
プレイレポート
「ドラゴンクエストスマッシュグロウ」CBTインプレッション。スマホならではの味付けがなされたヴァンサバ系ローグライト
ドラクエ+ローグライトアクションという,ありそうでなかった組み合わせに,いったいどんなタイトルなのか気になっている人も多いのではないだろうか。本稿ではそんな同作のインプレッションをお届けしてみたい。
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「ドラゴンクエストスマッシュグロウ」はスクウェア・エニックスが2026年内に展開予定のスマートフォン向けローグライトRPGだ。プレイヤーは傭兵団「龍の翼」の新米兵士となり,姉弟子であるゼラや不思議なロボットのマルと共に,世界各地の「ほころび」から現れる魔物との戦いに赴いていく。
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![]() 姉弟子のゼラは,主人公の幼馴染でもある |
![]() 頭上のスライム・ムニと共に主人公を助けるマル。女神から主人公を導く使命を授かったロボットだが,機能不全のため記憶のほとんどが抜け落ちてしまっている |
「ドラゴンクエストスマッシュグロウ」公式サイト
冒険スキルの選択でビルドが変化する,5分間ローグライト
本作の基本操作は至ってはシンプルだ。主人公+仲間2人でパーティを編成して出撃すると1プレイ5分程度のバトルがスタート。見下ろし型の視点でフィールドを歩き回り,オートで繰り出される攻撃で敵を倒していこう。攻撃には有効範囲があるので,この範囲に敵を捉え続ける必要があり,また敵との相性や状況に応じて3人のパーティから使用キャラを切り替えるといった操作も求められる。
魔物を倒すと「グロウ結晶」が出現し,これを集めて画面左上のゲージを溜めきると「冒険スキル」の選択画面が現れ,選んだスキルを獲得できる。いわば経験値に相当するグロウ結晶だが,この成長は一度の出撃の間でのみ有効なもので,プレイを終えると初期状態へと戻ってしまう。「Vampire Survivors」や「ダダサバイバー」ではお馴染みのシステムなので,これらのタイトルをプレイしたことのある人には分かりやすいはずだ。
![]() キャラクターの周囲に広がる円が武器の攻撃範囲を示している。剣や爪の範囲は狭く,槍や杖の範囲は広い傾向にある |
![]() 地面に転がる青い塊が「グロウ結晶」だ。戦闘が終了すると自動回収され,画面左上のゲージが増えていく |
このグロウ結晶による冒険スキル獲得がキャラクターの成長を決定付け,プレイのたびに違ったプレイフィールを味わえるのが面白いところ。この点が本作のローグライト要素といえ,ほかのドラクエタイトルと趣を異にする部分となっている。
冒険スキルはゲージが溜まる度にランダムな3種類が提示されるが,その効果はさまざまだ。通常攻撃とは別の攻撃手段であったり,条件を満たすことで発動するバフであったりと,バラエティに富んでいる。
例えば「マジックボール」はキャラクターの周囲を飛び回り,近づく敵にダメージを与えるボールを呼び出し,「ときどき無敵」は一定時間が経過するごとに短時間の無敵が付与されるといった具合で,スキルを獲得すればするほどにキャラクターが強化されていく。
スキルの組み合わせでシナジーが発生し,より強力なビルドを生み出せるのも面白い。例えばマジックボールに,ボールがヒットした敵からHPを吸い取る「ボールHP吸収」,敵を毒状態にする「ボール毒」を合わせれば,ダメージ+回復+毒の効果を持つ強力なボールが完成する。満遍なくスキルを取っていくより,方向性を定めてビルドを考えるほうが強力なキャラクターとなるだろう。
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また武器とスキルの組み合わせも重要だ。通常攻撃が連打できるようになる「連続こうげき」に,通常攻撃の最後にバリアを張る「フィニッシュ無敵」を合わせれば,足を止めて敵と殴り合えるようになり,強力な武器の火力を十全に活かせるようになる。
