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[プレイレポ]推理からステルスアクションホラーまで。「終天教団」は,5つのシステムを盛り込んだジェットコースターノベル
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印刷2025/09/03 18:00

プレイレポート

[プレイレポ]推理からステルスアクションホラーまで。「終天教団」は,5つのシステムを盛り込んだジェットコースターノベル

 2025年9月5日の発売が予定されている「終天教団」PC / Nintendo Switch)は,EXNOAが運営するDMM GAMESとTookyo Gamesが共同で手掛けた“マルチジャンルアドベンチャー”ゲームだ。

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 「ダンガンロンパ」シリーズの小高和剛氏,「Ever17-the out of infinity-」の中澤 工氏,「超探偵事件簿レインコード」の北山猛邦氏らがシナリオを担当。1本のゲームに「推理アドベンチャー」「極限脱出アドベンチャー」「マルチ視点ザッピングノベル」「恋愛アドベンチャー(?)」「ステルスアクションホラー」という5つのシステムが存在し,それぞれのルートで異なるプレイ感を味わえる。

「終天教団」公式サイト


推理からステルスアクションホラーまで,5つのシステムを盛り込んだジェットコースターノベル


 本作は,新興宗教の教祖である主人公が,自分を殺した犯人を探し出すという奇想天外な内容だ。この新興宗教は「終天教」といい,世界の終わりを待ち望んでいる。
 ただ世界の終わりを望むといっても,過激なテロリストではない。厳しい戒律で争いごとは禁じられており,教徒たちは自分たちだけの国「終天教国」で平和に暮らしている。

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主人公の「下辺 零」(写真左)と,彼を助ける天使の「ヒメル」(写真中央),「ミコトル」(写真右)

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「終天教国」では世界の終わりを待ち望む教徒たちが暮らしている

 とある日,主人公は何らかの理由で殺され,その死体はバラバラにされてしまう。犯人と思われるのは終天教団の最高幹部たちだが,5人の中の誰が犯人であるかは皆目わからない。
 さらに,主人公が神の力でよみがえってしまったことが問題をややこしくする。終天教国で神の力は禁忌であり,教祖自らがタブーを犯したとなれば大問題なのだ。

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 おまけに主人公は記憶もなく,なぜ自分が殺されたかは全くわからない。そして,いまの命は仮のものであり,4日後には再び死んでしまう。
 様々な悪条件の中,主人公は私立探偵「下辺 零」の仮名を名乗り,天使「ミコトル」「ヒメル」の力を借りて,生き返るために自分殺しの犯人を探し出さなければならないのだ。

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教団幹部は,全員が教祖(主人公)殺しの容疑者。バラバラにされた教祖の死体を1つずつ保管しているという

 謎の新興宗教,訳のわからない国,なぜか殺された自分,怪しげな天使にクセの強すぎる教団幹部たち……。戸惑う間もなく,物語はいきなり疾走を始める。
 急展開する状況と舞台の奇怪さから,プレイヤーは置いていかれたようになると思うが,もちろんこれは意図的なものだ。零は記憶を失っており,終天教国や幹部の知識も一切ないので,プレイヤーと目線は同じだし,細かな点についてはミコトルとヒメルが説明をしてくれる。
 終天教国の奇妙な風習や濃い教団幹部たちに振り回されつつ,ちょっとした観光気分で物語に引っ張られていけばいい。

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 本作らしい設定の最たるものは「神の力」だろう。零が追い詰められたときに神に祈れば,動物の調教や電子機器のハッキングなど,様々な奇跡が起きるのだ。
 とはいえ,神の力は効果を自由に選べないうえ,みだりに使うことはできず,どんな時に何ができて何ができないのかは不明なのだ。そのため,肝心な場面でミスをすればゲームオーバーになるという緊張感は通常のアドベンチャーゲームと変わらない。

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「神の力」はいつ使えるかわからない。零が祈れば,相手の頭が吹き飛んだり,コンピューターにハッキングできたりと,何が起こるかすらわからない

