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「AKIBA LOST」キャスト北山宏光さん&松村沙友理さん,ディレクター梅田慎介氏が語る“ゲームを最大化するためのドラマ”[TGS2025]
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印刷2025/09/30 12:00

インタビュー

「AKIBA LOST」キャスト北山宏光さん&松村沙友理さん,ディレクター梅田慎介氏が語る“ゲームを最大化するためのドラマ”[TGS2025]

 実写群像劇ゲーム「AKIBA LOST」PC / Switch2 / PS5 / Switch)は,秋葉原を舞台に6人の少女の失踪事件を描く長編タイトルだ。プレイヤーの選択によって展開が変化し,キャラクターたちの運命が大きく左右されるのが特徴となっている。

画像ギャラリー No.009のサムネイル画像 / 「AKIBA LOST」キャスト北山宏光さん&松村沙友理さん,ディレクター梅田慎介氏が語る“ゲームを最大化するためのドラマ”[TGS2025]

 イザナギゲームズが手がける本作は,東京ゲームショウ2025のステージイベントで,「ゲームのクオリティを最大化するためにドラマを作った」という重大発表が行われた(関連記事)。ドラマは2026年1月期に日本テレビ系で放送予定で,TVerやHuluでの配信も予定されている。
 主人公はゲームクリエイターの新城大輝(演:北山宏光)。その妹でメイドの葵(演:松村沙友理)を中心に,多彩な人間模様が複雑に交差していく。


 4Gamerは今回,ステージイベントを終えたディレクターの梅田慎介氏,出演キャストの北山宏光さん,松村沙友理さんに話を聞く機会を得た。
 本作がどのように企画され,どのような思いで制作・演技に臨んでいるのか。ゲームとドラマを同時に進めるという異例の取り組みの背景や,役者陣が現場で感じた工夫や難しさ,そして日本のサブカルチャーを世界に届けたいという展望について語ってもらった。そのインタビュー内容を紹介していこう。

写真左より梅田慎介氏,北山宏光さん,松村沙友理さん
画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / 「AKIBA LOST」キャスト北山宏光さん&松村沙友理さん,ディレクター梅田慎介氏が語る“ゲームを最大化するためのドラマ”[TGS2025]


異例の発想――ゲームを高めるためのドラマ制作


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まず梅田さんに,TGS 2025のステージで発表された「ドラマ化」についてうかがいたいと思います。「ゲームのクオリティを上げるためにドラマを作った」とおっしゃっていましたが,あらためて詳しく教えていただけますか。

梅田氏:
 そうですね。お伝えしたとおり,日本テレビさんとAX-ONさんとでゲームを作ることになって,ゲームを最大化するために何度も深夜までミーティングを重ねていました。そのなかで,ふと「もうドラマ作っちゃったほうがいいんじゃない?」という話になったんです。

 最初は「何を言っているんだろう」と思ったんですが,よくよく紐解いていくと――ドラマが得意なチームだからこそ,キャラクターや世界観を作り上げるためにドラマを作るのが一番いい方法なんじゃないかと。
 つまり,ゲームのキャラクターや世界観を深め,ゲームそのものを最大化するためにドラマを作った,ということなんです。

4Gamer:
 映像のなかから切り取ったカットもあったようですが,ドラマとゲームは別々に撮影されたんですか。

梅田氏:
 ゲームだけのシーンもあれば,ドラマと同時に撮影してムービー部分と静止画部分を両方作ったものもあります。

4Gamer:
 どのくらいの撮影期間だったんでしょう。

北山さん:
 結構ギチギチで……1か月,1か月半くらいです。

4Gamer:
 ドラマとゲームでは別々の台本が用意されていたとうかがいましたが,その両方を演じるにあたって,どのような工夫や意識が必要でしたか。

北山さん:
 そうですね。ゲームにはドラマの先のストーリーが入っていて,お互いがお互いを担保しているような関係なんです。ドラマ台本だけだと心の中の辻褄が合わない。でもゲーム台本と照らし合わせると「ああ,そうか」と分かる。それで「このセリフはどう言うべきか」と考えるんです。

 紐解いて「ここは間を置いてみよう」とか,「このセリフは説明しすぎだからいらないかも」といった調整を,現場でコミュニケーションを取りながらキャラクターを作っていきました。