しかし,どの冒険スキルが出るかはランダムなのだ。思ったとおりにスキルが集まることもあれば,そうでないこともある。出てきたスキルに合わせてビルドを修正していく柔軟さもまた,本作では求められるのである。
![]() 毒を付与するスキルを大矢と組み合わせれば,直線上の魔物を一気に毒状態にできる |
![]() 「フィニッシュ無敵」があれば敵の攻撃を回避する必要がなくなり,攻撃を継続しやすくなる。攻撃速度アップの「フィニッシュオーラ」などと合わせて,大ダメージを狙いたいところ |
一方で,同ジャンルのタイトルと比べ本作がユニークなのは,武器による通常攻撃は足を止めていないと発動しない点だ。スキルによる攻撃は移動しながらでも発動するが,それでは火力が不足してしまう。そのため敵の攻撃を移動で躱しながら,どこかで立ち止まって通常攻撃を叩き込まなければならない。この駆け引きが,本作をよりスリリングなものにしている。
![]() マルチプレイでのワンシーン。マジックボールを増やすしていくと,かなり派手なことに。キャラクターを交代してもスキルの効果は継続するので,上手く活用したい |
![]() 地面の赤い円は,敵の大技が来る合図。しっかり確認して避けないと,あっという間にやられてしまいかねない |
ちなみに本作のキャラクターはそれぞれ職業を持っているが,武器に装備制限はない。武器は通常攻撃の形態を規定し,例えば魔法使いであっても剣を装備させれば通常攻撃が近接攻撃になり,戦士に杖を持たせれば遠距離攻撃が可能になる。
剣はスタンダードで使いやすく,杖は魔法弾で遠距離から攻撃できるメリットがある。槍は攻撃中に移動すると旋回させて広い範囲を攻撃でき,ブーメランは往路と復路それぞれに攻撃判定がある。さらにムチは広範囲を薙ぎ払えるなどなど,それぞれに強い個性があり,それによってキャラクターの立ち回りを大きく変えてしまう力がある。
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また武器には「必殺技」も設定されていて,通常攻撃をヒットさせると蓄積される「必殺技ゲージ」を消費すれば,さらに強力な攻撃を繰り出せる。
同じ槍であっても,「てつのやり」なら直線状の範囲に無属性のダメージを与える「しっぷう突き」が,「ホーリーランス」ならパーティ全体のHPを回復する「いやしのかぜ」が使えるので,ガチャで新しい武器が出る度にビルドを考える楽しみがある。
さらに必殺技でトドメを刺せば「SMASH」が発生し,得られるグロウ結晶も増加する。うまく多くの魔物を巻き込めば一気に数段階成長できることも珍しくなく,倒した敵がおはじきのように跳ねまわる演出と合わせて,積極的に狙っていきたい要素となっている。
![]() 高レアリティ武器の必殺技には,カットイン演出も用意されている。これは「はやぶさの剣」の必殺技「極はやぶさ斬り」だ |
![]() 必殺技でトドメを刺すと「SMASH」が発生し,大きなグロウ結晶が出現する。敵がおはじきのように吹っ飛んでいくので気持ちいいが,残念ながらほかの敵を巻き込む効果はないようだった |
転職と装備でキャラクターを強化しよう
グロウ結晶による成長は,バトルごとに限定された一時的なものだが,じっくりとキャラクターを育成していく楽しみも用意されている。キャラクターには職業ごとに独立した「レベル」の概念があり,転職も自由に行える。
ここでいうレベルはグロウ結晶によるバトル内での成長とは違い,ステージクリア後も引き継がれ,さらには一定レベルごとに「特殊効果」が獲得できる。中には転職後も効果が継続するものもあるので,転職を繰り返して最強キャラに育てることも不可能ではない。この辺りの自由度は,実にドラクエらしいといえる。
一方で,ゲームを進めるとスキルツリー「職業パネル」が解禁され,盗賊なら「一定確率で攻撃を回避」,僧侶は「自動で体力回復」といったパッシブ能力が使えるようになる。職業の特性がより明確になる能力が多いので,転職せず一つの職業に絞って育成するメリットも用意されている。
また魔物の宝箱からは,「メモリ」と呼ばれる装備品が出ることがあり,装備すると能力値がアップする。メモリは合成によってさらに強化することも可能で,中には「杖の通常攻撃を貫通タイプにする」といった特殊能力を持つものもあるので,トレハンがより楽しくなること請け合いである。
