
プレイレポート
墨絵の世界で運命を塗り替えろ。中国美術×ローグライト×死ぬたび強くなる水墨画アクション「Realm of Ink」[gamescom]
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そんな「Realm of Ink」を,ドイツで行われているゲームショウ「gamescom 2025」で試遊する機会を得た。会場でデモンストレーションを担当してくれたのは,Christian Liu氏とNingkun Dai氏の2名。彼らの案内のもと,墨で描かれた幻想的な世界を体験してきたので,その模様をお伝えしよう。
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「Realm of Ink」の主人公は,剣士「レッド」だ。彼女は妖狐を追って墨の世界に足を踏み入れ,そこで自分の人生が,誰かによって書かれた本の中の「運命」でしかないという衝撃的な真実を知ることになる。プレイヤーは,この運命の束縛から逃れ,自らの物語を書き換えていく。
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ゲームは4つのチャプターと最終ボスで構成されており,各チャプターには独自の守護者が待ち受けている。緑豊かな仏教の森,極寒の猿の王国,穏やかでありながら恐ろしい水辺,そして古代の霊廟――それぞれのステージは,中国の伝統的な美意識で彩られている。
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試遊では時間短縮のためチュートリアルをスキップして,いきなりゲームの核心部分から始めてもらった。最初に案内されたのは,キャラクター選択画面だ。
「Realm of Ink」には現在9種類のキャラクターフォームが実装されており,それぞれが異なる武器と戦闘スタイルを持っている。剣を振るう者,飛び道具を使う者など,プレイスタイルは実に多彩だ。今回の試遊では最も基本的なキャラクターでプレイすることになった。
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操作は比較的シンプルで,Xボタンで通常攻撃,Yボタンで溜め攻撃(長押しで威力が変化),そしてX→Yのコンボ攻撃となっている(今回の試遊はXbox用ゲームパッドで行われた)。
特筆すべきは,ダッシュ中に無敵時間が存在することだ。これにより,攻撃的なプレイと回避を組み合わせた,スピーディーな戦闘が可能になっている。
実際にプレイしている雰囲気は,以下に掲載したムービーも参考にしてほしい。
戦闘システムの核となるのが「インクジェム」(Ink Gems)だ。40種類以上存在するインクジェムは,虎の墨,毒の墨,呪いの墨,燃える墨,麒麟の墨,龍の墨など,それぞれが独自のパッシブスキルとアクティブスキルを持っている。
プレイヤーは同時に2つのインクジェムを装備でき,これらの組み合わせによって戦い方が大きく変わってくる。
もう1つ特徴的なシステムが「インクペット」(Ink Pets)だ。プレイヤーに同行する小さな相棒で,最初は可愛らしい姿をしているが,インクジェムの組み合わせによって15種類以上の形態に変化する。
試遊中,土属性と水属性のインクジェムを組み合わせたところ,インクペットが沼地のような姿の「スワンピー・モモ」に変化した。インクジェムにはコモン,レア,エピック,レジェンダリーという4つのティアがあり,チャプターを進めることでアップグレードが可能だ。ティアが上がるにつれて,インクペットもより大きく,より強力になっていく。
最終的には特別なスキルを獲得し,戦闘で頼れる相棒へと成長する。実際,試遊の後半でレジェンダリーインクジェムを入手したところ,インクペットが巨大化し,Bボタンで呼び出すと積極的に敵を攻撃してくれるようになった。
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インクジェムとは別に,「パーク」(Perks)というシステムも存在する。影凧,八角手裏剣,封印のお札,七星の灯,破滅のゲージなど,130種類以上のパークが用意されており,ステータス向上から攻撃補助までさまざまな効果をもたらす。
また,「インクブラシ」(Ink Brush)というシステムもあり,これは基本的なムーブセットを強化する役割を持つ。例えば,重攻撃でインクペットを叩くとペットが強化されるといった効果があり,戦闘にさらなる深みを加えている。
試遊中に特に印象的だったのは,レジェンダリーインクジェムの存在だ。各キャラクター専用に設計されたこれらのインクジェムは,ゲームプレイを一変させるほどの威力を持つ。筆者が入手したものは,RTボタンで溜められ,15個溜めると7.5%のダメージ増加効果を得られるというものだった。
