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Switch2版「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド / ティアーズ オブ ザ キングダム」を遊んで見つめ直した,ゲームで冒険をするということ
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印刷2025/07/12 10:00

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Switch2版「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド / ティアーズ オブ ザ キングダム」を遊んで見つめ直した,ゲームで冒険をするということ

 話題の新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」をほしい理由は人それぞれあるかと思う。筆者の場合はゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(以下BotW)とゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(以下TotK)のNintendo Switch 2 Edition(以下,Switch2版)に触れたいというのが,その大きな理由のひとつだった。

Switch2版TotK
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 いざプレイしてみると,その体験は予想以上にオープンワールドというジャンルの本質を見つめ直すきっかけになった。なぜ人は“別世界”に惹かれるのか。そもそも「便利」「多機能」であることがゲームの進化なのか。今回はSwitch2版のプレイ感とあわせて,そんな問いに対するひとつの考察を記してみたい。

Switch2版BotW
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「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド Nintendo Switch 2 Edition」公式サイト

「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム Nintendo Switch 2 Edition」公式サイト



快適に遊べるようになったSwitch2版と,そこから見えた両作品の関係


 Switch2版の特徴は大きく2つ。ひとつはハードの処理能力やグラフィックスの向上によるスムーズなプレイ感より高まった冒険の没入感。そしてもうひとつは,スマートデバイス用アプリ「Nintendo Switch App」内の「ZELDA NOTES」との連動機能だ。

ZELDA NOTES
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 これらは「ゲームを根本から変える」ものではなく,「より遊びやすくする」ための改善といえる。ロード時間の短縮,高精細なグラフィックス,なめらかなフレームレート,HDR対応による色表現の向上などにより,体験そのものは確かに快適になった。

 とはいえ,もともとオリジナル版の映像も完成度が高いため,Switch2版になって「圧倒的に美しくなった」と感じるかどうかは,人によって印象が分かれるかもしれない。実際,Switch2版に慣れたあとでSwitch版を再起動してみてその違いに気づいた……という人もいるかと思う。

Switch2版TotK。テクスチャが高精細になり,遠景の潰れも目立たない
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こちらはSwitch版TotK。あまり違いが気にならない人も多いのでは
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 そしてもうひとつの特徴であるZELDA NOTESは,「教えてナビ」「アルバムスタジオ」「QRブループリント」といった機能を通じて,SNS時代の“旅の楽しみ方”を2作品にレイヤーとして重ねてくれる。いずれも遊びそのものを劇的に変えるわけではないが,プレイヤーの体験に奥行きとつながりを加えてくれる仕組みだ。

 ただ,何より大きかったのは,Switch2版の同発とZELDA NOTESの仕組みをきっかけに,BotWとTotKを間を空けずにプレイできたことだ。
 それによって両作品の違いがくっきりと浮かび上がり,ZELDA NOTESは単なる便利機能ではなく「2つの作品を横断的に体験する」ことを促す“仕掛け”なのではないか──そんなふうに思えたのだ。

ロケーションや各種チャレンジに音声で案内してくれ,達成率100%を目指しやすくなる
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BotWが思い出させる“遊びの原風景”

 
 久しぶりにBotWをプレイして,あらためて感じたのは「不便だからこその楽しさ」だった。Switch2版をプレイする前は,TotKの多彩な要素に慣れた今となっては物足りなく感じるかもしれない……と少し不安もあったが,それはまったくの杞憂だった。

 移動手段は徒歩や馬,壁のぼり,パラセールによる滑空と,TotKと比べれば確かに制限されている。けれどその不便さが,むしろ“どこへでも行ける”という感覚を強くしてくれる。近所の裏道や空き地,足を踏み入れてはいけない工事現場,自転車でたどり着いた見知らぬ街角。そんな子どものころの“冒険”の記憶が,BotWの世界と重なって蘇ってくる。
 見知らぬ土地を,自分だけのルートで進んでいく。それこそが,自分にとっての「オープンワールド」だったのだ。