4Gamer:
 台本を読みながら,その場でセリフを調整することもあったんですか。

北山さん:
 それはほとんどなかったです。というのも,すごく計算されている台本だったんです。深夜までかけて,よくここまで落とし込んだなと思うくらいで。

梅田氏:
 もう最初から,しっかり計算されていましたね。

北山さん:
 そうそう。でも,実際に演技してみると「セリフがなくても伝わる」っていう瞬間があるんですよ。そうなると「これは伏線だから削れないな」とか,パズルのように組み合わせていくことになる。感情移入できるギリギリのラインを攻めたり,逆に「ここは素直に出そう」と思ったり。感情がすごく忙しかったですね。

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4Gamer:
 松村さんは,実際に撮影してみてどうでしたか。

松村さん:
 感情の作り方がちょっと違いましたね。ドラマは全体のお話で,ゲームのほうが一人にすごく寄ったストーリーなんです。同じシーンでも,ゲームでは描かれているけどドラマでは隠されているものがある。だから「ゲームで出した表情はドラマには持ち込まない」とか,使い分けを意識しました。
 例えば,ゲームでは悲しい感情でセリフを言っていても,ドラマではまだ描かれていないから抑える,といった感じです。

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4Gamer:
 そういったことはキャストの皆さんはご自身で判断されるんですか。それともディレクションがあったのでしょうか。

北山さん:
 そこは本当によくできていて,台本を読めば全部分かるんです。

4Gamer:
 なんと……!

北山さん:
 ものすごい計算なんですよ。

松村さん:
 辞書みたいな緻密さで……。

梅田氏:
 ドラマ台本とゲーム台本が別にあって,ゲーム台本だけでも辞書みたいに細かいです。キャストの皆さんはお忙しいなか,それを読み解いて落とし込むのは大変だったと思います。脚本があって,その後に演技があるんですけど,逆に演技サイドも制作に参加してできたのが「AKIBA LOST」なんです。

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4Gamer:
 なるほど。北山さんは,実際にステージでゲームをプレイしていましたが,ご自身のキャラクターを操作してみてどう感じましたか。

北山さん:
 コントローラを握った瞬間「あ,本当だ」って思いました。世界をコントロールして,360度カメラでカーソルが合ったり,名前がポンと出たり,ボタンを押すとセリフが文字で出たり。「ああ,これだ」って。で,自分をコントロールされる気持ちって,めっちゃ不思議なんですよね。面白いなって思いました。子供の頃はみんなゲーム通ってきてるから,実写で入るって光栄で誇らしいなって。

4Gamer:
 松村さんもゲームがお好きなんですよね。

松村さん:
 私もゲーム好きなので嬉しかったです。プレイヤーさんの選択によって怒ったり悲しんだり,見える自分が変わっていくのはすごく不思議で。早く感想を聞きたいですね。

4Gamer:
 ちなみに,お二人は兄妹役ですが,関係性を見せるうえで話し合ったことはありますか。

松村さん:
 役作りの一環で,撮影の合間もずっと「お兄ちゃん」って呼んでました。日常的にそう呼ぶことで,自然に関係性を作れるかなと思って。

北山さん:
 僕自身は妹がいないので,「お兄ちゃん」って呼ばれるのがすごく新鮮でしたね。普段から呼ばれ慣れてないし……僕から「妹よ」とは言わないですから(笑)。そういう意味でも不思議で面白い体験でした。
 なんならバラエティでしかご一緒したことがなくて。

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4Gamer:
 では,演技でしっかり共演するのは今回が初めてなんですね。

松村さん:
 そうなんです。今回ちゃんとお芝居で共演してみたら,北山さんってすごい「主人公顔」なんだなって思いました。

北山さん:
 初めて言われました(笑)。

梅田氏:
 分かります。TGSのシーンで新城が登場してしゃべるのを見て,「これだ,主人公が出てきた」って思いました。

4Gamer:
 ステージでは,松村さんご自身が「ゲームのビジュがいい」とおっしゃっていましたが,実際に映像などを観て,私も同じように感じました。10万枚も撮影したということで,そうした映り方,撮り方について,撮影の際に意識したことはありますか。

松村さん:
 撮られ方についてはあまり意識していなかったですね。可愛く映ろうとかそういうことは考えず,カメラマンさんにお任せしていました。どちらかといえば,自分がどう映るかよりも,作品全体のクオリティが上がることを大事にしていました。

4Gamer:
 確かに,映像としての見栄えや迫力は大きな魅力になっていましたね。では梅田さんにうかがいますが,実写とゲームを融合させるうえで,没入感を高めるために意識したことはなんですか。