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その独特なアートスタイルも本作の特徴の1つだ。中国の伝統的な水墨画の技法をベースにしながらも,西洋的なラインアートの要素も取り入れており,モノトーンの世界にカラフルな要素が加わることで,独自の視覚体験を生み出している。
Liu氏によると,禅仏教の美学も取り入れているとのことで,確かにステージを進むにつれて,その精神性が感じられる場面に出会う。例えば,第2レベルには鐘があり,それを鳴らすとちょっとした音が響く――ゲームプレイには直接関係ないが,こうした小さなインタラクションが世界観を豊かにしている。
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ステージ内には破壊可能なオブジェクトも配置されており,壊すとポーションなどのアイテムが手に入る場合がある。また,特別なNPCとの遭遇イベントもあり,彼らからはバフとデバフを同時に受けることもある。リスクとリターンのバランスを考えながら選択する必要があり,緊張感を演出している。
拠点となる「狐の宿屋」(Fox Inn)では,戦闘外でのスキルレベルアップが可能だ。アーリーアクセス版では,この宿屋のコンテンツの70%が実装されているという。ここでは食べ物を購入してHPやバフを得られ,次のボス戦に向けた準備を整えられる。
さらに,「試練の谷」(Trial Valley)や「無限チャレンジ」(Endless Challenge)といったモードも用意されており,腕に自信のあるプレイヤー向けのコンテンツも充実している。
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現在のアーリーアクセス版には,4つの完成したチャプターレベルと8体のボス(最終ボス「本の精霊」を含む),9種類のキャラクターフォーム,22種類のインクジェムスキル(4ティア),15種類のインクペット(40以上の形態),130以上のパークが実装されている。ストーリーラインは約50%が完成しており,世界観の背景設定の第一層が体験できる。
Dai氏によれば,2025年内に予定されているバージョン1.0では,新キャラクターフォームの追加,より多くのインクジェムとパーク,追加ボス,新しい環境やインタラクティブな構造物,武術システムの拡張などを予定している。また,最終チャプターとストーリーの完結編も実装される予定だ。
価格については,アーリーアクセス期間中は競争力のある価格設定となっており,正式版リリース時には新コンテンツの追加に伴い段階的に引き上げられる。ただし,アーリーアクセス期間中に購入したプレイヤーは,正式版でも追加料金なしでプレイできるとのことだ。
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Steamでのユーザーレビューは2716件中96%がポジティブという「非常に好評」の評価を得ている。試遊を終えて,その理由がよく分かった。美しいアートスタイル,奥深い戦闘システム,豊富なビルドの選択肢,そして死んでも何度でも挑戦したくなるゲームデザイン――これらが見事に融合している。
Dai氏は,「1日の仕事を終えた後でもプレイしたくなるようなゲームを作りたかった」と語っていた。確かに,各インクジェムには独自の勝利への道筋があり,その日の気分に合わせて異なるプレイスタイルを楽しめる。リラックスしたいときは強力なビルドで,挑戦したいときは実験的な組み合わせで,といった具合だ。
「Realm of Ink」は,中国の伝統文化をリスペクトしながらも,現代的なゲームデザインと融合させることに成功している。水墨画の美しさをいかしたビジュアル,中国の民間伝承に基づく20種類以上のクリーチャー,そして深みのあるシステム――これらが一体となって,ほかにはない独自のゲーム体験を生み出している。
新設スタジオであるLeap Studioが,プレイヤーからのフィードバックを重視し,コミュニティと共にゲームを育てていこうという姿勢も好感が持てる。Discordコミュニティも活発で,開発者との距離が近いのもインディーゲームならではの魅力だろう。
墨で描かれた世界で,運命に抗い,自分だけの物語を紡いでいく。そんな「Realm of Ink」に興味を持った人は,無料デモ版をプレイしてみるといいだろう。
4Gamer「gamescom 2025」記事一覧
「gamescom 2025」公式サイト
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