［gamescom］戦車とチョコレート。ケルンに行ったらぜひ立ち寄りたい，ゲーマー向けのスポットを紹介

　ケルンといえばチョコレート。gamescomといえばチョコレート。……言ってて自分でも無理がある気がしてならないが，gamescom 2015が開催されたドイツ西部の都市，ケルンには「Schokoladenmuseum Köln」（チョコレート博物館）という人気施設がある。何を展示しているかといえば，もちろんチョコレートだ。ゲームと何か関係があるかと目を皿のようにして調べたが，惜しくも見つからなかった。惜しい。

チョコレート博物館は，gamescom会場のケルンメッセからは鉄道でライン川を渡ってケルン中央駅に至り，そこから徒歩で15分ぐらいの位置にある。ライン川に浮かぶ大きな中州に建てられた，船を模した建物だ

「Schokoladenmuseum Köln」公式サイト

　公式サイトによれば，チョコレート博物館を設立したのはケルン生まれのHans Imhoff博士という人で，ほかの街でチョコレート工場を始めて成功を収めたあと，ケルンに古くからあるチョコレート会社，Stollwerckを買収し，大きなチョコレートメーカーに成長させたという。4年前の統計だが，Stollwerckは北米で2番めのチョコレート会社であるとのこと。まさにチョコレート一色の人生を過ごした，ケルンのチョコレート界では立志伝中の人物であるようだ。

入ってすぐには，過去から現在に至る，さまざまチョコレートの箱が展示してある。いずれもゴミとして捨てられる運命にあったが，Imhoff博士がその美術的価値を見いだしたという

チョコレートの原料，カカオ豆の中はこうなっていたのだ。知らなかった。タメになる

チョコレートの成分を具体的に表すとこうなる

南米で使われたという，カカオ豆を運ぶ船

館内にはチョコレート工場がある。いくつかの機械は展示品だが，工場は実際に稼働しており，チョコレートを生産している

溶けたチョコレートがあふれるチョコレートの木。うちにも1本ほしい

館内で作られたチョコレートにトッピングが施され，型に入れられ，販売されている。写真のように，かなりサイズの大きいものもあり，とても食べ切れない

マヤ，アステカから現代まで，チョコレートの文化史がパネル展示されており，ドイツ語が読めれば，あなたもチョコレート博士になれるはずだ

昔使われていた，チョコレートの自動販売機。夏の暑い時期とか，中がたいへんなことになりそう

　チョコレート博物館の開館時間は，火曜日〜金曜日が10：00〜18：00，土曜，日曜，祝日が11：00〜19：00という感じで，閉館1時間前に入館チケットの販売は終了する。休館日は月曜日（ただし12月は月曜日も開館），クリスマスイブ，クリスマス当日，大みそか，元旦，およびCarnival ThursdayからAsh Wednesdayまでとなっている。Carnival Thursday（またの名をFat Thursdayというらしい）とAsh Wednesday（日本語では「灰の水曜日」）は，年ごとに変わるので注意が必要だ。
　入館料は大人一人9ユーロと，割とお高め。ただし，15人以上のグループの場合は8.5ユーロにディスカウントされる。ドイツのチョコレート消費量は，スイスに次いで世界第二位というチョコレート好きのお国柄だけに，いつでも来場者でいっぱいとのことだが，gamescom 2015に来たら，ぜひ立ち寄ってみよう。

館内にはカカオの木も植えられている

　以上，って，チョコレート博物館だけで終わりにすると，カカオ豆愛好家には喜ばれそうだが，ミリタリー好きには怒られそうなので，続いて我々取材班は，ケルン南方の街コブレンツに足を延ばし，「コブレンツ軍事技術博物館」を訪ねたのだ。そのへん，そつがないと言えるだろう。

