
プレイレポート
[プレイレポ]セガファン待望。14年ぶりの新作「SHINOBI 復讐の斬撃」,伝説の忍者ジョー・ムサシが帰ってくる!
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「SHINOBI 復讐の斬撃」公式サイト
セガの「SHINOBI」シリーズは,1987年から脈々と続くアクションゲームだ。アーケードや家庭用ゲーム機などでシリーズ作が展開されており,「Shinobi 3D」から14年ぶりの新作が登場することになる。セガとフランスのインディーゲームスタジオLizardcubeが共同開発を行っているため,新しい血による,新しい「SHINOBI」だ。
物語の主人公は,正義の忍者「朧一族」の頭領「ジョー・ムサシ」である。世界征服を狙う「ルーズ卿」に仲間を倒されたムサシは,敵を討ち,世界の平和を守るべく,ルーズ卿と彼が率いる巨大軍事組織「ENE-CORP」に戦いを挑む。システム面や物語が独立しているので,旧作を知らなくても支障はない。
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本作を一言で評するならば,「とにかく強いムサシの大暴れに酔える,痛快アクションゲーム」だろう。寄り道にご褒美の置かれた広いマップをゴールに向けて突き進み,アクションのテクニックやムサシの特殊能力を駆使して難関を突破し,多数の敵と戦う。
本作の見どころは,ステージを走破するプラットフォーマー,そして敵と戦うバトルだ。そして,どちらもスピード感がキーワードになっている。
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ムサシは高スペックで,スピーディに移動可能だ。メインルートを走って基本を学び,その先にはちょっとした工夫で突破できる寄り道や,テクニックを駆使して突破する隠しエリアが用意されている。
いきなり2段ジャンプや三角とび,壁への張り付き,攻撃を避けられる「前転」,低い障害物を転がって乗り越えるパルクール,空中ダッシュ「飛燕」を使いこなし,穴に落ちそうになっても自動で身体を引き上げる補正機能を持つ。スピード感と遊びやすさには,傑作ローグライトアクション「Dead Cells」を思わせるものがあり,いきなり達人のような気分に浸れる。
もちろん,「ゲームがヌルい」「やりがいがない」とイコールではない。ステージには趣向を凝らした地形が用意されており,その解法も難度もさまざまだ。穴に落ちても基本的にはダメージだけで済み,さらにはダメージを低くしたり,復活場所を難所の近くにしたりといった「アクセシビリティ」オプションも用意されている。
まずは成功体験を積み,そこから自分のペースで上達していける「ほめて伸ばす」ゲームであり,遊びやすい。初見のステージを走りつつ,難関の解き方を一瞬で判断して走破するのも楽しく,一度クリアしたステージをより華麗に解けるように繰り返し挑戦するのもやりがいがある(初見プレイを録画しておいて,慣れてからのプレイと比べてみると自身の成長を実感できるはずだ)。
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ステージにはちょっとした寄り道に加え,高難度の隠しエリア「アンクーの試練」もあり,それぞれにご褒美が用意されている。とくに隠しエリアは,「これ,どうやって進むの……?」と唖然としてしまう地形もある。
とはいえ,隠しエリアにたどり着けるのはゲームに慣れてから。その頃には成功体験を十分に積んでいるので,難しい課題を前にしてもチャレンジの意欲が湧いてくる。
そして不気味に輝く壁,空中に設置されたフック,垂直の崖,吹きすさぶ風といった障害は,特殊能力「忍技」を手に入れることで乗り越えられるようになる。忍技を手に入れてから前のステージに戻ると道が開けることもあり,メトロイドヴァニアほどのボリュームではではないが探索要素も楽しめる。
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ムサシは刀と手裏剣を主武器としているが,手裏剣には弾数制限があるため,戦いは接近戦が主体となる。ここでもキーワードはスピード感であり,ノンストップで攻撃し続けられるカッコよさがポイントだ。
ムサシは空中・地上を問わず,攻撃からショートジャンプ「旋転」に派生できる。左右に動けるうえに空中技を出せて,旋転から隙なく技につなげられる。つまり,攻撃面でもムサシは高スペックだ。これらの技を駆使すれば,格闘ゲームを思わせる爽快なコンボを繰り出せる。
地上技から旋転,さらなる地上技から打ち上げ,ジャンプから空中技で追撃,2段ジャンプでさらに追撃,旋転でさらに追撃,吹っ飛んだ相手に飛燕で追いつき,さらに追撃。このような一連の連続技も最初から可能なので,格闘ゲームファンであれば連続技の開発にハマれるだろう。
連続技のヒット数も,ステージ攻略に影響を及ぼす。ムサシはパッシブ効果を与えてくれる「護符」2種を装備できるが,中にはコンボ数が一定以上で効果を発揮する「連撃発動」タイプもある。攻撃力アップや特定技の強化,手裏剣の補充ができるといった,コンボ数を稼ぐことで展開が有利になるのが面白い。
