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Xboxの名を冠する初の携帯ゲーム機「ROG Xbox Ally」が発表! MSとASUSが共同開発したハードにカスタム版Windows 11を搭載
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4Gamerでは,「プレビューイベントのプレビュー」ともいうべき極秘のイベントに参加して,実機を触ってきたので紹介しよう。
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ASUSの一般消費者向け製品担当上級副社長であるShawn Yen(ショーン・イェン)氏によると,「携帯ゲーム機を出してもゲームライブラリに欠けているASUSと,ゲームライブラリは豊富だが,携帯ゲーム機の経験がないMicrosoft」という両社が,ゲーム市場の未来には不可欠だが足りない部分を補い合える手法として,Microsoftのハードウェアビジネスとしては初めて,協業という形で双方の企業のブランドを合わせると決断して,ROG Xbox Allyシリーズが生み出されたとのことだ。
SoCにはAI機能を統合したAMDの最新Ryzen APUを採用
ROG Xbox Allyシリーズの上位モデルであるROG Xbox Ally Xは,AMDの最新APUとなる「Ryzen AI Z2 Extreme」を搭載する初の製品でもある(※下位モデルは「Ryzen Z2 A」を搭載)。
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具体的に,本機のAIで何ができるかという詳しい説明はなかったものの,Microsoftが推進するAI処理対応PC「Copilot+ PC」の機能である超解像技術「Automatic Super Resolution」(以下,Auto SR)や,たとえばゲームを付けっぱなしにしてしばらく離れていると,自動的に消費電力を下げるといったユーザビリティにおける調整部分にも活用されるようだ。
ディスプレイサイズは7インチで,解像度は1920×1080ドット,最大リフレッシュレート120Hzである。これは,2024年に登場したASUSの携帯型ゲームPC「ROG Ally X」と同じだ。
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ROG Xbox Allyシリーズの主な仕様を,表にまとめておこう。
ROG Xbox Ally X | ROG Xbox Ally | |
---|---|---|
プロセッサ | Ryzen AI Z2 Extreme | Ryzen Z2 A |
メインメモリ容量 | LPDDR5X |
LPDDR5X |
内蔵ストレージ容量 | 1TB | 512GB |
インタフェース | ・USB4×1 ・USB ・microSD ・4極3.5mmミニピンヘッドセット×1 |
・USB ・microSD ・4極3.5mmミニピンヘッドセット×1 |
ネットワーク | Wi-Fi 6E(2x2), |
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Impulse Trigger | あり | なし |
バッテリー容量 | 80Wh | 60Wh |
公称本体サイズ | 290.8(W)×121.5(D)×50.7(H)mm | |
公称本体重量 | 715g | 670g |
OS | Windows 11 Home |
さらに,Ryzen AI Z2 ExtremeのAIアクセラレータを活用すれば,AMD独自の超解像&フレーム生成技術の最新版「FidelityFX Super Resolution 4」(FSR 4)を用いることで,ゲームの画質とフレームレートを高められるかもしれない。
もちろん,ゲーム側でもAI機能を活用できるのは間違いなく,ここ最近のゲーマー向けAIアシスタント「Copilot for Gaming」といったAI活用の動向から考えても,MicrosoftのAI体験を柱にする大きなエコシステムの中に,ROG Xbox Allyシリーズが組み込まれているのは,想像に難くない。
Yen氏に続いて登壇した,MicrosoftでGaming Devices and Ecosystem at Xboxの執行役員であるRoanne Soanes(ロアン・ソーンズ)氏は,「開発者にとっては,我々が用意した大きなキャンバスの中で,自由にクリエイティビティを発揮してもらえる」と話していた。
つまり今後は,ROG Xbox Allyシリーズが備えるマイクを利用したボイスコマンドや会話の入力,あるいはドライビングやシューティングが苦手なゲーマーのためのアシスト機能を用いるものだけでなく,まだ我々が想像できないような,携帯ゲーム機ならではのAI対応ゲームタイトルのようなものが,今後は生み出されていく可能性も大きいだろう。
よりナチュラルなオリジナル形状
Yen氏によると,ROG Xbox Ally Xは,とにかく静音性と効率にこだわったデザインになっているとのこと。
ROG Xbox Allyシリーズの外観でまず気付くのは,トッププレートにXboxとROGのロゴが彫り込まれていて,両社の協業プロダクトであることを実感できることだ。さらに,ボディ表面には,「XBOX」のアルファベットをあしらったエンボス加工が施されている。
