
プレイレポート
[プレイレポ]「Haneda Girl」は一発死&リトライゲーの新境地。アクションが苦手な人を引き上げ,得意な人が高みを目指せる二面性を持つ
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Steamストアページの紹介文に,「ゲームフィールは“CELESTE”,破壊の爽快感は“BROFORCE”,斬撃の鋭さは“KATANA ZERO”,死にざまは“HOTLINE MIAMI”」という,名作のいいとこどりをしたかのような文言が書かれている本作。スピード感と難度の高さを予感させるが,実際のところどのようなゲームに仕上がっているのか。
発売前に触れる機会を得たので,プレイレポ−トをお届けする。なお,本稿のボタン表記はXboxコントローラに準拠している。
自分も敵も一発死の緊張感。そこに加わる超破壊兵器
アーケードゲーム「ハネダガール」が大好きで,その腕前もスゴい少女,千地若羽(チチワカバ)。彼女は「ハネダガール」のクリエイターである中村教授にその腕前を見込まれ,実際にゲームの中に入って戦ってほしいという提案を受ける。
なんだか突拍子もない導入ではあるが,本作はゲーム内ゲーム「ハネダガール」の世界を千地若羽が体験するというもので,その動きはプレイヤーに委ねられる。構造としてはメタフィクションのそれとなっている。
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本作はステージ制の2Dアクションで,1ステージクリアするとリザルト画面でスコアが表示され,全体マップ画面に移動し,次のステージを選択する。
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ステージのクリア条件は基本的に「すべての敵を倒してゴール地点へ向かう」ことだ。ステージ内には,こちらに気づくとすぐに銃を撃ってくる敵や爆弾を投げつけてくる敵,触れると数秒後に爆発するオブジェクト,射程範囲に入ると自動的に乱射してくるタレットなど,さまざまな敵が存在する。
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主人公のハネダガールはライトセーバーを持っており,敵に近づくと一撃で倒すことができる。ただし,敵の攻撃を受けると,こちらも一撃でやられてしまう。さまざまな敵に対して,如何にして接近して撃破し,如何にしてやられずに先へ進むかというゲームだ。
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ストアページの紹介文どおり,ミニキャラがステージを飛び回るゲームフィールはたしかに「Celeste」に近い。
また,開けたドアに当たった敵がしばらく気絶することや,一発死によって何度もリトライすることになるあたりは,まさに「Hotline Miami」だ。それに加えて,気づかれずに接近して一撃で倒すステルス・キルな部分は「天誅」チックでもある。
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やるかやられるかの緊張感が漂うアクションだが,ここに本作最大の特色でもある「戦術型メカ M.O.T.H.E.R.」(以下,マザー)が加わる。
マザーはLTボタンで召喚できる大型ロボのような乗り物で,敵の攻撃を多少くらっても大丈夫なうえ,銃を乱射できるという,メチャクチャ攻撃的な存在だ。
一定以上のダメージを受けると大破してハネダガールが排出されるが,数秒間待てば再度召喚できる。銃も,しばらく撃ち続けるとチャージが必要になるが,こちらも数秒待てば再度乱射が可能になる。
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進む先に敵が複数いる場合など,ハネダガール単体で突撃すると高確率で倒されそうな場面ではマザーに乗り込んで突き進むと,比較的安全だ。
また,ステージギミックとして,マザーの銃乱射でなければ破壊できない壁があったり,マザーでは通れない狭い道もあったりするので,ハネダガールとマザー搭乗をうまく切り替えながら進んでいくことになる。
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マザーの存在が,本作を唯一無二のアクションゲームに仕立て上げている。マザーとハネダガールそれぞれでしか進めない場所があり,状況に応じて切り替えて進むというゲーム性以外に,マザーは多少のダメージは耐えられるため,一発死とリトライを繰り返すゲームが苦手な人が挫折しないための存在でもあるからだ。
「Celeste」や「Hotline Miami」と聞いて,「いやー,あれ系は無理無理!」と感じた人も,マザーの使い勝手を味わえば,「これならいけるかも……」と思うに違いない。
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マザーは苦手な人の救済でもありつつ,上級者がさらなる高みを目指すための存在でもある。
マザーの弱点として「移動速度の遅さ」が挙げられる。クリアタイムがスコアに大きく関係してくるゲームシステム上,より華麗に,スピーディーなクリアを目指そうとすると,ハネダガール単騎で突き進む必要があるのだ。
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アクションが苦手な人は,まずマザーで慎重に進み,このゲームに慣れていけばいいし,慣れた人やこの手のゲームが得意な人はマザーを極力使わずに進んでもいい。使わないことのメリットも,ちゃんと用意されている。
最初は苦手だった人も,ハネダガールで自在に飛び回ってクリアできるようになれば,自身の成長が圧倒的スピード感という形で実感できるようになっている。あらゆる層のプレイヤーの取りこぼしがないように設計されている,見事なつくりのアクションゲームだ。
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ハイスコアによって開放される新兵器群。ステージに隠された各種アイテムの探索にも挑んでみよう
先ほどスコアについて少し触れていたが,これに何の意味があるのかというと,一部のステージに設定されているロックの解除条件に関係してくる。
ステージクリア時のリザルト画面のスコアによって,メタル→ブロンズ→シルバー→ゴールド→プラチナとランク付けされ,あるステージに挑戦するには「ゴールドランクでクリアしたステージが2つ以上」などの条件が課せられている。
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こうしてアンロックされるステージでは,世界観を深堀りする「フロッピーコーデックス」が配置されていたり,クリアすることで新たな兵器を入手できたりする。