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追い詰められた零はビルから身を投げるが,神の力で転生することも……

 特に面白いのが,神の力のひとつ「黙示」だ。零が祈ることで世界の見え方が新しくなるというもので,ぶっちゃけてしまえばゲームシステムが変化する。
 ある時は推理もの,またある時は脱出もの,複数人の視点をザッピングしたり,相手の好感度を見たり,ステルスだってできてしまう。要するに,いい意味で何でもありで,それぞれのルートでプレイ感が全く変わってくる。

 その中でもプレイヤーを飽きさせない山やら谷やらが仕込まれているので,ただただジェットコースターに乗ったような感覚を楽しんでいればいい。とはいえ,本作は読み物のビジュアルノベルではなく,能動的なスタイルでプレイしなければならないアドベンチャーゲームである。
 奇怪な国で五里霧中なところに,神の力では解決できない絶体絶命のピンチに襲われ,どう切り抜けるかの選択を求められるのだから気を抜けない。

 先ほども述べたように,教団幹部の5人は全員が教祖殺しの容疑者であり,零が捜査のターゲットを誰に絞るかでゲームシステムが変わってくる。その序盤と,システムの面白さについて見ていこう。

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5人の教団幹部から,捜査の対象を選ぶ。これも神の力であり,選んだ時点でそいつが犯人であることは決定しているという

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捜査のタイムリミットはわずか4日。しかも零が生き返ったところで,教団のいう世界の終わりは間近に迫っているらしい。果たしてこの捜査に意味はあるのだろうか?


法務省「犬神 軋」ルート:「推理アドベンチャー」


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 犬神ルートのシステムは推理アドベンチャーだ。「ダンガンロンパ」の小高氏らが手がけているのだから,ただの推理アドベンチャーになるはずもない。
 容疑者の犬神は,法務省のトップでありつつ合法ハーブでぶっ飛ぶのが趣味という人物で,フリーダム過ぎる行動と言動でこちらを惑わせる。
 とんだボンクラかと思いきや,法を尊ぶ精神は本物で,頭のキレも冴えわたる。なんともとらえどころのない不思議な男だ。

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 そんな犬神に零は一目置かれてしまい,私立探偵として遺産にまつわる殺人事件に関わることになる。終天教国の大物が亡くなり,莫大な遺産を巡って子供たちが争う中,相続人の一人である「九々里 星三」が何者かに殺されてしまったのだ。
 長男の「陽一」,次男の「月二郎」,陽一の妻である「美木」と,相続人たちには動機がありすぎる。しかもメイドの「水野 従」にまで遺産が分配されたものだから,家の雰囲気はもう最悪だ。
 加えて,橋が落ちたことで屋敷は陸の孤島となってしまった。姿なき殺人者が潜む中,零は真犯人を見つけ出すことができるのだろうか!?

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 このルートの独自システムは,気になった事象やキーワードに対して指を鳴らしてさらなる手掛かりを求める「スナッピング」で,上手くいくと解決に必要な情報が得られる。
 すべてのキーワードが怪しく感じられるのだが,間違った対象に使ってしまうと「信頼度」が減少,ゼロになるとゲームオーバーになってしまう。
 やたらと使わずにしっかりと考えなければならず,緊張感がある。また,様々な証拠を正しく組み合わせて真相を導き出す「証拠パズル」といったシステムもあり,推理好きな人にはたまらないだろう。

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捜査中に気になったキーワードが出たら「スナッピング」を発動させると,さらなる手掛かりが得られることも。しかし,意味がないところでスナッピングすると,「信頼度」が下がってしまう
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証拠パズル

 これはほかのルートでも共通しているのだが,プレイしていると犬神に好感が湧いてきて,教祖殺しの犯人であるとは思えなくなる。
 天使たちによると,容疑者として犬神を選んだ時点で神の力が働いており,彼が犯人であることは確定しているという。零自身も「犬神が犯人だとは思えない」と戸惑う中,このルートはどのような着地点を見るのだろうか。

