
プレイレポート
愛犬リリーとの夢は続く。個人制作ゲーム「リリーinドリームワールド」は作者自身の“物語”が色濃く表れたバトルアクションだ[TGS2025]
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本作のキュートな主人公・リリーは,すでに死んでしまったミニチュアダックス。飼い主のタケルくんはその死をきっかけに深い絶望に沈んでしまう。失われてしまったタケルくんとの思い出と,彼の笑顔を取り戻すため,リリーは「ユメセカイ」を旅することになる。
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となれば,「感動系のアドベンチャー」が自然だと思うかもしれない。だが,本作のゲーム内容は“無双系バトルアクション”だ。リリーは忍犬さながら口に得物をくわえ,ゾンビ犬のような敵「ペトロス」の群れをズバズバ,バシュッ! と切り払う。しかし敵は倒しても倒してもわらわらと湧き続け,リリーはジリジリと追い詰められていく……。その緊張感がたまらない。
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アクション要素も盛りだくさん。「センプウ犬」「ヒャクレツ犬」(拳?)といったスキルを習得したり,能力や体力を強化する成長要素も。ゲージを溜めて大技を使う,ジャスト回避をキメて返し技を叩き込むなど,成長と駆け引きの両方を味わえる。
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そしてステージを進んでいくと巨大なボスが立ちはだかり,アクションを見切って対処するタイプの骨太なバトルがスタート。敵の攻撃をしのいで防御を崩せばチャンスタイム到来……と,なかなか手堅い遊び応えになっていた。
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ここだけの話,“あえて攻撃に突っ込むように回避”するとジャスト回避が楽に出せてしまうなど,プレイ感はそこまでタイトではない。作者のヨシオ氏によれば,難しいバトルで苦戦させたいのではなく「リリーちゃんに興味を持ってくれたゲーム初心者や子どもでも,ドキドキを楽しめるゲームに仕上げたい」のだそうだ。
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じつのところミニチュアダックスとバトルアクションの結びつきは,記事を書いている今も微妙に「謎」だと思ってしまう(笑)。でも,それこそがインディーらしい作者の魂を感じさせるポイントでもあり,既存の枠に収まらない新鮮な表現の証とも思うわけだ。
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内容はバトル一辺倒ではなく,探索やストーリーを描く場面もあり,全体としてもメリハリもしっかり感じられる。ほんわかした雰囲気ながら,ときおりマイルドなホラー要素が差し込まれるのも悪夢の世界らしいところ。小さな子どもでも遊べる親しみやすさと,アクション好きが華麗に魅せるプレイもできる深み。その両立こそが本作が目指すところだ。
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筆者は昨年東京ゲームダンジョン5の記事でも本作をとりあげたていたのだが,その後作者のヨシオ氏は,マーベラスの主催するインキュベーションプログラム「iGi」第5期に採択されていたとのこと。
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そしてTGS 2025では「iGi×創風」ブースにて出展の運びとなり,TBS系のニュース番組「Nスタ」のTGS 2025のトピックのひとつとして取り上げられていた。「間近で見た高柳アナはイケメンすぎた」そうだ。
Nスタの高柳アナ、間近で見てイケメン過ぎて惚れた。
— ヨシオゲームズ@TokyoGameShow2025出展! (@Yoshio_Games007) September 25, 2025
リリーも心なしか操作性良かったと思う。
あとゲームの説明もツボを押さえてて惚れた。
このネタはジジイになるまで一生コスり続けるつもり。 pic.twitter.com/IStBi3z2lS
ヨシオ氏のリリーとの思い出から生まれたゲームの可能性がここまで広がったことに,天国のリリーもきっと喜んでるに違いない。リリーとの夢は,ヨシオ氏の中だけでなく,ゲームを遊んだ人の心の中にも残り続けるかもしれない――そんな余韻を残してくれた作品だ。
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- 関連タイトル:
リリーinドリームワールド
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