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大阪・関西万博2025の英国パビリオンで「Scotland's Gaming Showcase」を開催。ゲーム産業の国際連携を強調
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冒頭,スコットランド首席大臣のジョン・スウィニー(John Swinney)氏によるビデオメッセージが届けられ,「スコットランドが,開かれた,進歩的で,誰もを歓迎する国であることを世界に示したい」との言葉とともに,ゲーム,消費財産業,ライフサイエンスとデジタルヘルス,エネルギー転換の,四つの分野でスコットランドのリーダーシップを発信していく方針が語られた。
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その後も,大阪・関西万博英国政府代表のキャロリン・デービッドソン氏,スコットランド政府ビジネス担当大臣リチャード・ロクヘッド氏らが登壇し,スピーチを行った。
リチャード・ロクヘッド氏は,「スコットランドは革新,発明,創意において豊富な歴史を持ち,ゲーム産業においても「グランド・セフト・オート」や「レミングス」といった世界的なゲームを生み出して成功を収めてきた」と強調,さらにスコットランドに所在しているアバーティ・ダンディ大学(以下,アバーティ大学)は,ゲーム教育の中心地であり,世界で初めてゲーム専門学科※を提供した大学でもあることを説明した。
※1997年に世界で初めてビデオゲーム専門の学位課程を設立し,ビデオゲーム教育の発祥地となされている。(Abertay University)
「スコットランドでは,現在7つの大学がゲームに関連する教育を行っており,ゲーム分野の国家計画を策定中」とゲームへの注力を語り「イノベーションはコラボレーションによってこそ花開くもの。そのために,ここ日本にやって来た」と,国際連携の重要性を強調してスピーチを締めくくった。
そしてその後は,同氏が司会を務める「スコットランドのゲーム業界の拡大:グローバルな連携,技術革新,流通」をテーマにしたパネルセッションで,スコットランドと日本のゲーム産業のそれぞれの強みや課題,そして連携の可能性について議論を行った。
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人口の約5%がゲーム産業に従事する,世界で最もゲーム人口を持つ都市がスコットランドにある
まず「スコットランドのゲーム産業は現在どのような状況か」という問いに対し,4J Studios会長のカウル氏は30年間のゲーム産業経験を振り返りつつ,「コンソールゲーム初期には1,2スタジオしかなかったスコットランドが今や,ゲームだけでなくエンターテイメント全体で世界最大のフランチャイズである「グランド・セフト・オート」を生み出すまでに成長した」と語った。
また彼自身が会長を務める4J Studiosも,スウェーデンのMojangのビジネスパートナーとして,過去10年以上にわたり「Minecraft」のコンソール版の開発を担当し,スコットランドのゲーム産業に大きく貢献している。
そんな産業を支えているのが,豊富なゲーム人材だ。「人口わずか15万人のダンディー市は,人口あたりのゲーム開発者数が世界で最も多い都市になった。ダンディーの人口の約5%がゲーム産業に従事しており,これは信じられないほどだ」と述べた。
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カウル氏はまた,スコットランド政府が運営するスタートアップ支援プログラム「Techscaler」※に触れ,「ゲーム産業は世界的に,より長く続き,数千万人どころではなく数億人のコミュニティを構築できるものだ。スコットランドは新しく台頭するIPやゲームを生み出すだけでなく,それらをスケールアップさせるためにも素晴らしい位置にいる」と述べた
※Techscalerは,ゲームに限らずスコットランド全土で起業志望者を支援するプログラムで,専門家によるメンタリング,世界クラスの教育コース,スタートアップコミュニティのためのスペースとイベント支援を提供している。(Techscaler公式サイト)
それらの話を受け,実際にスコットランドを拠点にしているKeelworks創設者兼CEOのメヘル・カレンデリアン氏は,スコットランドには多様な企業エコシステムがあるという点を強調した。「スコットランドにはRockstarのような大企業だけでなく,健全なインディーシーンもあり,私もその一部だ。ゲーム産業におけるこの多様性は非常に良い」と評価した。
さらに,「スコットランドには良いワーク・ライフ・バランスがあり,豊かな自然,遺産,文化があり,それが個人的にも専門的にも仕事に貢献している。最近,中世ゴシック風のゲームを制作していたが,参考資料を得るためには,ドアの外に出て歩き回り,城を訪れるだけでよかった」とスコットランドの生活環境の魅力についても言及した。
一部のIPで多くの売上を上げているが,そのIPの多くは1990年代や2000年代に生まれたもの。新しいIPの創出に苦戦している日本の未来は?
