
プレイレポート
[プレイレポ]「魔法使いの嫁」初ゲーム化作品。種族の壁を越えた友達の物語が動き出す「魔法使いの嫁 盛夏の幻と夢見る旅路」
本作はヤマザキコレ氏による漫画「魔法使いの嫁」を題材としたビジュアルノベルであり,初のゲーム作品だ。
「魔法使いの嫁」は,特異な体質のせいで身寄りも生きる希望も失った15歳の少女 チセ(羽鳥智世)が,人ならざる魔法使い エリアスのもとで新たな人生を歩んでいく物語が展開される。
本作は,魔法や妖精,竜などが多数登場する「魔法使いの嫁」の世界の,ある夏の出来事を綴っている。
本稿では,PC(Steam)版を一足先にプレイする機会を得たので,その内容をお伝えしよう。
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人ならざる者と少女の物語
本作のメインキャラクターのひとりは,登場時点では名前がなかった。顔はスネイル,いわゆるカタツムリや巻貝の化石のような肌をしており,毛むくじゃらの2本の手と4本脚を持つ,妖精でも人でもない「人ならざる者」だ。
しかし,「人と話したい」「人を助けたい」という想いを抱き,ロンドンで生活していた。
ある夜,泣いていた少女 レティと出会い,「ソル」という名前をつけてもらい,2人は友達となる。
物語は,このソルの視点で進んでいく。
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レティは快活な性格だが,出会ったときは何かに恐怖して泣いていた。しかし,どんなに思い返しても何に怯えていたのかは分からず,自分の名前ですらやっとのことで思い出せたという状態――つまり,記憶喪失だったのだ。
ソルは,そんなレティの力になるべく,記憶を取り戻す手伝いを申し出る。
ソル
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レティ(CV:鈴代紗弓)
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ロンドンで出会った2人は,レティの記憶を取り戻すために,人ならざる魔法使いと人間がいっしょに暮らしているという屋敷を訪ねる。
この魔法使いと人間というのが,「魔法使いの嫁」のメインキャラクターであるエリアスとチセ。ふたりが暮らす家や村など,なじみ深い場所を舞台に物語は進行していく。
チセ(CV:種﨑敦美)
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エリアス・エインズワース(CV:竹内良太)
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「魔法使いの嫁」の世界を堪能できる物語
本作には,妖精のことは「隣人」や「お隣さん」と呼ぶほうが好ましい,といった知識や,妖精の持つ特性など,イングランドの伝承にまつわる言葉がたくさん登場する。
これこそが,「魔法使いの嫁」の物語を形作っている大事な要素の1つなのだが,なじみがないうちは混乱してしまうかもしれない。
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そんなときは,メニューを開くと,GLOSSARY(用語集)で確認できる。この用語集のおかげで,原作を読んだことがない人でも安心して物語を読み進められる。また,原作を知っている人でも,ついつい読みふけってしまう内容になっている。
ちなみに,本作の時系列は,原作9巻の終わりあたり(アニメだとシーズン1のあと),チセが学院(カレッジ)を訪れる前の出来事である。
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また,物語にはシルキーやルツ,リャナン・シー,リンデルなどなど,「魔法使いの嫁」ではおなじみのキャラクターたちが大勢登場するので,個人的に大好きなキャラクターを数人ピックアップして紹介する。
シルキー(絹女給。CV:遠藤 綾)
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ルツ(CV:内山昂輝)
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リャナン・シー(CV:早見沙織)
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このように,たくさんの「魔法使いの嫁」のキャラクターが登場し,記憶を取り戻す旅をしているソルやレティと出会う。その物語の一つひとつが,「魔法使いの嫁」の世界を濃密に描いているのだ。
キャラクターの心の動きにも注目!
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さて,そんなふうにチセとエリアスの協力のもと,さまざまな人と関わりながら,ひとつずつ記憶を取り戻す手がかりを手繰り寄せていくソルとレティ。
そのなかでいちばん心に残ったのが,ヴィヒッタという幼い竜とのふれあいだ。
読者の皆さんの楽しみを奪わないために詳細は省くけれど,純粋な心を持つ3人(2人と1頭?)の本音のぶつかり合いには,目頭が熱くなった。
ヴィヒッタ(CV:田中貴子)
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リンデル(CV:浪川大輔)
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物語の始めのころは,人間のようなふるまいに慣れていないソルに対して,レティが「こうするのよ!」とお姉さん風を吹かせていた。
しかし,いろいろな人や隣人たちと関わり合い,彼らから教わった考えがソルのなかに根付き,ソルが自由奔放なレティを嗜める場面があったり,問題解決のために現状のなかでの最善を探ろうとしたりと,ソルの心の成長が感じられる物語となっている。
こういったキャラクターたちの心の動きや成長も,本作の楽しみどころ。
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レティはなぜ記憶を失い,夜のロンドンにいたのか。そして,レティの記憶はすべて取り戻すことができるのか。物語のなかで現れる選択肢が,2種類の結末のどちらかに導いていく。
穏やかで優しくて,そして少し不思議な隣人や人ならざる者たちと人の物語,「魔法使いの嫁」の世界を存分に楽しめる本作を,ぜひ多くの人にプレイしてほしい。
また,本編のストーリーを進めていくと,サイドストーリーが開放されていく。サイドストーリーでは日常の出来事が描かれていて,サクッと読み切れる分量で,夜寝る前にもピッタリである。
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さらに,公式サイトでは特別書き下ろし短編小説(全6回)が公開されていて,こちらでは本編の前日譚がつづられている。この短編小説は未プレイでも楽しめる内容なので,発売までの期間に読むのがオススメ(短編小説ページはこちら)。
最後に,特装版について紹介させてほしい。というのも,特装版は限定デザインBOXに3つの豪華特典が入っているのだが,「ヤマザキコレ先生描き下ろし漫画」は何と20ページ,「まほなつファンブック」に至っては30ページ! そして,「フィルムカード」はゲーム内の美麗スチルが描かれているのだ……!
また,店舗別の予約特典も,有償・無償問わず目移りしてしまうほどの豪華さとなっている。ぜひそのラインナップを見て,私のようにうれしい悲鳴をあげてほしい(特典情報ページはこちら)。
「魔法使いの嫁 盛夏の幻と夢見る旅路」公式サイト
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