
プレイレポート
[プレイレポ]「トワと神樹の祈り子たち」インプレッション。全10工程に分かれた本格的な作刀で武器を作り,個性的なキャラたちのコンビでダンジョンに挑もう
本作は,神に仕える不老の少女・トワが,個性的な「祈り子」たちとともに時代を越えて戦い続けるローグライトアクションゲームだ。発売に先駆けて本作の序盤をプレイできたので,3ダンジョンめまでをクリアするまでのインプレッションをお届けしよう。
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「トワと神樹の祈り子たち」の舞台は,大樹の神「シンジュ神」に見守られる「シンジュの里」だ。いつからかシンジュの里は,遠方に住む神「マガツ」とその瘴気から生まれた化け物「マガオリ」に脅かされるようになり,時が進まなくなってしまった。
シンジュ神から生まれた少女・トワは,啓示に従い8人の仲間「祈り子」を選び出し,マガツに立ち向かう。シンジュ神の力で不老のトワと祈り子たちは,失敗の度に時をまき戻し,マガツに迫っていくのだ。
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独自の用語と設定が多いのに加え,初期には意図的に十分な説明が行われない作りになっているものの,物語が進むにつれて世界の仕組みが理解できる。
ひとまずは「トワと祈り子たちがダンジョンで戦うゲーム」であり,「ボスを倒すと時代が進む」フィーチャーが特徴であると理解すればいいだろう。
バトルシステムも特徴的だ。8人の祈り子たちが刀で戦う前衛の「ツルギ」と,法術でこれを支援する後衛「カグラ」がコンビを組み,プレイヤーは1人でコンビを操作して戦うのである。アクション性は高めだが, ストーリーモードを選べばダンジョンで力尽きるたびに敵の攻撃が弱くなっていくので,じっくりと慣れていけるだろう。
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この1人でコンビを操作するというシステムが本作の大きな特徴だ。プレイヤーは基本的にツルギを操作し,カグラは自動でついてくる。ツルギの攻撃ボタンと刀切り替えボタン,カグラの法術1を使うボタンと法術2を使うボタン,回避のダッシュボタンと5つのボタンを駆使し,刀と法術とダッシュを使い分けていく。
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多くのRPGでは前衛向け,後衛向けのキャラクターが区別されているが,本作では8人すべてが前衛・ツルギと後衛・カグラのどちらにもなれる。1人のキャラクターに“ツルギ時の刀攻撃技”と“カグラ時の法術技”の2種が備わっている,と言い換えてもいいだろうか。もちろん,出撃するたびに組み合わせは選びなおせる。
祈り子はツルギにすると「本差」と「脇差」という2振りの刀で,まったく異なる攻撃技を繰り出す。例えばコロウの場合,本差は連続突きを放ち,脇差では周囲にダメージを与える影刀を設置する。バンプクは,本差では回転しながら攻撃,脇差だとボディプレスで周りに広範囲攻撃する。
攻撃ボタン押しっぱなしで連続攻撃をしてくれることも相まって,多彩な動きをすぐに楽しめるだろう。
カグラにした祈り子は2種の法術を使える。デバフを与える火球,移動速度アップやダメージの無効化フィールド,周囲に攻撃球を回転させるなど,こちらも効果から挙動までさまざまだ。敵に接近させるとオートで杖攻撃もしてくれる。自分が得意とする戦法はもちろんのこと,キャラクター性で選んでしまうのもいいだろう。
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アクションのメインとなるのはツルギなので,アクションゲームが得意でない人は,ひとまずツルギの攻撃に集中するのがいいだろう。
同じボタンを押しっぱなしにしても,攻撃技によって連続攻撃になる場合とタメ攻撃になる場合がある。1人が連続攻撃とタメ攻撃を持つ場合,まずは持続の長いタメ攻撃からスタートし,次に接近して連続攻撃の刀に切り替えることを意識すればいい。
また,設置系の攻撃は刀を切り替えても維持されるため,脇差と本差を組み合わせればより高いダメージを狙える。とにかくいろいろなキャラクターをツルギにして試し,自分に合った攻撃を見つけ出そう。
なぜ切り替えを意識するのかというと,刀には「耐久値」があるためだ。耐久値は敵に攻撃を当てると減り,尽きると攻撃力が落ちてしまう。
切り替えの際には「居合」という単発技が自動で発動する。耐久値自体は一瞬で回復するため,本差→居合→脇差→居合→本差というように連続攻撃を続けることも可能だ。
