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妖怪探しは実在の部屋で! 「幽限会社わらし不動産」新米座敷わらしが挑む“コメディホラー研修”の魅力[TGS2025]
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新米座敷わらし,研修の舞台へ――実況映えする“妖怪探し”が始まる
物語の主人公は,家を持たない新米の座敷わらし。取り憑く家を探して「わらし不動産」を訪れると,オーナーであるベテラン座敷わらし「座敷BBA」から「お前にはまだ実力が足りない」と告げられ,研修を受けることになる。
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研修の目的は,人の家に潜む疫病神を追い出すこと。彼らは家具や日用品に擬態した妖怪「物化(モノバケ)」や「下級霊」として潜んでいる。プレイヤーは部屋の隅々を探索し,住人が「絶対に持っていないもの」や「あり方が不自然なもの」を見抜いていく。主人公の能力――座敷わらし力が試されるのだ。
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怪しいものを見つけたらカメラで写真を撮り,その正体を暴いて捕まえる。妖怪探しは「わらし不動産」に設けられた試験会場の部屋で行われる。
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研修を進めるうちに,主人公はある部屋がかつて自分が住んでいた場所だと気づく。この発見をきっかけに物語は転調し,主人公の過去や「わらし不動産」に隠された謎へと迫っていく。幸福をもたらす存在として知られる座敷わらしが,疫病神を追い出す役割を担う――そのユニークな解釈も本作ならではの魅力だ。
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本作の舞台は,東京都内の実在する部屋を3Dスキャン技術で再現した空間だという。この発想の原点は「東京アンリアルエステート」というプロジェクトにある。実際の住居をスキャンしてアーカイブし,クリエイターに公開するこの企画に石原氏らがアーティストとして参加した際,「この3Dモデルを使ってゲームを作ってほしい」と課題を受けたことが制作のきっかけになった。
スキャンデータには,家具の歪みや欠けといった不完全さが残ることもあるが,開発チームはそれを「主人公のおぼろげな記憶から再現された部屋」という設定に落とし込み,雰囲気を引き立てる要素として活用している。
現実の生活感が色濃く残る空間を探索することで,住人の人柄や暮らしぶりを想像しながら妖怪を探す,推理ゲームのような面白さが生まれている。
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一見するとホラーゲームのようだが,石原氏によればジャンプスケアやグロ表現は一切ない。不穏な雰囲気とコミカルさを両立させた「コメディホラー」として設計されており,ホラーが苦手な人でも楽しめる作品を目指しているという。
プレイ時間は1〜2時間ほどで,映画を1本観るような感覚で遊べる。マルチエンディングを採用しており,プレイヤーの選択によって異なる結末が待ち受けている。
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Studio非は,「ゲーム実況が当たり前になった時代のゲーム」を意識して開発を進めている。ゲームを「舞台」,実況者を「役者」と捉え,配信者と視聴者が一体となって映像作品を作り上げる体験を目指しているのだ。
そのため,配信者が見逃しても視聴者が「今の怪しくない?」とツッコめるように,あえて“余白”を残したデザインがなされている。こうした工夫は評価され,人気実況者ポッキー氏から賞を授与されたこともあるという。
また,プレイヤーへの配慮として,カメラの揺れやモーションブラーをオフにできる設定や,視野角調整など,モーション酔いを避けるためのオプションが充実しているのも特徴だ。難度については人によって感じ方が大きく異なり,「簡単すぎる」と感じる人もいれば「非常に難しい」と感じる人もいるとのこと。
こうした“個人差の出る遊び心地”も本作ならではの魅力だ。開発中タイトルならではの変化を経て,どのような形で完成を迎えるのか,続報が楽しみでならない。
本作を手がけるStudio非は,後藤有介氏によるインディーゲームスタジオ。これまでにもライブ配信をテーマにした「P.I.」や,Steamで高評価を得た「親切()な駅」など,実験的でユニークな作品を手がけてきた。本作「幽限会社わらし不動産」も,その流れにある意欲作といえるだろう。
石原氏は最後に「年末年始に遊んでもらえたら嬉しい」と語ってくれた。実在の部屋を舞台に,新米座敷わらしの研修と過去が交錯する「幽限会社わらし不動産」。リリースは2025年12月末を予定している。
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