コブレンツ駅。コブレンツは人口約11万人の都市で，このあたりでモーゼル川がライン川に注いでいる

「Die Wehrtechnische Studiensammlung im BWB」公式サイト

　日本では「コブレンツ軍事技術博物館」とか「コブレンツ軍事技術資料館」などと呼ばれるが，厳密には博物館でなく，ドイツ連邦軍のさまざまなコレクションの一部を一般に公開しているというもので，ドイツ語では「Die Wehrtechnische Studiensammlung im BWB」，英語なら「Scientific Collection of Defense Engineering Specimens Koblentz」となるっぽい。観光地ではないためドイツ観光局にも登録していないらしく，ネットで分かる情報もあんまり多くない（ドイツ語が分かれば，ある程度の情報収集は可能だ）という，マニア向けの施設だ。

「コブレンツ軍事技術博物館」は，ドイツ連邦軍の施設に隣接して建っている。まるで倉庫という風情で，入り口もいたって地味

　ちなみにここは，赤外線暗視装置付きのパンターや，ツィンメリット・コーティングが施されたヤクトパンター，III号突撃砲などで戦車ファンには有名らしいが，なんと，2015年9月から改装のため休館になるとのこと。要するに，割ときわどいタイミングで我々は飛び込んだことになるが，改装に備えてパンターやヤクトパンターなど目玉アイテムは展示から外されており，かなり寂しい状況であった。がっくり。その代わり，普段は入場料3ユーロなのだが，我々が訪れたときは無料だった（入館には，パスポートなど身分を証明するものが必要）。
　なお，再開の時期については，今のところ発表されていないようだ。

さっそく館内へ。ボクサー8輪装甲車がお出迎えだ

（左）開発中止になったマルダー2歩兵戦闘車の試作車VT001。（右）レオパルトI戦車の後継車両として設計が行われた，無砲塔タイプのVT1戦車。2両の試作車が制作されたが，ここに展示してあるのは105mm砲2門を搭載したVT1-1。120mm滑腔砲を搭載したVT1-2は，ムンスター戦車博物館で見かけた気がする

レオパルト戦車の後継車両として，アメリカとの共同開発が行われたものの，結局うまくいかなかったMBT-70/KPz.70。プラモにもなっている

教育施設なので，カットモデルが多いのもこの施設の特徴。T-55系の内部ディテールがよく分かる

おなじみの，KJPz.4-5もカットモデル化されている

真っ二つにされたレオパルト戦車

T-72も，このように中身がよく見える

シャーシだけの3tハーフトラック，Sd Kfz 11

（左）比較的最近の戦車にまじって，1917年に作られたルノー FT-17がポツンと置かれている。（右）第二次世界大戦直後に使われたHS-30。設計はスイスのイスパノ・スイザで，さまざまなタイプが制作された。看板がじゃまで，撮影しにくい

（左）フランスのホチキスが作った軽戦車に小改造を施したSPz 11-2 Kurzも，第二次世界大戦直後の新生ドイツ軍を支えた車両。通常は20mm機関砲を搭載しているが，こちらを90mm砲を乗せている。（右）第二次世界大戦で使われたドイツの8輪重装甲車，Sd Kfz 231。プラモでおなじみ

新旧空挺車両。左がクラカ汎用装輪輸送車で，右がその後継となるヴィーゼル空挺戦闘車

M3自走浮橋。ドイツとイギリスが使用している渡河機材だが，看板と仕切りがじゃまで，ディテールがよく分からない

潜水艦や航空機，野砲，エンジンなども各種取りそろえられている

　ケルンからコブレンツへは，鉄道を利用して約1時間で，コブレンツ駅からは，モーゼル川を渡って徒歩で20分ぐらい。とはいえ，道に迷うかもしれないので，タクシーがおすすめだ。ちなみにドイツ鉄道の切符自動販売機は，猛烈に使い方が分かりにくくて泣けてくるが，筆者にはどうすることもできない。
　開館時間は，毎日9：30〜16：00だが，上記のように8月いっぱいで，いったん休館になる予定とのこと。というわけで，行ってみるなら早めにどうぞ。

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