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アジール,待ってんぞ。自チャンピオンのいないLoL格ゲー「2XKO」で,ジンクスが撃ってアーリが拾って浮かせて〆てgg[TGS2025]
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本作は,同社の代表タイトルであるMOBA「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)」を題材にした2vs.2の対戦格闘ゲームで,発表から長らく注目されてきたタイトルだ。
これまで対戦格闘ゲームの世界大会「EVO」に試遊出展されてきたほか,何度かのプレイテストも行われてきた。現在もクローズドβテストが実施中だが,日本時間の2025年10月8日に終了すると同時に,アーリーアクセスへと移行する。
つまり,来月からは誰でも遊べるようになるのである。
しかし,LoLで初めて購入したチャンピオンが「マルファイト」だった私とはいえ,jgの介入がいっさいないTopレーナーのようにアーリーアクセス開始まで耐えるつもりはなく,TGS会場で最新環境に触れてみた。
ちなみに,2XKOってなんて略すんだろうね。ツケオ?
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試遊版のゲームモードは「バーサス」と「トレーニング」のみの漢気仕様となっている。将来的には1人用ストーリーなどもあると嬉しいが。
また10月8日に「シーズン 0」も開幕し,10体目のチャンピオンが実装される。さらに,来たる2026年には“5つのシーズン”でサービスしていくという。各シーズンではランクリセットが適用されるほか,新チャンピオンやバトルパスなどが登場するとのこと。
このあたりはLoLと同じく,バランス調整も込みであろう。
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プレイアブルキャラクターは,LoLで現在170体以上も実装されているチャンピオンのなかから選出された,以下の9人だ。当選率は約5.29%と,スマホゲームでUR相当を狙うよりもよっぽど高い。
・ブリッツクランク(グラブ折れろ)
・ブラウム(盾を置け)
・ダリウス(回るな)
・エコー(もっと未来に生きろ)
・イラオイ(使うな)
・ジンクス(BAN)
・ヴァイ(フルヘルスでリーサルぅ???)
・ヤスオ(やすお)
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アジールやヘカリムやベイガーという持ちチャンピオンがいないことに気分はリフトヘラルドだが,総じてメレー系チャンピオンが多めだ。
なお,現状は「ジンクスの弾が強い」と言われているようだ。彼女は“当たると浮かせる飛び道具”をサモナーズリフトさながらに撃ちまくるため,プレイヤーの目についたのだろう。実際強そう。
対戦格闘ゲームにも“シューティング”の概念のキャラクターやシステムは存在する。だが,強い意味でも弱い意味でも基本的に取扱注意の領域である。アッシュやケイトリンなどを参戦させるのも,システムがうまく整ったときか,新たな時代を開いてしまうときだろうか。
いずれにせよ,すでに未来に期待させられるラインナップだ。
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チャンピオンは自分も相手も2体ずつ選んで戦う。また,選択後に「ヒューズ」という,ルーン的なカスタマイズ要素も選ぶ。
・2X ASSIST:アシスト攻撃を2回連続で使用可能
・ダブルダウン:超必殺技中,控えチャンプの超必殺技に連携可能
・フリースタイル:チャンピオン交代が2回連続で可能
・サイドキック:チャンピオン交代不可だが,体力と防御力上昇
・ジャガーノート:チャンピオンは1体のみ選択可能で恒常強化
などと書いたが,上記は以降のシステムを理解するまで飲み込まないでよさそうだ。そもそも,これから紹介する基本要素が多く,すべてを最初から覚えるのは“初めてのLoL”くらい困難である。
分からないうちは「2X ASSISTでアシスト連打!」で事故らせるか,「ダブルダウンで簡単ダメージUP!」が無難だろうか。
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体力ゲージや必殺技ゲージは各チャンピオンで別個だ。つまり,2本分を削りきることでラウンド勝利となる。
操作方法はレバー+6ボタン方式で,特定のアクションをワンボタンで入力できるようにする追加ボタンも設定できる。
・攻撃ボタン:「L(弱)」「M(中)」「H(強)」
・必殺技ボタン:「S1」「S2」
・アシストボタン:「T(チーム)」
必殺技はSボタン入力,または“S1+→”など一方向キーで発動する。基本的に236だの623だのといったコマンド入力は存在しない。ここはここ十数年間の「格ゲー難しすぎ問題」を咀嚼して,操作難度を感じさせずに誰でも遊べるような仕様を目指したのだろう。
これにより,連続コンボの基本系も「L→M→H→S1」となる。応用形は,多くのチャンピオンが“


また「パルスコンボ」という,いわゆる“1つのボタンを連打するだけでカッコいいコンボが出る”システムもある。格ゲー初心者はここまでのすべてを忘れて,これだけ覚えておけばよいレベルだ。2XKOにおけるグインソー レイジブレードといっていい。