そして,2種の刀と2種の法術,居合と杖を組み合わせると,実に多彩な攻撃ができる。カグラだけを独立して操作もできるため,慣れるとバトルの幅が広がっていくのだ。
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敵の攻撃に対しては,“ツルギだけではなく,カグラも避けられるように動く”という独特の立ち回りを求められる。
カグラはプレイヤーが操作するツルギに追随して動くのだが,カグラにはHPと食らい判定がある。要するに,ツルギが敵の攻撃を避けても,カグラが食らえばカグラのHPが減るのだ。そのため,立ち回りには独特の感覚が求められる。常に相棒のことを気にしつつ,少し余裕を持った避け方をしなければならず,後述するストーリー面での思い入れも併せ,仲間の存在感が際立つのである。
そして,カグラにも食らい判定があることは,HP管理にまつわる独特の戦術性を生み出している。本作ではツルギとカグラはそれぞれがHPを持ち,両者のHPが0になってはじめてゲームオーバーになる。
たとえカグラのHPが0になっても,ツルギのHPが残っている限りゲームオーバーにならないし,逆もまたしかりだ。そして,HPが0になった側も変わらず攻撃できる。つまり,両者に食らい判定があることは,ペナルティにはならないのだ。
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こうしたシステムが特に面白いのは,ダンジョンで「泉」を発見したときだ。泉はHPにまつわるさまざまな効果を持ち,ランダムな選択肢として提示される。
中には「ツルギかカグラ,どちらか1人のHP上限を大きく上げる」「1人だけを大きく回復する」「2人のHP上限が上がるが,上昇量は少しだけ」といったものもある。平均的に上限を伸ばすべきか、どちらか片方のみを生き残らせるべきか,回復にも戦術があり,これは本作独特の感覚と言える。
ツルギで無茶をしても,カグラにHPが残っていてギリギリ生き延びれた,なんてことも起こる。また,極端な例としてはHPが0になったカグラを独立移動モードで動かしたのちに“設置”し,捨て身の砲台のようにもできたりもする。両方が生き残る理想を追求してもいいし,HPが0になった側を酷使してもいい。
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ダンジョンの部屋をクリアすると,キャラクターをパワーアップする「恩寵」が手に入る。“ダッシュに衝撃波が付与される”“どちらかがダメージを受けた際に攻撃力が上がる”など効果は多彩だ。
どの恩寵が出るかはランダムで,それを組み合わせていくのが楽しい。ツルギの居合やカグラの杖攻撃といったサブ的な技を強化するものもあるため,運次第ではちょっとマニアックなビルドも組めそうだ。
ローグライトらしい組み合わせの妙味も堪能できる。それが“本差や脇差,法術の攻撃が,敵の弾を反射できるようになる”といった恩寵だ。
設置系の技や,周囲に攻撃球を旋回させ続けるといった,持続時間の長い攻撃を持つキャラクターを使っている際にこの恩寵が手に入ると,弾に対するバリアのように機能し,弾攻撃をメインとする敵やボスには効果絶大である。こうした組み合わせはほかにもあるはずで,いろいろと探したくなってくる。
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ダンジョンで手に入れた鉱石を使えば,シンジュの里でパワーアップできる。カグラの杖に装着してコンビの能力を底上げする「碑文」,個人の能力強化,復活などの効力を得られる「天恵」など種類もさまざまだ。
シンジュの里でできることで特に印象的なのが,新たな刀を打つ「作刀」である。
作刀はかなり本格的で,10の工程に分かれている。玉鋼を板状にする「水へし」,刀の芯である硬い玉鋼と外側の柔らかい玉鋼を叩く「組み合わせ」,刀の形を形成する「火造り」,刀身に土を置いて刃文を作る「土置き」,熱された刀を冷やす「焼き入れ」など,実際の作刀工程が細かくミニゲームとして表現されており,うまくこなすと刀の能力も上がる。
作刀では刀のカスタマイズが可能だ。例えば,火造りでは刀をギザギザにしたり,ブーメランのように曲げたりもできる。また,研ぎ作業においては,耐久値を減らす代わりに攻撃力を上げられるため,“非常に鋭くて攻撃力も高いが,耐久値が低いためすぐにヘタる”という極端な刀も作れる。もちろん刀に名前を付けるのも鍔や鞘を自分で選ぶことも可能だ。
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日本刀を作る光景は見ていて心が躍るものがある。真っ赤に焼けた玉鋼を取り出し,叩いて,割って,折り曲げて……と職人の手が加わることで,鉱石がやがて一振りの日本刀となる。