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バトルのアクセントになるのが,「アーマー」持ちの敵だ。アーマーの効果はいわゆる“のけぞり無効”であり,その耐久力が尽きるまでは,いくら斬りつけてもビクともしない。連続技でアーマーを砕かないと,そのまま反撃を食らいかねない。
そして,本作は特定の敵がアーマーを持っているのではなく,ザコから中ボスまでさまざまな敵がアーマーを持っている。同じ敵でもステージやシーンによって,アーマーを持っていたり,そうでなかったりするわけだ。
さらに「回復能力持ちの敵がアーマーを持ち,周囲の敵のHPを回復させながら戦う」「アーマー持ちの後ろに,飛び道具を持った敵がいる」といった厄介なシチュエーションも登場する。アーマーの対処に加え,どの敵から倒すかという戦術的な判断も重要だ。
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ムサシの高スペックは,こうした状況にも対応を可能にする。敵に斬りつけながら状況を観察,反撃してくるならば,前転や飛燕,旋転で回避する。とくに旋転は攻撃中にも回避ができ,旋転中にも攻撃できるため,回避しながらもプレイヤーのテンションが維持される。攻め込みながら避け,避けながらも攻め込む。攻撃と回避を両立して敵集団を捌き切れるのだ。
また,ムサシの技の中にはアーマーの耐久力を多く削れるものがある。対アーマー用の連続技を組み込み,素早く仕留めるのも手だろう。
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そして「シノビ・エクスキューション」を意識すれば,さらにスピーディに敵を倒せる。攻撃を当てると敵の「処刑ゲージ」が上昇し,MAXに達した者にシノビ・エクスキューションをかければ,ムサシが敵に向かって高速突進,残り体力がどれだけあろうとエクスキューション(処刑)できる。
突進中は完全無敵かつ必中,画面内に処刑ゲージMAXの敵がほかにもいれば,一気にまとめて倒せて,買い物に必要な「銭」や回復アイテムといった報酬も増える。手裏剣をはじめとする特殊技は処刑ゲージを多く稼げるため,シノビ・エクスキューションを狙って戦うのも面白い。
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敵との戦いでは状況に応じて,コンボ数アップ,対アーマー,シノビ・エクスキューション狙いといったコンボを使い分ければ,より華麗に戦える。操作も思考も密度が高く,Lizardcube×セガの傑作「ベア・ナックルIV」のDLCのようなローグライトかつ戦闘主体のコンテンツも思わず欲しくなる。
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強い主人公がステージを走破し,さまざまなコンボを繰り出して戦う本作は,現代的なスピード感を持っている。とくにアーマーとシノビ・エクスキューションが面白く,バトルをバラエティ豊かなものにしている。
敵がのけぞらないアーマーは「ベア・ナックルIV」にも存在し,とくにリリース初期にはクセのあるプレイ感になっていたが(のちにパッチで改善),「SHINOBI 復讐の斬撃」ではアーマーに強い技や,攻撃中でも避けられる前転,飛燕,旋転によって爽快さと緊張感が両立している。
弾数の多いコンボで無理矢理に砕いてもいいし,対アーマーダメージに特化したコンボで手早く仕留めてもいい。複数の選択肢が用意されているところが絶妙だ。
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また,本作にはセガとシリーズへの熱いリスペクトが込められている。シリーズ初期の作品,具体的には「忍 -SHINOBI-」や「ザ・スーパー忍」「ザ・スーパー忍II」といった作品のオマージュが多く,ムサシが非常に強いことに加え,ステージ間のデモでほかのキャラクターがしゃべる中,ムサシは「…………」と一言も発さない。リスペクトと当時の雰囲気の再現を両立している。
そして,アクションの手触りと趣向を凝らしたステージ構成で勝負するあたりも,当時のゲームらしいマインドが感じられる。
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1987年から続く老舗シリーズということから,身構える人もいるかもしれないが,初めてシリーズを遊ぶ人にこそ良質なアクションゲームとしてお勧めできる作品だ。手描き風のグラフィックスが滑らかに,キレのいいアニメーションによって動くのはカッコよく,うまくプレイできると自分に酔える。
強くて速いムサシになりきって,ステージ走破とバトルを思い切り楽しんでほしい。
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「SHINOBI 復讐の斬撃」公式サイト
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