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保健省「丑寅幽玄」ルート:「極限脱出アドベンチャー」


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 丑寅ルートは「極限脱出アドベンチャー」だ。丑寅は保健省のトップであり,数多くの病人を救ったことから「今際の門番」の異名を持つ凄腕医師である。
 嫌な顔一つせずに捜査に協力してくれ,傷ついた者は敵でも治療する誠実な医師であり,しかも教祖のことを心から尊敬しているのだから,やはり教祖殺しの犯人とは思えない。

 戸惑う零は,丑寅とともにさらわれてしまい,デスゲームに強制参加させられる。暴力が禁止されている終天教国だが,裏では人が苦しむさまを見てよろこぶ者たちがいて,2人はそのターゲットにされてしまったということなのか……?

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 デスゲームの舞台となるのは迷宮のような建物で,プレイヤーは3Dの迷路を自分で移動する必要がある。
 最初のデスゲームはナンバー当てだ。参加者たちには固有のナンバーが割り振られたスマートフォンが渡され,遭遇したほかの参加者とナンバーを比べ合って戦うことに。自分のナンバーが相手より大きければ勝ち,小さければ負け。ルール自体はシンプルだ。

 しかし,他人のナンバーは分かるが,自分のナンバーを確認することはできない。そして,零が事件を解決して生き返るためには,丑寅が自分の罪を認めて懺悔する必要があり,デスゲームで死なせるわけにはいかない。
 零は自分のナンバーがわからない状態で生き残るだけでなく,丑寅が死なないように立ち回らなければならないのだ。

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 デスゲームの様子はネットで配信されており,零は神の力で配信を見つつ行動できる。配信を取り仕切る「福音のあ」というVTuber的キャラクターの実況も見えるのが,本作らしいところだろう。

 自分自身が参加者であり,選択を誤ると死んでしまうというゲームならではのインタラクティブ性と,のあの無責任さが組み合わさっており,なかなかに心にクる体験ができる。とはいえ,時にはのあの言動がヒントになることもある。単に無視していればいいというわけでないのが面白い。

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 このルートではナンバー当てだけでなく,様々なルールのデスゲームで対決させられる。詳細は敢えて書かないでおくが,時には15パズルや配線パズルといったパズルを解かなければならないこともあり,一味違ったプレイフィールを味わえる。

 参加者たちもそれぞれに事情を抱えているのに加え,自分が生き残るために殺し,殺されている関係であるため,物語が進むごとに人間関係がドロドロしていく。意外なタイミングで殺意を向けられたり,協力を得られたりとデスゲームらしいドキドキがたまらない。

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デスゲームに参加させられるキャラクターたち
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科学省「伊音テコ」ルート:「マルチ視点ザッピングノベル」


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 科学省のトップである伊音テコは,パートナーとして唯一信頼するロボット「アラレ」とともに人里離れた研究所に籠っている。研究所には熊や虎,そして恐竜といった動物たちが飼われており,人間に対して無条件の愛情を示してくれるのだ。

 まるで理想郷のような研究所だが,そこに突如としてテロリストが来襲,さらに動物たちが人間を襲い始めた。自慢の防衛施設も寸断され,警備兵も虐殺される中,テコと巻き込まれた零はそれぞれの目的から手を組み,事態を収拾しようとする。テロリストが研究所の奥にたどり着いた時,終天教国は滅ぶというのだ。

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キャラクターたちの物語はそれぞれツリーになっており,これを切り替えつつ物語を進める

 このルートのシステムは「マルチ視点ザッピングノベル」であり,零やテコといった複数のキャラクターを切り替えつつ物語を進める。
 例えば,あるルートでバッドエンドを迎えたとしても,過去にさかのぼったり,別のキャラクターの視点で正しい行動を取れば危機を切り抜けられる。つまり,ゲームオーバーを繰り返しつつ,最良の解決を目指して進めて行くのがこのルートなのである。

