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LoLやVALORANTの“ライアットゲームズ”が東京ゲームショウに初出展した理由は? CEOの藤本恭史氏に話を聞いた[TGS2025]
同社はRiot Gamesの日本法人であり,今回が“TGSに初出展”だった。会社自体の知名度もそうだが,eスポーツシーンで屈指の人気を誇る「League of Legends」と「VALORANT」を抱える身で初出展というのは,なかなかどうしておもしろい動向だと思わされた。
そのため現地では藤本氏に,貴重な時間のわずかな隙を縫ってもらった10分間で,「ライアットゲームズがTGSに初出展した理由は?」と尋ねてみると――いやまあ確かにそうか。なんて思わされた。
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ライアットゲームズの使命
4Gamer:
私の感覚では,ライアットゲームズが初出展だというのはかなりビックリでした。というのも,海外の大型ゲームイベントだと,御社はだいたいドデカいブースを出展しているんですよね。
それで見慣れていたので,御社出展も当たり前に考えていたのですが,「TGSは初なのか」と職業病に気付かされた次第で。この機会にぜひお話を聞かせていただければと思い,打診いたしました。
藤本恭史氏(以下,藤本氏)
ありがとうございます!
4Gamer:
直球でお聞きしますが,今回はなぜTGSに出展したのでしょうか。
藤本氏:
東京ゲームショウに出展するのは,実は日本オフィスのメンバー的には「夢」でした。我々もやっぱり,日本でビジネスをさせていただいている以上は,いつかTGSに出て,プレイヤーの皆さまにリアルでもしっかりと楽しんでいただきたかったんです。
ただ,弊社はコンスタントに新作ゲームを提供しているわけではなく,基本的に運用型なんですよね。だからLeague of Legendsでも,VALORANTでも,主題になりそうなのがバージョンアップでして。「新パッチ出すから出展する……?」という壁があり。
4Gamer:
ああ,確かに。TGSは「分かりやすい新作」が求められがちですね。
藤本氏:
そうなんですよ。ほかのメーカーさんも「年末商戦に向けた新作をぜひ体験してください!」といったスタンスだと思いますし。
それに,パッチを出すといっても「TGSの時期にかみ合うのか?」という問題も浮上します。それでなかなか思いどおりにはいかず,TGS出展を決めきれなかったというのがこれまでの背景です。
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4Gamer:
でも,今回は違った。
藤本氏:
はい。今回はちょうどLoLを題材にした対戦格闘ゲーム「2XKO(ツーエックスケーオー)」が2025年10月8日アーリーアクセスとあって,タイミングが最適でした。
それともう一つ,ブースの割合を非常に大きく占めているVALORANTも,昨年にコンソール版をリリースしています。
やはりTGSではコンソールゲームがあるほうが,幅広い来場者さんにご紹介しやすいんです。今回は2XKOとVALORANTの機会をぜひとも有効的に使おうと考えて,TGS出展に至ったわけです。
4Gamer:
すこし昔を振り返ると,VALORANTのリリース時期は,AAA級の大手シューターがひしめき合っていました。どれがどこまで成長するのか,会社もユーザーも読みきれない時勢だったかと思います。
その点,大変失礼な話ですが,私は「VALORANTがここまで,LoLと比肩する巨大看板になるとは……」と,その躍進に驚いていまして。
藤本氏:
本当にありがたい話です。日本でVALORANTがここまで成長できたのは,プレイヤーの皆さまのおかげです。これまで多くの方々にたくさんの応援をいただけたからこそ,VALORANTはここまで育ちました。
我々がいつも考えているのは,皆さまにいかに感謝の気持ちをお返しできるかです。そのため,この機会にぜひ皆さまと実際にお会いして,我々の最大の感謝をお伝えしていきたいんです。
もちろん,TGSのステージはすべてオンライン配信していますので,ご自宅から楽しんでくださるようでも幸いです。
4Gamer:
ブース内の“リアル”ナイトマーケットも(会期初日9月25日のビジネスデイの16:00ごろには)完売状態ですしねえ。
藤本氏:
ブースに関しては,「ゲームの世界をすこしでも身近に感じていただける体験型ブースにしよう」と考えて,パンチングマシーンやボール投げなどの展示物を用意いたしました。周囲のブースさんの出し物とは,すこし毛色が違うかもしれません(笑)。
常々,僕らはゲームを遊んでもらうことで,なにか誇りに思っていただけるような,そんな体験を実現したいと考えています。
毎年年末に開催している本社の一大イベント「Riot Games ONE」も,そうした思いから生まれた施策ですしね。
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4Gamer:
TGS出展は,日本法人だけで決定したのですか?