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その一方で,前面に並ぶ各種ボタンやアナログスティックや排気口の位置などは,ROG Ally Xの基本設計を踏襲していることも明らかだ。ROG Ally Xのアイデンティティのひとつである,トリガーボタンのハプティック機能「Impulse Trigger」に対応しているのは,その最たるもの。
FPSやTPSでの銃撃の振動だけでなく,レーシングゲームのデコボコ感や,格闘ゲームのコンタクトでも,Impulse Triggerを通じて指先にインパクトを感じることができるだろう。
さらに,ROG Xbox Allyシリーズには,画面の左横にある2つのボタン「メニュー」と「ビュー」(Windows Copilotの起動ボタン)に加えて,Xboxロゴがあしらったボタンが加えられている。これは,「ホーム」や「ライブラリ」などへ迅速にアクセスできる機能ボタンだ。
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カスタム版Windows 11 Homeを搭載
ROG Ally Xは,Windows 11を採用する携帯型ゲームPCだが,ゲームパッドのボタンとアナログスティックでは操作しやすいとは言えない。そこで,MicrosoftのWindows部門のソフトエンジニアが主導して,ROG Xbox Allyのためのカスタム版Windows 11 Homeを開発したそうだ。
Xbox部門のProduct Management,Player Experiences and Platform担当副社長であるJason Beaumont(ジェイソン・ビューモント)氏によると,「Windows 11の自由度を維持しながらも,ゲーム機としてのゲーム体験を大切にするために」Microsoft側が最もこだわった部分であるという。携帯ゲーム機という新しいハードウェアが,すでに25年以上の歴史を持つMicrosoftのOSを,新たに改良させることになったわけだ。
ROG Xbox Allyシリーズには,ROG Ally Xが備えるASUSのゲームライブラリ&統合設定機能である「Armory Crate」と,「Xbox Full Screen Experience」という2つのダッシュボードUIが存在する。
Xbox Full Screen Experienceは,Xboxのダッシュボードをさらに簡略化したようなもので,電源ボタンを押して起動した直後にロードされるのはこちらだ。Xboxロゴのあるボタンを押すと,メニューバーが引き出されてArmory Crateへ瞬時に切り替えることができるため,ユーザーは好みのUIを使えるようだ。
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Beaumont氏は,「ROG Xbox Allyで最もクールなことは,ロードされるものではなくロードされないものだ」と話していたように,Windowsの特徴である検索機能「Windows Search」や,システム管理系アプリは存在しない。瞬時にゲームにアクセスできるのは,小さな画面では操作の難しいWindows 11ベースのROG Ally Xと比較した場合の利点であろう。
2つのダッシュボードUIと同様に,ユーザーが楽しみたい複数のゲームサービスにアクセスできるのは,ROG Xbox Allyの大きな特徴である。本稿執筆時点では,「Steam」や「Epic Games Launcher」などにも対応するのかは明言されていないものの,今回のデモ機には,すでに「Battle.net」のロゴとともに「Overwatch 2 Stadium」のゲームアイコンがあった。
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Xbox Full Screen Experienceのダッシュボード最上段には,4つのゲームアイコンと,別のゲームアイコン4つをひとつのグループにまとめた5つのアイコンで構成されていた。これらは,「直近でユーザーがプレイしていたゲーム」を示しており,たとえば「Xbox Series X」でプレイしていた「Gears of War: Reloaded」が,次にROG Xbox Allyにアクセスしたときには,ダッシュボードの一番左側に自動的に移動しているので,外出時に起動しても,煩雑なサーチをする必要なく,すぐにプレイできるわけだ。
Beaumont氏は,「私はPCゲーマーですから,この機能についてはとても興奮しています」と語っていたので,Steamなどのサードパーティ製ゲーム配信サービスにもアクセスできる可能性は高く,もしひとつの画面でユーザーのすべてのサービスに持つゲームタイトルが管理できるのであれば,既存の携帯型ゲームPCと比べても,大きなアドバンテージになるのは疑いない。
「Play Anywhere」(どこでも遊ぼう)というのは,Xboxの標語のひとつであるが,据え置き型ゲーム機であろうがゲームPCであろうが,ROG Xbox Allyシリーズであろうが,常にユーザーが現状で楽しんでいるゲームに即座にアクセスできるというわけだ。もちろん,ROG Xbox Ally上で動くゲームでも,「Xbox Cloud Gaming」のようなクラウドゲームでも,クラウドセーブによってプレイの進行は一元化されるので,どこでも続きをプレイできる。
実際にデモ機をテスト!
