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[インタビュー]今から4Xストラテジー「Stellaris」を遊ぶには? Paradoxの開発者に最新DLC「Shadows of the Shroud」の話と一緒に聞いてみた
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印刷2025/10/12 12:30

インタビュー

[インタビュー]今から4Xストラテジー「Stellaris」を遊ぶには? Paradoxの開発者に最新DLC「Shadows of the Shroud」の話と一緒に聞いてみた

 Paradox Interactiveが作ってきたグランドストラテジーの中でも,2016年にリリースされた「Stellaris」は少々特異な作品といえる。「パラドゲー」といえば歴史ストラテジーが当たり前だった時代に(ここでは例外の話はしない),SFをテーマとした,どちらかといえば4Xゲームに近いテイストの作品が出てきたことに,一定の驚きを感じたファンは少なくなかった。
 Stellarisはそれまでのパラドゲーと違い,多くの新規プレイヤーを獲得した作品でもある。当時の販売実績がそれを裏付けているが,実際にとても遊びやすい作品として評価できた。

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 ただ,現在は多数のDLCが存在しており,ゲームの内容が充実していく一方で,「このDLCの群れに今から立ち向かうのは……」と初心者を尻込みさせる一因にもなっている。
 2025年9月22日にも最新DLC「Shadows of the Shroud」(シャドウ・オブ・ザ・シュラウド)が配信された。その直後,東京ゲームショウ2025の出展に合わせて開発者にインタビューする機会を得たので,最新DLCはもちろん,今から遊ぶにはどうしたらいいかを聞いてみることにした。

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[2025/09/27 21:26]
マネージングコンテンツデザインリードのChad Inglis(チャド・イングリス)氏
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「Stellaris」公式サイト



4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いできますか。

Chad Inglis氏:
 コンテンツデザインリードを担当しているChad Inglis(チャド・イングリス)です。よろしくお願いします。

4Gamer:
 「Stellaris」の最新DLC「Shadows of the Shroud」は超能力にフォーカスしています。なぜ超能力をテーマに選んだのでしょうか。

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Inglis氏:
 超能力をメインテーマとした理由には,これまで我々が作ってきたDLCが深く関わっています。
 シーズン8において,我々は「The Machine Age」「BioGenesis」といったDLCを通じ,さまざまなアセンション・パスをリワークしてきました。この一連のなかで,最後に残されていたのが超能力です。コミュニティでも「次は超能力だよね」という予想をしばしば目にしました(苦笑)。
 一連のリワークの最後を飾るべく,このDLCは特別なものにしたいと思っており,またコミュニティの期待が高まっていくのはとてもワクワクする体験でした。

4Gamer:
 超能力はSF作品でも見られるテーマですが,一方で多様な解釈もあります。現実世界に存在する宇宙船などとは違い,超能力はまったく実在しないわけですから,それも当然といえます。
 「Shadows of the Shroud」の超能力は,ただすごい能力があるというだけではなく,「宇宙とは異なるレイヤーの世界が広がっている」という解釈だとうかがいました。

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Inglis氏:
 まず,「超能力をファンタジックなものにしない」ということには気をつけました。あくまでSFの範囲内であることを大前提としたのです。ときに領域が異なるジャンルに片足を踏み入れることはあっても,やはりSFこそが我々の家であると考えています。

 サイオニクスやサイオニック・パワーは,「シュラウド」によって表現されています。おっしゃるとおり,シュラウドは別のレイヤーの存在であり,サイオニック・パワーが「もう1つの空間」との媒介になっています。
 ただし,私たちはこれを完全に定義できるものにはしたくありませんでした。「あれがシュラウドだ」と断言できるようなものではなく,雰囲気は掴めるけれども完全に知ることはできない。それがシュラウドです。

 とはいえ,プレイヤーやコミュニティの皆さんがシュラウドに「触れられる」,あるいはシュラウドを「そこにあるもの」として感じられる何かを用意する必要がありました。
 そのためにデザインしたのが,シュラウド・パネルと呼ばれるUIです。これはシュラウドそのものではありませんが,私たちがシュラウドに同調している状態を表現しています。
 私たちがシュラウドを感知するのと同じように,シュラウドも私たちを感知していて,彼らが私たちの種や社会を「どう感じているか」を表すものです。
 プレイヤーの選択はシュラウド内の同調状態を変化させますが,それがシュラウド・パネル上で可視化される仕組みです。

4Gamer:
 なるほど。確かにシュラウド・パネルの中央には目が描かれていて,マウスカーソルの動きに合わせて視線が動いていました。

Inglis氏:
 それです。とても不気味で,いい感じですよね。
 あの目は本当に土壇場の土壇場で入った要素です。開発者の1人がすごくいいアイデアを思いついて,「UIにもう少し,仕込みを入れてみない?」と言ってくれました。
 結果として,とても楽しいものができました。開発チームの情熱の賜物でもあります。我々は常に限界まで作り込みたいと思ってます。
 ちょっとしたディテールの1つでも,「どうすればもっと良くなる? どうすればもっと魅力的になる?」と考え続けています。