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これらの新兵器は,ステージクリアがラクになるというよりは「プレイヤーの戦闘スタイルを変化させられる」と言うのが正しい。「これをこう使えば,あのステージのクリアタイムはもっと縮められるんじゃないか?」といった,プレイヤーの創意工夫を手助けする存在だ。言わば,“上を目指したご褒美”という感じだろうか。
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また,各ステージには「CD-ROM」などのアイテムが隠されていることもあり,この総枚数がアンロック条件になっているステージもある。ステージの攻略順路とは外れた位置に置いてあることが多く,普通に進めているとなかなか見つからないため,探索の楽しみがある。
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ステージによっては「HOSTAGE」(人質)が配置されていることもある。敵に彼らを殺されないように立ち回る必要が出てきて難度が上がるが,仮に殺されてステージクリアしても,先へは進める。
このHOSTAGEの救出人数がアンロック条件になっているステージもある。
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探索などせず,とにかく先へ進むもよし。ステージのアンロック条件となるアイテムや人質の確保をするため,クリア済みのステージを何度も挑戦し直すもよし。難しいステージで何度も倒されてしまったときに,気分転換に前のステージに戻ってみるもよし。
プレイスタイルが人それぞれであることを許容し,これらの要素が決してクリアまでの「強制」ではない点が素晴らしい。
プレイヤーによって千変万化するアクション。苦手な人と上級者の両方を楽しませる二面性を持つ
本作は,一発死でリトライが前提のゲーム性であるが,プレイヤーを突き放すようなものではない。
できるだけ安全に進みたいなら,頻繁にマザーを召喚していけばいいし,スピード感と敵を一撃で斬り伏せる快感を味わいたいなら,リスクを承知でマザーを使わずにハネダガールで飛び回ればいい。初心者と上級者,うまい人とそうでない人の両方が楽しめるよう,一発死のゲームの新たな境地を切り拓いている。
ステージによっては初見殺し的な仕掛けがあることも多いので,とりあえずマザーを多用してステージの構成を把握してから,ハイスコア狙いやシークレットアイテム探しの際にあらためて挑戦する。こうした流れが基本となっていくはずだ。
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1ステージは,短すぎず長すぎない絶妙な塩梅で,どこに何があって,どうすべきかの短期記憶力を試されているようでもある。
ステージのなかには長めのものもあり,ゴールが見えてきて,最後の敵を倒して「やった!」と思ったら,ステージギミックでゲームオーバー。なかなかに心をヘシ折られることもある。
「さっきのはたまたまうまくいったけど,多分ここから何十回もリトライさせられる予感がするわー……」とショボくれながら進めたら,意外にもサクサク進んで,アッサリとクリアできてしまうことも。
「Celeste」「Hotline Miami」と聞いて,高難度の気配にプレイ前はたじろんでいたのだが,いざプレイしてみると,そこそこ死にはするものの,死んだあとの「あ,これは自分には無理だわ」という絶望感はない。難度は実に絶妙であると感じた。
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難点を挙げるとすれば,操作方法がやや煩雑なことだろうか。ハネダガールの操作に加えてマザーの乗降,マザーの攻撃手段など,慣れないうちはどのボタンがどの操作だったか分からなくなることも多く,誤操作による失敗もあった。
また,移動は左スティックで行い,十字キーは使えない。周囲がトゲだらけの危険な場所で,「真上」「真横」の動きが大事な場面で,スティックを倒す方向がやや傾いていたのか,微妙に斜めにスーパーダッシュしてしまい,トゲに突っ込んでゲームオーバーということもあった。
小一時間もプレイすれば慣れてくるので,大した問題ではないと思うが,方向キーは「上押しっぱなしでクイックリスタート」にしか使われていないので,方向キーも移動に使えたらなとは感じた。
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発売前のバージョンということもあってか,いくつかの不具合に遭遇したことも書いておこう。
まず1つめは,左スティックによるエイムが右斜め上に固定されてしまい,ジャンプボタンを押しても,思うようにジャンプしてくれない現象だ。
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精密なアクションを要求される場面が多いだけに,こうなるともう,リスタートするしかない。マップ画面まで戻ってから再度ステージに入り直すと元に戻ったので,コントローラの故障ではないはずだ。この現象は同一ステージで複数回遭遇した。
ほかにも,床スイッチをマザーに踏ませてブロックを出現させて進む場面で,スイッチを踏んでもブロックが出現しないという不具合も見られた。こちらも,マップ画面に戻ってやり直す必要があった。
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総括すると,人を選ぶゲームではあるが,こうした即死・リトライ系のアクションの中ではサポートが手厚い。多少の被弾はセーフで,高火力で爽快感のあるマザー。スコアは下がるが,数秒間透明になって敵に見つからずに済むゴーストモード。この系統のゲームが苦手な人のための安全策が,よく考えられているように思える。
それでいて,うまい人が慣れればスーパープレイで魅せられるようになるゲームでもあり,
幅広い層が楽しめるようになっている。苦手な人が慎重に進む様子と,うまい人がとんでもないスピードで飛び回ってクリアする様子を比べたら,まるで違うゲームに見えるはずだ。
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「Celeste」や「Hotline Miami」が好きな人はもちろん,そういったゲームで過去に挫折を味わった人も「本作ならイケるのでは」と感じるはずだ。Steamでは体験版も配信されているので,少しでも興味が出たら,ぜひプレイしてみてほしい。
「Haneda Girl」公式サイト
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