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パラドゲーとは何ぞや? 徳岡正肇氏が徹底解説したステージイベント「Paradoxの全て」をレポート[TGS2025]
このイベントでは,徳岡正肇氏がParadox Interactiveの歴史やゲームを説明しつつ,「Europa Universalis V」や「Stellaris」の最新DLC「Shadows of the Shroud」,「Crusader Kings III」の最新DLC「All Under Heaven」を紹介した。
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![]() 磯村知美さん |
![]() 徳岡正肇氏 |
Paradox Interactiveは1999年に設立された,スウェーデンを本拠地とするゲーム会社だ。グランドストラテジーというゲームジャンルで知られる。
グランドストラテジーとは基本的には戦争をテーマにしつつ,国家運営(政治,経済,外交)の要素を含むゲームジャンルだ。また,Paradoxのゲームはどんな小国でも選んでゲームを始められる。歴史を題材にしたタイトルが多いため,スタート時の状態が平等でない。
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グランドストラテジーは「なにをすれば勝ちなのか」がよく分からないゲームでもある。徳岡氏はCrusader Kingsのマニュアルに「このゲームには,我々の歴史がそうであるように,勝者はいません。しかし我々の歴史がそうであるように,明確な敗者はいます。断絶してしまった家です」と書いてあったと紹介した。
徳岡氏は「パラドゲーは世界征服したとしても,クリア画面がでるわけでもなく,終了年がくれば『ゲーム終了』と出てあっさり終わる」と説明する。つまり,ゲームとして明確な勝利条件がないのだ。
勝とう(この場合の勝つとは,相手を滅ぼすだとか世界征服だとか)と思うから難しいのであって,自分で目標を作ってそれを達成していくゲームだと,とたんに楽しめるようになると徳岡氏は語る。
例えば,第二次世界大戦をテーマにした「Hearts of Iron」シリーズで,ポーランドを選び,ドイツに滅ぼされないようにしたり,「Europa Universalis」シリーズでインカ帝国を選び,スペインに滅ぼされないようにしたりと,敵を滅ぼすこと以外を目標にする遊び方もあるわけである。そのあたりを許容するゲーム性がParadoxのゲームの魅力だ。
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最終回といったら恒例(?)気の毒なあの国をなんとかする! 「ハーツ オブ アイアンIII なるほど! ザ・ワールドウォーII」第10回は「ポーランド」編

独ソの侵略を受け,第二次世界大戦では過酷な運命を辿ったポーランド。軍事力では両強国にまったく歯が立たないこの国に,HoI3ではどのような可能性が残されているのか。連載最終回となる「ハーツ オブ アイアンIII なるほど! ザ・ワールドウォーII」の第10回「ポーランド編」をお届けしよう。
連載「その時歴史は動いた……り,動かなかったり」最終回:インカ帝国と,同じ穴の貉(むじな)