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暴走した動物に零が殺されてバッドエンドに。しかし,ツリーを過去にさかのぼることでテコが零を助けられるようになり,物語は先へ進む
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 ザッピングノベルの特性を活かし,テコが秘めた心が明かされるのがこのルートの見どころだろう。常に冷静で,時には仲間ですら平気で切り捨てるテコだが,彼は単に冷酷なだけの人物なのだろうか。
 そんなテコが唯一全幅の信頼を置くアラレは能力も低く,両者の組み合わせはミスマッチに感じられる。アラレはなぜテコとともにいるのだろうか?
 そして,テコは零の味方というわけではない。事態を解決するためであれば,零のことも騙して捨て駒にしようとする。どこまでテコを信頼していいのかわからないため,選択は常に緊張感漂うものになるのだ。

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テコが作ったロボット「アラレ」は,ロボットなのになぜか祟りなどのオカルトに傾倒しており,日常の仕事も満足にこなせない


文部省「黒四館 仄」ルート:「恋愛アドベンチャー(?)」


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 仄のルートはなんと「恋愛アドベンチャー(?)」だ。なぜか仄は乗り込んできた零に一目ぼれしてしまい,「学園ラブ」をしたいと言い出す。
 零に付き合う理由はないのだが,仄は毒薬を注射し「解毒薬が欲しければ自分を惚れさせて学園ラブを体験させろ」と無理難題を突き付けるのだ。

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 舞台として指定された学園に仄の姿はなく,同じ苗字の「黒四館美衣」「黒四館菊花」「黒四館結愛」の三姉妹がいるばかり。

 あの3人の誰かは仄が変装した姿ではないか…? そう考えた零は彼女らを落として正体を暴かなければならなくなった。
 タイムリミットは,毒薬が回るまでのわずか10時間程度しかない。しかも仄自身も同じ毒薬を注射しており,零がしくじれば仄も命を落とすというのだから,正気の沙汰ではないのである。

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 恋愛アドベンチャー(?)ということもあり,学園のどこかにいるヒロインに出会うとイベントがスタート,そこでの受け答えに応じて好感度がアップダウンする。1990年代後半〜2000年代初頭を知る人にとっては懐かしく感じられるフォーマットだ。

 恋愛「シミュレーション」ではないため,そこまで細かなパラメータ管理は必要ない。学園をさまよいつつヒロインを探し,甘酸っぱいシチュエーションのイベントと彼女の反応に一喜一憂する,あのプレイフィールを楽しむことができるのだ。

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 三姉妹はそれぞれ悩みを抱えており,零はその悩みに寄り添うこととなる。この辺りも懐かしい恋愛アドベンチャー風である。
 美衣は思い込みの激しい文系ヒロインである。発表会で朗読するための詩を作っており,思うように創作が進まず苦悩している。思い込みや妄想があまりに激しすぎ,脳内が駄々もれになるのも面白いところで,いつの間にか美衣と零の恋愛(?)を応援している自分に気付くだろう。

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 ギターを趣味とするのが菊花で,「点火寸前の爆弾」といわれるほど情緒が激しく動く。リラックスさえしていれば見事に弾けるのだが,人前に出ると失敗を恐れるあまりにミスを連発してしまう。そんな菊花は,建国記念祭最終日にある作品発表会で演奏することができるのだろうか?

