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河津秋敏氏たちと巡る「ロマンシング佐賀2025」同行記(前編)。有田と伊万里で出会った数々の"驚異"とは
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印刷2025/12/06 10:00

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河津秋敏氏たちと巡る「ロマンシング佐賀2025」同行記(前編)。有田と伊万里で出会った数々の"驚異"とは

 2025年10月24日。羽田発の福岡行きの機中で,これから始まる「旅」の実感がようやく湧いてくる――。

 目的地は「ロマンシング佐賀2025」の舞台となる佐賀県。シリーズファンであれば一度は訪れたいであろう「巡礼」の地である。もちろん佐賀自体は作品の舞台ではないため,いわゆる“聖地”巡礼とはニュアンスは少し違うのだが。
 機の着陸が,いつになく荒く感じたことが印象に残っている。

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 ロマ佐賀ことロマンシング佐賀は,佐賀県がスクウェア・エニックスとともに展開するサガシリーズをテーマとしたコラボプロジェクトだ。2014年にスタートし,作品の世界観と県内各地の文化・観光資源を組み合わせた企画を実施。2024年には10周年を迎え,今ではサガファンだけでなく,佐賀の恒例イベントとしても親しまれている。

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 11年目の冒険のメインとなるのが,鍋島焼開窯350年を迎える伊万里と400年以上の歴史を誇る有田という“やきものの聖地”。伊万里と有田それぞれに有田焼陶板のモニュメントとマンホールが設置され,絵付け体験,地元の人気店でのコラボメニューの提供などさまざまなコラボ企画が行われる。

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 さて,4Gamerは例年,佐賀県の案内のもと「ロマンシング佐賀」の現場を取材してきた。
 佐賀県のプロジェクト担当者,そしてスクウェア・エニックスの関係者とともに各地を巡るという特別な同行取材で,今回筆者はその担当として参加することになり,こうして佐賀へ向かっているわけだ。

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 子どものころからサガシリーズに親しみ,ゲームライターとしても多くのサガシリーズ作品に関わってきた筆者にとって,ロマ佐賀に訪れること自体は確かに胸躍る体験である。

 ……だが今回の旅には,もうひとつ緊張を伴う理由があった。
 “河津神”の呼び名でも知られるサガシリーズ総合ディレクター・河津秋敏氏とロマ佐賀を回るという事実だ。

飛行機を降りて一行と合流し,河津氏のあとについて移動。本企画担当の編集氏にメンバーを聞いていたとはいえ,きっ,緊張が……
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 福岡空港のロビーで合流したのは,スクウェア・エニックスの河津氏,サガシリーズプロデューサーでロマ佐賀プロジェクトのキーパーソンである市川雅統氏,クリエイティブスタジオ7の吉村聡真氏。メディアは小紙から筆者と,4Gamerと同じく長年この旅に同行しているファミ通編集長のロマンシング嵯峨氏,ほかに佐賀県のロマ佐賀プロジェクトチームや制作にかかわる広告代理店の方々など,思っていたよりもなかなかの大所帯だった。

 河津氏とはかなり以前,インタビューでお会いしたことはある。しかし,旅の同行者として長い時間を一緒に行動するというのはもちろん今回が初めてだ。
 制作陣と一緒にロマンシング佐賀を回るという事実に,次第に緊張が高まってくる。

河津さんの隣の席? マジですか


 最初の行き先は,今年のメインリージョンのひとつである有田。福岡空港からワゴンタクシーでの移動となった。
 常連組であろうメンバーが当たり前のように定位置に座っていくなか,筆者は空いた席を見て,驚くべきことに気が付いた。

「えっ,私が河津さんの隣なんですか?」

 もちろん実際には口には出していない(たぶん)。これから有田へ向かう車中,通路を挟んでいるとはいえ,一番話しかけやすい位置関係となった。これは覚悟を決めるしかない。