なお,操作が簡単な格ゲーは“=(イコール)誰でも簡単なゲーム”ではない。操作が容易だからこそ上級者はもっと手軽に動かせてしまうし,駆け引きに焦点が置かれるからこそ,うまい人はもっと強くなる。こうした仕様は分かりやすい課題解決になっているとは思うが,個人的には,次代の最適解なのかはいまだに神のみぞ知るといったところだ。
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なお,2段ジャンプと空中ダッシュは,固有性能として備えているチャンピオンだけ使用できる。
さらに,ガード中にバックステップする「後退ガード」。一発AGやめろと言われないよう,ゲージ消費を伴うガード中の距離離しアクション「プッシュブロック」。いわゆるバーストにあたる「ブレイク」。ゲージ消費の弾きアクション「パリィ」がある。パリィは,M・L攻撃をとったら(ほぼ)確反を取れるくらいの代物と考えていい。
また,いずれかのチャンピオンがKOされたら「フューリーブレイク」が発動可能になる。このときは攻撃力&防御力25%上昇,体力ゲージのグレー部分が徐々に回復するようになる。
さらに,Tボタンで以下のように控えチャンピオンを活用する。再使用には5カウントのクールタイムがはさまるため,連打は不可だ。
・控えと交代「タッグランチャー」「クイックタッグ」
・控えを呼ぶ「アシストアクション」
・控えが相手を押す(距離を離す)「プッシュアシスト」
・控えと瞬時に交代「ハンドシェイクタッグ」
控えキャラは体力0の戦闘不能状態でも,アシストアクションなどが利用できる。別個にためた必殺技ゲージを用いれば,超必殺技も出せてしまう。これができないゲームは多いので,おもしろい仕様だ。
さて,この時点で「前述したヒューズについて覚えていることを書き連ねなさい」と言っても,大半の人は覚えていないだろう。なので上記に関しても,やる気勢以外は体験前から詰め込む必要はない。
そのうえで,どの行動も明確な役割と強みがあるので,プレイ時は体に染みこませ,自然と使い分けられるようになろう。やる気勢は。
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実際の対戦の様子としては,ゲーム展開がスピーディで,堅実な駆け引きで戦っていく。
先行入力がわりと利くほうなので,コンボのつなぎにフレームを読んでビタ押し,なんてことは(基本的には)考えないでよさそうだ。
そのうえで特筆すべきは,やはり控えキャラクターの「アシスト」の存在だろう。これがある格ゲーは良くも悪くも往々にして,長大で不可解な固め連携を押しつけるか,画面グッチャグチャで分からん殺しするか,離席できるほどの時間を稼ぐ壮大なコンボを創造するか,といったことになりがちだ。少なくない例で,相手側に愉快な笑顔の魔法をかけてきた。
アシストで相手をはさみ込んでからの表裏・中下段を択る様子は,「ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産」さながら。画面グッチャグチャは言わずと知れた「MARVEL VS. CAPCOM」シリーズのごとし。
そして公式Xで公開されていたコンボは,まさに呪文の系譜。コマンドではパッと見で理解できないだろうから,雰囲気で伝えよう。
「浮かせて拾って浮かせてアシスト拾いから浮かせて裏落ちで超必〆」
である。大多数には伝わらないかもしれないが,個人的には“スカルガールズのアレ”を想起させられた(イイ意味で!)。
これでさらに,割り込みでこすっていれば最適解な無敵昇竜持ちアシストがいたら,アシストゲー確定だ(ワルイ意味で!)。
しかし,これは「以前のバージョン」のほうが色濃かったとのこと。現在は長かったコンボ時間も調整され,プレイヤーがなにもできない時間を短縮したという。そのうえで完全にできなくなったわけでなく,選んだヒューズ次第では,相手に笑顔の魔法をかけられるようだ。
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本作は手触りとして,「よくできた格ゲーだ」と思えるラインに達している。LoLのIPを広げるためだけに片っ端からジャンルを乗り継いだ作品,などと語るものではない。完全にeスポーツシーンを見据えても違和感のない仕上がりと言える。
補足として,ライアットゲームズは本作において現在,計22のコミュニティ主催大会をスポンサーする「First Impact プログラム」を表明している。支援対象には同社が大会の賞金プールに金額を加算,優勝者への特別賞も用意するなど,積極的なサポートを行うとしている。
なお,ブースには通常試遊台と勝ち抜きチャレンジ台(5連勝制限),ヴァイのQ-スキル「真っすぐいってぶっとばす」をテーマにしたパンチングマシーンが展示されている。でもブリンクしすぎは厳禁だ。
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ちなみに,ライアットゲームズは“今年がTGSに初出展”であった。ここは皆さんと感覚にズレがあるだろうが,私個人は「え,うそだろ?」と思った。というのも,海外の大型ゲームイベントでは,(本社の)Riot Gamesが出展していないことなどまずないのだ。
それで見慣れていたから気づかなかったが,LoLと「VALORANT」が日本のeスポーツシーンで上位の認知度を誇るなか,ここに来てTGS初出展とはこれいかに。単純な構図としては,格ゲーが日本においてリーチしやすいから出展してみた,ということだと思うが。
いずれにせよ,この2XKOがTGS初出展を決めさせるほどの肝いりなのは確かだ。未来は分からないにしても,10月のアーリーアクセスから先は,押しに押される作品になることだろう。