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 結愛は独特の感性を持ち,操り人形を通して会話するという変わった行動を取る。2体の操り人形は男の子と女の子なのだが,男の子を上手く操れないことで悩んでいる。
 この悩みを解決するためには,どこかにある「終天の秘宝」が必要ということで,零は秘宝探しに振り回されてしまうのだ。

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 告白シーンでは,リアルタイムで零のセリフを選ばなければならない。選択肢には時間制限があるのだが,非常に短い時間で即断即決しなければならないこともあれば,敢えて時間切れさせることが正解だったりするなど,一筋縄ではいかない。
 選択肢をミスすると怒りゲージが上がり,最大値に達すると告白は失敗する。どれだけ三姉妹に寄り添い,気持ちを理解しているかが問われるだろう。

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 仄を探すため,零は二股・三股をかけることになってしまい,三姉妹の不満が爆発しないように立ち回らなければならない。ここで登場するのが「爆弾」システムだ。
 本ルートでは零が行動する度に1ターンが過ぎていくのだが,一定ターン以上零に会えないと彼女らの爆弾が炸裂し,バッドエンドに直行してしまう。爆弾を爆発させないよう,こまめにご機嫌を取る必要があり,爆弾という単語と併せてなんとも懐かしいものがある。

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会えない時間が続くと「爆弾」が炸裂する

 そして物語が進むと,三姉妹全員が病んでしまい,独占欲と嫉妬に狂うヤンデレと化す。常軌を逸していく彼女らから,零は無事でいられるのだろうか。


警備省「伏蝶まんじ」ルート:「ステルスアクションホラー」


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 最も異色なのが「伏蝶まんじ」ルートだろう。ほかのルートでは選択肢を選んだりパズルを解いたりすることがメインだったが,ここでは流行のステルスアクションホラーになるのだ。

 終天教国では,「ネフィリム」という連続殺人鬼が人々を震え上がらせている。着ぐるみというコミカルな姿ではあるが,無辜の市民を捕まえては削岩機で両目を抉るのだ。零はネフィリムに襲われるが,かろうじて脱出に成功する。そしてネフィリム打倒を目指すまんじに見込まれ,無理矢理に協力させられることになるのだ。

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 本ルートのシステムは見下ろし型のマップで,ネフィリムに見つからないよう脱出を目指す。そのためにマップのあちこちを探索しなければならないのだが,ネフィリムも零を探して徘徊している。その視界は赤い扇として示されており,うっかり踏み込もうものならこちらを追いかけてくるのだ。

 マップには防火シャッターやロッカーといったステルスもの定番のギミックもあるが,どちらもその場しのぎに過ぎない。
 防火シャッターはネフィリムの削岩機で破られてしまう。そして,ロッカーはネフィリムから見られていない時に隠れなければならず,見つかった状態で隠れてもロッカーごと串刺しにされてしまうのである。

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 ネフィリムが近づくと,不気味な含み笑いの声が聞こえてきて,心臓に悪い。マップはあるもののネフィリムの正確な位置はわからず,含み笑いからある程度推察するしかない。
 そして,零は逃げ隠れするだけではなく,特定の場所へと向かわなければならない。薄暗い通路を進んでいたらネフィリムと鉢合わせすることもあるし,時にはわざと見つかっておびき出さなければならないこともあるのだ。

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 ステルスアクションの合間には,まんじの人となりが描かれる。まんじはあらゆる物事を暴力で解決し,一般人の犠牲も厭わない超武闘派かつサイコパスと目される人物だ。
 しかし,部下である警備省のメンバーを誰よりも大切に思っていて,教祖に対しては絶対的ともいえる尊敬と信頼を寄せている。そんな人間が教祖を殺し,死体をバラバラにして投げ捨てたりするものだろうか……。

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 5つの異なるゲームシステムが1本に組み込まれているのに加え,濃すぎる5人の教団幹部と2人の天使,終天教国の謎,教祖殺しの真相といった沢山のフックがプレイヤーを捉えて離さないのが「終天教団」である。
 序盤の情報過多とキャラクターの多さに戸惑うかも知れないが,零自身が何も知らない記憶喪失であるのに加え,すぐに教団幹部の個別ルートに突入するため,物語やシステムの面白さに集中することができるだろう。
 そして,個別ルートでもあの手この手でプレイヤーの心を揺さぶってくる辺りはTookyo Gamesらしい。テンポの速さも相まって,実に現代らしい面白さがあるので,設定やビジュアルを見て惹かれた人であればぜひプレイしてほしい。

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