梅田氏:
 実写ゲームって,どちらかというとまだニッチなジャンルなんです。そこにはやはり理由があると思うんですが,今回はその「ニッチさ」を生かしつつ,よりメジャーなところに広げていこうと考えました。
 そのためにドラマチームと組んで日テレさんで放送していただいたり,華のあるキャスティングやキャストの演技力で相乗効果を生み出したりしたんです。

 意識したのは「実写ゲームだから面白い」のではなく,「ゲームとして面白い」こと。そのうえで実写ゲームならではのプロモーションをしっかりやれば,ゲームユーザーにも届くし,世界中の幅広い層にも受け入れられると考えています。

 今回ドラマも作っていますが,重要なのはゲームのクオリティを高めること。その一環としてドラマを制作したんです。ゲーム内でも主人公の新城はゲームクリエイターという設定で,彼が作ろうとしている「AKIBA LOST」というゲームが,現実の僕らの作品とシンクロしてプレイヤーに届く。
 そういう仕掛けも含めて,ただ「ドラマもあります」というのではなく,あくまで「ゲームを最大化するためのドラマ」だというのが大きなポイントです。

4Gamer:
 ドラマとゲームが同時に展開することで,それぞれが物語を補完し合う仕組みになっているんですね。

梅田氏:
 はい。ドラマがあるからこそ,キャラクターや世界観に厚みが出て,ゲームの体験そのものを高められるんです。僕らにとって大事だったのは「両方を作ること」ではなく,「ゲームをもっと面白くすること」。そのためにドラマを制作しました。

松村さん:
 撮影しているときは大変でしたけど,完成したゲームのクオリティの高さを見て「本気なんだな」って実感しました。ドラマはドラマで別の楽しみ方ができるし,新しい作り方としてかっこいいなと思いましたね。

4Gamer:
 完成した作品を通じて,あらためてこのプロジェクトの大きさを感じられたわけですね。

北山さん:
 そうですね。このプロジェクトは,ドラマとゲームの同時制作というだけじゃなく,秋葉原という日本のサブカルを舞台にしている。国境を越えるチャンスを秘めたものだと思います。「やろう」って口にするのは簡単だけど,現実化するまでにどれだけ時間がかかったか。それだけでもすごいことだと思います。

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4Gamer:
 「AKIBA LOST」を通して,プレイヤーにどんな体験を届けたいですか。

松村さん:
 私はこの作品を通して,日本のカルチャーの強さを改めて感じました。日本にいると当たり前すぎて気づかないけれど,世界に発信すると「日本ってすごい」とみんなが分かるような要素がたくさんあるんです。世界の人には日本の良さを感じてもらえるし,日本人がプレイしても「日本ってかっこいいな」と思ってもらえる。そんな作品になっていると思います。

北山さん:
 実は僕,「ブルガリア共和国友好親善大使」になったんです。現地に行ったときに学生やアーティストの方と話す機会があったんですが,日本のアニメや音楽といったサブカルにすごく興味を持ってくれていました。
 日本のサブカルは国境を越える大きなチャンスがあるんだと感じました。

 しかもネットを通じて交流もできる。そう考えるとゲームは海外の方々とも親和性が非常に高いんです。もちろん楽しいというのは大前提ですが,同時にとても挑戦的な取り組みでもあると思います。
 プレイしていただければ,僕らを応援してくれるような気持ちにもなってもらえるはずなので,ぜひゲームもドラマも楽しんで,どんどん発信していただけたら嬉しいです。

梅田氏:
 北山さんのおっしゃったことは,本当に僕も感じていたことです。以前「DEATH COME TRUE」というゲームを作ったとき,北米や中国で売れたんですが,それはやっぱり「ゲーム」というフィルターを通すことでカルチャーが国境を越えたからだと思うんです。
 同じ題材で映画を作っても,ここまで広がるのは難しかったはずです。インタラクティブな体験として届けるからこそ,ゲームが根付いている地域にもしっかり届く。

 今回はそこに日本のサブカル要素を込めて,秋葉原を舞台に新城というキャラクターが登場するゲームを作りました。6人の女性キャラクターが織りなす物語もそこに収めています。
 実はこの妄想を5年も続けてきて,今日こうして発表できたことに胸がいっぱいです。これを実現できて,世界に届けられるのは本当に嬉しいですね。ぜひ皆さんも一緒に楽しんで,世界に広げていただければと思います。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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――2025年9月25日収録



 梅田氏はご自身のnote(外部リンク)でも,本作に込めた想いを発信している。興味を持たれた人は,ぜひそちらもチェックしてみてほしい。

「AKIBA LOST」公式サイト

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