Switch2版BotW
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 安全な場所を見つけ,火を起こし,狩りや採取で得た食材を料理して食べる。BotWには,そんな人が太古から繰り返してきた“生きるための営み”の楽しさが詰まっている。道なき道を進み,限られた道具で工夫を凝らす中で,「生(なま)の世界」に触れたような,確かな手応えを感じるのだ。
 マグネキャッチやビタロック,アイスメーカーといったシーカーアイテムは便利ではあるが,用途が限定されており,遊びの根幹を壊すことはない(バグ的な活用は別として)。

 BotWは,それ以前の数々のオープンワールド作品を踏まえたうえで,“風が吹き抜けるような自由”という「オープンエアー」のコンセプトにふさわしい要素だけを残し,徹底的に研ぎ澄まされた作品だ。だからこそ,2025年の今遊んでもまったく色褪せず,プレイヤーを夢中にさせてくれる。

Switch2版BotW
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TotKがもたらした“文明の発展”


 一方のTotKは,そうしたBotWの原初的な遊びに「文明の発展」を重ねた作品だった。ウルトラハンド,トーレルーフ,スクラビルドといった新たな能力。そして空島や地底世界という,上下方向にまで広がった舞台。BotWが「自然と共に暮らす」ゲームだとすれば,TotKは「人が文明の力で世界を塗り替えていく」ゲームだった。
 その広がりの感覚は,産業革命から20世紀にかけて,人類が感じていた「世界が広がっていく」という“可能性”に近いものかもしれない。少々大げさかもしれないが,そう思わせるものがあった。

Switch2版TotK
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  プレイヤーはあらゆる物を組み合わせ,乗り物やギミックを作れるようにもなった。自分だけの方法で山を越え,川を渡り,敵を倒す。浄化の祠に限らず,目の前の課題を解決するためにウルトラハンドでカラクリを作りまくった人は数知れずだろう。

 しかも,利用できるのはクラフト用の「ゾナウギア」に限らない。
 たとえば筆者は,「車輪」に何枚もの「盾」を強引にくっつけて,即席の水車を作り出したことがある。
 「本当に動くのか?」と半信半疑で試してみると,水車はしっかり水をかき,イカダはゆっくりと前に進んでいった。自然がもたらした困難と部品の不足。その両方を,アイデアだけで乗り越えられたあの瞬間の驚きと喜びは今でも忘れられない。「必要は発明の母」とは,まさにこのことだ。

Switch版TotK
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 ただその一方で,プレイ体験が便利でスムーズになったぶん,BotWで感じていた「手探りで進む楽しさ」や「不自由の中にある発見」は,少し影をひそめたようにも思う。BotWにあった“冒険の原風景”のような感覚を懐かしく思い出されることは確かにあった。


「原初の体験」か「文明の拡張体験」か オープンワールドの両極


 両作品を並べてみると,オープンワールドというジャンルが内包している,ひとつの構造が見えてくる。

  • 要素を絞り,不便さをあえて残すことで生まれる「原初の体験」
  • 技術や機能を重ねることで,世界の広がりを加速させる「文明の拡張体験」

 このふたつは,どちらが優れているというものではなく,トレードオフの関係にある。
 もちろん,ゲーム内で段階的に体験の性質を変えていくという方法もある。「原初の体験」寄りのBotWでも,がんばりゲージの成長やポーチの拡張によって,遊びの幅が少しずつ広がっていくようになっている。

 そんなふうに,BotWとTotKの関係から「原初の体験」と「文明の拡張」という2つの軸を見出してみると,ふと,自分がこれまでに遊んできたオープンワールド作品のことが次々と思い出されてきた。
 それらもまた,そのどちらかの要素が強く現れているか,あるいはどうバランスを取っているかといった視点で見直してみると,今まで見えなかったものが見えてくる。

 たとえば初期の「マインクラフト」は,まさにプリミティブ型の代表だろう。火を起こし,食料を集め,道具を作り,金属を精錬し,拠点を整えていく。その一つひとつが,生きることそのものの手触りとつながっている。

 一方,「サイバーパンク2077」は,巨大都市そのものをオープンワールドとして成立させつつ,物語の濃度,サイバーウェアによる能力拡張,圧倒的な情報量などを融合させた「超・文明拡張型」ともいえる作品だ。言うまでもなく,“サイバーパンク”というジャンル自体が,そうした方向性を体現している。

