
プレイレポート
「ペルソナ5: The Phantom X」は中国アジア版からバトルをまるごとリバランス。立ち絵やアイコンなども調整を施し,より“P5”らしく
![]() |
中国のPerfect Worldが手がける本作は,「ペルソナ5」(以下,P5)の世界観をベースにした運営型タイトルだ。中国などアジアの一部地域では2024年頃からサービスを開始しており,日本では国内向けサービス版がリリースされる。
国内版は“言語の翻訳”に留まらず,アトラス&セガによってシリーズファンも納得できる“よりペルソナらしい”内容になっているという。
このたびは正式リリース直前のプレイレポートをお届けする予定だったのだが,本作を担当するセガのゲームデザイナーに同席していただいたので,最新バージョンを遊びながら「国内版の調整した要素」をミッチリと聞いてみることにした。
※今回はPC版の最新バージョンをコントローラ(ゲームパッド)でプレイしました。画面は開発中のものです。
「ペルソナ5: The Phantom X」公式サイト
「ペルソナ5: The Phantom X」ダウンロードページ
「ペルソナ5: The Phantom X」ダウンロードページ
キャラの挙動が変わって操作性が向上
バトルもまるごとリバランス
まずは,軽く基本情報をおさらいしておこう。
P5Xは東京を舞台にしたRPGだ。異世界「メメントス」や,そこにはびこる「シャドウ」の影響により,地上に生きる者は人知れず“欲望を奪われた”状態になっていた。シャドウに抗う力――ペルソナを覚醒させた主人公たちは「怪盗団」を結成し,欲望を奪い返す戦いに身を投じることになる。
![]() |
![]() |
ベースとなるシステムはP5と同様だ。主人公は普通の高校生として日常生活を送りながら,夜には怪盗として暗躍する。P5にあったカレンダー要素やシナリオ上の時間制限は存在しないが,いわゆるスタミナ(体力/行動力)制を採用しているため,無制限に育成し続けることはできない。
最も大きな変更は,戦闘とペルソナ関連の要素だ。弱点を突くことによる「1MORE」(連続行動)の仕様は同じだが,バトンタッチ関連の仕様がよりシンプルに整理されている。ペルソナ合体については,特定のペルソナ同士の合体でのみ,目標のペルソナを入手できるようになった。
![]() |
![]() |
これらの内容は,2024年11月〜12月に行われたクローズドβテストのプレイレポートで詳しく紹介しているのでご覧いただきたい。
[プレイレポ]「ペルソナ5: The Phantom X」クローズドβテストで見せつけられた,圧倒的な熱意。プレイフィールはほぼコンシューマゲームのそれだ
![[プレイレポ]「ペルソナ5: The Phantom X」クローズドβテストで見せつけられた,圧倒的な熱意。プレイフィールはほぼコンシューマゲームのそれだ](/games/693/G069335/20241205056/TN/044.jpg)
アトラス,セガ,Perfect World3社の共同開発によるペルソナシリーズ最新作「ペルソナ5: The Phantom X」のクローズドβテストが,2024年11月29日から12月5日にかけて開催された。運営型ゲームという形式のうえで,いかにしてペルソナらしさを表現しているのかをチェックしてみた。
今回はリリース直前のバージョンを最初からプレイしてみた。チュートリアルやムービーシーンが中心の序盤では,調整された点を把握するのは難しい――と思っていたのだが,驚くべきことに触った瞬間に変化を実感できる。
手触りが,めちゃくちゃ良くなっている……!
![]() |
この感覚を理解してもらうのは難しいと思うが,遊んでみればハッキリと分かる。入力をしてからキャラクターが走り出すまでの挙動が軽快になり,手触り(操作性)が大幅に改善されているのだ。
改善されたのは通常の移動だけでない。メメントス内部におけるダッシュアクションの挙動,自宅内における歩行速度の向上,ギミックに触れた際の挙動など,主人公を動かす部分のほぼすべてが快適になっている。
セガのゲームデザイナーによると,CBTのネガティブなフィードバックの中で一番多かったのが「操作性が悪い」という意見だったため,とくに注力して調整を施したそうだ。
言語化の難しい要素ではあるが,違いは歴然としている。移動の加速度,旋回アニメーションの調整,停止前の挙動など,かなり細かな部分まで手が加えられており,少なくとも今回のプレイで操作面に違和感を覚えることはなかった。
![]() |
コントローラの操作も快適だ。各メニューへのアクセスが遠い(操作回数が多くなる)問題には,ホイールメニューの調整,およびカーソルモードの導入によって解決を図っており,そのあたりの配慮が見られたのも嬉しい。
![]() |
CBT時に気になっていた,育成メニュー画面の操作すべてにボタンが割り振られている形式はそのままだが,カーソルモードの導入によってコントローラでも直感的な操作が可能になっている。ただ,P5のメニュー操作に慣れている身としては,欲を言えばそちらにも対応してほしいところだが。
![]() |
![]() |
今回は具体的な内容にまで触れられなかったが,バトル要素にも大幅な調整を施している。とくにキャラクターの性能は中国アジア版とはまったく異なり,セガのゲームデザイナー曰く「戦闘面はほぼ丸ごとリバランスしています」とのこと。
つまり,中国アジア版と国内版ではキャラクター能力の評価が大きく異なる可能性が高い。先行しているサービスのデータがあったうえでのリバランスなので,高いレベルでの調整が期待できそうだ。