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4Gamer:
 我々がシュラウドを覗き込むとき,シュラウドも我々を見ているのだ……という感覚が直接的に得られて,とても面白いと思いました。

Inglis氏:
 Stellarisのプレイヤーは,ときに「自分は誰なのか」という感覚を持ちます。プレイヤーは特定の個人ではありません。1つの惑星や何らかの集団でもありません。
 プレイヤーは「社会」そのものなんです。

 シュラウド・パネルの小さなディテール,こちらを見つめる目は画面の外側まで視線が迫ってくるような感覚を与えてくれます。「社会」だけでなく,プレイヤー自身をも見ているんです。


カナダ人はサイバーパンクが好き


4Gamer:
 SFは変化し続けています。たくさんの新たな要素を取り入れ,また社会に吐き出してもいます。また,世界中で新しいSFが生まれてもいます。
 Stellarisのリリースから約10年,SFというものの在り方もまた無視できない規模で変化していますが,現代のSFシーンから参考にしているものはありますか。

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Inglis氏:
 ディレクターのSteven Murrayはよく,「SFにおけるあらゆる定番の要素,あらゆるコンセプト,およそSFと呼べるすべてのものは,Stellarisのどこかに居場所を持っている」と言います。
 我々はプレイヤーに,どんなファンタジーであっても,そこで生きられる自由を作りたいと思っています。そのうえでSFそのものが変化しているのだから,Stellarisのコンテンツもまた変わっていくでしょう。

 とはいえ,現状ではそうした変化と直接的なつながりがあるとは思っていません。最新のSFのトレンドやIPを見たからといって,即座にStellarisに実装するということはありません。
 ただ,少なくともコンテンツチームや物語の設計に携わるスタッフは多くの本を読み,映像も観ています。我々はSFの潮流にとても敏感であり,常に「何がインスピレーションになるか?」を考えています。でも,ただのコピーは絶対に提示したくありません。

4Gamer:
 それは,つまり?

Inglis氏:
 アイデアや着想,テーマを借りることはあっても,それを「Stellarisらしく」したい。そして,Stellarisには独自の手触りがあると思っています。
 Stellarisには何でも入れられる,あらゆるSFの発想が居場所を持てるというのは事実ですが,それでもStellarisならではの手触りがある。少しダークで,少しディストピア的。同時に未知と驚きがあり,新たな発見があります。

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 銀河は決して完成しないですよね? だから,Stellarisというゲームも本当の意味で完成することはありません。いつだって,さらに見つけるべき何かがある。我々が表現したいのは,まさにその感覚です。

4Gamer:
 確かに。未知の探検とディストピア感が同居しているのは,Stellarisの特色だと感じます。

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Inglis氏:
 実際,これまでもStellarisは変わり続けてきました。
 私は2021年からチームに参加していますが,Stellarisには本当に多くの人が関わってきました。ディレクターは当然として,開発スタッフは皆,それぞれの「このゲームがあるべき姿」についての見解を持っています。
 ただ,作品の出発点として大事にしてきたことはあります。それは「Paradox Interactiveの作品に初めて触れる人にも,プレイしやすいものにする」ということです。

 4Xの側面を持っているのは,その現れです。つまり「最初はマップ全体が見えない」「国家が定義されていない」という発想ですね。
 「Victoria」「Crusader Kings」「Europa Universalis」といったタイトルでは,開始時点で地図は定義され,国家も存在します。ゲームの目的は,そこから地域や世界を変化させていくことです。
 一方,Stellarisは探索から始めなければならない。ゲームの体験と一緒に,地図そのものも形作られていくんです。

4Gamer:
 すごく個人的な感想になりますが,私が初めてStellarisをプレイしたとき,「Sid Meier's Alpha Centauri」のテイストを感じました。実際,開発スタッフにファンがいるのでしょうか。

Inglis氏:
 私はプレイしたことがないのですが,ディレクターがとても楽しそうに遊んでいるところを見ています(笑)。

4Gamer:
 Inglis氏はどんなSFがお好みですか。

Inglis氏:
 子供の頃は「新スタートレック」で育ったといえるくらい,人生の大きな一部でした。SFのゲームもアニメも大好きでしたね。
 そして,やはりサイバーパンクですね! 「ブレードランナー」は大好きな映画の1本ですし,「AKIRA」や「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」も大好きです。古典的な日本のサイバーパンク・アニメは本当に刺激的だと感じます。

4Gamer:
 実は,かつて日本では「サイバーパンクはSFか否か」という論争が起きたことがありまして……。

Inglis氏:
 サイバーパンクはSFですよ!
 私はカナダ出身ですが,サイバーパンクの父の1人であるウィリアム・ギブソンもカナダ出身なんですよ。特別に愛着を感じるところはあります。
 Stellarisでも,「The Machine Age」でサイバーパンクを深堀りするのが楽しくて仕方ありませんでした。このDLCはサイバーパンクのバイブスに満ちており,それはアートワークからも感じられます!


