
プレイレポート
「大江戸でべろっぱ」インプレッション。江戸をテーマとした戦争なしのシティビルダーは,充実した解説で歴史を学びながら楽しめる[TGS2025]
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2026年初頭に発売が予定されている「大江戸でべろっぱ」は,PC用シミュレーションゲームだ。プレイヤーは徳川家康の命を受けて,江戸の町を発展させていく。「江戸の街を楽しく,わかりやすく,つくる」をテーマとしている一方で,描かれる歴史は史実に忠実で,日比谷入江の沼や湿地帯を埋め立てて土地を確保するところからスタートするという。
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登場するキャラクターも実在した人々だが,そのデザインは史実に基づくデフォルメがされ,分かりやすいものとなっている。
例えば,優れた土木技術で江戸の開墾に力を尽くした伊奈忠次の場合,これにちなんでまげがツルハシのように表現されている。また,音楽を担当する雅楽頭の酒井忠世はマイクを持ち,家康自身もまげに巨大な葵の御紋が入っているなど,とにかく個性的な人々が150人以上登場するという。
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徳川家康(左)と伊奈忠次(右) |
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酒井忠世 |
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大野治長 |
出展バージョンではキャラクター同士の会話もふんだんに取り入れられており,キーワードをクリックすると解説サイト「江戸ペディア(仮称)」に飛ぶ。ここでは歴史的な経緯が語られるのに加えて,開発元ドリームスレッドのスタッフが撮影した写真により,現在の姿も見られるのが興味深い。
また,デフォルメされた美少女キャラクターたちが,現代人としての視点で周辺情報を解説してくれるなど,分かりやすさに配慮されている印象だ。
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出展バージョンのシナリオ「架けよ天下の日本橋 〜東海道ここに始まる〜」では,伊奈忠次を主人公として日本橋を建設する。家康から「東海道の起点」を作れと無茶ぶりされた伊奈忠次が,江戸や江戸城を一望できる場所に日本橋を建設し,見事期待に応える物語が描かれる。日本橋は架け替えを経て現存しており,現実とのリンクが印象深い。
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本作は,都市建設をメインとするシミュレーション,いわゆるシティビルダーを愛するスタッフが,都市の発展を存分に楽しめるようなゲームを目指して開発を進めている。
日本をテーマとしたシミュレーションゲームでは戦国時代が取り上げられることが多いが,本作は都市建設に集中するため,町を破壊する戦争のない江戸時代がテーマになったという。
戦争がない=プレイ状況に変化がないということではなく,火事が多発した江戸の史実に基づき,本作でも火事イベントが頻繁に発生して家が焼失する。しかし,プレイヤーがわざわざ建て直す必要はなく,材木などの物流がしっかりしていれば自動で再建される。
史実ベース,シティビルダーとしての状況の変化,煩雑な手間を要さない……と,本作のスタンスが現れている。
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作中の江戸にも四季があり,時間経過とともに季節も変わる。町民たちのセリフは都市に不足しているもののニーズを示しているという |
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本作の江戸はジオラマという設定で,画面奥にはジオラマを照らす照明が見える |
本作は英語にも対応しており,プレイ中は日本語と英語をリアルタイムで切り替え可能だ。これは海外のプレイヤーにも遊んでほしいという考えによるもの。日本語メッセージと「江戸ペディア(仮称)」の漢字にフリガナを振っていることとあわせ,観光で日本を訪れる前に江戸や日本語について予習してもらえるようなコンテンツに育てていきたいと考えているという。
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シティビルダーとしての遊びに集中するために戦争のない時代を選び,歴史に関しては現代人の視点やデフォルメされた実在人物で分かりやすくした。そのうえで,外部サイトを使って現実の江戸=東京とリンクさせていく多面的なアプローチが行われており,これはユニークな取り組みとだといえるだろう。2026年初頭の発売を楽しみに待ちたい。
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Steam「大江戸でべろっぱ」
Epic Games Store「大江戸でべろっぱ」
「大江戸でべろっぱ」公式サイト
東京ゲームショウ公式サイト
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