藤本氏:
主導は我々ですが,「こういう形でTGSに出たい」と本社チーム,2XKOやVALORANTのチームにも相談して,日本のTGSがいかにすばらしいプロモーション機会であるかを,関係各位に伝えました。
ただ,なんて言うんでしょう。我々としては日本のライアットゲームズが代表して出展したというつもりはなく,「Riot Gamesとしてグローバル全体を背負って出展した」といったイメージでいます。
4Gamer:
そのほうが会社全体の意気込みも感じられるのでよいかなと。
続けて,御社のタイトルは現状,日本市場においてはどのような見られ方をしているのか。藤本さんなりの所感はいかがですか。
藤本氏:
まず,「ライアットゲームズといったら?」という質問があったなら,一昔前はLeague of Legendsと答える方々が大半だったと思います。しかし,昨今はVALORANTと答えてくださる方々も増えているといいますか,日本ではVALORANT“から”想起する人も多くなった気がします。
4Gamer:
そうですね。私は一昔前側ですが(笑)。
藤本氏:
いえいえ,ありがとうございます(笑)。
VALORANTはタクティカルシューターとあり,ゲームジャンルとしては非常に高難度な位置づけです。けれども,ゲームの魅力を伝えるためのeスポーツにおいて,選手への応援やコミュニティの形成が予想外に大きく広がりました。とくに本作は,ユーザー層の7割超がいわゆるZ世代と呼ばれる若い世代の方々ですので,若いゲーマーさんがカルチャーを生んでくれたことが,今日に至る最大の要因だったと考えています。
4Gamer:
その雰囲気は,SNSなどでも見て取れますしね。
藤本氏:
あと,多くの方々が会社名つながりでLeague of Legendsに触れてくださり,同作の楽しさを発見してくれています。この影響は大きく,全体的な相乗効果が今の我々を支えてくださっています。
それに,多くのインフルエンサーさんの存在も大きな原動力です。今回もk4senさんやClutch_Fiさんなど,多くの方々にお声がけさせていただき,VALORANTは「感謝のローリングサンダー」なんてイベント名にしたくらいです(TGS中に配信するストリーマーイベント)。
一緒にこの場を盛り上げて作り上げてくださっているプレイヤーさん,インフルエンサーさんには,本当に感謝しっぱなしですね。
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4Gamer:
一方,昨今は「eスポーツ」という言葉も自然と受け取られる概念になりました。それだけに,数年前のようにeスポーツという単語を押し出すだけでは牽引力も低く,言葉自体がウリではなくなってきた。
そんな時代になった現在,御社としてはさらなる起爆剤や,これ以上の盛り上がりを生むための思索はしておりますか?
藤本氏:
そこは我々も常日ごろから考えていることです。そのうえでやはり,「競技シーンにおいてはとくに,日本チームがどこまで勝っていけるか」が,日本のファンにとっては大きいだろうと想定しています。
4Gamer:
即物的な考えではありますが,普段は見ないスポーツでも,「日本チームが優勝」となると注目度が飛躍的に高まりますもんね。
藤本氏:
そうですね。我々のブースでも「VALORANT Challengers Japan 2025」で優勝し,国際大会「VCT Ascension Pacific」への挑戦を控えたプロゲーマーチーム「RIDDLE」の選手の方々をお呼びして,国際大会に向けた壮行会ステージを9月27日に開催します。
これからアジアに打って出るRIDDLEの選手に,すこしでも生の声の応援が届けられるようにと,この場を設けさせていただきました。
4Gamer:
選手を後押しする姿勢は,外から見ていてもうかがえます。
藤本氏:
ただ言っておきたいのは,我々は単に日本チームに世界で活躍してほしいと願うのではなく,“国内で切磋琢磨し合っている競技”だということを伝えたいと考えています。
華々しい戦績にただ乗じるだけでは,それぞれのチームの成り立ちも,選手の方々の裏でしている努力も,彼らがいかに勝つべくして勝ったのかも,彼らの切磋琢磨の内実が届けられません。
そうした選手たちのドラマをコミュニティにお届けすることが,我々の大きな使命だろうなと思っています。
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4Gamer:
私も過去の取材で,「スター選手が生まれるのを待つだけでは,競技の持続的な盛り上がりにはつながらない」と,元プロスポーツ選手から聞かせてもらったことがあるので,しみじみ分かります。
御社も選手の勝った負けただけじゃなく,ファンコミュニティにより深く届けるためのやり方を模索してきたわけですね。
藤本氏:
はい。選手たちの活躍を見ている人も,自分がその界隈のなかにいて,一緒に応援し,一緒に育っていく実感といいますか……「シーンを作ってるんだ」と。そういう思いを自然と持っていただけるようなコミュニティ作りをしていきたいなって。
4Gamer:
まさに先ほどの「僕らはゲームを遊んでもらうことで,なにか誇りに思っていただけるような,そんな体験を実現したい」ですね。
藤本氏:
そのとおりです!
4Gamer:
そういえば,TGSに来てみての印象はどうですか。
藤本氏:
いやあ,もう周りがですね。皆さんのブースがものすごく派手なので,「僕らはちょっと控えめだったかも」と思っています。
でも,我々なりに,初めてのTGSで皆さんに楽しんでいただくにはどうすればいいのか。本当に,関係者一同で頭をひねって準備してきたので。ぜひとも多くの方々にご来場いただけるとうれしいです。
4Gamer:
ちなみに遠い話ですが,来年には2XKOも運営に入りますよね?
藤本氏:
そうですね。その予定です。
4Gamer:
となると,御社はまた(とんでもないサプライズな隠し玉でもない限りは)新作展開も落ち着き,また従来の動き方に戻るのかなと思いますが。願望でもいいです。来年もTGSには出展しますか。
藤本氏:
まずは,このブースで皆さまにいかに楽しんでいただけたか,その結果を見てからですね。そのあと「さて,どうしようか」という議論に進めるんだろうなと思っています。
4Gamer:
じゃあ,大いに盛り上げないとですね。
藤本氏:
がんばります!
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