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90年代後半を舞台にしたADV「Rain98」開発者インタビュー。世界滅亡を願う少女とプレイヤーを通じて描くテーマとは……[BitSummit]
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印刷2025/07/22 17:00

インタビュー

90年代後半を舞台にしたADV「Rain98」開発者インタビュー。世界滅亡を願う少女とプレイヤーを通じて描くテーマとは……[BitSummit]

 京都市勧業館みやこめっせにて,2025年7月18日から20日まで開催された「BitSummit the 13th Summer of Yokai」。そのUkiyo Studioブースに新作アドベンチャーゲームRain98がプレイアブル出展されていた。

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 4月13日に配信されたインディーゲームの情報番組「INDIE Live Expo 2025.4.13」で発表された本作は,渋谷発のインディーゲームレーベルC#4R4CT3R(キャラクター)が手がける第1弾タイトルだ。

 物語の舞台は1998年。2025年から突如この時代に飛ばされたプレイヤーは,マンションの一室で不穏で危うい魅力を放つ謎の少女「雨原玲奈」と出会う。そして,彼女と一緒に世界を滅亡させるべく,奇妙な儀式を進めていくことになる。

 90年代後半のカルチャーを取り入れた設定やビジュアル,謎の少女と共に世界滅亡に向けた儀式を進めていくイントロダクションなど,刺さる人にはとことん刺さりそうなタイトルだ。
 今回4Gamerでは,本作のディレクターを務めるショーン・T氏にインタビューを実施。本作の概要やゲームの流れ,「Rain98」をとおして表現したいテーマなどを聞いた。


ディレクターのショーン・T氏
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4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。「INDIE Live Expo 2025.4.13」で発表された本作ですが,開発がスタートしたのはいつ頃なのでしょうか。

ショーン・T氏:
 開発が始まったのは2025年の3月ごろです。実はINDIE Live Expoで発表したPVはかなりコンセプトムービーに近いもので,まだゲームのコードは1行も書いていない状態で作り上げたものなんです。今回のBitSummitで,ようやく皆さんに触っていただけるビルドを出せた形になります。


4Gamer:
 危うそうな少女との共同生活や90年代後半のカルチャーなど,刺さる人にはとことん刺さりそうなコンセプトが目を引きますが,このアイデアはどこから生まれたのでしょうか。

ショーン・T氏:
 最初のきっかけになったのは,K-POPアイドルグループ「IVE」のライブに行ったことですね。そのライブの中でレイちゃんというアイドルがセーラ服を着て90年代っぽい曲調の歌を歌っていたんです。

 2020年くらいから来ていたいわゆるY2Kのブームの流れを汲んだ演出なんですけど,そのときに「あのころの文化っていいな」とふと思ったのと,「セーラー服を来た女の子と90年代の世界で一緒に過ごすという体験のゲームが作れないかな」と思ったのが,本作の出発点になります。

 そこから物語の舞台を90年代後半に設定し,危険な雰囲気を持った謎の女の子と一緒に過ごすという「Rain98」のテーマができあがりました。

4Gamer:
 90年代のアニメや映画の雰囲気を「Rain98」も持っていますが,影響を受けている部分はあるのでしょうか。

ショーン・T氏:
 そうですね。もともと私自身「パーフェクト・ブルー」や「serial experiments lain」といった作品が好きですし,自分でもそういうジャンルに挑戦してみたいという思いがありました。
 「Rain98」は,自分やりたいと思ったものをいろいろとくっつけて,うまくバランスを取れるところで形にしているタイトルになるのかなと。

4Gamer:
 ヒロインの玲奈も不穏で危うい雰囲気を持っていて,好きな人にはとことん刺さりそうなデザインですね。

ショーン・T氏:
 私の中の90年代後半の空気感をキャラクターとして形にしたらこうなりました。おっしゃるとおり,誰しもが愛せるキャラクターというよりは,特定の人にぶっ刺さるようなキャラクター像を目指しています。

画像ギャラリー No.005のサムネイル画像 / 90年代後半を舞台にしたADV「Rain98」開発者インタビュー。世界滅亡を願う少女とプレイヤーを通じて描くテーマとは……[BitSummit]

4Gamer:
 解像度の高まる情報ですね。発表後の反響はいかがでしたか。

ショーン・T氏:
 特に20〜30代くらいの方に大きな反響をいただいています。私自身もそうですが,90年代後半に子どもだった人は,当時流行していたカルチャーにあこがれのようなものがあるんだと思います。それもあって多くの方に反応いただけたのではないかなと思っています。

4Gamer:
 子どものころにあこがれたカルチャーがフックになったと。

ショーン・T氏:
 ただそれくらいの年代の方たちだけを対象にしているタイトルかというとそういうわけではないんです。本作の主人公って,2025年から1998年にタイムスリップした若者なんですよね。

 2025年という時代に閉塞感を感じていた若者が突如として1998年にタイムスリップしてしまう。そこで,自分のことを恐怖の大王「アンゴルモア」だと語る少女・雨原玲奈と出会うというのが,本作のイントロダクションです。

