
インタビュー
「ボーダーランズ4」新ヴォルト・ハンター「キャッシュ」(C4SH)について,開発元CEOに話を聞いた[TGS2025]
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累計販売数8700万本以上,世界中にファンを持つ同シリーズの約6年ぶりの新作とあり,それはもう“お祭り騒ぎ”……ではなく,“ヒャッハー騒ぎ”の本作。何もかもがシリーズ最大級のボリュームながら,ぶっ飛んだ世界観,大量の銃,そしてハイクオリティな日本語訳と,「ボダランをボダランたらしめるコア」な部分はしっかりと継承されている。
筆者は発売に先駆けて,日本で開催された本作の先行プレイに参加しており,そこで,Gearbox Softwareの創設者でありCEOを務める,“Duval Magic”こと,Randy Pitchford氏と初めてお会いした。
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合同インタビューや私的な会話も行ったのだが,筆者がまず受けた印象は,氏は「単に面白くてハイクオリティなゲームを作りたい」のではなく,面白くてハイクオリティはあくまでも前提であり,そのうえで「まだ見ぬ展開に目を輝かせ心を躍らせていた,少年少女のあの頃のような体験ができるゲームを作りたいのではなかろうか」という点だ。
親に怒られようが何をしようが,夢中になってプレイし続けたゲーム……。あの情熱に酷似した衝動が,氏をゲーム作りに走らせるのだろう。
クリエイター,CEO,マジシャン,実業家……とさまざまな背景を持ちながら,フレンドリーなPitchford氏。どこか無邪気さも感じるような,お茶目な御仁という一面もある。
真剣な表情で「Mr.Pitchford」と呼ぶより,明朗に「Hi! Randy!!」と呼んだほうが,氏は明らかにニコニコしてくれるのだ。
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4Gamer:
今日はお時間をいただき,ありがとうございます。まず読者に向けて簡単な自己紹介をお願いします。
Pitchford氏:
みなさんこんにちは。Randy Pitchfordです。Gearbox Software創設者として認識している方も多いと思いますが,今日は我々の代表作である「ボーダーランズ」シリーズの最新作,「ボーダーランズ4」についてお話します。
4Gamer:
遂に発売を迎えた「ボーダーランズ4」ですが,今の率直な気持ちを聞かせてください。
Pitchford氏:
「Amazing!」この言葉に尽きます。「ボーダーランズ」シリーズの最新作として約6年。準備をやって仕込みをし続けて……。遂に陽の目を浴びて,プレイヤーの皆さんに手に取ってもらえました。……Amazing。やっぱりこの言葉で表現したいですね。
もちろん,プレイヤーの皆さんからは,さまざまなフィードバックを頂戴しています。皆さんの意見で「ゲームをより良くしていく」プロセスに入っているので,私もチームも高い熱量を持って作業に取り組んでいます。
4Gamer:
前回,来日された際に「日本のゲームへの思い」を多く語っておられたのが印象的でよく覚えています。あらためて,日本のゲームショーに「ボーダーランズ」が出展していることへの,心境を聞かせてもらえませんか。
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凄く興奮してます。凄くね。実は昨日,会場の中を見て回ったんだけど,凄まじい熱気を肌で感じました。
数えきれないほどのブースに,何万という来場者が集っている。その集合が生み出す熱気。その中に「ボーダーランズ」がある。とにかく興奮しっぱなしという感じでしたね。
4Gamer:
ブースはもちろん,会場内のさまざまな場所で,広告やフォトスポットといった形で「ボーダーランズ4」を見かけることができましたね。
Pitchford氏:
ローカル(日本)チームが本当に頑張ってくれました。私も会場のさまざまなところで「ボーダーランズ4」を見かけることができて,とても嬉しかったよ!(ローカルチーム満面の笑み)。
ブースにも多くの方々が並んでくれていて,「今までよりも多くの人にゲームを手に取ってもらえた,興味を持ってもらえた」と感じました。“我々が作り上げたゲームが誰かに届くこと”。これも,何より嬉しかったことのひとつです。
4Gamer:
東京ゲームショウの最終日(9月28日)に,有料DLCのストーリーパック1で実装される,新たなヴォルト・ハンター「キャッシュ」(C4SH)が発表されると聞きました。もう少し詳しく話を聞かせてもらえますか。ひとつだけ言うなら……。めちゃくちゃ好みのビジュアルです。
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インタビュー前,突然「明日これを発表する」と,Gearboxのメンバーにサッとキャッシュを見せてもらった。嘘か真かは知らないが,この段階でキャッシュを見るのは,外部の人間では世界に3人で,筆者がその1人目なのだとか。これが本場のアメリカンジョークというやつか。
ちなみに,TGS2025で発表をするのは,「日本のみんなの前で発表したい!」というPitchford氏の意向があったそうだ。
Pitchford氏:
もちろん! キャッシュはロボットですが,我々は“フィネス・スタイル”とも呼んでいます。いわゆる“ローグ”“殺戮者”としての側面を持っています。ヴォルト・ハンターになる前は,カジノでディーラーをやっていたバックグラウンドもあります。
「ボーダーランズ」にはさまざまなロボットが登場します。プログラミングされている存在だけど,知性もあるし,パーソナリティもある……というのが「ボーダーランズ」のロボットの特徴です。キャッシュもその特徴をもつ存在ですね。
4Gamer:
なるほど。ロボットだったんですね。
Pitchford氏:
キャッシュはディーラーとしてカジノで働いていたころ,さまざまな客を見てきました。大金持ちになって帰っていく者,一文無しになって帰っていく者。そして「人は運命的なものに導かれていく」と感じたキャッシュは,自らに訪れるチャンス,運命を,自らの味方につけて生きていくことを決意するわけです。
「ボーダーランズ」で遊んでいれば,どこかで「ランダムに訪れるチャンス」に触れたことがあるはずです。キャッシュはそうした「ランダムなチャンス」を,より具現化して,プレイヤーに感じてもらうヴォルト・ハンターでもあります。
4Gamer:
純粋にリボルバーを握りたくなるビジュアルもいいですね。西部開拓時代のガンマンを彷彿とさせます。
Pitchford氏:
今日も我々はアメリカから来ているからね(笑)。スタジオもテキサス州にあるんですよ。
テキサス・ホールデムに代表されるギャンブルに対するビジョンや思いがありましたし,1880年代の西部開拓時代……オールドウェストのテキサスというような情景を,「ボーダーランズ」の世界にフィットさせたらどうなるかなと考えてみたんです。
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4Gamer:
なるほど。では“オールドウェスト・テキサス”で,“ローグ”な彼は,どんな性格をしているのでしょう。
Pitchford氏:
“フィネス”という言葉を使いましたが,エッジの鋭いキャラクター性を持たせています。クラス名についてはまだ検討中ですが,ゲーム中にカードやダイスを使って,技巧性の高い戦闘が楽しめる性能になっています。
これらを使った時の結果は,キャッシュであるプレイヤーの“運”に左右されます。先ほど述べた「ランダムに訪れるチャンス」がそうですね。
自分で投じたベットのリターンとして得られるものなので,“幸運であれば”高揚感を得られるだろうし,“不運であれば”ガッカリすることにもなると思います。とにかくアドレナリンを出してくれる,刺激的なヴォルト・ハンターですよ。
4Gamer:
楽しみです。男の子が絶対に好きなやつですね。いつの時代も,思い描くヒーローの中には「イケてるガンマン」と「イケてるギャンブラー」が,大体入っていますから(笑)。
Pitchford氏:
お楽しみに(笑)。カードにしろダイスにしろ,結果次第で強くも弱くもなるし,その振れ幅が凄く大きい。これもキャッシュの特徴なんだ。
まるでジェットコースターに乗っているときのような,さまざまな感情を生み出す刺激を与えてくれると思う。そして,ひとつ付け加えると,キャッシュと私は親和性があるんだ。
4Gamer:
というと?
Pitchford氏:
私がマジシャンだということを知っているかい?
4Gamer:
もちろん。
Pitchford氏:
自身のマジシャンという部分は,キャッシュに通じるものがあると思う。そして,リアリティ・ショーに出演した経験もあるくらいには,テキサス・ホールデムの手慣れたプレイヤーでもあるんだ。
実際に,私がカードをプレイしている様子をキャプチャーして,ゲーム内のモーションの参考にしているんだよ。
4Gamer:
CEO自らキャプチャーモデルになるとは驚きです(笑)。今後も継続してコンテンツの追加を含むアップデートを行っていくと思いますが,目指している「ボーダーランズ4」はどのようなものですか。
Pitchford氏:
そうですね。今後の数週間,数か月間という視点だと,とにかく「ゲームを強化する」ことに喜びを感じています。
キャラクター,ボスファイト,これらに限らず,いろいろなことをやっていきたいと考えていますし,ゲームを拡張していくこと,これが楽しくて仕方がないんです。
だから,最終形態としての「ボーダーランズ4」がいつ来るかは分かりません。我々が「出来上がった!完成系だ!」と心から感じる時に,初めて最終形態になるんだと思います。それまでは強化し続けるし,追加し続けます。
もう少し付け加えると,プロダクトとしてのゴールは目指していません。その過程を,ひたすら楽しみ続ける長い旅だと考えているので。すでに出来上がった土台には満足しているけど,「ボーダーランズ4」をより大きく,より良いものにしていきたいです。
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4Gamer:
前回のインタビューでも「これはエンドレスだ!」と仰っていましたね。
Pitchford氏:
我々の趣味みたいなものなので(笑)。とにかく息が長い活動になる。それが終わったとき,初めて「新しいものをやろう」となるかもしれません。……いつになるか,その時が来るのかも分かりませんが。
4Gamer:
残念ですが,時間が来てしまいました。最後に,日本の「ボーダーランズ」ファンに向けて,メッセージをお願いします。
Pitchford氏:
Thank you! 「ありがとうございます」。本当にありがとうと心からお伝えしたいです。我々の存在意義については,「エンターテインメントを通して,人に喜びを感じてもらうために存在している」と日頃から考えています。
だからこそ,皆さんに喜んでもらったり,幸福感を感じてもらったり,驚いてもらう。それらが最終的に,皆さんの豊かな時間を生み出すきっかけになるように,私を含めて,チーム全員で制作に励んでいます。
そんな中,日本のファン,プレイヤーの皆さんからは,「ボーダーランズ4」に対して,数多くの素敵な声を頂戴しました。いただいた声をさらなる励みにして,さらに歩む道を極めていきます。今後とも応援していただけると嬉しいです。
今,私がこの仕事をできている事実は,最高のチャンスと幸運なので!
4Gamer:
ありがとうございました。
「ボーダーランズ4」公式サイト
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- TGS 2025
- ライター:夏上シキ
- カメラマン:永山 亘

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