今回のプレビューイベントでは,ROG Xbox Ally Xの実機に触れることもできたが,与えられた時間は5分ほどの短い間。試作機ではあるものの,ボディ表面にはエンボス加工も施されており,かなり量産に向けて近づいていることがうかがえる。
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ROG Xbox Ally Xには,ノートPCでよくあるIRカメラや生体認証用センサーはないので,起動後のログイン時には,8桁のPIN(パスコード)を入力する。PINによるログインは,Windows PCやXboxプラットフォームでも共用できるようだ。
PINの入力は,タッチスクリーンでの仮想パッドで入力できるほか,それぞれの数字が各ボタンにマッピングされているので,ボタン操作でも入力できる。ただ,これは覚えるのに時間がかかりそうだ。
試用機では,「Gears of War: Reloaded」がプレイでき,体験時点では「スムーズに作動していた」としか言い様がない。
Xbox Full Screen Experienceのダッシュボードやメニュー周りは明らかに見やすく,Xboxのゲーム機としてのアイデンティティを失うことなく,使いやすいようミニマムにまとめられていた。少なくても,この短い間では排気口から熱い風が流れるとかファンの音が目立つということもなかった。
Xbox Full Screen Experienceのメニュー(ゲームバー)には,Armory Crateへのライブラリモード変更や,「Xbox Social」へアクセスできる。また,Windows 11の設定アプリにアクセスすることなく,ネットワークやBluetoothを機内モードに切り換えるといった設定変更も可能だった。
映写機をかたどった「録画モード」と思われるアイコンもあったので,Xbox Series X|Sなどと同様に,ユーザーは自分のゲームプレイを簡単に録画したり,アップロードしたりもできるようだった。
そのほかに,ROG Xbox Ally Xの様々なハードウェア設定を調整できる「Command Center」もあったので,フレームレートに制限をかけたり,バッテリー消費が増える代わりにAPUの処理能力を高める「Operating Mode」の変更などを,ユーザーが自在にチューニングできるという。ROG Allyらしいこだわりも,統合されているのが分かる。
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今後,Xbox Game Studiosは,開発者プログラムを展開して,ROG Xbox Allyシリーズで,ゲーマーがゲームを快適にプレイできるかどうかを検証していくという。
一方のASUSは,ハイエンドユーザー向けのドッキングステーションを開発中であるそうだ。ROG Xbox Allyシリーズ向けの新しいドッキングステーションは,NVIDIAのノートPC向けGPU「GeForce RTX 5090 Laptop GPU」を搭載したうえで,ハードウェアをスーパーチャージしたり(※動作クロックを定格以上に高めるという意味だろうか),高解像度の外付けディスプレイに接続して,ゲームをプレイしたりできるようだ。
Soanes氏らXbox部門とASUSのリーダーたちが,何度も強調していたのは,ROG Xbox Allyシリーズは第1世代であることだ。今後も両社により,ハードウェアとソフトウェアの両面で細かいアップデートを行いながら,より良いゲームデバイスへと成熟させていくという。
本稿執筆時点では,肝心の価格については明らかになっていないが,「今回の協業があったからこそ,このスペックで最も安価にリリースできる」と胸を張っていた。
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Nintendo Switch 2が発売となったばかりで,まさに携帯ゲーム機の戦国時代ともいえる2025年後半以降のゲーム市場だが,ROG Xbox Allyシリーズは,今後のゲーム市場にどのようなインパクトを与えていくことになるのだろうか。
Xbox公式の当該ニュースリリース(英語)
MicrosoftのXbox公式Webサイト
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