![]() 経験値でレベルアップ。グロウ結晶による成長とは違い,こちらはプレイが終わっても元に戻ることはない |
![]() 「職業パネル」のツリーを開放するには,育成クエストやハードモードで手に入る「職業パネルの原石」が必要となる |
![]() 「メモリ」は能力値を向上させるほか,さまざまな効果が付与されている。中にはイベントでしかドロップしないものや,イベント限定の効果を持つものも |
![]() 杖の通常攻撃に貫通効果が付与する「スライム軍のメモリ」。入手はマルチプレイイベント限定だが,非常に有用だった |
2026年内の正式サービスに向けて
クローズドβテストの前半では,ゲームの序盤しかプレイできないためか入手できる冒険スキルも限られ,実際に体験できたシナジー効果もそう多くはなかった。とくに初期ステージは,モンスターの数が少ないためグロウ結晶が思うように入手できず,キャラクターの能力を十分に引き出せないことが多かった。
しかしテスト期間の前半にスタートした「イベントマルチクエスト」では,モンスターが大量に登場するようになり,より強力なシナジーを組んで派手なバトルが楽しめるようになった。とくにプレイヤー同士のコンビネーション――例えば味方が槍の必殺技で敵をまとめたところに,杖による「ヒャダルコ」を叩き込むといった協力プレイが楽しくて,ついつい何度もプレイしてしまったくらいだ。
![]() 最大4人でプレイ可能だったイベントマルチクエスト。今回は城門を守る任務が課されており,押し寄せるばくだんいわやゴーレム,スライムナイトといった強敵とのバトルが楽しめた。ボスのキングスライムは必殺技まで持っており,一定時間内に規定以上のダメージを与えて阻止するギミックも用意されている |
![]() この世界にも「ぱふぱふ」が存在する。果たしてその実態は……プレイしてのお楽しみだ |
オート攻撃や,スキルを選んでキャラクターを強化していく流れは,確かに「Vampire Survivors」や「ダダサバイバー」といった先行タイトルを参考にしたものだろう。しかし敵の攻撃を避けつつ,足を止めて主力の武器攻撃を叩き込むといったプレイフィールは本作独自のものであり,立ち回りとアクションを重視しようという開発の意図が感じられる。
冒険スキルのシナジーも,より高難度のステージが登場すれば,さらに重要性を増すことだろう。例えば,ゲームを進めると解禁される「ハード」モードでは,単に敵が強いだけでなく,「必殺技は3回まで」「特定武器種の攻撃力が下がる」といった特殊ルールが課されており,これに合わせてビルドを考えることが求められた。
またイベントクエストでは,「倒した敵が爆発して周囲を巻き込む」という独自の冒険スキルが登場するなど,ステージごとのギミックが仕込まれ,なかなか派手なことになっていた。むしろ序盤が地味な気がするので,そこは改善してほしいところだが,これは今後のブラッシュアップに期待したい。
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総じてアクションとしての手触りは良好で,とくにSMASHによる殲滅は,スマホのバイブレーション機能を使った演出と相まって実に爽快だった。
キャラクターやモンスターのデザインも,ドラクエらしい明るいタッチの可愛らしいもので,武器やモンスターの特性も,見知ったものが多いので親しみやすい。課金方式は「ふくびき」(ガチャ)が主体になるものと思われるが,この辺りのバランスがどうなるかは,2026年内を予定しているという正式サービスを待ちたいところだ。
クローズドβテストのフィードバックを受け,さらに進化して登場するであろう本作のリリースを楽しみにしておこう。
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「ドラゴンクエストスマッシュグロウ」公式サイト
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- ライター:箭本進一

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