「サガ エメラルド ビヨンド」(C)SQUARE ENIX
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 筆者はここ2年ほど,「サガ エメラルド ビヨンド」「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」「サガフロンティア2 リマスター」の立て続けのリリースを機に,4Gamerにてサガシリーズ作品に関するプレイレポートや企画記事を担当してきた。
 子どものころから遊び続けてきたシリーズであったことに加え,記事を書くことで自分のサガ観やRPG観が整理され,「ああ,自分なりの答えに辿り着けているな」と感じる瞬間もあった。


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[2024/08/31 10:00]
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[2025/03/29 12:00]

 だが,この同行取材は,そんなロジックの領域を越えたものだろう。
 シリーズへの「熱」そのものを飾らずに語るという試練。ここしばらくシリーズと向き合い直してきた時間は,神々の武具を得るための「最終試練」に挑む準備期間だったのかもしれない。
 ちなみに筆者は左利きである……とこれは,初代「ロマンシング サ・ガ」の最強武器のひとつ「レフトハンドソード」に奇縁を感じ,勝手に盛り上がっているだけなのだが。

 まず自己紹介と世間話,今回の旅程などの話をする筆者。穏やかな氏の語り口で自然と緊張も解け,そこからはこれまで手掛けてきた作品についての話題へと移っていく。
 市川氏や嵯峨氏も時折会話に加わり,これまでのロマ佐賀取材での出来事や,互いの「サガ原体験」を語り合ううちに,車内にはゆるやかな一体感のようなものが生まれた気がする。
 気付けば筆者も,少しだけこの「旅の仲間」に馴染めてきたような感覚を得ていた。


ろくろ座 ── 有田焼とドット絵が出会う場所


 福岡空港を出て約1時間。我々は佐賀県有田町に到着した。
 現地に着いてまず目に入ってきたのは,江戸時代からの歴史を感じさせる町並みと,土と廃材を赤土で固めた独特の「トンバイ塀」だ。これは,かつて登り窯を築くために用いた耐火レンガ(トンバイ)や窯道具片を再利用したものだという。静かに積み重なった時間につい思いを馳せてしまう。

 そしてJR有田駅前には,小林智美氏による「サガ スカーレット グレイス」のイラストが描かれた有田焼の陶板が。陶芸家であるタリアとその相棒のカーンが描かれているところも,このリージョンならではといったところだ。

陶板にもトンバイ塀が描かれている。ちなみにタリアの名は有田(アリタ)のもじりなのはファンにはよく知られた話(陶芸家ですしね)
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 最初の目的地は「体験工房 ろくろ座」。磁器のろくろ成型や絵付けが体験できるスポットで,樹齢1000年を超える天然記念物・大公孫樹(おおいちょう)からもほど近い。

よく見るとドアの取っ手も有田焼
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 ここで河津氏と市川氏は,皿にドット絵やマンホール蓋を転写,そこへ筆で絵付けを行う「上絵付け」を体験することに。同施設の「ロマ佐賀貼り絵付け」で展示されていたあの皿は,このように会期の前日に制作されていたのだ。

転写する絵を選ぶ河津氏
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 河津氏と市川氏は,キャラクターや佐賀名物など126種類の中から好みのドット絵シートを選び,湿らせた布の上で水分を含ませていく。そこから皿へと慎重に転写し,気泡を押し出すようにして貼り付けていった。

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 市川氏が「これ,プラモのデカール貼りを思い出しますね」と言えば,河津氏は「航空機のデカールは細かすぎて苦手だったんだよ」と返す。作業の手つきは慎重だが,空気は和やかだ。

写真を取り終えた吉村氏も途中から参加する
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 のちに有田観光協会の方に聞いた話だが,この絵を転写する仕事は,実は地元では日常的な風景の一部なのだという。アルバイトやパートで経験する人も多いそうで,伝統工芸の工程が特別なものとしてではなく,生活の中に息づいているのだ。

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 続く上絵付けでは,河津氏は有田の山並みを思わせる緑の三角模様を並べ,どこか柔らかく,日常でも使いたくなるような雰囲気の一枚に仕上げた。「絵心はまったく無いですけどね」と照れながらも,筆に迷いが無いというか,独特のリズム感がある。