書籍や動画で知っている作刀の工程を辿ることで,本作では刀のパラメータとしてゲームに反映されるのだから感慨深いものがある。
もちろん,毎回ミニゲームをこなす必要はなく,良い素材ができたときはミニゲームをし,そうでない場合はお任せで手っ取り早く作れる。刀は全員で共有できるし,装備させた刀によって攻撃方法が変わることもないので,安心して作刀に励むといいだろう。
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本作の大きな見どころが,不老のトワと祈り子たちが織り成す物語だ。ダンジョンではコンビの組み合わせによって異なるイベントをフルボイスで鑑賞できる。
例えば,大人になりたいバンプクと老成した落ち着きを持つニシキのコンビでは「大人になること」をテーマとした話が展開するが,同じニシキでもシギンとの組み合わせでは,祈り子たちの誰が高いサバイバル能力を持つかについての雑談が行われる。
会話の総数は不明だが,十分な数が用意されているのであれば,キャラ同士の関係性を見るのが好きな人とってはたまらないだろう。
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祈り子たちは不老の存在だが,やがて別れが訪れる。それがボスを倒した後の「神葬(かんはぶる)」の儀式だ。トレイラーでは名前だけが明かされており,不吉な存在感を放っていたことを覚えている人も多いだろう。
その内容は,ボスを倒して奪還した「マナ」をカグラの身体に集め,ツルギがこれを斬ることでシンジュ神に返すというもの。そして,斬られたカグラは消え去り,キャラクターとしても使用不能になってしまうのだ。
前述の通り,アクションのメインとなるのはツルギであるため,ゲーム進行における影響は最小限といえる。ボスを倒した後は時間をまき戻せるようになるため,もしもお気に入りを神葬してしまった場合はやり直すことも可能だ。
しかし,ボスを倒すたび,キャラクター一覧が一人,また一人とグレーアウトしていき,出撃前に集まる人数も減っていくのは非常にさみしい。このまま祈り子たちが減り続けるかどうかは不明だが,何らかの救済があることを期待したい。
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神葬を終えると里の時代が進む。学問の師に悪戯をしては返り討ちに遭っていた子どものカカンも,成長していかに師を越えるか考えるようになり,刀作りに憧れていたはなたれ小僧のエンカは正式に弟子入りし,たくましい青年になるなど,里の皆は変化していく。
しかし,トワは不老の存在であるため,変わることはない。こうした違いがどんなドラマを生み出すのか,今後の展開が楽しみだ。
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1人で2人を操るアクションは独特のものがあり,戦術の点においても奥は深いと感じられる。原稿執時は3体目のボスを倒した状態だったが,今後の恩寵次第ではより派手な展開が期待できそうだ。
物語面についても,ダンジョンに出撃した2人の会話がメインに据えられているのに加え,その場にいない仲間の話をするのがユニークなところ。ニシキ役の杉田智和さん,コロウ役の釘宮理恵さん,ムツミ役のファイルーズあいさんなど豪華なキャストが揃っており,バトル中のボイスが多いこととあわせて,声優ファンも満足できそうだ。
今回は体験できなかったが,本作は2人プレイにも対応しており,1人がツルギ,もう1人がカグラを操作できる。オフラインはもちろんのこと,フレンドどうしであればオンラインプレイも可能だ。限られた恩寵をいかに割り振るか,一定以上離れられない2人がいかに協力するか,ユニークな2人プレイが楽しめそうだ。
個人的には,より個性的で尖った恩寵や刀といったローグライトの面白さや,本作らしい仲間どうしの絆描写がゲームを進めるにつれて深まっていくことに期待したい。
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「トワと神樹の祈り子たち」公式サイト
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- ライター:箭本進一

Towa and the Guardians of the Sacred Tree&(C)Bandai Namco Entertainment Inc
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