
プレイレポート
[プレイレポ]BO3が基本ルール。ストリーマーやVTuberが戦う「Xross Stars」は“ラウンド制”を生かした独自ルールが魅力の新作TCGだ
Xross Starsは,ストリーマーやバーチャルYouTuberといった“さまざまな界隈の人気タレント”を題材にしたTCGだ。デジタルではなく紙媒体で展開される予定で,8月22日にはブースターパック第1弾「Luminous Daybreak」とスターターデッキ「初の栄冠」「魔王降臨」がリリースされる。
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珍しいコンセプトのタイトルだけに,どんな内容かが気になっている人は多いだろう。本稿では,基本的なルールを確認しつつ,実際に本作を遊んでみてのプレイフィールをお届けしていく。
「Xross Stars」公式サイト
攻めた側がどんどん有利になる
超高速で戦略的なラウンド制バトル
ゲームの勝利条件は,相手プレイヤーが持つ4枚の「リーダーカード」をすべて撃破すること。対戦ルールは2本先取(BO3)の「フルマッチ」と,1ラウンドで完結する「クイックマッチ」が存在し,今回はフルマッチで遊ぶことになった。
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メインデッキは50枚で,攻撃に用いる「アタックカード」と,攻撃を補助する「メモリアカード」の2種類で構成される。コストを支払ってこれらの効果を発揮し,相手のリーダーカードにダメージを与え,より早く敵リーダー全員をダウンさせれば勝利というわけだ。
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珍しいのは,アタックカードの処理方法である。アタックカードに設定されているのは“ダメージを与える効果”ではなく,自軍リーダーカードに“アタックを行わせる効果”であり,手札のカードが直接ダメージを出力するわけではない。
実際,攻撃力(ATK)や体力(HP)といったステータスを持っているのはリーダーカードのほうだ。たとえば,ATK30を持つ「一ノ瀬うるは」が特殊効果のないアタックカードを使った場合,相手に与えられるダメージは30点となる。戦況を見極め,どのリーダーが,誰に対して,どんなカードを使って攻撃を仕掛けるべきかを考えていく。
![]() アタックカードの多くには「攻撃後にアタック対象以外にダメージを与える」や「この攻撃でダウンさせたならドローする」といった付帯効果がある |
![]() メモリアカードは主に「次に出したアタックカードを強化する」といった効果を持っている。なんらかの条件を満たすとより強力な効果を発揮できる場合もあるので,状況に応じて使い分けよう |
また,1ラウンドに1枚(1ターンに1枚ではないので注意)ずつセットできる「タクティクスカード」といった要素も存在する。
こちらはメインデッキとは別に,ゲームラウンドの開始時に5枚の「タクティクスデッキ」から1枚取り出して準備しておくもので,いずれも極めて強力な効果を持つ。使う際には通常のカードと同じようにコストを支払う必要があるが,コストパフォーマンスは非常に高いものが多い。
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実際に遊んで驚いたのは,全体的な攻撃力の高さだ。各カードは1コストに対して40点前後のダメージを見込めるのだが,第1ラウンドで1ターン中に使えるコスト上限は3,リーダーカードの基礎体力は100〜110程度なので,1ターンにつき敵のリーダーを1体撃破することも難しくない。
メインデッキには,構築制限が設定されている代わりに強力な効果を持つカードがいくらか含まれているので,これらを使えばより安定して火力を出せる。つまり,テンポがよければ4ターンでリーダーが全滅してしまう。
さらに,アタックで敵リーダーを撃破したリーダーカードは「覚醒」し,覚醒時に得られる効果を発動させながら攻撃力と体力の基礎値が増加する。先に攻撃を加えた側がより有利になる仕組みなので,5ターンも経過すればほぼ決着がつくだろう。このスピード感は,TCGの中でも相当に早い。
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この段階では「ちょっと大味なゲームだなぁ」という印象を抱いていたのだが,それをガラッと変えてくれたのがラウンドの概念である。
BO3を前提にルールが組まれているのは解説したとおりだが,本作では一部要素が次ラウンドに引き継がれる仕組みになっているのだ。
例えば,一般的なTCGのBO3だと,ラウンド終了時に残った手札とトラッシュの捨て札をデッキに戻し,新たに手札を引き直してゲームを始める。
しかし,本作ではデッキと捨て札の状況をそのままに,残った手札をトラッシュに捨てて,新たに手札を引き直して次のラウンドを始めるのだ。
各リーダーの覚醒状況も,引き継がれる要素の1つである。覚醒では攻撃力より体力の上昇幅のほうが大きいので,ラウンドが進むとゲームが長期化しやすくなる。
また,使わなかったタクティクスカードも次ラウンドに引き継がれる。負けそうなラウンドではあえて温存すれば,次ラウンドで2枚のタクティクスカードを使って戦況を覆すことも不可能ではない。