世界が近世を迎え,やがて近代に向かう頃,その波に乗れなかった国々の悲願を「ヨーロッパ・ユニバーサリスIII」で強引にかなえてみる本連載も,今回が最終回。スペインに瞬く間に滅ぼされてしまったインカ帝国が近代を迎えるには,いったいどうしたらよかったのだろうか?
その魅力を紹介したところで話題は日本でのParadox Interactiveに移る。2001年の「Europa Universalis II」,2003年の「Victoria: An Empire Under the Sun」,2004年の「Crusader Kings」,2005年の「Herats of Iron II」で,人気を博し,「パラドゲー」として知られ,愛好家を生むことになったという。
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Paradoxはいわゆるパラドゲーばかり作っている会社と思っている人も多いかもしれないが,実はそれだけではないと徳岡氏は語る。インディーゲームのパブリッシングも行っており,2011年にリリースされた「Magicka」は100万本を超えるヒット作に,2008年にリリースされた「Mount and Blade」は日本のファンも多い。今ほどインディーゲームがブームとなっていない時代に,インディーゲームを支援していたのだから,時代の先端を走っているといえる。
余談だが,「Magicka」のクリエイターはのちに「Vallheim」を開発している。
また,2006年にはゲームのダウンロード販売「GamersGate」を公開。日本語に対応していないため,日本人にはあまり馴染みがないかもしれないが,当時のコアなゲーマーは利用していたという。かくいう徳岡氏もパラドゲーの拡張パックをここで購入したのだとか。
続いては「パラドゲー」の代表作が紹介された。
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●Crusader Kingsシリーズ
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本作では,800年〜1066年頃のノルマン・コンクエストから1453年のコンスタンチノーブル陥落までが描かれる。国家ではなく“家”を采配するゲームとなっており,家をいかにはん栄させ,断絶を免れるかが目標になっている。
この家とは,日本の大名でいうところの織田家や徳川家といったもの。それぞれの王に仕えている男爵家を選べるのである。最初のシリーズではヨーロッパ周辺だけだったが,徐々に拡張され「Crusader Kings III」の最新DLC「All Under Heaven」では日本や東南アジア全域が導入されている。
●Europa Universalisシリーズ
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「普遍的なヨーロッパ」を意味するラテン語がタイトルとなっている。そのことからも分かるとおり,欧州を中心とした拡張主義が描かれている。だいたい1400年ごろから1800年ごろまでの全世界が舞台で,ヨーロッパが世界に向けて拡大していく時代となっている。
●Victoriaシリーズ
おおよそ1836年から1936年くらいまでを描く,帝国主義が華やかりし時代の全世界を舞台としたゲームだ。いわゆる「Pax Britanica(英国の平和)」の時代で,イギリスが圧倒的に強い。Victoriaシリーズは続編がなかなかリリースされなかったことが一部で有名だったそうで,公式でもネタにされていたとか。
●Hearts of Ironシリーズ
1936年から1948年までの第二次世界大戦が背景とするシリーズ作品。世界全体を舞台に,文字どおり世界大戦が描かれる。ほかのシリーズよりも圧倒的に戦争がゲームの中心となっており,日本においてもファンが多いシリーズだ。
●Stellaris
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宇宙を舞台としたグランドストラテジー。さまざまな種族が宇宙の覇権を巡って争うが,戦いは必ずしも戦争に限らないのが特徴だ。自分で種族を作ることもでき,自由度は高い。また,ほかのシリーズは世界(地球上)を舞台にしているため,ほぼ既知の地図だが,舞台となる銀河は未知の領域が多く,探索要素もある。最新のDLC「Shadows of the Shroud」がリリースされたばかりで,パラドゲー初心者にもおすすめ。
●Cities: Skylinesシリーズ
フィンランドのColossal Orderが手掛けるシリーズ。都市を運営するシティビルダーゲームで,その面白さは奇をてらうことなく,細部までこだわって作っている。ModやDLCでジオラマを作るゲームとしても楽しめるとのことだ。
最後にパラドゲーの新作が紹介された。
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●Europa Universalis V
1337年の100年戦争開始から1837年のヴィクトリア女王戴冠までが描かれるシリーズ最新作。徳岡氏いわく遊びやすくなりつつも,難しくなっているとのこと。各種要素をAIに委任でき,ゲームを部分ごとに理解していけるのではないかと説明していた。
●Stellaris: Shadow of the Shroud
Stellarisの最新DLCで,超能力が大幅に拡張されている。強力な攻撃といった表現ではなく,Stellarisの宇宙とは別レイヤーとして存在する超能力世界への接触と探索が可能になった。
「もし人々が突然超能力に目覚めたら社会はどうなるか」を再現するイベントがあり,超能力が存在する世界のifなどを描いている。
●Crusader Kings III: All Under Heaven
Crusader Kings IIIの最新DLCで,中国まで拡張されていたCK3の世界が,日本と東南アジアにまで広がる。舞台は800年〜1453年までなので,平安時代も選択できる。藤原道長や平清盛になって,藤原氏や平家のifを楽しもう。
日本や東南アジアにおける,特有の社会制度をゲームシステムに取り込んでおり,パラドゲー的な解釈も楽しめる。
今回のステージイベントの内容は以上となる。Paradox Interactiveの歴史から始まり,パラドゲーの説明,最新作の紹介など,たっぷりの内容を楽しめた。
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- 編集部:S.K.Y
- カメラマン:佐々木秀二

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