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 一方,市川氏の皿は,どこか有田焼らしい模様やモチーフなども取り入れたことを感じさせるもので,筆の迷いも少ない。プロデューサーとしての構築センスが絵にも出るのか……いや,この完成度はそれ以上のものだ。

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 その後車中で詳しく話を聞いてみると,知る人ぞ知る話ではあるが,氏はかつて「ドロップアウトして美大を目指していた」時期があるとのこと。地元に閉塞感を感じていた氏は,遥かアフリカの地へ──。そして旧エニックスへとたどり着いた。
 その後は「ドラゴンクエスト」シリーズの関連プロジェクトに携わり,そしてサガシリーズのプロデューサーへ。氏の経歴そのものが,どこかロマンシングなものに感じられた。

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体験工房 ろくろ座

皿サイズ:6寸
体験料:6000円(税込)
送料:別途
※お支払いは現金のみご利用いただけます。
電話番号:0955-41-1302
住所:佐賀県西松浦郡有田町泉山1丁目30番1号
営業時間:金〜水 10:00-15:00(受付は14:30まで)(木,年末年始休)
※それぞれ営業日・時間は変更になる場合がございます。
※作品は約1〜2ヶ月程度で,お手元にお届けします。
※要電話予約


お楽しみのコラボフード。舌で楽しむ佐賀(サガ)


 工房をあとにし,続いては「ロマンシング佐賀2025」のコラボフード試食へと向かう。今回は伊万里・有田の4店舗が参加し,サガシリーズをテーマに佐賀県産食材を使ったメニューを制作/提供している。

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 今回試食したのは以下の4品だ。

・kasane「ウィルのありたどりエッグ丼セット」
・アリタポーセリンラボ有田旗艦店Cafe「サラの有田焼パフェ」
・LIB COFFEE IMARI「ゴールデンバウムプリン」
・伊万里ロジエ「流し斬りが完全にはいった伊万里牛チーズハンバーグセット」



■kasane「ウィルのありたどりエッグ丼セット」

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 江戸時代から使われてきた建物をリノベーションしたkasane。そこで提供されたのは「サガ フロンティア2」ウィル・ナイツと,その初期の拠点ヴェスティアの街をイメージしたメニューだ。

 こちらは食べ応えと遊び心のバランスが素晴らしかった。まずメインの唐揚げは薄衣でサクッと歯触りが良く,間を置かずに口中に肉汁が広がっていく。あしらわれたオレンジソースは,ヴェスティアの酒場のメニューに書かれていた料理がヒントだという。
 セットとなっているのが「スヴェルドルフ鉱山の輝きソーダ」「Dig!Dig!ポテトサラダ」。青く輝く「スヴェルドルフ鉱山の輝きソーダ」は,カクテルのチャイナブルーに近いニュアンスのノンアルコールで,じつに爽やかな飲み口だ。
 「Dig!Dig!ポテトサラダ」は,その名のとおりディグると見つかるスモークチーズが隠されている。これは確かに「鉱山」。噛んで気づいたときに思わぬ喜びがあった。
 そして付け合わせのミネストローネ。ほんのりとした酸味がからあげ丼と一緒に楽しむのにぴったりで,気が付けばすっかり飲み干してしまっていた。このメニューの影の功労者であろう。

店舗の様子。天井のハリにも雰囲気がある
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最後はウィルのポップと並んで,お店の方と記念撮影!
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ウィルのありたどりエッグ丼セット

価格:2000円(税込)
提供店舗:kasane
営業時間:日〜火 11:30〜18:00 金土 11:30〜20:00
定休日:水・木曜日
住所:佐賀県西松浦郡有田町中の原2丁目1-7


■LIB COFFEE IMARI「ゴールデンバウムプリン」
 リージョンが変わって伊万里市へ。伊万里川沿いにあるカフェ・LIB COFFEE IMARIでは,きな粉をまぶしたクリームを,不定形モンスターの頂点的存在「ゴールデンバウム」に見立てた大胆なプリンとエンカウント。