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その要因として「新しいIPを作るためには本当に優れた人材が必要だが,日本は他の国と比べて言語の壁があり,国際的な人材と協働するのが難しい。日本語を学ぶのは大変だし,日本国内でゲーム産業に従事できる人材を見つける必要があるが,その数はまだ非常に限られている」と説明した。
なおインディーゲームについては,「日本のインディーゲーム開発者の中には,非常に成功しているケースもある。過去4〜5年で,100万本以上を売り上げたインディータイトルが3〜4本ある」と前向きな傾向を紹介。「私が関わるインディーゲーム・インキュベーションプログラムでは,毎年5つのタイトルを支援しているが,2年前に支援したソロ開発者が,150万本という素晴らしい売上を達成した」と具体例を挙げた。
「10年前や15年前と比べて,日本のインディーゲームシーンは非常に成長している。政府もその潜在力を認識しており,経済産業省と文化庁がゲーム支援に乗り出している。私自身も経済産業省のゲーム加速プログラムのアドバイザーを務めている」と説明した。
そして,業界全体を俯瞰する立場であり,日本のゲーム業界を黎明期から見てきた日本オンラインゲーム協会(JOGA)代表の川口洋司氏は,日本のモバイルゲーム市場についても触れた。
「ゲームの市場シェアの約70%がスマートフォンゲームで,市場規模は約1.2兆円に達している」と紹介。「我々はそのような市場シェアを分析し,ゲーム企業に支援を提供している」と協会の活動を紹介した。
同氏は市場の課題として「日本は米国,中国に次ぐ世界第3位のゲーム市場だが,各国に市場シェアを奪われつつある。日本のスマートフォン市場シェアは拡大しているが,競争はますます激しくなっている」と語った。
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スコットランドに座って日本のゲームの文化的嗜好を理解できると考えるのは,非常に無知なことでしょう。理解に至る唯一の方法は,協力して話し合うことです
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それに対してカレンデリアン氏は,「コラボレーションは様々な形があると思います。ただ単にテイストの模倣でなく,ローカライゼーションでも,ユーモアでも,お互いの文化的な考え方を理解することが必要です」と強調した。
カウル氏も同じ意見を持ち,「国境を越えたパートナーシップがあれば,その地のことを迅速に判断できます。スコットランドに座って日本のゲームの文化的嗜好を理解できると考えるのは,非常に無知なことでしょう。理解に至る唯一の方法は,協力して話し合うことです」と示した。
ほかにも,スコットランドの開発者から寄せられた「日本の企業に信頼してもらうためには何が必要なのか」という問いに佐藤氏は,「スコットランドのゲーム業界の強みは,大企業と小企業がバランス良く共存している点です。そのため両方の視点を理解できるわけで,スクウェア・エニックスのような日本の大手企業の考え方やニーズも把握できます。この理解があるからこそ,日本企業との協力がスムーズになります」と説明した。
それぞれの市場に限定されたものではなく,双方の国のユニークな強みを活かした作品を世界に送り出す
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この発言に呼応するように,カレンデリアン氏も「対面での会議を通じた継続的な協力関係を築くことが重要」と述べ,川口氏は「ライセンス交換を含む様々な形でのコラボレーションが可能」とそれぞれの見解を示した。
カウル氏は「スコットランドは人口で見れば小さな国です。国民数は500万人から600万人で,日本と比べるとはるかに小さいです。しかし,私たちが世界のゲーム業界に与える影響は,人口規模をはるかに上回っています」と強調した。
「5年後に見たいのは,スコットランドから生まれるゲームが,日本の才能を理解して協力して,それぞれの市場に限定されたものではなく,双方の国のユニークな強みを活かした作品を世界に送り出すことです。私たちはスコットランドであるからといって,必ずしもすべてにタータンチェックを付ける必要はないんです」と未来への展望を語り締めくくった。
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