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 そして「ゼノブレイドクロス ディフィニティブエディション」は,惑星開拓や異星種族との交流により,文明が飛躍的に発展する感覚を味わえるオープンワールドと言える。ドールを乗り降りすることでプレイヤーの感じる世界のスケール感が変化し,人間とドールの両方で探索を行う意味がしっかりと持たされている。

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 こうして見ていくと,最新作が登場したばかりの「デス・ストランディング」シリーズは,かなり特異な位置づけにあると感じる。物語的には文明崩壊後,やることは荷物を運ぶというプリミティブな体験なのに,その行為の意味合いは強烈にストーリー寄りだ。
 荷物を運び,つながりを紡ぐという行為が,いつの間にか「人類の再接続」というテーマそのものになっていく。オープンワールドを「物語る手段」として捉えた稀有な作品と言えるだろう。

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 つまり,これは「シンプル・イズ・ベスト」や「要素が多すぎると本質がぼける」といった単純な話ではない。どんな方向性であれ,作り手がどんな体験を届けようとしているのか。そしてそれを受け取るプレイヤーが,自分の感覚や好みに合うものを見つけていけるか。その相性こそが大事なのだと思う。
 BotWは未完成のTotKではないし,TotKもまた,BotWの本質が薄まった続編ではない。それぞれに違ったかたちの「完成」がある。今回あらためて2作品をプレイしたことで,これまで別々に感じていたことを自分のなかでうまく整理できたわけだ。

 ちなみに筆者はBotWはがんばりゲージの成長やポーチの拡張をできるだけ行わず,不便なまま遊ぶのが好きだが,これはプリミティブな楽しみ方を増幅するためだ。
 いっぽうTotKでは,ゾナウギアの動力となるバッテリーの上限をはじめ,上げられるものはどんどん上げてしまう。こちらは低いままでは使用できるパーツの数や稼働時間が制限されて「しっかり楽しめない」ためである。
 続編というつながりのあるゲームだと考えると,こうした遊び方の違いは「ブレている」と見えるかもしれない。しかしこれまで伝えてきたように,BotWとTotKはゲームとの向き合い方が異なる部分があり,それぞれのスタイルにあわせて遊んでみることで分かるもの,新しく見えてくるものがあるのだ。

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 「身体で感じる冒険」のBotWと,「道具で切り開く冒険」のTotK。両者のあいだには,単なるシステムや要素の違いでは語りきれない“体験そのものの変化”がある。
 そして,Switch2版を通して両作を並べて遊んだことで,その変化の奥にもうひとつの軸――「時間」があることにも気づかされた。ZELDA NOTESによって,BotWとTotKはただの前作・続編という関係を超えて,時間の流れと記憶を内包した,ひとつながりの旅として立ち上がったように感じられたのだ。


ZELDA NOTESが教えてくれた,“時間”というもうひとつの軸


 ZELDA NOTESは,単なる快適性の向上に留まらない,ゲーム体験にまた別の奥行きをもたらすものでもあった。

 ZELDA NOTESを使うと,BotWでは作中の100年前のゼルダ姫の,TotKでは復興する各地を訪れていたゼルダ姫の語りを「声の記憶」という形で楽しめる。
 あえて機能的な言い方をすればロケーションの情報を補完するコンテンツだが,それは旅する彼女のエッセイであり,この世界の物語や歴史を深掘りする手助けにもなってくれる。

意外な場所にも多数用意されており,彼女の声で読み上げてくれる
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 たとえばTotKの始まり台地にあるハイリア山には印象的な石が立っているのだが,ここの「声の記憶」をZELDA NOTESで聴いたあと,もともとTotKに収録されているムービー「冒険の記憶06 ゲルド族の強襲」を観直すと,始まり台地が持つ役割を別の角度からも知ることができる。
 映像でも描かれていたように,ここはゲルド地方の勢力を迎撃するのに最適な地勢なのだ。

剣が立てられている“方角”も深読みポイント
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 さらに,ハイリア山から見えるゲルド地方側の山・モルガナ山を探索してみると,ガノンドロフが立っていた岩が,ゲーム内にもちゃんとあることが確認できる。
 ……まるでZELDA NOTESによる発見のように書いてしまったが,モルガナ山の岩についてはTotKの発売から間もないころに気が付いていて,筆者はこれを「ガノンドロフの物見岩」と(勝手に)命名していた。ZELDA NOTESは,このことを思い出すトリガーにもなってくれたわけだ。