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 佐賀県産の牛乳と卵を使ったプリンは程よい硬さで舌触りは滑らか。ビターなカラメルソースは伊万里産きな粉を使ったクリームときび糖で作られたもので,プリンとの相性抜群だ。
 見た目のインパクトとは裏腹に甘さは控えめで後味が軽く,その場にいた全員がつるっと食べてしまったほど。これならプレイヤーに甘味への耐性が無くても大丈夫そう。

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ポップ横で驚愕の表情を浮かべる河津氏
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「ロマンシング サガ リ・ユニバース」の「ゴールデンバウムちゃん」が大好きだという吉村氏も記念撮影(カメラマンは嵯峨氏)

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ゴールデンバウムプリン

提供店舗:LIB COFFEE IMARI
価格:880円(税込)
営業時間:土〜水 9:00〜16:00
定休日:木・金曜日
住所:佐賀県伊万里市伊万里町乙180


■伊万里ロジエ「流し斬りが完全にはいった伊万里牛チーズハンバーグセット」
 すでに一行はかなりの満足感に包まれていたが,しかし戦いはまだ半ば。伊万里ロジエのハンバーグセットと,アリタポーセリンラボのパフェが控えているのだ。
 ここで河津氏がふと,こんな言葉を放った。

「2つで十分? いや,4ついけるでしょう!」

 これはバトルの連携? ……いや,サイバーパンクの記念碑的映画「ブレードランナー」のヌードルバーの場面のオマージュだ。さらりと差し込まれるウイット,そして健啖家としての頼もしさ。氏の冒険心と好奇心が垣間見えた瞬間だった。

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 創業60年を超える老舗喫茶店・伊万里ロジエ。昭和の風情を残す落ち着いた店内で提供されるのは,「流し斬りが完全にはいった伊万里牛チーズハンバーグセット」だ。

運ばれてきたハンバーグ。ちなみに器は江戸時代の作らしい
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ヴィクトールよろしく? 入刀する河津氏
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 名前が少し物騒な気もするが,心配はご無用。斬られるのは我々ではなくハンバーグのほうだ。
 ふっくらと焼きあがったハンバーグに刃を入れた瞬間,堰を切ったように溢れ出す肉汁,そしてとろりと流れ出るチーズ。これこそ完全な流し斬りだろう。 

 肝心の味も素晴らしかった。柔らかい伊万里牛のパティと,中のチーズが口の中で融合し,とろけていく。濃厚なデミグラスソースも相まって,口内に星々が煌めくような──そう,筆者は舌の上に「ギャラクシィ」を感じていた。

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流し斬りが完全にはいった伊万里牛チーズハンバーグセット

提供店舗:伊万里ロジエ
価格:2350円(税込)
営業時間:11:00〜17:00 (L.O. 16:00)
定休日:不定休
住所:佐賀県伊万里市伊万里町567


■アリタポーセリンラボ「サラの有田焼パフェ」
 取材スケジュールの都合上,ロジエ店内での試食となったのが,「サラの有田焼パフェ」

――退路はない。それこそ望むところ(※「サガ スカーレット グレイス」のウルピナのセリフ)

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 先ほどの「2つで十分? いや,4ついけるでしょう!」という河津氏の言葉に奮い立った筆者は,口内のギャラクシィの余韻がまだ収まらぬうちにパフェへと手を伸ばした。
 モダンな有田焼で知られるアリタポーセリンラボが手掛けたこのパフェは,有田の天然記念物である大公孫樹をモチーフにした壮大な構成。クリーム,濃厚なチョコ,有田産の金柑が重なり,見た目のボリュームに反して飽きずに最後まで食べきることができた。もちろん器は持ち帰り,湯飲みなどとしても利用できるのが嬉しい。