 主人公は玲奈の言っていることが本当かは分からないし,玲奈も主人公が未来からきたということは怪しく思っているんだけども,お互いそれを信じて,生きづらい世界を滅亡させる儀式を行おうというのが,物語の流れになります。

4Gamer:
 生きにくさを感じている若者を主人公に据えたのはなぜでしょうか。

ショーン・T氏:
 実際に今の若者に話を聞くとそういった閉塞感のようなものを感じている人が多いと感じたからです。コロナ禍だったり,格差の拡大だったり,今を取り巻く社会情勢だったり,いろいろ理由があって息苦しさを感じている。
 挙句の果てには,「2025年7月5日に日本で大災難が起きる」という滅亡論のようなものまで語られるようになっていました。

4Gamer:
 滅亡論のようなものはたびたび取りざたされますよね。

ショーン・T氏:
 そうですね。それこそ1999年は「世紀末だから何かが起こるのではないかと,ノストラダムスの大予言」が世間を騒がせてましたし,私自身今の状況を「新たな世紀末」がきたんじゃないかと思っているんです。
 そうしたいろいろなことが起きる世の中で,どうやって生きるのか,主人公と玲奈は世界滅亡の儀式を進めながらどういう選択をしていくのかというのが,1つテーマになっています。

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90年代のカルチャーに触れてシール帳を埋めて世界を滅亡に導く


4Gamer:
 主人公と玲奈が行う世界を破滅に導く儀式は具体的にどういったものになるのでしょうか。

ショーン・T氏:
 今回の体験版にも登場するんですが,「エンジェルパスポート」と呼ばれる手帳にシールを100枚貼るというのが,世界を滅亡させる儀式になります。
 エンジェルパスポートは1999年に学生のあいだで流行した「ヘブンズパスポート」というアイテムがモチーフになっていて,ヘブンズパスポートは善行をするたびにシールを1枚貼っていき,100枚たまると願いが叶うといわれています。

4Gamer:
 どのようにしてシールを集めていくのでしょうか。

ショーン・T氏:
 ゲーム体験としては,90年代のさまざまなカルチャーを玲奈と一緒に体験しながらシールを集めていきます。玲奈と一緒にこの世界で思い出をつくることで,なぜかシールが貼れる。そしてそのシールが集まるほどに,世界を滅ぼすためのエネルギーが溜まっていくという流れになっています。

4Gamer:
 90年代のカルチャーに触れていくということは,製品版では彼らがマンションの一室を出ることもあるんでしょうか。今回の試遊バージョンは,マンションの一室で物語が展開されていましたが。

ショーン・T氏:
 はい。今回の製品版では,マンションでプレイヤーと玲奈で「世界滅亡をさせようぜ」と決意を固めるところで終わるんですが,その後は街に繰り出していろいろな90年代のカルチャーに触れながら,ちょっとしたミニゲームを楽しめるパートが展開されます。

 たとえば,プレイヤーがガチャガチャに商品をつめるという内職でお金を稼いで玲奈を養ってあげたり,玲奈と一緒にゲームセンター行ったり,ゲームハードを買って当時のゲームっぽいものを体験したりできるんです。なるべく飽きさせないように,こうしたインタラクティブな要素を取り入れていこうと思っています。

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4Gamer:
 アドベンチャーパートでは,選択肢を選ぶシーンもいくつか見られましたが,エンディングの分岐もあるのでしょうか。

ショーン・T氏:
 そうですね。今のところ数十種類というような大量のエンディング分岐を入れるつもりはないんですが,2,3種類のエンディング分岐は用意しようと思っています。

 ただ,グッドエンド,ノーマルエンド,バッドエンドみたいに明確な良し悪しが決まっているものというよりは,どのエンディングも皆さんに見てもらいたくなるようなものにはしたいと思っています。

4Gamer:
 主人公と玲奈の目標が世界を滅亡させるということなので,シナリオをどうまとめるかというのはかなり難しそうな印象を受けます。

 それこそ「世界を滅ぼすのはやめた! 世界はこんなに美しいんだ!」というようなまとめ方ですと,冷めてしまいそうですし,「やっぱりこんな世界滅ぼそう!」という結論ならそれはそれでまったく希望がありませんし。

ショーン・T氏:
 やはり私も何かしら希望が持てるまとめ方にしたいとは思っています。先ほども言いましたが,現代で感じる生きづらさや閉塞感みたいなものが,本作のシナリオの出発点になっています。そのうえでどういう気持ちや視点を持てばいいんだろうということを,ゲームをとおして感じてもらえれば嬉しいですね。

4Gamer:
 完成を楽しみにしています。最後に読者に向けてメッセージをお願いできますか。

ショーン・T氏:
 「Rain98」は「特定の誰かにぶっ刺ささるものを作りたい!」という思いで作っているタイトルです。今もSNSなどで「俺のためにあるゲームだ!」という反応をいただくこともあり,とてもうれしく思っています。

 そうしたフェチズムや特定の誰かに刺さるということをインディーレーベルとして大切にしたいんです。本作は13か国語という多くの言語に対応する予定で,同じような趣向を持った人にワールドワイドで届けたいと思っています。ぜひ完成を楽しみにしてください。

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