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カードのコスト周りにも面白い工夫が見られた。本作におけるカードコストは「プレイポイント(PP)」と呼ばれ,第1ラウンドではターンごとに3PPを使用できる。それ以降はラウンドが巡るごとに使えるPPが増えていく仕組みだ。
こうした,揮発性リソース(ターンを持ち越せないリソース)は,多くのTCGに共通している要素なのだが,驚くべきは“ターン終了時点で未使用のPP”の扱いである。Xross Starsにおいては,ターン終了時に余ったPPに等しい枚数のドローを行えるのだ。
TCGというゲームジャンルにおいて,揮発性リソースは可能な限り使い切るのがベターな戦略とされる。しかし,本作では「手札」という重要なリソースと1対1での交換が可能であるため,あえてコストを使わないことが最適解になる場面も少なくない。
アタックカードとメモリアカードの組み合わせが重要で,しかも初期手札が4枚と少なく,ターン開始時のドロー枚数が1枚固定なこともあり,手札の充実はかなり魅力的に映る。こういった事情もあり,2〜3ラウンド目における本作のカードプレイは驚くほど悩ましい。
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活動者が気軽にコラボできるTCGを目指して
将来的には独自の販売手法が登場するかも
ひととおり触れてみての印象だが,想像以上に攻略しがいのある作品だと感じられた。個々のラウンドで見ると淡白な体験になることもあるが,複数ラウンド全体を俯瞰して戦略を練るとなると,とたんに決断が悩ましくなる。
とくに,1ターンに使えるPPの最大値が増える第2〜3ラウンドでは,コストを支払うたびに頭をひねることになる。「このアクションは,コスト相当のドローより強いのか?」という判断を迫られるのだから,当然といえば当然だろう。
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しかし,プレイフィールが鈍重な印象はなく,ラウンドごとの展開は驚くほどスピーディだ。相手がこちらのターンに行動する要素がなく,自分のターンは自分の行動で完結する仕組みなので,一度決断してしまえばあとはバシバシと処理が進んでいく。
攻撃するほど覚醒が進んで有利になることもあり,攻めているあいだの“独壇場感”はすさまじい。質の良い手札,温存したタクティクスカードを組み合わせて相手リーダーをなぎ倒していく爽快感は,普通のTCGで味わえるものではない。
また,最初に設定した4人のリーダーカードとは最後まで共に戦い抜くことになるので,お気に入りのタレントと一緒に戦っている感覚をしっかりと味わえるのも嬉しいところ。極端に派手なバトルが続くからこそ,好きなタレントの活躍もまた派手になっていくのだ。
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運によるブレを強く感じた第1ラウンド目についても,それを前提にゲームシステムが組み立てられているような印象だ。
相手が好調で素早く撃破されてしまいそうなら,できるだけ覚醒を進め,相手のタクティクスカードを使わせることに注力するなど,勝敗とは別にやれることが用意されている。そこで温存したリソースを使い,最終的に勝てば問題ない。
ただ,こういった激しいゲーム性を備えた作品なので,1本先取の「クイックマッチ」では本作の醍醐味を味わいにくいかもしれない。本作を初めてプレイする際には,まずフルマッチに挑むことをオススメする。
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体験会の最後に,会場で本作の案内をしてくれたプロデューサーに聞いてみたところ,本作は「気軽に活動者の方が参戦できるプラットフォームとして設計している」とのことだった。実際,リーダーカードと専用のメモリアカードさえあれば“参戦”は成立するので,ある意味でコスパの良い設計だと思う。
最初の商品はブースターパックだが,一般的なTCGの形にとらわれない販売形態も模索しているようだ。カード化されたタレントが個人のECサイトで自身のカードを販売するなど,グッズとしての側面の強い展開方法も検討しているという。
第1弾は「ぷいすぽっ!」「Crazy Raccoon」「Neo-Porte」が中心となっているが,今後は特定の団体や会社にとらわれない展開を考えているとのこと。オンラインで活躍するタレントのファンにとって,理想的なコラボが期待できる作品になるかもしれない。
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ちなみに,本作のルールは公式サイトですべて公開されているので,詳しい情報を知りたい人はアクセスしてみよう。7月13日までは全国先行体験会(前半)が開催されているので,遊んでみたい人はぜひ足を運んでほしい。
「Xross Stars」公式サイト
- 関連タイトル:
Xross Stars
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