![]() |
![]() |
立ち絵やアイコン,カメラワークまで
チリツモ修正で大幅にクオリティアップ
アクションやバトルだけでなく,ストーリー演出やセリフの面も見直され,ゲーム全体のテンポ感も良くなっている。
一部の場面ではセリフが調整され,追加の3Dカットシーンを用意するなど,ストーリーを理解しやすくなっているのは大きな変化だろう。説明的になりすぎている場面をカットし,チュートリアル用のポップアップに説明を任せるといった,プレイヤーの没入感を損なわないための工夫も随所に見られる。
さらに場面転換や状況変化が唐突に感じられる部分を減らし,シリーズに初めて触れる人も世界観を理解しつつ物語の流れを追いやすくなるだろう。
![]() |
また会話シーンに登場するキャラクターのバストアップイラストは,日本展開を行うにあたり,日本版の開発チームが一部のアートを更新している。
![]() |
![]() |
ストーリー演出で驚いた調整点は,主人公の名前だ。ペルソナシリーズでは,プレイヤー自身が主人公に名前をつけるのが慣例。CBTでは自分で入力する形式だったのだが,最新バージョンではアトラスが考案した名前が入力欄にセットされている。
セガのゲームデザイナーによると,CBTの際に「名前入力のタイミングで困ってしまった」というユーザーからの意見があり,P5Xでは自分でつけることが難しい人のために名前を考案したという。
なお,「自分自身の分身たる主人公が世界を旅していく」というシリーズのコアメッセージには変わりがなく,プレイヤーは主人公の名前をつけてもいいし,アトラスが用意した名前でプレイしてもいい。
確かにオンラインゲームとして見ると,日本人らしい命名形式には一歩引いてしまう人がいてもおかしくないだろう。
![]() |
これで調整箇所は終わりかと思いきや,もっと細かな部分にも手が加えられている。取材時に説明を受けたものだけでも以下のとおり,多数の変更を確認できた。
●イベントシーン後の導線の改善
ストーリーの導入部分にあたる第一章の終了時,案内役であるルフェルと親交ができた直後にログインボーナスが提示される形になった。また,イベント終了後の視点が次の目標の方向に変更され,目標地点を示す「!」アイコンが白抜き(CBT版は黒と赤)になったことで導線と視認性が向上している。
![]() |
![]() |
●NPCとテキストの追加
中国アジア版には存在しない“会話のためだけに登場するNPC”が,街の各所に配置されるようになった。仲間やコミュとは無関係で,あくまで世界観を深堀りするための要素だが,反響次第では何かしらの形で本編との関わりを得る可能性もあるとのこと。
![]() |
●店員ボイスの追加
アイテムの販売店に入ると再生される「いらっしゃいませ」のボイスは,中国アジア版やCBT版では1種類だった。最新バージョンのハンバーガーショップでは力強い声,コンビニでは気だるめな声といったように,店の雰囲気に合わせたボイスが流れる。
![]() |
●アイコンや背景情報の調整
P5Xではアイテムに個別のアイコンが割り振られているが,国内版のリリースにあたり一部のイラストを描き直している。背景を構成する広告やポスターなど,日本人こそ違和感を覚えやすい東京の街並みでも細部を調整しているとのこと。
![]() |
![]() |
上記のほかにも,細かな違和感を取り除くための調整は多岐にわたる。ただ,ここで重要なことはそれらの把握ではなく,アトラス&セガが日本展開のために熱量を持って調整に取り組んだことである。
正直に言って,CBTの時点でP5Xのクオリティはかなり高く,操作性を除く変更点は「言われなければ気づかない」ものが多い。言語のローカライズを行えば,本国のチームに調整を任せてリリースすることもできただろう。
![]() |
![]() |
それだけに,今回の調整には「シリーズファンには小さな違和感も抱かせたくない」という強い意思を感じた。“P5の運営型コンテンツ”という挑戦の前に立つハードルは高いが,このエネルギーであればそれを乗り越えられるかもしれない。正式リリースの暁には,そのクオリティを体験してみてほしい。
「ペルソナ5: The Phantom X」公式サイト
「ペルソナ5: The Phantom X」ダウンロードページ
「ペルソナ5: The Phantom X」ダウンロードページ
- 関連タイトル:
ペルソナ5: The Phantom X
- 関連タイトル:
ペルソナ5: The Phantom X
- 関連タイトル:
ペルソナ5: The Phantom X
- この記事のURL:
キーワード
- PC
- iPhone
- iPad
- Android
- PC:ペルソナ5: The Phantom X
- RPG
- アトラス
- セガ
- パーフェクトワールド
- 学園物
- 中国
- iPhone/iPad:ペルソナ5: The Phantom X
- Android:ペルソナ5: The Phantom X
- プレイレポート
- ライター:蒼之スギウラ
- ムービー

(C) Perfect World Adapted from Persona5 (C)ATLUS. (C)SEGA.
(C) Perfect World Adapted from Persona5 (C)ATLUS. (C)SEGA.
(C) Perfect World Adapted from Persona5 (C)ATLUS. (C)SEGA.