パラドゲー入門作としてのStellaris


4Gamer:
 SF談義が長くなってしまいました。仕事に戻りましょう。
 Paradox Interactiveのグランドストラテジー初心者にもプレイしやすいゲームとして,Stellarisがデザインされたという経緯は納得できます。バニラのStellarisはとても簡単にプレイできると感じます。
 ですが,DLCの数がどんどん増え,そのたびにゲームの複雑さは増しています。今からStellarisを始めるプレイヤーは,どこから手を付ければいいでしょうか。

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Inglis氏:
 いい質問ですね。私はまさに,その「新規プレイヤー」でした。4年前,チームに入るにあたって,とにかく急いでゲームのことを学ぶ必要があったんです。できる限り多くのことを,できるだけ早く。
 実際,Redditや公式フォーラムのコミュニティでもよく話題になります。新規プレイヤーの「どのDLCが必須?」という質問に対して,「Utopia」「Federations」が挙がり,最近では「The Machine Age」も見ます。

 私の答えとしては,「持っているものを入れて始めてみては?」となります。バニラで始めると,どうしても体験できない要素が多くありますから。
 ここで鍵になるのは「ポーズして,ゆっくり考える」ことです。新規プレイヤーがやりがちなミスは,たくさんのコンテンツやDLCに由来するシステムが一気に動いた結果,「すぐにすべての決断をしなければ!」と焦ってしまうことです。

 落ち着いてポーズを押してください。Stellarisはポーズ中もコマンドを発行できます。じっくりと「ここでどんな選択が必要だろう?」「今,何が起きているのか?」と考えるんです。
 それから,できるだけツールチップを読んでください。我々はツールチップを重視し,多くの労力を注いでいます。どうすればプレイヤーに情報が伝わるか,チーム内で議論を重ねているんです。

4Gamer:
 「とりあえず,これはあったほうがいい」というDLCがあれば,まずはそれを導入したいと考えるのは自然だと思います。

Inglis氏:
 一番大事なことは「コミュニティに聞いてみてほしい」ということです。英語圏ではRedditが最も盛んですが,コミュニティの意見は私の意見より重要だと思います。
 そのうえで私見をいえば,ベースゲームに「Utopia」を導入して始めることをおすすめします。何度も名前が挙がる定番です。

 あとは「あなたがどんなファンタジーを体験したいか」によるでしょう。技術的に未発達な社会との関わりを体験したいなら「First Contact」がクールですし,自分だけの生体艦隊を育てたいなら「BioGenesis」です。
 ただ,もっと良いのはサブスクリプションを試すことです。全DLCにアクセスできるので,自分に合うコンテンツを実際に確かめられます。

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4Gamer:
 新しいプレイヤーのなかには,「負ける」ことにとてもネガティブな感情を示すプレイヤーがいて,それが大きな壁になっているように思えます。
 今も昔もParadox Interactiveの作品は「たくさん負けて,そこから学ぶ」ことが大切だと思っているのですが,この見解はいかがでしょうか。

Inglis氏:
 間違いなく,そう思います。新規プレイヤーにとって,エンドゲーム・クライシスを乗り越えることは大きな目標です。クライシスの到来に備えて,自分を守れる,できれば打ち倒せるだけの強さが必要になります。
 私の場合,クライシスを倒せるだけの艦隊規模や艦隊許容量に到達するまでに6か月かかりました(苦笑)。

 負けることに慣れることが大事です。弊社のゲームにおける楽しみは,勝つことそのものではありません。私たちは勝敗に,そこまでこだわっていないと言ってもいい。
 新しいゲームを始めること,それ自体がワクワクすることなんです。「今回は機械帝国でやってみよう」「ハイヴ・マインドでやってみよう」といった,その段階でまったく別の宇宙が開けてきます。
 繰り返しになりますが,負けてもいいんです。もう一度始めれば,新しい何かが見えてきますから。

4Gamer:
 最後に,日本のファンへメッセージをお願いします。

Inglis氏:
 日本の皆さん,本当にありがとうございます。先ほどもお話ししたとおり,私にとって最大級のインスピレーションの源は日本のSFアニメやマンガです。
 日本のSFの伝統は非常に力強く,興味深いものです。だからこそ,SFファンの皆さんにはStellarisを手に取ってほしいと思います。きっと「どこか馴染みのあるもの」をたくさん見つけられますし,同時に「まったく新しくてワクワクするもの」もたくさん見つけてもらえるはずです。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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    Stellaris: Console Edition

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