カメラが広角気味で再現しきれていないが,ガノンドロフはこの岩から始まりの台地を見下ろしていた
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 古戦場つながりで挙げると,ハテノ砦やクロチェリー平原なども印象深かった場所だ。こちらはBotWとTotK,それぞれの「声の記憶」を比べると,より深く楽しめると思う。

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BotWのハテノ砦。かつて激しい戦いがあったことを物語るガーディアンの残骸
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TotKのハテノ砦。ガーディアンの残骸は撤去されたが,魔物の拠点となっていた

 また,BotWにはなく,TotKで追加されたゲルドキャニオン入口の遺跡には,ちょっと笑えるバックグラウンドがあった。こちらは空島の「声の記憶」も関わってくるので,ファストトラベルなども駆使しつつぜひ探ってみてほしい。

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 さらに,BotWで描かれた英傑たちについての認識も,ZELDA NOTESを通して少しアップデートできた感がある。
 これについては各英傑に関係する土地で,両作品の「声の記憶」を聴き比べてみると良いだろう。とくにリーバルは,これまで「スカした雰囲気だが実はシャイ」というキャラクター像で受け取っていたのだが,ZELDA NOTESでは彼の意外かつ納得できる「不器用さ」が分かり,より身近な存在に感じられるようになった。

BotWの回想場面より
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 BotWとTotKの間には,オープンワールドの軸として「時間軸」の広がりもあったことが,ZELDA NOTESでより明確になったように思う。単にストーリーが時間移動を扱っているだけでなく,プレイヤーが旅の中で"時の移ろい"を肌で感じやすくなったのだ。

 こうしてZELDA NOTESを通じて「時の移ろい」を感じながら世界を歩いていると,またもほかのゲームのことを思い出してしまう。
 たとえば「レッド・デッド・リデンプション2」で前作にも登場したブラックウォーターやニューオースティン州を再訪したときの郷愁や,「龍が如く」シリーズで神室町の変化を見守るような感覚。それがBotWとTotKの2作品ににまたがって,より広く深く味わえるようになっていた。


 そしてそんな感覚は,気がつけば現実の旅の体験にもリンクしていた。
 これはTotKのリリースから少し経ったころ,筆者が旅行で訪れた松島で撮った写真だ。目の前に広がる島々のシルエットに,歴史的な背景やこの地を訪れた文人たちの思い,そしてプレイしたばかりのTotKに登場する空島の風景が重なって見えた。
 ハイラル王国を旅する感覚は,現実の旅ともどこか地続きになっていたのである。

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 筆者は,もっと歳を取って対戦ゲームや高難度アクションがきつく感じてきたころ,BotWをもう一度,一からじっくり遊び直してみたいと思っていた。
 荒野を歩き,装備を整え,がんばりゲージもままならない不便さを抱えながらも少しずつ世界を開拓していく。そんな「プリミティブな冒険」を,また最初から味わいたいと思っていたからだ。
 でも,今回Switch2版であらためて触れてみたことで,そのタイミングは少し早まりそうな気がしている。

 一方,TotKを最初からやり直すことは,おそらくしないと思う。
 クラフトを駆使した探索や,ZELDA NOTESを手がかりにした歴史探訪といった,発展した今の世界だからこそ楽しめる遊び方がすでに自分のなかに定着しているからだ。“文明が発展”した先にある世界には,そこでしか味わえない楽しさがある。

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 BotWとTotKを同時期に遊ぶことで,1本のゲームだけでは味わえない体験ができたことは間違いない。そしてNintendo Switch 2という新たなハードとZELDA NOTESは,それぞれの世界にもう一度触れるための絶好のきっかけを与えてくれる。

 プリミティブな冒険に身を置くもよし。生み出したカラクリの便利さを享受するもよし。時の移ろいを感じながら世界の姿を見つめるのも,またよし。BotWとTotKの世界は,いつどんな形で訪れても,私たちを冒険の旅へと誘(いざな)ってくれるだろう。

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