちています。すべてを反映するのは簡単ではありませんが,それだけ多くのプレイヤーがゲームを大切に思ってくれている証だと捉えています。
今後もコミュニティと積極的に関わりながら,「The First Descendant」をより良いゲームにしていきます。
4Gamer:
「NieR:Automata」とのコラボ実現にあたって,開発チームはどのような挑戦がありましたか。
イ・ボムジュン氏:
まずは,コラボに対する多大な関心に驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。もちろん,これは私たちにとって初めてのコラボでしたが,ゲームの世界観や体験と自然にマッチしていたため,プレイヤーの皆さんにも深く響いたのだと思います。
今後も,単に話題性や注目を狙うのではなく,ゲームの世界観や体験に合ったコラボレーションを優先していく予定です。
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大きなトラブルはありませんでした。スクウェア・エニックスとプラチナゲームズのチームが私たちの開発プロセスを理解し,尊重してくれたおかげで,スムーズに進めることができました。この点について,心から感謝しています。
4Gamer:
今後,長期的に成長していくために重要だと考えている要素を聞かせてください。
チュ・ミンソク氏:
現在,私が注力しているのは戦闘バランスです。以前はプレイヤーがコンテンツより圧倒的に強く,戦闘が一瞬で終わってしまうことが多々ありました。
そのため,敵とのやりとりに意味がなくなり,面白い攻撃パターンやプレイヤーの成長に応じた自然な難易度曲線を設計するのが難しくなっていました。
アクシオン平野では,戦闘により深みを持たせ,長期的な成長をしっかり促すシステム設計に取り組んでいます。
とはいえ,繰り返しプレイしてもスムーズで楽しい戦闘体験を維持することも大事にしています。
この両立は常に難しい課題です。
現在はアクシオン平野で確立した戦闘バランスをもとに,新しい難易度曲線を設計しており,これは「The First Descendant」の長期的な未来を担保するための最重要改善の1つだと考えています。
「The First Descendant」公式サイト
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