
プレイレポート
Steamで「非常に好評」のビジュアルノベルがSwitchへ。「嘘から始まる恋の夏」試遊レポート[TGS2025]
今回はSwitch版の発表と試遊をきっかけに,プロローグを遊んで見えてきた物語の魅力を紹介したい。
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主人公の橘 薫は,市立蒼波第一高校の2年生。掴みどころのない性格で,冗談なのか本気なのか分からない発言も多いが,根は真っ直ぐだ。中学時代に担任教師の霜月深玲に恋をしてしまったことが,彼女の心に大きな影を落としている。
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薫に声をかけるのが,同級生の御凪栞里だ。容姿端麗で成績優秀な優等生だが,周囲に心を開かず,常に本音を隠して生きてきた。薫とは同じクラスでありながら話す機会もなかったが,ある出来事をきっかけに距離を縮めていく。
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また,栞里の中学からの友人である猪ノ原莉久も物語に関わってくる。明るく元気なツッコミ役だが,実は栞里への想いを胸に秘めており,薫と栞里が近づくことに複雑な気持ちを抱いている。
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さらに,薫の初恋の相手であり,中学時代の元担任教師 霜月深玲の存在も物語の背景に影を落としている。
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試遊で体験できたのは,物語のプロローグにあたる部分だった。薫は初恋の相手である深玲とデートをしていたが,そこで「もうこの関係は終わりにしよう」と告げられてしまう。友達以上恋人未満の曖昧な時間が終わりを迎え,胸に残されたのはどうしようもない痛みだけだった。
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ひとり帰り道に立ち尽くした薫は,抑えきれない感情を声にしてしまう。その姿を見かけて声をかけたのが,同級生の御凪栞里だった。
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最初は気遣うように言葉を交わしていた2人だが,なんだかんだと話しているうちに薫は胸の内をこぼしてしまう。先生と会わなくなれば時間が余る。どう過ごせばいいのか――。
そんな薫に,栞里は静かに「橘さんは大切な人の記憶を上書きすることができると思いますか?」と問いかける。「できるかはわかんないけど,しなくちゃいけないと思う」と答える薫に,栞里は意外なお願いを口にする。
――「お兄ちゃんを,忘れさせてください」
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そう言った栞里は,かつて兄と訪れた場所を今度は薫と巡り,新しい記憶に塗り替えてほしいと願う。海や山,買い物や水族館……思い出の数々を一緒に歩き直すことで,自分のなかにある過去を変えたいのだ。
その願いには切実さがにじんでいて,ここから2人の物語が動き出す予感がした。
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キャラクターの表情や仕草は自然で,声優陣の演技もあいまって感情の揺れがはっきりと伝わってくる。薫の痛み,栞里の秘めた思い――短い時間の試遊でもその繊細さに心を揺さぶられ,続きを知りたいと強く思わせてくれた。
塩こうじ氏によるキャラクターデザインは美麗で,場面ごとに服装が変わる点も細やかなこだわりとして光っていた。さらに立ち絵はSpineアニメーションで動きがつけられており,まばたきや髪の揺れ,肩の仕草までが滑らかに表現されている。
従来の差し替えイラストでは得られない自然さがあり,登場人物たちが本当にその場にいるように感じられた。
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プロローグ部分だけの試遊であっても,薫と栞里が抱える痛みや心の揺れ,そして切なさのなかに光る美しさが胸に残った。Steamで「非常に好評」を得ている理由の一端が,この短い体験からもうかがえる。Switch版が登場すれば,より多くの人がこの物語に触れることになるはずだ。発売が待ち遠しい。
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なお,SteamではPC版の体験版が配信されており,気軽に冒頭をプレイできる。ちょうどセールも行われているので,Switch版を待ちきれない人はこの機会に試してみるのもよいだろう。
「嘘から始まる恋の夏」公式サイト
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