 ついに4つのアビスゲートを閉じ,もとい4つのコラボフードを完食し,これ以上ない満足感に浸っている一行。だがそこにロジエの店員さん,いや女将が静かに忍びよる……。

 「そろそろデザートをお持ちいたしましょうか?」

 一瞬,時間が止まり,それから爆笑が起きた。これこそがサガであり,ロマンシング佐賀なのだろう。
 予測不能で,しかし楽しいクエストやイベントの連続。その余韻の中で,市川氏と筆者の妙な共通点も判明し(内容は伏せておく),私は気が付けばこの旅を「取材」だけではなく,「仲間との冒険」としても捉えられるようになっていた。

各コラボフードを注文した人には,ロマ佐賀マンホールコースターを特典としてプレゼントされる。有田の店舗ではサラ,伊万里の店舗では御堂綱紀がもらえる
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ジェラールとヴィクトールのポップと一緒に一枚
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サラの有田焼パフェ

提供店舗:アリタポーセリンラボ有田旗艦店Cafe
価格:3300円(税込)
営業時間:水〜月 11:00〜16:30 (L.O. 16:00)
定休日:火曜日
住所:佐賀県西松浦郡有田町上幸平1丁目11-3


 初日の旅はこれで終了……と,ロジエから車に戻る道すがら,一行は「伊万里トンテントン祭り」の神輿とすれ違った。
 この祭りはなかなかに勇壮なもので,海側と山側の神輿をぶつけて川に投げ入れてしまう。その後,どちらが先に引き上げたかによって,翌年の豊漁と豊作を占うというものらしい。

 サガをきっかけに佐賀の美味や風物に感じる驚異。この瞬間,期せずして我々もまた「ロマンシング佐賀2025」の来訪者のひとりとなっていた。 

当日は前夜祭ということで,神輿をぶつけあう瞬間は見ることができなかった
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写真はLIB COFFEE IMARI近くの相生橋(あいおいばし)。伊万里の“縁起橋”のひとつとして知られ,パートナー同士で渡ると仲睦まじい関係になれるとか。こういった土地をめぐる感覚もロマサガ(佐賀)な旅らしさ
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 ここであらためて,冒頭の河津氏のとなりの席となったワゴンタクシーでの移動の話をしたい。
 次第に空気が打ち解けて来たように感じられたのは,やはりサガシリーズの思い出や,「ファイナルファンタジーII」「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラー」といった,氏の作品についてお聞きしたあたりからだった。

 サガシリーズ各作品の制作意図や裏話,河津氏が愛好するテーブルトークRPGの話題,旧スクウェアでのゲーム開発の裏側にあった人とのつながりの話(当時は「LIVE A LIVE」「半熟英雄」の時田貴司氏のアパートによく集まっていたという),70〜80年代のアーケードゲームの話,そして現代のAIにおけるプロンプト設計の工夫,最近観た映像作品の感想。移動中の会話は,聞いてみたかったトピックが次々とさまざまなエピソードへとリンクし,思いもよらない方向へ広がっていった。

 それはまるで,サガシリーズにおける「連携」のようだった。
 河津氏の言葉に触れるたび,氏のゲームにある「予測不能な冒険のドラマ」が,そもそもこうした氏の興味の範囲や発想から生まれていたのだと実感する。タクシー移動中の会話そのものが,まるでサガシリーズをプレイしているような感覚があったのだ。

「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」(C)SQUARE ENIX
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 有田・伊万里の街に息づく伝統と,ゲームの世界観が交錯したこの1日。だいぶボリューム感たっぷりにお届けしてきたが,実はここまで空港到着から6時間ほどしか経っていない。旅はまだこれからだ。
 河津氏をはじめとする一行と話し,美味しい食事をともにしたことで,筆者の緊張も徐々にほぐれつつあった。
 だが,この「旅」の本当の意味は,この時はまだ半分程度しか理解できていなかったかもしれない──。

 翌日のマンホール蓋・陶板のお披露目セレモニー。その舞台裏ではどんな出来事があったのか。後編では,その瞬間の空気と,旅の結末についてお届けしたい。

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